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ホームページ制作の契約書|発注者が署名前に確認すべき12条項と著作権・検収・途中解約【2026年版】

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ホームページ制作の契約書|発注者が署名前に確認すべき12条項と著作権・検収・途中解約【2026年版】

ホームページ制作の見積もりに納得して、いざ契約書が届く。ところが条文は細かく、どこを見ればよいのか分からないまま署名してしまう。制作を頼んだ経験が少ない中小企業や個人事業主にとって、これはごく普通の流れです。そして、公開後に「サイトを別の会社に移したいのにデータを渡してもらえない」「修正を頼んだら追加料金と言われた」「途中でやめたいのに全額払えと言われた」といった形で、署名した条文の意味を知ることになります。

検索すると契約書のひな形はたくさん見つかりますが、その多くは制作会社やフリーランスといった受注する側が、代金の未払いや際限のない修正を防ぐために書いたものです。発注する側が同じひな形を読んでも、自分にとって何が不利なのかは見えにくいままです。

この記事は、ホームページを発注する側の立場から、契約書で確認すべき12の条項を「困る場面」「確認すること」「条文の例」の順に整理します。あわせて、民法と著作権法の関係する条文、フリーランスに頼むときに発注者側に課される義務、印紙税と電子契約の扱いまで、一次情報で確認できた内容に絞って解説します。発注の全体像を先に知りたい方はホームページ制作の発注完全ガイドから読むと、この記事の位置づけがつかみやすくなります。

この記事の要点

  • ホームページ制作の契約は、完成を約束する請負と、作業そのものを約束する準委任、公開後の保守に分かれる。サイトを作る部分と保守は契約を分けておくと解約や見直しがしやすい
  • 発注者が特に見るべきは、業務範囲と仕様・納品物と名義・検収・著作権の譲渡・途中解約の5つ。ここが曖昧だと、公開後にサイトを動かせなくなる
  • 著作権は料金を払っても自動的には移らない。譲渡を定めるときは著作権法27条・28条の権利を特掲しないと、翻案権など作り変えに関わる権利が制作側に残ると推定される(著作権法61条2項)
  • 完成前なら発注者はいつでも損害を賠償して解除できる(民法641条)。途中までの成果に価値があれば、その割合に応じて報酬を払う(民法634条)
  • フリーランスに頼む場合、従業員のいない発注者でも取引条件を書面やメールで明示する義務がある(フリーランス法3条)

ホームページ制作の契約書とは

ホームページ制作の契約書とは、発注者と制作者のあいだで、何を・いつまでに・いくらで作り、完成したサイトの権利や責任をどちらが持つのかを書面で決めておくものです。口頭やメールのやり取りでも契約自体は成立しますが、トラブルになったときに「何を約束したのか」を示すいちばん確かな手がかりは、書面に残った条文です。

請負・準委任・保守の3つの型

ホームページ制作に関わる契約は、法律上の性質で大きく3つに分かれます。契約書の表題が「業務委託契約書」でも、中身によって請負と準委任のどちらに当たるかが変わるため、表題ではなく中身で判断します。

型約束するもの民法の根拠ホームページ制作での典型発注者から見た特徴
請負仕事の完成民法632条サイト一式の制作・リニューアル原則として完成しなければ報酬を払う義務がない(途中解約時の精算は後述の11)。完成物が契約内容と違えば修補などを求められる
準委任事務の処理(作業そのもの)民法656条運用代行、コンサルティング、時間単価の改修完成は約束されない。作業の報告を求め、成果の出来ではなく作業の遂行で評価する
保守(多くは準委任)一定期間の保守作業民法656条ほかサーバー管理、更新作業、障害対応期間・範囲・解約予告を契約で決めておかないと、やめたいときに揉めやすい

民法632条は、請負を「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する」契約と定めています(e-Gov法令検索 民法)。サイトを1つ作り上げて納品してもらう形なら、通常はこの請負です。

一方、準委任には「成果に対して報酬を払う」タイプもあります。民法648条の2は、委任事務の成果に報酬を払う約束をした場合について定めており、成果の引渡しが必要なときは引渡しと同時に報酬を払うとしています。「アクセス解析の改善提案を月1本納品する」といった契約はこの形に近く、請負との境目はあいまいです。だからこそ、表題に頼らず、何を約束しているのかを条文で確認する必要があります。

なお、テンプレート型のホームページ作成サービスやノーコードツールでは、個別の契約書は作らず、申込み時に同意する利用規約が契約の内容になります。読み方は後半の「依頼先タイプ別」で扱います。

契約書で防げる5つの失敗と、効く条項

契約書の条項は、どれも過去に誰かが困った場面の裏返しです。先に失敗の型を見ておくと、条文を読むときに「これは何を防ぐための条項か」が分かりやすくなります。

よくある失敗起きる時期防ぐ条項
完成したサイトが思っていたものと違うが、「仕様どおり」と言われる納品時1 業務範囲と仕様、6 検収
修正を頼むたびに追加料金が発生し、見積もりの倍になった制作中5 仕様変更と追加費用
制作会社を変えたいのに、ドメインやデータを渡してもらえない公開後2 納品物と名義、8 著作権の譲渡
自社でデザインや文章を直したら、制作者から抗議された公開後9 著作者人格権の不行使
途中で事業方針が変わり中止したいが、全額を請求された制作中11 途中解約と精算

5つのうち2つは、制作が終わって公開した後に表に出ます。見積もりの段階では金額と納期に目が行きがちですが、契約書で本当に差が出るのは、公開後に何ができるかを決める条項です。制作会社選びの段階で確認しておきたい点はホームページ制作会社の選び方でも整理しているので、あわせて見ておくと抜け漏れを防げます。

ホームページ制作の契約で確認する12条項が、契約時・制作中・納品と検収・公開後のどの段階で効くかを示す図

発注者が署名前に確認すべき12条項

ここからは、発注者が署名前に確認すべき条項を12に分けて見ていきます。条項の番号や名前は契約書によって違いますが、中身はおおむね次のどれかに当たります。各項目の「条文の例」は考え方を示すための例で、実際の契約書にそのまま使えるように作ったものではありません。条文の例では、発注者を「委託者」、制作者を「受託者」と表記します(民法の条文では注文者・請負人)。

1 業務範囲と仕様

困る場面: 納品されたサイトにお問い合わせフォームが付いていない。スマートフォン表示が崩れている。問い合わせると「見積もりに含まれていません」と言われる。

業務範囲の条項は、何を作るのかを決める条項です。ページ数、ページの一覧、フォームやブログ機能の有無、スマートフォン対応、対応するブラウザ、文章や写真をどちらが用意するのか。これらが契約書か、契約書に添付した仕様書・見積書に書かれていないと、完成したものが契約どおりかどうかを判断する物差しがなくなります。

確認すること: 契約書の本文に「別紙仕様書のとおり」とあるなら、その別紙が実際に添付され、ページ構成と機能が具体的に書かれているか。「コーポレートサイト一式」のような一行だけの記載になっていないか。

条文の例: 「受託者は、別紙仕様書に定めるページ構成、機能および対応環境に従い、本件ウェブサイトを制作する。別紙に記載のない作業は、本契約の業務範囲に含まれない。」

後半の一文は受注者を守る文言ですが、裏返せば、別紙に書いたものは業務範囲に入るということです。発注者にとっては、別紙を具体的に書くほど守られる範囲が広がります。仕様書の作り方はホームページ制作のRFP(提案依頼書)ガイドで詳しく扱っています。

2 納品物と名義

困る場面: 数年後に制作会社を変えようとしたら、ドメインが制作会社の名義になっていて移せない。サイトのデータも「当社の資産なので渡せない」と言われる。

納品物の条項は、完成したときに何を受け取るのかを決めます。見落とされやすいのは、画面に見えているサイトそのものより、その裏側にあるものです。ソースコードやCMSのデータ一式、画像の元データ、CMSの管理者権限、ドメインとサーバーの契約名義、アクセス解析ツールのアカウント。これらを発注者が持っていないと、制作会社を変えるときに一から作り直すことになりかねません。

確認すること: 納品物の一覧にソースコード・データ一式・管理者権限が入っているか。ドメインとサーバーを誰の名義で契約するか。制作会社の名義で取得する場合、解約時に発注者へ移すことが書かれているか。

条文の例: 「受託者は、検収完了後、本件ウェブサイトのソースコード、データベース、画像等の素材データおよび管理者権限を委託者に引き渡す。本件ウェブサイトのドメインは委託者の名義で登録する。」

3 スケジュールと発注者の協力

困る場面: 公開予定日を過ぎても完成しない。催促すると「原稿と写真の提出が遅れたので」と言われる。

ホームページ制作は、発注者が原稿や写真を出し、デザイン案に意見を返しながら進む仕事です。そのため納期が遅れた原因が制作者側なのか発注者側なのかで、責任の所在が変わります。契約書には、納期だけでなく、発注者がいつまでに何を出すのかも書かれているのが普通です。

確認すること: 納期とあわせて、原稿・写真の提出期限、デザイン確認の回答期限が書かれているか。自社で守れる日程か。発注者側の遅れで納期がずれる場合の扱い(納期の延長だけか、追加費用も発生するのか)。

条文の例: 「委託者は、別紙スケジュールに定める期日までに原稿および画像を受託者に提供する。委託者の提供が遅れた場合、納期は遅れた日数に応じて延長されるものとする。」

原稿や写真の準備は、発注者が思っている以上に時間がかかります。公開日から逆算して社内の準備期間を確保しておくと、この条項が問題になる場面そのものを減らせます。全体の工程はホームページ制作の流れで確認できます。

4 報酬と支払条件

困る場面: 着手金として半額を払ったあと、制作会社と連絡が取りにくくなった。

報酬の条項は、金額、支払時期、支払方法を決めます。一括後払い、着手時と納品時の2回払い、月額払いなど、形は制作会社ごとに違います。前払いの割合が大きいほど、途中で問題が起きたときに発注者が負うリスクは大きくなります。

確認すること: 金額が税込か税抜か。支払時期が「検収完了後」になっているか、それとも「納品後」や「着手時」か。前払いがある場合、途中で解約したときに返金されるのか。月額払いの場合、最低利用期間と総額はいくらか。

条文の例: 「委託者は、本件業務の対価として金○円(消費税別)を、着手時に30%、検収完了後に70%、それぞれ受託者の請求書受領月の翌月末日までに支払う。」

月額払いで初期費用が安く見える契約は、最低利用期間を掛けた総額で比べると印象が変わることがあります。費用の相場感はホームページ制作の費用相場、見積書の比べ方はホームページ制作の相見積もりガイドで確認できます。

5 仕様変更と追加費用

困る場面: デザインの修正を何度か頼んだら、最後に追加費用の請求が届いた。何回目から有料だったのか、事前に聞いていない。

制作の途中で「やっぱりこうしたい」が出るのは自然なことです。問題になるのは、どこまでが見積もりの範囲内で、どこからが追加なのかが決まっていない場合です。デザイン案の修正回数、ページ追加の単価、仕様変更をどう合意するか。この3点が書かれていれば、追加費用をめぐる揉めごとの多くは防げます。

確認すること: デザイン修正の回数に上限があるか。上限を超えた場合の費用、ページ追加の単価が書かれているか。仕様変更は書面やメールで合意してから着手する、という手順になっているか。

条文の例: 「デザイン案の修正は2回までを本件業務に含む。これを超える修正および仕様の変更は、受託者が見積もりを提示し、委託者が書面または電磁的方法で承諾した後に着手する。」

修正回数の上限は、発注者にとっては窮屈に感じるかもしれません。ただ、上限と単価が書かれていれば、何回目から費用がかかるのかを自分で判断できます。上限が書かれていない契約のほうが、後から予想外の請求を受けやすいと考えたほうがよいでしょう。

6 検収

困る場面: 納品の連絡を受けたが忙しくて確認が遅れた。10日後に気になる点を伝えると、「検収期間を過ぎたので合格扱いです。ここからの変更は追加費用になります」と言われる。

検収とは、納品されたものが契約どおりかを発注者が確認し、合格かどうかを判断する手続きです。多くの契約書には、一定の期間内に発注者が不合格の通知をしなければ合格とみなす「みなし検収」の条項があります。これは受注者が代金をいつまでも受け取れない事態を防ぐための条項で、それ自体は不合理ではありません。発注者として気をつけたいのは、その期間が自社で実際に確認できる長さになっているかです。

確認すること: 検収期間は何日か(納品から5営業日のような短い設定になっていないか)。何を基準に合否を判断するのか(仕様書・デザインカンプとの一致など)。不合格のときに何回まで修正と再検収をするのか。

条文の例: 「委託者は、納品を受けた日から14日以内に、別紙仕様書に基づき検査を行い、合格または不合格を受託者に通知する。不合格の場合、受託者は相当期間内に修補し、再度納品する。」

検収は、公開前に「思っていたものと違う」を指摘できる最後の機会です。仕様書やデザインカンプが具体的であるほど、合否の判断で揉めにくくなります。なお、検収に合格した後でも、契約の内容に合わない不具合であれば、次の契約不適合責任の条項によって修補を求められる場合があります。見た目のずれを減らすために、発注前に完成に近い状態で確認しておく方法はホームページの「下見」とはで紹介しています。

7 契約不適合責任

困る場面: 公開して2か月後、スマートフォンの一部の機種でフォームが送信できないことに気づいた。検収は済んでいる。

契約不適合責任とは、納品されたものが種類や品質の面で契約の内容に合っていない場合に、発注者が修補(追完)、報酬の減額、損害賠償、契約の解除を求められる仕組みです。2020年4月1日に施行された改正民法で、「瑕疵担保責任」から名前と中身が変わりました。請負にも売買の規定が準用され(民法559条)、修補を求める権利(562条)や減額を求める権利(563条)が認められます。

期間についての民法の定めは、請負の場合、注文者が不適合を知った時から1年以内に請負人へ通知しなければ、これらの請求ができなくなるというものです(民法637条1項)。ただし、引渡しの時点で請負人が不適合を知っていたか、重大な過失で知らなかった場合は、この制限はかかりません(同条2項)。

多くの契約書は、この期間を「検収完了後3か月以内」「6か月以内」のように置き換えています。期間を短くすること自体は珍しくありませんが、発注者から見ると、その期間を過ぎて見つかった不具合は、原則として無償の修補を求められなくなるという意味です。

確認すること: 契約不適合責任の期間がいつから何か月か。対象が「契約内容に適合しない場合」と広く書かれているか、「重大な不具合に限る」などと狭められていないか。発注者が出した原稿や指示が原因の不具合をどう扱うか(民法636条は、注文者の指図によって生じた不適合については、原則として責任を問えないとしています)。

条文の例: 「本件ウェブサイトに契約の内容に適合しない点があった場合、委託者は、検収完了後6か月以内に通知することにより、受託者に対し無償での修補を求めることができる。」

8 著作権の譲渡

困る場面: 別の制作会社にリニューアルを頼んだら、「元のデザインを改変するには、前の制作会社の許可が必要かもしれません」と言われた。

ホームページのデザインや文章、写真、プログラムは著作物になりえます。著作権は作った側に生じます。制作会社の従業員が職務として作ったものは、著作権法15条の要件を満たせば制作会社が著作者になり、フリーランスが作ったものはその本人が著作者です。いずれにしても、代金を払っただけでは発注者に移りません。発注者のものにするには、契約書で譲渡を定める必要があります。

ここで注意したいのが著作権法61条2項です。著作権を譲渡する契約で、27条(翻訳権・翻案権など)と28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)の権利が譲渡の対象として特に書かれていないときは、これらの権利は譲渡した側に残っていると推定されます(e-Gov法令検索 著作権法)。27条の翻案権は、既存の著作物に手を加えて新しい著作物を作ることに関わる権利です。「著作権を譲渡する」とだけ書いた契約では、サイトを大きく作り変える場面でこの推定が問題になりえます。

確認すること: 著作権の譲渡が書かれているか。その中で「著作権法第27条および第28条に規定する権利を含む」と明記されているか。譲渡の時期(検収完了時か、代金の支払完了時か)。制作会社が共通で使っている部品やプログラムを譲渡の対象から外している場合、その部分を発注者が引き続き使えることが書かれているか。

条文の例: 「本件成果物に関する著作権(著作権法第27条および第28条に規定する権利を含む)は、委託者が本件業務の対価を支払った時に、受託者から委託者に移転する。ただし、受託者が従前から保有していた汎用的なプログラム等の著作権は受託者に留保し、受託者は委託者に対し、本件ウェブサイトの利用に必要な範囲でその利用を許諾する。」

後半のただし書きのように、制作会社が複数の案件で使い回す部品を譲渡の対象から外すのは、よくある書き方です。そのとき大事なのは、外された部分を発注者が使い続けられるかどうかです。利用許諾が書かれていれば、サイトを運用するうえで困ることはまずありません。

9 著作者人格権の不行使

困る場面: 著作権は譲り受けたはずなのに、自社でトップページのデザインを変えたら、制作者から「意に反する改変だ」と言われた。

著作権とは別に、著作者には著作者人格権があります。そのひとつが同一性保持権で、著作物を著作者の意に反して変更されない権利です(著作権法20条)。著作者人格権は著作者の一身に専属し、譲渡できません(同法59条)。つまり、著作権を譲り受けても、著作者人格権は制作者側に残ります。

そこで実務では、「受託者は委託者に対して著作者人格権を行使しない」という不行使の約束を契約書に入れて手当てするのが一般的です。ホームページは公開後に文章や写真を入れ替えながら使い続けるものなので、この一文がないと、改修のたびに気をつかうことになりかねません。

確認すること: 著作者人格権を行使しない旨の条項があるか。制作会社が外部のデザイナーやカメラマンに再委託している場合、その人たちにも行使させないことが書かれているか。

条文の例: 「受託者は、委託者および委託者が指定する第三者に対し、本件成果物について著作者人格権を行使せず、再委託先にも行使させない。」

10 素材・再委託・秘密保持

困る場面: 公開後、サイトに使われていた写真について、権利者から使用料の請求が届いた。

制作会社はサイトを作るときに、写真素材サイトの画像、フォント、外部のプログラムなど、第三者の権利がある素材を使うことがあります。素材ごとに商用利用の可否や使える範囲が決まっているため、誰がそれを確認し、問題が起きたときに誰が責任を持つのかを決めておく必要があります。

同じ段階で確認しておきたいのが再委託と秘密保持です。制作の一部が外部のフリーランスに再委託されること自体は珍しくありませんが、発注者の顧客情報や未公開の新商品の情報を扱う場合は、再委託先にも同じ秘密保持を守らせる必要があります。

確認すること: 使用する素材の権利処理を受託者が行い、第三者から請求があった場合に受託者が対応することが書かれているか。有料素材のライセンスが発注者名義か、制作会社名義か(名義によっては、制作会社との契約が終わると使えなくなる素材もあります)。再委託の可否と、再委託先への秘密保持義務。

条文の例: 「受託者は、本件成果物に第三者の権利を侵害する素材が含まれないことを保証する。第三者から権利侵害の申立てがあった場合、受託者は自己の責任と費用でこれを解決する。受託者は、委託者の事前の承諾を得た場合に限り本件業務を再委託でき、再委託先に本契約と同等の秘密保持義務を負わせる。」

11 途中解約と精算

困る場面: 制作の途中で事業計画が変わり、サイトが不要になった。解約を申し出ると、契約金額の全額を請求された。

請負では、仕事が完成する前なら、発注者はいつでも損害を賠償して契約を解除できます(民法641条)。発注者だけに認められた解除の権利で、理由は問われません。そのかわり、制作者に生じた損害は賠償する必要があります。

途中までの成果をどう精算するかについては、民法634条に定めがあります。請負が仕事の完成前に解除された場合でも、それまでの仕事の結果のうち分けられる部分によって発注者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、制作者は発注者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求できます。たとえばデザインが確定してトップページまで仕上がっていて、それを発注者が別の会社で使うなら、その分の報酬は払う、という考え方です。

これらは民法の原則で、契約書で別の定めを置くこともできます。「発注者の都合で解約する場合、残額の全額を支払う」「着手金は返金しない」と書かれていれば、その条項が問題になります。

確認すること: 発注者から途中で解約できるか。解約時の精算方法が、進み具合に応じた金額になっているか、それとも一律に全額か。月額払いや長期契約の場合、中途解約の違約金はいくらか。解約した場合に、途中までの成果物(デザインデータなど)を受け取れるか。

条文の例: 「委託者は、本件ウェブサイトの完成前であれば、受託者に書面で通知して本契約を解約できる。この場合、委託者は、解約時までに受託者が履行した業務の割合に応じた報酬および受託者が支出した費用を支払い、受託者はそれまでの成果物を委託者に引き渡す。」

12 損害賠償と紛争解決

困る場面: サイトの不具合で予約受付が1週間止まり、売上に影響が出た。損害を請求しようとしたら、「賠償の上限は受け取った制作費まで」と書かれていた。

多くの契約書は、損害賠償の範囲や金額に上限を設けています。制作費に比べて損害が大きくなりうる仕事なので、上限そのものは珍しくありません。発注者が確認しておきたいのは、上限の金額と、上限が適用されない場合(故意や重大な過失によるものなど)が書かれているかです。

あわせて、揉めたときにどこの裁判所で争うか(合意管轄)も契約書で決めます。制作会社の所在地の裁判所が指定されていると、遠方の場合は時間と費用の負担が大きくなります。

確認すること: 損害賠償の上限額と、その上限が故意・重大な過失の場合にも適用されるのか。合意管轄の裁判所がどこか。

条文の例: 「本契約に関して一方当事者が相手方に対して負う損害賠償の額は、本件業務の対価の額を上限とする。ただし、故意または重大な過失による場合はこの限りでない。」

仕様のずれは、契約の前に完成形を見てつぶす

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保守契約は制作と分けて結ぶ

保守契約とは、サイトの公開後に、サーバーやCMSの管理、軽微な更新、障害時の対応などを一定期間続けて頼む契約です。作業そのものを約束する準委任に当たることが多く、完成を約束する制作とは性質が違います。

制作と保守を1つの契約にまとめると、「保守をやめたいが、制作契約と一体なので解約の扱いがはっきりしない」「保守料金に制作費の分割分が含まれていて、途中でやめると残額を一括で請求される」といったことが起こりえます。制作は制作、保守は保守として契約を分けておくと、保守の内容や相手を見直したいときに動きやすくなります。

準委任は、民法上は各当事者がいつでも解除できます(民法651条1項)。ただし、相手方に不利な時期に解除した場合などは、やむを得ない事由がない限り損害を賠償する必要があります(同条2項)。実際の保守契約では「1か月前までに通知すれば解約できる」のように解約予告の期間を決めていることが多いので、その期間と自動更新の有無を確認しておきます。

保守契約で確認したいのは次の点です。

項目確認すること
作業範囲月に何回・何時間までの更新が含まれるか。範囲外の作業の単価
対応時間障害時に連絡がつく時間帯と、復旧までの目安
契約期間と更新最低契約期間、自動更新の有無、解約予告の期間
解約時の引継ぎサーバー・ドメイン・データの引渡し方法と費用
料金の改定料金を変更するときの通知期間

保守費用の相場や内訳はホームページ維持費の月額相場で詳しく解説しています。

フリーランスに頼むなら、発注者にも法律上の義務がある

フリーランスのWebデザイナーやエンジニアにホームページ制作を頼む場合、発注者側にも法律上の義務がかかります。2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法、以下フリーランス法)です(公正取引委員会 フリーランス法特設サイト)。

対象になるのは、従業員を使用しない個人や、代表者1人だけで他の役員も従業員もいない法人に、事業のために業務を委託する場合です(同法2条)。ホームページの制作は、同法の「情報成果物の作成」の委託に当たります。自社の宣伝のためのサイトでも、法人が自身の事業の用に供するために行う委託は「事業のため」の委託に当たるとされているので対象になります(公正取引委員会 フリーランス法Q&A Q21)。

従業員がいない発注者にも、条件を明示する義務がある

フリーランス法3条は、フリーランスに業務を委託した発注者に対し、直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面または電磁的方法で明示するよう求めています(e-Gov法令検索 フリーランス法)。公正取引委員会のQ&Aは、従業員を使用していない発注事業者であっても、この明示を行う必要があるとしています(公正取引委員会 フリーランス法Q&A Q9)。

同じQ&Aが挙げる明示事項は次の8つです(Q35)。

  1. 発注者とフリーランスの名称
  2. 業務委託をした日
  3. 給付・役務の内容
  4. 給付・役務提供の期日
  5. 給付・役務提供の場所
  6. 報酬の額と支払期日
  7. 検査をする場合は、検査を完了する日
  8. 現金以外の方法で支払う場合は、支払方法に関すること

公正取引委員会のパンフレットは、電磁的方法の例として電子メールやSNSのメッセージを挙げています(公正取引委員会 フリーランス法パンフレット)。そのため、立派な契約書を作らなければ違反になる、というものではありません。ただ、上の12条項のうち「業務範囲と仕様」「スケジュール」「報酬と支払条件」「検収」は、そのまま明示事項と重なります。契約書を作っておけば、明示義務を果たすことにもなります。

従業員がいる発注者は、60日以内の支払と禁止行為に注意

従業員を使用している個人事業主や、役員が2人以上いるか従業員を使用している法人(特定業務委託事業者)には、さらに義務が加わります。報酬の支払期日は、検査をするかどうかにかかわらず、給付を受領した日から60日以内で、できる限り短い期間内に定めなければなりません(フリーランス法4条1項)。

また、1か月以上の期間の業務委託(施行令1条)では、フリーランス側に責任がないのに受領を拒んだり報酬を減らしたりすることや、フリーランスに責任がないのに給付の内容を変更させたり、受領した後にやり直させたりして、フリーランスの利益を不当に害することが禁止されています(同法5条)。

ホームページ制作でいえば、仕様書どおりに納品されたのに「やっぱりイメージと違う」と無償でのやり直しを求めることが、この禁止行為に当たりうるということです。反対に、公正取引委員会のQ&Aは、受領前に確認した給付の内容が3条通知に書いた「給付の内容」と合わない場合に、費用を負担せずに変更させることは問題にならないとしています(Q82)。つまり、どこまでが正当な修正依頼かを分けるのは、最初に明示した「給付の内容」です。発注者のイメージは言葉だけではなかなか正確に伝わらないので、仕様書やデザインカンプで完成形を具体的にしておくことが、トラブル防止だけでなく法律上の義務を守るうえでも役に立ちます。

著作権の扱いにも注意が必要です。同じQ&Aは、成果物の権利の譲渡や利用許諾を受けたい場合は、業務委託の際に「給付の内容」の一部として譲渡・許諾の範囲を明確に書き、その対価を報酬に加える必要があるとしています。権利の対価をフリーランスと協議せずに一方的に低く定めれば、買いたたきとして問題になるおそれがあるとも述べています(Q81)。8番の著作権譲渡の条項は、フリーランスに頼む場合、報酬の金額と一緒に決めるものだと考えておくとよいでしょう。

取適法(旧下請法)は、自社サイトの発注なら通常は対象外

下請代金支払遅延等防止法は改正され、2026年1月1日から「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(取適法)として施行されています(e-Gov法令検索 取適法)。同法の「情報成果物作成委託」は、事業者が業として提供したり業として作成を請け負ったりする情報成果物の作成を委託する場合と、自社で使う情報成果物の作成を業として行っている事業者がその作成を委託する場合に限られています(同法2条3項)。

そのため、飲食店や工務店が自社のホームページを制作会社に頼むだけなら、通常は取適法の情報成果物作成委託には当たりません。一方、制作会社が受注した案件の一部を外部に再委託する場合は、資本金や従業員数の基準を満たせば対象になりえます。フリーランス法は取引の相手がフリーランスかどうかで決まり、取適法は委託の内容と両者の規模で決まる、と整理しておくと混乱しにくくなります。

印紙税と電子契約

紙の契約書で結ぶ場合、印紙税がかかることがあります。ホームページの制作のように仕事の完成を約束する契約は、一般に印紙税法の「請負に関する契約書」(第2号文書)に当たり、税額は記載された契約金額で決まります(国税庁 No.7102 請負に関する契約書、令和8年4月1日現在)。

ただし、この記事の8番で勧めた著作権の譲渡を同じ契約書に書くと、扱いが変わることがあります。印紙税法は著作権を「無体財産権」に含めており、その譲渡に関する契約書は第1号の1文書に当たります(国税庁 質疑応答事例「無体財産権の範囲」)。第1号と第2号の両方に当たる文書は原則として第1号文書として扱われ、例外は、それぞれの契約金額を区分して書いてあり、かつ第2号(請負)の金額のほうが大きい場合です(国税庁 質疑応答事例「2以上の号に該当する文書の所属の決定」)。第1号文書の税額は第2号文書と刻みが違い、小さい金額帯では高くなります(国税庁 No.7101)。

契約金額(記載金額)第2号文書(請負)第1号文書(著作権の譲渡など)
1万円未満非課税非課税
1万円以上10万円以下200円200円
10万円を超え50万円以下200円400円
50万円を超え100万円以下200円1,000円
100万円を超え200万円以下400円2,000円
200万円を超え300万円以下1,000円2,000円
300万円を超え500万円以下2,000円2,000円
500万円を超え1,000万円以下1万円1万円
契約金額の記載のないもの200円200円

たとえば契約金額60万円の制作契約書は、請負だけなら200円ですが、著作権の譲渡を含めて第1号文書に当たると1,000円になります。どちらに当たるかは契約書の書き方で変わるので、紙で結ぶ場合は所轄の税務署に確認すると確実です。

一方、電子契約サービスやPDFに電子署名をしてメールで送る形なら、印紙税はかかりません。国税庁は、請負契約の注文請書を電磁的記録にしてメールで送信した事例について、印紙税の課税対象は課税物件表に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれないため課税されない、と回答しています(国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」)。

なお、事業者どうしで保守を継続して頼む基本契約は、契約期間や更新の定め、契約金額の記載の有無によっては第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」(1通4,000円)に当たることがあります(国税庁 No.7104)。

依頼先タイプ別:契約書で見る場所が違う

同じホームページ制作でも、依頼先によって契約の形と、発注者が見るべき場所は変わります。

依頼先契約の形特に見る場所
制作会社制作会社のひな形を使った個別契約書著作権の譲渡範囲、納品物とドメインの名義、みなし検収の期間、保守契約との切り分け
フリーランス個別の契約書、または発注書とメール発注者側の明示義務(フリーランス法3条)、再委託の有無、連絡が取れなくなったときの成果物の扱い
テンプレート型・SaaS型サービス申込み時に同意する利用規約権利の帰属、解約後にサイトとデータがどうなるか、料金改定の条件

制作会社とフリーランスの場合は、ひな形を受け取ったら、この記事の12条項に沿って読み、足りない条項や発注者に不利な条項があれば、署名前に修正を相談します。契約書の修正を嫌がる相手かどうかも、依頼先を見極める材料になります。

テンプレート型やSaaS型のサービスでは、利用規約を変えてもらうことは基本的にできないので、申込み前に読んで判断します。例として、当サイトのシタミの利用規約では、次のように定めています(シタミ 利用規約)。

  • 生成したサイトの権利は、利用料金の支払完了をもって利用者に移転する。ただし、テンプレートエンジンなどの共通基盤部分は除く(第6条)
  • プレビューを作ったまま購入せず、生成日から90日が過ぎた場合、その生成サイトの権利はシタミ側に帰属する(第6条)
  • 利用者がアップロードした画像や文章の著作権は、利用者に帰属したまま(第6条)
  • サブスクリプションはダッシュボードからいつでも解約でき、請求期間の末日までは利用できる。その後、生成サイトの公開は停止され、ホスティングに関連するデータは削除される。アップロードした画像や文章は解約後30日間保持したうえで削除される(第5条)

このように、解約するとサイトの公開が止まるという条件は、サービス型ならではの注意点です。解約後もサイトを使い続けたいのか、別の方法に移る予定があるのかによって、選ぶべき依頼先は変わります。どの形でも、「解約したら、サイトとデータはどうなるか」を申込み前に確かめておくことが、12条項のうちの2番と11番に当たる確認になります。

電話や訪問で勧められた契約も、原則としてクーリング・オフできない

「今なら初期費用ゼロでホームページを作れます」といった電話や訪問の勧誘で、長期の月額契約やリース契約を結ぶケースがあります。ここで知っておきたいのは、事業のために結んだ契約には、特定商取引法のクーリング・オフが原則として使えないことです。同法26条1項1号は、営業のために、または営業として締結する契約を、訪問販売などの規定の適用除外としています(e-Gov法令検索 特定商取引法)。

個人事業主が自分の店のホームページについて契約する場合も、通常は事業のための契約として扱われます。つまり、署名した後に「やっぱりやめたい」と思っても、消費者として契約した場合のように無条件で解除することは期待できません。勧誘を受けたときは、その場で署名せず、契約期間、総額、中途解約の違約金、サイトとドメインの名義を書面で確認してから判断してください。契約してしまった後で困ったときは、消費者ホットライン「188」で近くの消費生活相談窓口を案内してもらえます(消費者庁 消費者ホットライン)。

署名前のチェックリスト

契約書を受け取ったら、署名する前に次の表で確認してください。「不明」が残った項目は、制作者に質問して、回答を書面かメールで残しておきます。

#確認項目チェックの目安
1業務範囲と仕様ページ構成・機能・対応環境が別紙まで含めて具体的に書かれている
2納品物と名義ソースコード・データ・管理者権限が納品物に入り、ドメインは自社名義
3スケジュールと発注者の協力自社が原稿・写真を出す期限が現実的で、遅れたときの扱いが分かる
4報酬と支払条件支払時期が検収後か。前払いの返金条件と、月額なら総額が分かる
5仕様変更と追加費用修正回数の上限と超過時の単価、変更は書面で合意する手順
6検収検収期間が自社で確認できる長さで、合否の基準が仕様書になっている
7契約不適合責任無償で直してもらえる期間と対象が分かる
8著作権の譲渡27条・28条の権利を含めて譲渡され、移転の時期が分かる
9著作者人格権の不行使不行使の条項があり、再委託先にも及ぶ
10素材・再委託・秘密保持素材の権利処理の責任者、ライセンスの名義、再委託先の秘密保持
11途中解約と精算完成前に解約でき、精算が進み具合に応じた金額になっている
12損害賠償と紛争解決上限額と例外、合意管轄の裁判所
別保守契約制作と別契約で、解約予告の期間と引継ぎの方法が書かれている

契約書の条文だけで判断がつかないときや、取引金額が大きいときは、弁護士などの専門家に確認してもらうのが安全です。この記事は一般的な考え方を整理したもので、個別の契約についての法的な助言ではありません。

よくある質問(FAQ)

ホームページ制作の契約書のひな形はありますか?
契約書サービスや法律事務所、制作会社などがひな形を公開しています。ただし多くは受注する側が作ったもので、代金の回収や修正回数の制限など、受注者を守る条項が中心です。発注者がひな形を使う場合も、制作会社から受け取った場合も、業務範囲と仕様、納品物と名義、検収、著作権の譲渡、途中解約の5点は、自社に不利になっていないかを必ず確認してください。
契約書を自分で作っても大丈夫ですか?手書きでもよいですか?
契約書は自分で作ることができ、手書きでも、当事者が合意した内容が書かれていれば契約書として扱われます。大切なのは形式より中身で、何を作るか、いくらで、いつまでに、権利と責任をどちらが持つかが書かれていることです。フリーランスに頼む場合は、フリーランス法3条により取引条件を書面または電磁的方法で明示する義務があり、メールでの明示も認められています。
契約書なしでホームページ制作を発注しても問題ありませんか?
口頭やメールのやり取りでも契約は成立しますが、何を約束したのかがまとまった形で残らないため、完成したものが思っていたものと違う、追加費用を請求された、データを渡してもらえないといった場面で、自分の主張を裏付けにくくなります。少なくとも見積書と仕様、納期、支払条件、著作権の扱いはメールなどで合意を残しておくことをおすすめします。
制作費を払えば、ホームページの著作権は自社のものになりますか?
自動的にはなりません。著作権は作った側に生じるため、発注者のものにするには契約書で譲渡を定める必要があります。その際、著作権法61条2項により、27条と28条の権利を譲渡の対象として特に書いていないと、これらの権利は譲渡した側に残っていると推定されます。あわせて、譲渡できない著作者人格権について、行使しない旨の条項を入れておくのが一般的です。
ホームページ制作の契約書に収入印紙は必要ですか?
紙の契約書で、仕事の完成を約束する請負の内容だけであれば、一般に印紙税法の第2号文書に当たり、契約金額が1万円以上100万円以下なら200円です。著作権の譲渡も書いた契約書は第1号文書として扱われることがあり、その場合は金額帯によっては税額が上がります。電子契約サービスやPDFに電子署名してメールで送る形で契約した場合は、国税庁の見解により印紙税はかかりません。
制作の途中でキャンセルできますか?
請負契約では、仕事が完成する前であれば、発注者はいつでも損害を賠償して契約を解除できます(民法641条)。途中までの成果で発注者が利益を受ける部分があれば、その割合に応じて報酬を払うことになります(民法634条)。ただし契約書で別の定めを置いていることがあるので、解約時の精算方法を署名前に確認しておくことが大切です。
保守契約は制作と一緒に結ぶべきですか?
別々に結ぶことをおすすめします。制作は完成を約束する請負、保守は作業を続ける準委任であることが多く、性質が違うためです。1つの契約にまとめると、保守だけやめたいときの扱いがあいまいになったり、保守料金に制作費の分割分が含まれていて途中解約で残額を請求されたりすることがあります。保守契約では、作業範囲、解約予告の期間、解約時のデータ引継ぎを確認してください。

まとめ

ホームページ制作の契約書は、見積もりの金額よりも、公開後に何ができるかを決める書類です。発注者として最低限押さえておきたいのは、次の3つの行動です。

  1. 署名前に12条項をチェックする。特に業務範囲と仕様、納品物と名義、検収、著作権の譲渡(27条・28条の特掲と人格権の不行使)、途中解約の5つは、署名した後に変えてもらうのが難しくなります
  2. 制作と保守は契約を分ける。保守だけを見直したいときに身動きが取りやすくなります
  3. 完成形を具体的にしてから契約する。仕様書やデザインカンプが具体的なほど、検収や追加費用で揉めにくくなり、フリーランスに頼む場合の禁止行為の心配も減ります

12条項のうち1番・5番・6番は、どれも「思っていたものと違う」という仕様のずれをめぐる条項です。発注する前に完成に近い形を見て、言葉では伝わりにくいイメージのずれをつぶしておくと、契約書の条文が問題になる場面そのものが減ります。依頼先を比べる段階から見直したい方は制作会社選びの7基準と法的チェックリスト、リニューアルで契約を結び直す方はホームページリニューアルの進め方もあわせてご覧ください。

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