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設計事務所のホームページ制作ガイド|建築士法の表示ルール・デザインの型・設計料【2026年版】

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設計事務所のホームページ制作ガイド|建築士法の表示ルール・デザインの型・設計料【2026年版】

記事についての開示: この記事はシタミ編集部が作成しています。記事内に自社サービス「シタミ」の紹介を含みます。建築士法・同法施行規則・業務報酬基準(令和6年国土交通省告示第8号)・建築基準法および建築物省エネ法の改正に関する記述は、2026年8月時点のe-Gov法令検索の条文本体と国土交通省の公表資料に基づいていますが、法的助言ではありません。個別の判断は必ず登録先の都道府県の建築士事務所登録担当窓口、または所属する建築士事務所協会へご確認ください。

設計事務所のホームページとは、作品を見せる場所であると同時に、建築士事務所という登録制の事業者が、自分の資格と体制と責任範囲を対外的に示す場所です。一般的な会社のサイトと違うのは、事務所そのものに建築士法上の登録・掲示・閲覧・説明の義務が課されており、サイトに何を書くかがその義務と隣り合っているところにあります。

この記事は、設計を依頼したい人向けではなく、建築士事務所を運営している方、これから開設する方が、自分の事務所のサイトを作る/作り直すための実務ガイドです。

「設計事務所 ホームページ」で検索して出てくるのは、ほとんどが「おしゃれな設計事務所のホームページ○選」というデザイン事例集です。2026年8月時点で1〜2ページ目の自然検索19件を数えたところ、デザイン事例ギャラリーが10件、設計事務所自身のサイトが5件、残る4件はテンプレート販売と制作会社の実績紹介でした。見た目の参考にはなります。

ただし、調べた範囲では上位10件のいずれも、建築士法が事務所に課している表示のルール、ホームページに載せてよい情報とホームページでは代替できない義務、そして設計料をどう書くかには触れていません。制作費用の実額も、事例集4件・制作会社の準ガイド1件のいずれにも記載がありませんでした。この記事はその空白を、条文と告示にあたって埋めます。

この記事でわかること

  • 参考サイトは5つの型に整理できる。どれを選ぶかは受注経路で決まる
  • 必須コンテンツは10項目。なかでも「対応できる建物の規模」を資格で示す欄が問い合わせの質を最も変える
  • 標識の掲示(建築士法第24条の5)と書類の閲覧(同第24条の6)は、条文が義務の場所を「その建築士事務所において」「当該建築士事務所に備え置き」と特定しており、ホームページに載せてもこの義務を果たしたことにはならない。ただし載せてはいけないわけではなく、信頼獲得としては効く
  • 逆に、登録番号・管理建築士・所属建築士の資格は、法が求めていなくても置く価値がある
  • 2026年7月31日に建築士法の改正が公布された(令和8年法律第74号)。書面による契約義務から「延べ面積300平方メートル超」という要件が外れ、見積書の作成が努力義務になる。施行は公布から1年以内の政令で定める日で、2026年8月末時点ではまだ施行されていない
  • 設計料は令和6年国土交通省告示第8号が基準。ただし国土交通省のガイドライン自身が「独自の基準に基づき報酬の算定を行うことは可能」と書いている
  • 作り方は5手段。5年総額では8万円から390万円程度まで開く
  • 2025年4月の建築基準法・建築物省エネ法の改正で木造2階建ての確認申請の前提が変わった。相談の入口としてサイトに受け皿を作れる

建設業のサイトとは別物です|3記事の役割分担

はじめに、隣接する2つのテーマとの線引きをしておきます。

テーマ主語扱う論点記事
建設業施工者(元請・下請)建設業許可、許可票、29業種、経営事項審査、下請取引の表示建設業のホームページ制作
工務店新築を請け負う地域ビルダー施工事例ページの作り込み、完成見学会、地域SEO、ビフォーアフター写真工務店のホームページ制作
設計事務所(本記事)設計・工事監理の受託者建築士事務所の登録、管理建築士、標識と閲覧、重要事項説明、業務報酬基準この記事

施工も自社で行う設計施工の事務所は上の2本も併せてどうぞ。本記事は設計と工事監理を受託する立場に固有の話だけを扱います。

設計事務所のホームページでよく見る5つの型|先に自分の型を決める

参考サイトを何十件見ても決められないのは、事例集が「見た目」で並んでいるからです。実際にはどこから仕事が来ているかで型が決まります。

①作品主導型|作品集がそのままサイト

大きな竣工写真が続き、プロジェクト一覧が主役になる型です。指名で選ばれることを狙う事務所、設計競技や媒体掲載で認知が広がる事務所に向きます。文章量は少なく、写真の質がそのまま評価になります。反面、写真が揃うまでサイトが成立しないため、独立直後の事務所には向きません。

②住宅相談型|施主の不安に答える窓口

注文住宅・リノベーションの個人施主を相手にする型です。作品も見せますが、比重は「進め方」「費用の考え方」「相談から着工までの流れ」に置きます。施主は設計事務所に頼むこと自体に不安があるため、設計料の考え方と、工務店に直接頼む場合との違いを言語化しているかで問い合わせ数が変わります。

③非住宅・BtoB型|与信と体制を見せる

医療・福祉・店舗・工場・共同住宅など、法人や事業者からの受託を主とする型です。相手は「この規模を任せて大丈夫か」を見ています。作品より、用途別の実績、有資格者の体制、対応できる面積と構造、工事監理の進め方が主役です。会社概要が最も読まれるのはこの型です。

④専門特化型|構造・設備・省エネ・確認申請

構造設計、設備設計、省エネ計算、確認申請の代理など、特定業務を他の設計事務所や工務店から受託する型です。読み手が同業のプロなので、写真より受託できる業務の範囲・対応ソフト・納期・体制を書いたほうが刺さります。サイトは小さくてよく、実質的にBtoBの営業資料です。

⑤組織設計型|採用と社会的信用が主目的

一定規模以上の組織設計事務所の型です。新規受注より、採用と社会的信用の担保が主目的になります。ニュースリリース、社員紹介、募集要項の比重が上がります。

型の選び方早見表

型主な受注経路ページ数の目安更新頻度写真の重要度
①作品主導型指名・紹介・媒体掲載10〜30竣工ごと最高
②住宅相談型検索・紹介8〜15月1回程度高
③非住宅・BtoB型紹介・指名・入札8〜20四半期中
④専門特化型同業からの外注3〜8低低
⑤組織設計型指名・入札・採用30〜週次中

複数を兼ねることはできますが、トップページで主張する型はひとつに絞ってください。ファーストビューで「作品」と「無料相談」と「協力事務所募集」を同時に出すと、どれも伝わらなくなります。国土交通省の集計では、令和6年4月1日時点の一級建築士事務所69,978件のうち27,007件(38.6%)が個人の事務所です(建築士登録状況)。事例集に並ぶ組織設計事務所のサイトは、多くの読者にとって参考にはなっても手本にはなりません。

設計事務所のホームページに載せる10の必須コンテンツ

型が決まったら、載せる情報を決めます。どの型でも共通して必要なのは次の10項目です。

#コンテンツなぜ必要か手を抜くと起きること
1事務所の登録区分と登録番号登録された事務所かどうかが最初の与信「本当に登録している事務所か」を調べられる
2管理建築士と所属建築士の資格対応できる規模がここで決まる受託できない規模の相談が届く
3対応業務の範囲設計だけか、監理・申請代理・調査まで含むか見積り段階で認識がずれる
4対応エリア監理で現場に通える範囲は物理的に有限遠方からの相談に毎回断りの返信をする
5プロジェクト(作品)一覧実力の証明判断材料がなく比較の土俵に乗らない
6設計の進め方と期間施主・事業主の最大の不安は「いつ何が起きるか」「まず会って説明」でしか答えられず離脱する
7設計料の考え方相場が分からず問い合わせをためらう層が最も厚い価格帯の合わない相談ばかり届く
8事務所と代表者の紹介設計は人に頼む仕事誰に頼むのか分からない
9問い合わせ手段と受付内容相談の入口無料相談の範囲がずれる
10個人情報の取扱いフォームで氏名・連絡先・住所を取得するため利用目的を示さないまま個人情報を集めてしまう

10番目について補足します。フォームで氏名や連絡先を取得して顧客管理に使う時点で、個人情報保護法上の個人情報取扱事業者としての義務が生じます。利用目的・管理方法・問い合わせ窓口を記したページを併せて用意してください(プライバシーポリシーの書き方とテンプレート)。

作品写真は「竣工写真」だけでは足りない

事例集には竣工写真ばかりが並びますが、問い合わせにつながるのは竣工写真・図面・プロセスの3点セットです。施主が知りたいのは「自分の敷地と予算でも同じことができるか」で、それに答えるのは平面図と断面図、そして与条件(敷地面積・延べ面積・構造・階数・竣工年)です。

掲載前に整理しておくのは次の3点です。

  • 写真の著作権は撮影者にあります。 建築写真家に依頼した場合は、ウェブ掲載・SNS転載・第三者提供の可否を契約で確認します。竣工時に許諾を取ったつもりでも、範囲がウェブに及んでいないことがあります
  • 建築物の著作者人格権は設計者にあります。 自分が設計した建物が他社サイトに無断で使われた場合の申し入れ根拠にもなります
  • 施主の同意は書面で取ります。 住宅では、外観・内観・所在地のどこまで公開してよいかが施主ごとに違います。所在地は「◯◯県◯◯市」までにとどめる運用が一般的です

施工事例ページ自体の作り込み方は工務店のホームページ制作で扱っています。設計事務所は事例数より1件あたりの情報の密度を優先してください。

「対応できる規模」は資格で決まる。だからサイトに書く

建築士法は、建物の用途・構造・規模ごとに設計と工事監理を行える資格を定めています。書いておくと、受託できない相談が減り、受託できる相談が増えます。

区分対象となる建築物(新築の場合)根拠
一級建築士でなければできない学校・病院・劇場・映画館・観覧場・公会堂・集会場・百貨店で延べ面積500平方メートル超/木造で高さ16メートル超または地階を除く階数4以上/鉄筋コンクリート造・鉄骨造などで延べ面積300平方メートル超、高さ16メートル超、または地階を除く階数4以上/延べ面積1,000平方メートル超かつ階数2以上建築士法第3条第1項
一級または二級建築士でなければできない鉄筋コンクリート造などで延べ面積30平方メートル超/延べ面積100平方メートル(木造は300平方メートル)超、または階数3以上同法第3条の2第1項
一級・二級・木造建築士でなければできない上記以外の木造で延べ面積100平方メートル超同法第3条の3第1項

増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替は、その部分を新築とみなして同じ規定が適用されます(同法第3条第2項ほか)。また第3条の2第3項により、都道府県は条例で区域や用途を限って延べ面積の基準を別に定めることができるため、自分の登録先の条例を一度確認してから記載してください。

構造設計一級建築士・設備設計一級建築士を持っているなら必ず書いてください。中央指定登録機関である日本建築士会連合会の集計では、令和7年4月1日現在の一級建築士383,923名に対して構造設計一級建築士は10,410名(2.7%)、設備設計一級建築士は6,140名(1.6%)です(建築士登録状況)。「一級建築士」は差別化になりませんが、この2つは上位数パーセントの資格です。持っているのに書いていない事務所が少なくありません。

【重要】建築士法がホームページに求めること・求めないこと

ここが本記事の中心です。建築士事務所には建築士法上の義務がいくつもありますが、そのほとんどはホームページとは別の場所で果たすものです。載せれば義務を果たしたことになると誤解したまま作ると、義務は未履行のまま残ります。

大前提|報酬を得て設計等を業として行うには事務所登録が要る

建築士法第23条第1項は、報酬を得て「設計等」を業として行うには、建築士事務所を定めて都道府県知事の登録を受けなければならないと定めています。ここでいう「設計等」とは、設計・工事監理・建築工事契約に関する事務・建築工事の指導監督・建築物に関する調査もしくは鑑定・法令や条例に基づく手続の代理の6つです。登録の有効期間は5年(同条第2項)、続けるなら更新の登録が必要です(同条第3項)。

登録を受けずに設計等を業として行うことは第23条の10で禁じられ、違反すると1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります(第37条第9号)。法人には両罰規定もあります(第42条)。つまり、建築士の資格を持っているだけでは、報酬を得て設計を請け負うサイトを公開してよいことにはなりません。順序は「事務所登録 → サイト公開」です。

そして事務所ごとに、専任の管理建築士を置かなければなりません(第24条第1項。違反は第37条第10号で1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)。管理建築士になれるのは、建築士として3年以上、国土交通省令で定める業務に従事したうえで、登録講習機関の管理建築士講習を修了した建築士です(同条第2項)。省令で定める業務は前段の「設計等」と同じ6つで、それぞれの従事期間は通算できます(建築士法施行規則第20条の4)。

義務 × 根拠条文 × 置き場所 × ホームページで代替できるか

主な義務を4列で整理します。4列目が核です。

義務根拠条文どこで果たすかホームページ掲載で果たせるか
建築士事務所の登録第23条都道府県知事への登録申請✕ 手続きそのもの
管理建築士の設置第24条第1項事務所に専任で置く✕ 人の配置
標識の掲示第24条の5、施行規則第22条その建築士事務所の公衆の見やすい場所に第七号書式の標識を掲げる✕ サイトに画像を貼っても掲示にはならない
書類の閲覧第24条の6、施行規則第22条の2当該建築士事務所に備え置き、委託しようとする者の求めに応じ閲覧させる✕ サイト公開はこの義務の履行にならない
設計等の業務に関する報告書の提出第23条の6事業年度経過後3月以内に都道府県知事へ提出✕ 行政への提出
変更の届出第23条の5都道府県知事へ届出(事項により2週間以内/3月以内)✕ 行政への届出
重要事項の説明第24条の7契約前に管理建築士等が書面を交付して対面等で説明✕ 契約前の個別説明
契約時の書面交付第24条の8、第22条の3の3委託者へ書面を交付/相互に交付✕ 契約当事者間の書面
帳簿の備付けと図書の保存第24条の4、施行規則第21条事務所で保存(帳簿は閉鎖後15年、図書は作成後15年)✕ 保存義務
定期講習の受講第22条の2登録講習機関の講習を受ける✕ 受講
損害賠償の措置第24条の9保険契約の締結その他の措置(努力義務)— 掲載義務はない(講じた内容は閲覧書類の対象)

ホームページ掲載が義務になっている項目は、建築士法には存在しません。 介護事業者の運営規程等のウェブ掲載義務や、金融商品販売業者等に課される勧誘方針の公表義務のように、掲載・公表そのものを求める制度とはそこが違います。

標識は「事務所に」掲げるもの

建築士法第24条の5は「建築士事務所の開設者は、その建築士事務所において、公衆の見やすい場所に国土交通省令で定める標識を掲げなければならない」と定めています。様式は施行規則第22条により第七号書式です。掲げなかった場合は30万円以下の罰金の対象になります(第40条第13号)。

条文が場所を「その建築士事務所において」と特定している以上、ホームページに標識の画像を掲載しても、この義務を果たしたことにはなりません。事務所の入口や受付に物理的に掲げる必要があります。

書類の閲覧も同じ。ただし「載せてはいけない」わけではない

第24条の6は、次の書類を当該建築士事務所に備え置き、設計等を委託しようとする者の求めに応じ閲覧させることを求めています。

  1. 当該建築士事務所の業務の実績を記載した書類
  2. 当該建築士事務所に属する建築士の氏名および業務の実績を記載した書類
  3. 損害賠償のための保険契約の締結その他の措置を講じている場合はその内容を記載した書類
  4. その他、施行規則第22条の2第1項が定める書類(事務所の名称・所在地・開設者名・事務所の区分・登録番号と登録の有効期間、所属建築士の氏名・資格の別・登録番号・直近の定期講習受講年月日・管理建築士である旨、構造設計一級建築士証/設備設計一級建築士証の交付番号など)

このうち1・2・4は第七号の二書式により事業年度ごとに当該事業年度経過後3月以内に作成し、備え置いた日から3年を経過する日まで事務所に置きます(施行規則第22条の2第2項・第5項)。3の保険関係は措置を講じたとき遅滞なく作成し、事務所ごとに備え置きます(同条第3項)。

備置きは電磁的記録でも構いませんが、同条第4項は電磁的記録での代替を「必要に応じ当該建築士事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるとき」という条件付きで認めており、第5項も「当該建築士事務所に備え置く」ことを求めています。法第24条の6の本文自体が「当該建築士事務所に備え置き」と場所を特定している以上、サイトでPDFを公開しても閲覧義務を履行したことにはなりません(違反は30万円以下の罰金・第40条第14号)。

一方で、この内容をホームページに載せてはいけないという規定もありません。第24条の6の書類は「委託しようとする者が事務所を選ぶために見るもの」なので、中身はそのまま、サイトの会社概要に置いて最も効く情報です。義務の履行と信頼の獲得は、別の話として設計してください。

法が求めていなくても、サイトに置くと効く5項目

置く価値が高いのは次の5項目です。いずれも閲覧書類や登録簿の記載事項と重なるため、新しく作文する必要がありません。

  1. 事務所の区分と登録番号(例: ◯◯県知事登録 第◯◯◯◯号)と登録の有効期間。都道府県知事は登録簿と設計等の業務に関する報告書を一般の閲覧に供しており(第23条の9)、元から公開情報です
  2. 管理建築士の氏名と資格の別。3年以上の実務と講習修了の要件を満たした人が事務所を管理している事実が、そのまま体制の説明になります
  3. 所属建築士の氏名・資格の別・登録番号。人数が実質的な受託キャパシティを示します
  4. 構造設計一級建築士・設備設計一級建築士の有無
  5. 賠償責任保険の加入の有無。第24条の9は努力義務ですが、講じていれば閲覧書類の対象です。事業主から見れば与信情報そのものです

名称のルール|「一級建築士事務所」を名乗れる条件

事務所の区分は、登録の際に一級建築士事務所・二級建築士事務所・木造建築士事務所のいずれかを選びます(第23条の2第2号)。なお建築士法には、事務所の名称そのものを制限する規定はありません(名称の使用禁止は第34条の個人の資格名称と、第27条の4の建築士事務所協会だけです)。ただし登録を受けずに設計等を業として行えば第23条の10違反であり、登録がないのに登録事務所であるかのように表示することは景品表示法上のリスクになります。

個人については、第34条が「建築士でない者は、建築士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない」と定め、二級建築士が一級建築士に紛らわしい名称を、木造建築士が一級・二級に紛らわしい名称を用いることも禁じています。違反は30万円以下の罰金(第40条第18号)、免許を受けずに業務を行う目的で名称を用いた場合はより重い第37条第1号に当たります。

なお建築士法には、士業のような業務広告規程や、医療広告ガイドラインのような広告可能事項の限定列挙はありません。ただし表示の適正さは景品表示法の対象で、「県内No.1」「業界最安」のような表示は根拠がなければ優良誤認・有利誤認のリスクがあります。この考え方は建設業のホームページ制作で詳しく整理しています。

【2026年最新】建築士法の改正で、ホームページの前提が変わる

2026年7月31日、建築士法の一部を改正する法律(令和8年法律第74号)が公布されました。 建築設計3団体(日本建築士事務所協会連合会・日本建築士会連合会・日本建築家協会)の共同提案を受けた議員立法です。国土交通省の改正概要によれば柱は2つで、うち「契約の適正化」が料金・契約フローの書き方に直結します。

施行日はまだ確定していません。 契約の適正化に関する規定は「公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日」、将来の建築士等の確保に関する規定は「3年を超えない範囲内において政令で定める日」からの施行とされ、2026年8月末時点ではいずれも未施行です。サイトに書くなら「変わりました」ではなく「変わります」と書いてください。

改正1|書面契約の義務から「300平方メートル超」が外れる

現行の第22条の3の3は、延べ面積が300平方メートルを超える建築物の新築に係る設計受託契約・工事監理受託契約について、作成する設計図書の種類、報酬の額と支払の時期、契約の解除に関する事項などを書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付することを義務づけています。

改正により、この面積要件が撤廃されます。国土交通省の改正概要は「これを面積等を問わず、設計又は工事監理(いずれも建築士が行うものに限る。)の委託を受けることを内容とする全ての契約に拡大する」と明記しており、条文でも見出しが「延べ面積が三百平方メートルを超える建築物に係る契約の内容」から「設計受託契約等の内容」へ改められます。

影響は小さくありません。小規模住宅の設計、部分的な監理、既存建物の改修設計など、これまで口頭や簡易な発注書で進めていた案件が、すべて相互交付の対象になります。ホームページ側でやることは、契約の流れを載せ、そこに書面の相互交付を明記することです。「見積り → 重要事項説明 → 契約書の取り交わし」という順序を先に書いておくと、施主から見た手続きの重さが事前に伝わります。

改正2|見積書の作成が努力義務になる

改正では第24条の10が新設され、「建築士事務所の開設者は、設計等の業務に係る契約を締結しようとするときは、報酬の算定の根拠を明らかにするための見積書を作成するよう努めなければならない」と定められます。あわせて第22条の3の4も改められ、双方が報酬の基準に準拠し、かつ見積書の内容その他の事情を考慮して、適正な委託代金で契約するよう努めるものとされます。

いずれも努力義務ですが、方向性は明確です。「一式いくら」ではなく「何にいくらかかるか」を出す流れです。料金ページを総額だけの表から業務区分ごとの内訳が見える構成に変えておくと、この流れに乗れます。内訳の示し方はホームページ制作の見積書の見方と考え方が近く、施主への説明の型として流用できます。

改正3|資格要件の緩和は採用ページに効く

もうひとつの柱「将来の建築士等の確保」は、公布から3年以内の施行です。国土交通省の改正概要によれば、次の3点が変わります。

  • 建築士試験の在学中受験の導入。 一級・二級・木造いずれも、卒業を待たずに在学中の受験が可能になります(大学・高校等での一定の単位取得と最終学年で卒業見込みであることが条件)
  • 二級・木造建築士の資格要件の緩和。 建築学科等を卒業していない場合、現在は受験と免許取得に実務経験7年が必要ですが、実務経験2年で受験でき、受験前も含めた実務経験4年で免許を取得できるようになります
  • 建築設備士の資格要件の合理化。 実務経験は受験時には不要とし登録時までに積めばよいこととしたうえで、実務経験を登録要件とする制度が創設されます

採用ページを持つ事務所にとっては、建築学科を出ていない人材の入口が広がるという話です。応募資格を「二級建築士」で切っていると、施行後は候補者を取りこぼします。作り方は採用サイトの作り方にまとめています。

設計料をホームページにどう書くか|令和6年告示第8号

「設計料をサイトに書いてよいのか」は、事例集がまったく答えていない問いです。結論から書くと、書けます。ただし基準との関係を理解したうえで書いてください。

業務報酬基準は「独自の基準」を禁じていない

建築士法第25条は、国土交通大臣が中央建築士審査会の同意を得て、建築士事務所の開設者が業務に関して請求できる報酬の基準を定めることができると規定しています。現行の基準は令和6年国土交通省告示第8号(令和6年1月9日公布・即日施行)で、従来の平成31年1月21日国土交通省告示第98号は同日で廃止されました(業務報酬基準ガイドライン)。まだ「告示98号」で料金ページを書いている事務所は、参照先が現行のものではありません。

第22条の3の4は「基準に準拠した委託代金で契約を締結するよう努めなければならない」という努力義務を課しています。そのうえで国土交通省のガイドラインは、次のように明記しています。

業務報酬基準は、当事者間の契約に基づいて、個別の事情に応じた業務報酬の算定を行うものであり、建築士事務所が独自の基準に基づき報酬の算定を行うことは可能です。

つまり、「工事費の◯%」という自社の料率をサイトに書くこと自体は妨げられていません。ただしその料率は告示の算定方法とは別物なので、サイト上で「国土交通省の基準に基づく」と書くなら、実際に告示の実費加算方法または略算方法で算定している場合に限ってください。根拠のない権威づけは景品表示法上のリスクになります。

令和6年の改正点は、戸建住宅を含む略算表の見直し、難易度による補正方法の見直し(複数の観点に該当する場合に該当するすべての難易度係数を乗じられるようになった)、複合建築物の業務量算定方法の一本化、そして省エネ基準への適合の全面義務化への対応の4つです。標準業務内容に省エネ基準への適合に対応する業務が含まれた点は、料金ページの「基本業務に含まれる範囲」の書き方に直接効きます。

4つの書き方と、向き不向き

書き方例向く型注意点
料率で示す工事費の◯〜◯%②住宅相談型小規模案件ほど実際の業務量と乖離する。下限額を併記する
建物用途・規模別のレンジ木造住宅30坪で◯◯万円〜②住宅相談型与条件を明記しないと安いほうだけが記憶される
業務区分ごとの積算基本設計/実施設計/申請/監理を分けて提示③非住宅・BtoB型 ④専門特化型改正後の見積書の努力義務と最も相性がよい
考え方だけ示す算定方法と面談後の見積りを説明①作品主導型 ⑤組織設計型金額を出さない代わりに、何で決まるかは必ず書く

どの書き方を選んでも、「基本業務に含まれないもの」を先に書いてください。設計事務所への不信の多くは、着手後の追加費用から生まれます。地盤調査、測量、構造計算の外注、省エネ計算、各種申請手数料、模型・CGの制作、遠方の交通費。最初に列挙しておくだけで、後の摩擦が大きく減ります。

事務所のホームページを、まず形にしてみる

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設計事務所のホームページの作り方5手段と5年TCO

作り方は大きく5つです。費用相場の一般論はホームページ制作の費用相場に譲り、ここでは設計事務所としての向き不向きに絞ります。

A. ノーコードツールで自作

初期費用0〜5万円、月額1,000〜5,000円程度。④専門特化型のような小さなサイトなら十分に成立します。設計事務所は図面と写真を自分で持っているため素材調達のコストが低く、自作と相性が良い側面があります。一方で大きな写真を美しく見せるレイアウトはテンプレートの制約を受けやすいため、①作品主導型には物足りません。手順はノーコードでのホームページ作成、無料で始める選択肢は無料ホームページ作成ツールにまとめています。

B. AIで生成する

初期0〜3万円、月額0〜3,000円程度。下書きと構成のたたき台に向きます。ただし建築士法まわりの記述は、前章の4列マトリクスと照らして必ず自分で検証してから公開してください(AIでのホームページ制作)。

C. 建築・住宅特化の制作サービス

初期0〜30万円、月額5,000〜2万円程度。施工事例のテンプレートが最初から用意されている点が価値です。ただし多くは工務店・ハウスメーカー向けに設計されているため、設計事務所が使うと「施工会社のサイト」に見えることがあります(ホームページテンプレートの選び方)。

D. 制作会社に依頼する

初期30万〜500万円、月額1万〜5万円程度。①作品主導型・③非住宅BtoB型・⑤組織設計型の本命です。設計事務所のサイトは写真の扱いが命なので、写真主体のサイトの実績があるかを必ず見てください(ホームページ制作会社の選び方・ホームページ制作の流れ)。

E. 内製する(担当者を置く)

人件費次第。⑤組織設計型、またはウェブに強いスタッフがいる場合の選択肢です。設計事務所の繁閑は設計期限と検査に左右されるため、専任でないと必ず止まります。

5年総額で比べる

TCO(総保有コスト)とは、初期費用・月額・更新費用を数年分積み上げた総額です。設計事務所のサイトは竣工のたびにプロジェクトを追加するため、更新の手段と費用を織り込まないと見積りが実態と合いません。

手段初期月額×60ヶ月更新(年4件の追加想定)5年総額の目安
A. ノーコードで自作3万円18万円0円(自社対応)約21万円
B. AIで生成2万円6万円0円(自社対応)約8万円
C. 建築特化サービス10万円60万円0円(自社対応)約70万円
D. 制作会社に依頼150万円180万円60万円約390万円
E. 内製人件費人件費人件費人件費次第

※ 初期費用は各手段の一般的なレンジの中位付近を丸めた想定値、月額と更新費は目安として置いた想定値です。実際の見積りにより変動し、特定のサービスの価格ではありません。

プロジェクトを自分で追加できるかどうかが5年総額を最も大きく動かします。 1件3万円で制作会社に依頼するなら、年4件で12万円、5年で60万円です。発注時には「竣工写真と図面を自分で差し替えられるか」を必ず確認してください(ホームページの維持費・ランニングコスト)。

制作費に補助金を充てられる可能性もあります。要件と時期は年度ごとに変わるため、小規模事業者持続化補助金とホームページとホームページ制作に使える補助金で最新の考え方を確認してください。

型別|10の必須コンテンツのどれを主役にし、何を省くか

5つの型は「どこから仕事が来るか」で決めました。ここではその型ごとに、10の必須コンテンツのどれを主役ページに据えるかを割り当てます。事例集がまず教えてくれないのは右端の列です。

型主役ページ特に厚く書く要素省いてよい要素
②住宅相談型(注文住宅・リノベ)進め方・設計料与条件つきの事例、設計料の考え方、工務店との違い、相談の流れ入札実績、ニュースリリース
③非住宅・BtoB型(医療/福祉/店舗/工場)用途別実績・体制用途別の実績、有資格者体制、対応面積と構造、工事監理の方法費用の詳細レンジ
④専門特化型(構造・設備専業)受託業務の範囲対応構造・規模・使用ソフト・納期・体制、元請の設計事務所向け窓口竣工写真の大量掲載
①作品主導型(個人アトリエを含む)作品一覧・代表者の紹介代表の考え方と経歴、受託できる規模、対応エリア、連絡の取りやすさ組織図、採用ページ
⑤組織設計型会社情報・採用沿革、部門構成、受賞、ニュース、募集要項、サステナビリティ設計料の明示

①で個人アトリエなら、必須コンテンツ4番の対応エリアが右列より先に来ます。 工事監理は現場に足を運ぶ業務なので、距離がそのまま受託可否になるからです。

問い合わせから契約までを、法定の手続きに合わせて設計する

設計事務所のサイトで最も設計が甘くなるのが、問い合わせから契約までの導線です。建築士法の手続きと接続しているので、サイトでどこまで受け、どこから対面に渡すかを先に決めます。

問い合わせフォームで聞くこと・聞かないこと

聞くべきなのは、受託の可否を判断できる最小限です。

聞く理由
建物の用途資格区分と実績の当てはめに直結
おおよその規模(延べ面積・階数・構造)受託できる規模かどうかが決まる
敷地の所在地(市区町村まで)監理で通えるかが決まる
検討の段階(土地探し中/設計者選定中/設計中)返信内容がまったく変わる
希望の予算感(任意)価格帯の不一致を早期に検知できる

逆に一次受付では聞かないほうがよい項目が、詳細な住所、家族構成、勤務先、年収や借入予定額です。資金計画の相談に必要になる場面はありますが、それは面談の段階で利用目的を示したうえで取得すべき情報です。入力項目が多いほど送信率は落ち、取得した個人情報は管理責任を伴います。

重要事項の説明は「契約前」に行う

第24条の7は、設計受託契約または工事監理受託契約を建築主と締結しようとするときは、あらかじめ、管理建築士その他の当該事務所に属する建築士(管理建築士等)が、次の事項を記載した書面を交付して説明しなければならないと定めています。

  1. 設計受託契約では、作成する設計図書の種類
  2. 工事監理受託契約では、工事と設計図書との照合の方法および工事監理の実施状況の報告方法
  3. 従事する建築士の氏名と一級・二級・木造の別、構造設計一級建築士・設備設計一級建築士である場合はその旨
  4. 報酬の額および支払の時期
  5. 契約の解除に関する事項
  6. その他、国土交通省令で定める事項

説明の際、管理建築士等は建築士免許証(または免許証明書)を建築主に提示しなければなりません(同条第2項)。怠ると10万円以下の過料の対象です(第43条第1号)。説明は書面の交付に代えて、建築主の承諾を得て電磁的方法で提供することもできます(同条第3項、施行規則第22条の2の3)。

サイトに書くべきなのは、この手続きが存在すること自体です。「ご相談 → お見積り → 重要事項のご説明(建築士法第24条の7)→ 契約書の取り交わし → 基本設計」という流れを載せておけば、施主は見通しを持てますし、事務所側も説明の場を工程として確保できます。

なお契約後は、遅滞なく契約内容を記載した書面を委託者に交付する義務があります(第24条の8。違反は30万円以下の罰金)。ただし第22条の3の3により書面を相互に交付した場合、第24条の8第1項は適用されません(第22条の3の3第5項。前述の改正後は同条第4項)。前述の改正で相互交付の対象が全契約に広がれば、実務上はこの相互交付が基本形になります。

「無料」の線をどこに引くか

住宅系では初回相談を無料にすることが多いですが、どこまでが無料かを明記していないと、無償のプラン提案まで期待されます。「初回のご相談(60分・オンライン可)は無料です。敷地調査とプラン提案は業務としてお見積りします」のように、有償業務の始まる線を1行で書いておいてください。

集客設計|地域×用途と、2025年の法改正が作った相談の受け皿

サイトを作っただけでは問い合わせは増えません。狙う検索は地域×用途/法改正が作った相談/採用の3つで、そのうえで書き方をAI検索に合わせます。

地域名 × 用途 × 依頼意図

「◯◯市 設計事務所」「◯◯県 クリニック 設計」「◯◯市 注文住宅 建築家」のように、地域と用途の掛け合わせが最も受注に近い検索です。トップページ1枚では拾えないので、用途別のページを作り、該当する実績を紐づけます。地域SEOとGoogleビジネスプロフィールの基本はホームページ集客の方法とWebマーケティングの基礎にまとめています。

2025年4月の建築基準法・省エネ法の改正が作った検索需要

2025年4月1日から、原則としてすべての新築建築物に省エネ基準への適合が義務づけられ、あわせていわゆる4号特例が見直されました(令和4年法律第69号、国土交通省リーフレット)。

改正後の区分対象建築確認・検査
新2号建築物木造2階建て/木造平屋建てで延べ面積200平方メートル超全ての地域で建築確認・検査が必要(大規模の修繕・模様替を含む)。審査省略制度の対象外
新3号建築物木造平屋建てで延べ面積200平方メートル以下都市計画区域等内で建築確認・検査が必要。審査省略制度の対象

新2号建築物では、確認申請の際に構造関係・省エネ関係の図書の提出が必要になりました。制度上、工務店や施主から設計事務所へ相談が向かいやすい構造になったと言えます。構造計算や省エネ計算を受託できるなら、この区分と自分の受託範囲を説明するページを1本用意すると、同業からの外注の受け皿になります。④専門特化型には最も費用対効果の高いページです。

採用

募集要項は求人媒体に置くとしても、仕事の内容と体制はサイト側に書いてください。担当する用途、1人が同時に持つ案件数、実施設計と監理の分担、資格取得の支援、定期講習の扱い。求職者が知りたいのはここです。前述の資格要件の緩和が施行されれば建築学科出身でない人材にも門戸が開くので、応募資格の書き方を今のうちに見直しておくと差がつきます。

AI検索(AI Overview)に拾われる書き方

「設計事務所 ホームページ」の検索結果にはAI Overviewが表示され、上位の事例集が引用元になっています。引用されるには問いに対する答えを1〜2文で先に書くことが効きます。「設計料はどう決まりますか」という見出しの直下に、まず結論を1文置き、その後に根拠と条件を書く。この順序にするだけで拾われやすくなります(ホームページのページ構成・SEOの基本)。

問い合わせが来ないときの失敗診断表

公開したのに反応がないときは、原因を切り分けます。

症状疑うべき原因対処
そもそも見られていない地域名・用途を含むページがない用途別ページを作り、地域名を本文に自然に入れる
見られているが問い合わせがない設計料の考え方が書かれていない料率でも区分別でもよいので判断材料を置く
受託できない規模の相談ばかり資格区分と対応規模を書いていない第3条〜第3条の3の区分に沿って対応範囲を明記
遠方からの相談が多い対応エリアの記載がない監理で通える範囲を市区町村単位で明記
「予算が合わない」で終わる価格帯の目安がない過去案件の与条件つきレンジを提示
相談後に音信不通次に何が起きるか示していない契約までの流れと重要事項説明を工程として掲載
更新が止まっている自分で差し替えられない構造更新できるページと依頼が要るページを分離
採用の応募が来ない仕事の内容が抽象的担当用途・案件数・分担・資格支援を具体的に書く

作り直しを検討しているならホームページリニューアルの進め方も参考になります。

公開までの5ステップ

STEPやること要点
1事務所登録の状態を確認する(最重要)登録番号・有効期間・管理建築士・所属建築士の変更が届出済みか。所属建築士の変更は3月以内、その他は2週間以内(第23条の5)。サイトの記載は登録簿と一致している必要があります
2型を決める受注経路から5つの型のどれで作るかを決める。飛ばすと事例集を眺める時間だけが増える
3載せる情報を棚卸しする第24条の6の閲覧書類(第七号の二書式)を手元に出す。登録番号・所属建築士の資格と登録番号・直近の定期講習受講日・保険の内容がすでに揃っている
4写真と図面の許諾を整理する撮影者との契約範囲、施主の同意、所在地の粒度を案件ごとに確認。同意がない案件は与条件のみのテキスト掲載にとどめる
5手段を選んで形にする判断の軸は初期費用ではなく「竣工のたびに自分でプロジェクトを追加できるか」

公開前チェックリスト

  • 事務所の区分と登録番号、登録の有効期間が登録簿と一致している
  • 管理建築士と所属建築士の氏名・資格・登録番号が最新
  • 対応できる建物の用途・規模・構造を第3条〜第3条の3の区分に沿って明記した
  • 対応エリアを市区町村単位で書いた
  • 設計料の考え方と、基本業務に含まれないものを書いた
  • 「国土交通省の基準に基づく」と書く場合、実際に令和6年告示第8号で算定している
  • 契約までの流れに重要事項説明と書面の取り交わしが入っている
  • 掲載写真の撮影者許諾と施主同意を確認した
  • 問い合わせフォームの項目が受託判断に必要な範囲に収まっている
  • プライバシーポリシーを用意した
  • 根拠のない「No.1」「最安」表示がない
  • 標識は事務所に掲げてある(サイト掲載では代替できない)
  • 閲覧書類は事務所に備え置いてある(サイト公開では代替できない)

よくある質問(FAQ)

建築士の資格があれば、設計事務所のホームページを作って仕事を受けてよいですか?
資格だけでは足りません。建築士法第23条第1項は、他人の求めに応じ報酬を得て設計や工事監理などを業として行おうとするときは、建築士事務所を定めて都道府県知事の登録を受けなければならないと定めています。登録を受けずに設計等を業として行うことは第23条の10で禁じられ、違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。登録の有効期間は5年です。事務所登録を済ませてからサイトを公開してください。
建築士事務所の標識は、ホームページに載せれば掲示したことになりますか?
なりません。建築士法第24条の5は、建築士事務所の開設者はその建築士事務所において、公衆の見やすい場所に国土交通省令で定める標識を掲げなければならないと定めています。様式は建築士法施行規則第22条により第七号書式です。条文が掲示場所を事務所と特定しているため、ウェブサイトへの画像掲載では義務を果たしたことになりません。掲げなかった場合は30万円以下の罰金の対象です。事務所に物理的に掲げたうえで、サイトには登録番号や管理建築士の情報を別途載せるのが実務的です。
設計等の業務実績や所属建築士の情報を、ホームページで公開すれば閲覧義務を満たせますか?
満たせません。建築士法第24条の6は、業務の実績や所属建築士の氏名と業務実績を記載した書類などを、当該建築士事務所に備え置き、設計等を委託しようとする者の求めに応じて閲覧させることを求めています。建築士法施行規則第22条の2第4項は電磁的記録での備置きを認めていますが、それは必要に応じ当該建築士事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されることが条件で、同条第5項も当該建築士事務所に備え置くことを求めています。法第24条の6が備置きの場所を当該建築士事務所と特定している以上、サイトでの公開は履行になりません。違反は30万円以下の罰金の対象です。ただし同じ内容をサイトに載せること自体は禁じられていません。義務の履行は事務所で、信頼の獲得はサイトで、と分けて考えてください。
管理建築士の名前をホームページに載せる必要はありますか?
法律上の掲載義務はありませんが、載せる価値は高い情報です。建築士法第24条第1項は事務所ごとに専任の管理建築士を置くことを求め、第2項はその要件を、建築士として3年以上、国土交通省令で定める業務に従事した後、登録講習機関の管理建築士講習を修了した建築士と定めています。この要件を満たした人が事務所を管理している事実が、そのまま体制の説明になります。管理建築士の氏名は建築士事務所登録簿の記載事項で、都道府県知事が一般の閲覧に供しているため、もともと公開情報です。
ホームページに設計料を書いてもよいですか?「工事費の何パーセント」と書けますか?
書けます。建築士法第25条に基づく現行の業務報酬基準は令和6年国土交通省告示第8号で、令和6年1月9日に公布・即日施行され、平成31年国土交通省告示第98号は同日廃止されました。第22条の3の4はこの基準に準拠した委託代金で契約するよう努める努力義務を課していますが、国土交通省の業務報酬基準ガイドラインは、建築士事務所が独自の基準に基づき報酬の算定を行うことは可能と明記しています。ただしサイトで国土交通省の基準に基づくと表示するなら、実際に告示の実費加算方法または略算方法で算定している場合に限ってください。根拠のない権威づけは景品表示法上のリスクになります。
2026年の建築士法改正で、ホームページに影響はありますか?
料金ページと契約フローの書き方に影響します。2026年7月31日に建築士法の一部を改正する法律が公布されました。国土交通省の改正概要によれば、書面による契約締結の義務範囲が、現在の延べ面積300平方メートル超の新築等から、面積等を問わず建築士が行う設計または工事監理の委託を受ける全ての契約に拡大され、あわせて建築士事務所の開設者に、報酬の算定根拠を明らかにするための見積書の作成について努力義務が課されます。これらの規定は公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行され、2026年8月末時点では未施行です。総額だけを示す料金ページを業務区分ごとの内訳が見える構成に改めておくと、施行後もそのまま使えます。
設計事務所のホームページ制作費用の相場はいくらですか?
ノーコードでの自作なら初期0円から5万円、AI生成なら初期0円から3万円、建築・住宅特化の制作サービスなら初期0円から30万円、制作会社への依頼なら初期30万円から500万円程度が目安です。設計事務所に固有の増分は、竣工写真を美しく見せるレイアウトの作り込みと、竣工のたびに発生するプロジェクト追加の費用です。1件3万円なら年4件で5年60万円です。見積り時は、竣工写真と図面を自社で差し替えられるか、プロジェクトの追加が保守費に含まれるかの2点を必ず確認してください。
独立直後で公開できる実績がありません。ホームページに何を載せればよいですか?
実績以外の判断材料を先に埋めてください。優先度が高いのは、事務所の区分と登録番号、管理建築士と所属建築士の資格、受託できる建物の用途と規模と構造、対応エリア、設計の進め方と期間、設計料の考え方、代表者の経歴です。前職で担当した案件は守秘義務と著作権の範囲で扱いが変わるため写真の掲載可否を必ず確認し、掲載できない場合は与条件と担当範囲のテキストのみにとどめます。構造設計一級建築士や設備設計一級建築士を持っているなら必ず明記してください。一級建築士383,923名に対し構造設計一級建築士は10,410名、設備設計一級建築士は6,140名で、いずれも希少性の高い資格です。

まとめ|今日から始める3ステップ

設計事務所のホームページは、デザインの前に「自分の型」と「載せる法定情報」を決めるとうまくいきます。最後に、今日から動ける順序に整理します。

  1. 受注経路から型を決める。 5つの型のどれで作るかを先に決めます。参考サイトを眺めるのはその後です。決めないまま集めた事例は、判断を助けるどころか迷いを増やします。
  2. 閲覧書類(第七号の二書式)を机に出す。 登録番号、所属建築士の資格と登録番号、定期講習の受講日、保険の内容が、すでにそこに揃っています。会社概要はこの書類から作るのが最短で、しかも登録簿と齟齬が出ません。
  3. 料金ページを内訳が見える形にしておく。 2026年7月に公布された改正で、見積書の作成が努力義務になり、書面契約の面積要件がなくなります。施行は1年以内ですが、総額だけの表を業務区分ごとの構成に変えておけば、そのまま使えます。

そのうえで、標識は事務所に掲げ、閲覧書類は事務所に備え置く。ホームページはその義務の代わりではなく、登録簿に載っている事実を、探している人に届くところまで持っていくための場所です。この線引きさえ間違えなければ、あとはデザインの話に集中できます。

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