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保険代理店のホームページ制作ガイド|保険業法の表記ルール・費用・必須コンテンツ【2026年版】

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保険代理店のホームページ制作ガイド|保険業法の表記ルール・費用・必須コンテンツ【2026年版】

保険代理店のホームページは、一般的な会社のホームページとは前提が違います。掲載内容によっては「募集用の資料」として扱われ、所属保険会社の点検を経なければ公開できないからです。デザインが良くても、書き方が保険業法の募集規制に触れれば作り直しになります。

この記事は保険代理店を探している消費者向けではなく、保険代理店・保険募集人の方が自社のホームページを作る/作り直すための実務ガイドです。何を載せ何を書いてはいけないのか、いくらかかり誰に頼むのかを、条文・監督指針・自主ガイドラインの一次ソースにあたって整理しました。

なお本記事は法令・監督指針の一般的な解説であり、個別の表記が適法かどうかの法的助言ではありません。実際の掲載可否は、必ず所属保険会社の指導と社内基準に従ってください。

この記事でわかること

  • 最初に決まるのはデザインではなく「募集用の資料として通るか」。ここを設計に織り込むと作り直しが減る
  • 法令がウェブ掲載そのものを求めているのは勧誘方針(金融サービス提供法。一定の小規模事業者などの例外あり。怠ると過料の対象)。保険業法第294条第3項の明示すべき4項目は媒体を問わない対顧客の明示義務だが、サイトが募集の入口になる以上いずれも常時掲示しておくのが実務上の基本形
  • ホームページ表示に直接効くのは保険業法第300条第1項第6号・第7号と施行規則第234条第1項第4号。これらは**「不特定の者」への「表示」**を射程に含み、監督指針も表示方法にインターネット広告を明文で挙げている(ほかに乗合代理店の比較表には規則第227条の14、最上級表現には景品表示法も及ぶ)
  • 商品の比較表を載せるなら、監督指針のNG6類型を避け、併記が必要な8項目を示し、さらに「契約概要」の入手措置と注意喚起文言、他社商品データの正確性を保つ措置まで揃える必要がある
  • 問い合わせフォームで持病や通院歴を聞くと、要配慮個人情報・機微情報の取扱いになる。フォーム項目は法務の問題として設計する

保険代理店のホームページが一般的な制作ガイドで作れない理由

保険代理店のホームページとは、集客の道具であると同時に、保険募集の入口となる表示物です。一般的な業種のサイトが「見た目と導線」で評価されるのに対し、保険代理店のサイトは表示内容そのものが規制の対象になり得るという点が決定的に違います。

そもそもなぜ今ホームページが要るのか|代理店は1年で16,114店減った

日本損害保険協会の統計によれば、損害保険代理店の実在数は2025年度末で124,024店、前年度末から16,114店(11.5%)減少しました(出典: 日本損害保険協会「代理店実在数の推移」2026年8月7日更新、募集形態データ)。同じ資料の推移表を見ると、2002年度から2024年度までの減少率は最大でも2008年度の7.6%で、2025年度の11.5%はそれを上回る水準です(2001年度の32.9%減は、保険業法改正により生保会社本体が損保代理店になれるようになったことで個人代理店が大量に廃止されたため、と同資料は推測しています)。募集従事者数も2025年度末で1,736,427人、前年度から42,774人(2.4%)減りました(出典: 同「募集従事者数の推移」)。

統廃合が進むほど、残った代理店には「なぜこの代理店に相談するのか」を説明する責任が集まります。紹介と既存契約の更新だけで足りていた時期には不要だった説明を、Web上で先に済ませておく必要が出てきています。

「承認フロー」という前提工程がある

一般的な制作ガイドは「魅力的に見せる」ことを最適化しますが、保険募集ではその書き方の多くが危険地帯に入ります。「他社より有利」「必ず戻ってくる」「相談で全員プレゼント」といった他業種なら普通のコピーが、そのまま保険業法上の禁止行為に触れ得るのです。

さらに、代理店が自ら作る募集用の資料等は所属保険会社との取り決めで作成の可否が決まり、多くの場合は保険会社の承認を前提とします。本記事では、所属保険会社が募集用の資料等を点検し掲載可否を判断する一連の手続きを「承認フロー」と呼びます(社内では募集文書審査などと呼ばれることもあります)。

つまり制作会社に発注する前に「どこまで自社で書いてよいか」を所属保険会社に確認する工程が先に来ます。順番を逆にすると、完成後に大幅な書き換えが発生します。

法人向け保険の開拓を狙う場合の設計はBtoBサイトの作り方と共通する部分が多いので、そちらも合わせて参考にしてください。

明示すべき4項目を、ホームページのどこに置くか(保険業法第294条第3項)

保険募集人は、保険募集を行おうとするときは、あらかじめ顧客に対して一定の事項を明らかにしなければなりません(保険業法第294条第3項)。これは媒体を問わない対顧客の明示義務であって、条文がホームページへの掲載を直接求めているわけではありません。ただしサイトは相談申込や見積依頼の入口になるため、会社概要や運営者情報のページに常時掲示しておくのが実務上の基本形です。

明らかにすべき事項は法律の第3号が内閣府令に委任しており、施行規則第227条の2第12項が中身を定めています。両者を合わせると次の4項目です。

#明示すべき事項根拠ホームページでの記載場所
1所属保険会社等の商号・名称・氏名法第294条第3項第1号会社概要/取扱保険会社ページ
2自己が所属保険会社等の代理人として契約を締結するのか、締結を媒介するのかの別法第294条第3項第2号会社概要(募集形態として明記)
3保険募集人自身の商号・名称・氏名法第294条第3項第3号・規則第227条の2第12項第1号会社概要/フッター
4保険募集の再委託を受けている場合は、その再委託者の商号・名称規則第227条の2第12項第2号会社概要(該当する場合のみ)

このうち 2番の「代理」と「媒介」の別は、書かれているサイトをあまり見かけません。多くは取扱保険会社のロゴを並べるところで止まり、自社の立場を説明していません。法令上求められている事項として押さえてください。

「代理」と「媒介」はどう書き分けるか

代理とは、代理店が所属保険会社に代わって契約を締結でき、代理店が承諾した時点で契約が成立する形態です。媒介は申込みを取り次ぐだけで、成立には保険会社の承諾が必要です。損害保険では代理、生命保険では媒介が中心になるのが一般的ですが、取り扱う保険会社・商品ごとに異なるため、自社の委託契約を確認してから記載してください。両方を扱うなら「生命保険は媒介、損害保険は代理」のように取扱区分ごとに分けて書きます。

会社概要ページには、商号・登録番号・所属保険会社等の一覧・募集形態(例:「生命保険は保険契約の締結の媒介、損害保険は保険契約の締結の代理を行います」)・再委託を受けている場合の再委託者・苦情相談窓口を並べます。文言は自社の委託契約と所属保険会社の指導に合わせて調整してください。

なお、登録を受けていなければそもそも保険募集は行えません(保険業法第275条・第276条)。また損害保険代理店等は、募集を行わせる役員・使用人の氏名と生年月日を届け出る必要があります(同法第302条)。「担当者紹介」ページを作るときは、掲載する募集人が届出済みかを社内で確認してから公開してください。

もう一つの掲載義務:勧誘方針の公表

保険業法とは別の法律に、ホームページ掲載が原則として義務づけられている書面があります。勧誘方針です。

金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(金融サービス提供法)は、保険契約の締結を「金融商品の販売」とし、その代理または媒介を含めて「金融商品の販売等」と定義します(第3条第1項第4号・第2項)。これを業として行う者が「金融商品販売業者等」であり(同条第3項)、保険代理店が含まれます。同法第10条第1項は、業として行う金融商品の販売等に係る勧誘をしようとするときは、あらかじめ勧誘方針を定めなければならないとしています(国・地方公共団体等の政令で定める者、特定顧客のみを顧客とする場合は除く)。定める内容は同条第2項が3つ挙げており、①勧誘の対象となる者の知識・経験・財産の状況・契約締結の目的に照らし配慮すべき事項 ②勧誘の方法および時間帯に関し配慮すべき事項 ③その他勧誘の適正の確保に関する事項 です。そして同条第3項が、定めたときは政令で定める方法により速やかに公表しなければならない(変更時も同様)と定め、定めなかった場合・公表しなかった場合は50万円以下の過料の対象になります(第154条)。

公表方法を定める同法施行令第14条は、次の3つをいずれも行うことを求めています。①本店または主たる事務所で見やすいように掲示するか閲覧に供する、②販売等を行う営業所等ごとに同様にする、③勧誘方針をインターネットで公衆の閲覧に供する。

3番目の例外は、施行令第14条第3号のイ「事業の規模が著しく小さい場合その他の内閣府令で定める場合」と、ロ(電子情報処理組織を使用する方法により金融商品の販売等を行わない場合。現に本店・主たる事務所・営業所等にいる顧客に対して行うものを除く、という趣旨の規定)のいずれにも該当する場合に限られます。

イの中身は「金融商品の販売等に係る勧誘方針の公表の方法に関する内閣府令」(令和6年内閣府令第102号)第2項が定めており、常時使用する従業員が20人以下か、金融商品の販売等に関して広告をする自社ウェブサイトがないかのいずれかで足ります。小規模な代理店の多くは従業員数だけでイに当たるため、ウェブ掲載が要るかどうかは実質的にロで決まります。

そのロがいう「金融商品の販売等」は保険契約の締結またはその代理・媒介です。オンラインで申込みや契約手続まで受け付けるならロには該当せずウェブ掲載が必要ですが、相談予約の受付にとどまる場合の該当性は微妙なので、自己判断せず所属保険会社と確認してください。なお同府令第1項は、公表方法を自社ウェブサイトへの掲載(広告をするサイトがある場合はそのサイト)と定めています。

勧誘方針は商品内容に踏み込まないため、承認フローを待たずに用意できます。他の業種でホームページへの掲載が義務になっている項目は、ホームページの掲載義務一覧にまとめています。

保険業法第300条第1項をホームページ表記に翻訳する

保険業法第300条第1項は、保険募集に関して禁止される行為を第1号から第9号まで列挙しています。制作で重要なのは、号によって「誰に対する」「どんな行為」が対象かが違う点です。ここを押さえると、どの表記がWebで危険なのかを正確に判別できます。

根拠対象となる相手禁止される行為ホームページでの典型的な危険表記
法第300条第1項第1号保険契約者・被保険者虚偽を告げる/契約条項のうち判断に影響する重要な事項を告げない保障の長所だけを書き、免責事由や不担保期間に触れない商品紹介
法第300条第1項第5号保険契約者・被保険者、これらと内閣府令で定める密接な関係を有する者保険料の割引・割戻し、物品の購入、役務の提供その他の取引で取引上の社会通念に照らし相当であると認められないものその他特別の利益の提供を約束・提供する「ご契約いただいた方に◯◯をプレゼント」型の表記
法第300条第1項第6号保険契約者・被保険者または不特定の者一の保険契約の契約内容につき他の保険契約の契約内容と比較した事項で、誤解させるおそれのあるものを告げ、または表示する「A社よりB社のほうがお得」式の単純比較、条件を伏せた保険料比較
法第300条第1項第7号保険契約者・被保険者または不特定の者将来の契約者配当・剰余金の分配その他、内閣府令で定める将来の金額が不確実な事項につき断定的判断を示す/確実と誤解させるおそれのあることを告げ、または表示する「◯年後には必ず◯◯円戻ります」
規則第234条第1項第4号保険契約者・被保険者または不特定の者保険契約等に関する事項で判断に影響する重要なものにつき、誤解させるおそれのあることを告げ、または表示する「保険料が安くなります」だけを大きく書き、前提条件を書かない

第5号のうち「物品の購入、役務の提供その他の取引」には「取引上の社会通念に照らし相当であると認められないもの」という限定が付いており、この部分については相当性の判断が入ります。ただし並列で置かれた「その他特別の利益の提供」まで一律に緩和されるわけではありません。だからこそ自己判断ではなく所属保険会社の判断を仰ぐべき領域です。

押さえるべき急所は「不特定の者」への「表示」

第6号・第7号と規則第234条第1項第4号は「不特定の者」に対する「表示」を明文で射程に含んでいます。ホームページは不特定多数が閲覧する表示物ですから、これらはサイトの文言にそのまま当てはまります。解釈ではなく、監督指針II-4-2-2(9)が「表示」の方法としてインターネット等による広告を明文で列挙しています。

一方、第1号・第5号は保険契約者・被保険者(第5号はこれらと内閣府令で定める密接な関係を有する者を含む)が相手方です。規則第234条第1項第5号は相手方が「保険契約者」、行為も「告げる」に限られ「表示」を含まないため、主に対面・電話が射程になります。「Webで真っ先に問題になるのは第6号・第7号・規則第4号」という優先順位は、原稿チェックの効率を変えます。

言い換えの実例

✕ 危険な書き方◎ 検討したい書き方理由
業界最安の保険料をご案内します複数社の保険料をお見積りのうえ、条件と併せてご説明します客観的な実証と根拠の表示を欠くと、誤解させるおそれのある表示に当たり得る(規則第234条第1項第4号)
◯年後に必ず◯◯円が戻ります解約返戻金は契約内容・経過年数により異なります。設計書でご確認いただけます将来の金額が不確実な事項の断定は第7号に触れるおそれ
ご相談いただいた全員にギフト券贈呈(キャンペーン表記は所属保険会社の判断を経てから掲載)特別の利益の提供に当たらないか、相当性の判断が必要

「最安」「日本一」を使うときに必要な表示

最上級表現には業界の自主基準に手がかりがあります。生命保険協会「生命保険商品に関する適正表示ガイドライン」(令和8年1月29日改正)5.は、次の3系統の用語について、主張内容が客観的に実証されているか留意し、根拠となった調査方法、出典または前提条件を表示する必要があるとしています。

対象は、業界における最上級その他の序列を直接に意味する用語(最高/最低/最良/最大/最小/日本一/第一位/ナンバーワン)、唯一性を直接に意味する用語(当社だけ/業界初/他にはない)、相対的な優位性を意味する用語(ワイド/最低水準/割安)の3系統です。

ただしこのガイドラインの位置づけには注意が必要です。これは生命保険協会が会員各社(=生命保険会社)向けに策定した自主的なもので、ガイドライン自身が「拘束力を有するものではない」と述べています。代理店を直接拘束する規則ではありませんし、損害保険には別の枠組みがあり、本記事では扱っていません。実務上は所属保険会社が社内基準として取り込み、承認フローに反映するという経路で効いてきます。

代理店を直接拘束する側の根拠は、生保・損保を問わず規則第234条第1項第4号(判断に影響する重要な事項につき誤解させるおそれのある表示)です。加えて景品表示法も及びます。同法第2条第1項は「事業者」を「商業、工業、金融業その他の事業を行う者」と定義しており、保険代理店も対象です。同法第5条第1号(著しく優良と示す表示)・第2号(著しく有利と誤認される表示)は、自社の役務についての最上級表現にそのまま当たり得ます。ただし同条は「不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」という限定を置いており、優良・有利に見えれば直ちに違反になるわけではありません。

根拠を併記できないなら使わないのが安全です。

保険会社のロゴを載せるとき

ロゴは所属保険会社の商標であるため、掲載可否と表示方法は所属保険会社の許諾と指導に従うのが前提です。設計としては、ロゴを大きく並べた結果として自社が保険会社そのものに見える構成を避け、「当社は以下の保険会社の商品を取り扱う保険代理店です」という説明文をロゴの直上に置くのが無難です。誤解させるおそれのある表示(規則第234条第1項第4号)から見た自衛策になります。

なお士業の広告規制は各会の会則・会規に基づく規程で、根拠も構造も保険業法とは別物です。混同しないよう、士業側は士業のホームページ制作を参照してください。

比較表を載せるなら:NG6類型と、併記が必要な8項目

比較表示とは、ある保険契約の内容を他の保険契約の内容と比べて示すことです。乗合代理店にとっては最大の武器ですが、保険業法第300条第1項第6号が直接向けられている領域でもあります。金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針」II-4-2-2(9)は、第6号に抵触し得る行為として次の6類型を挙げています。

#抵触し得る比較表示
ア客観的事実に基づかない事項または数値を表示すること
イ契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示さず一部のみを表示すること
ウ長所のみをことさらに強調したり、長所を示す際にそれと不離一体の関係にあるものを併せて示さないことにより、あたかも全体が優良であるかのように表示すること
エ社会通念上・取引通念上、同等の保険種類として認識されない保険契約間の比較を、あたかも同等の保険種類との比較であるかのように表示すること
オ現に提供されていない保険契約の契約内容と比較して表示すること
カ他の保険契約の契約内容に関して、具体的な情報を提供する目的ではなく当該保険契約を誹謗・中傷する目的で、その短所を不当に強調して表示すること

そして同じ監督指針は、他社商品との比較表示を行う場合について2つの要件を並列で求めています。(Ⅰ) 書面等を用いて次の8項目を含めた表示が行われること、かつ (Ⅱ) 他社商品の特性等について不正確なものとならないための措置が講じられていること、です。(Ⅱ)は独立した要件で、載せる項目を揃えるだけでは満たせません。

まず(Ⅰ)の8項目です。

#比較表示に含めるべき事項
ア保険期間
イ保障(補償)内容(保険金を支払う場合、主な免責事由等)
ウ引受条件(保険金額等)
エ各種特約の有無およびその内容
オ保険料率・保険料(なるべく同一の条件での事例設定を行い、算出条件を併記する)
カ保険料払込方法
キ払込保険料と満期返戻金との関係
クその他保険契約者等の保護の観点から重要と認められるもの

これは事実上「比較表の列定義」である

上の8項目は、そのまま比較表の列になります。「保険料」の1列だけを並べた比較表は、イ(必要な事項を包括的に示さず一部のみ)とウ(長所のみ強調)に正面から当たりに行く構造です。

さらに監督指針は、次の要件が全て充足されている場合に包括的に示したものと考えられる、としています。列を並べただけでは足りません。

  1. 「契約概要」を速やかに入手できる措置 — 比較表示の対象とした全ての商品について、顧客が希望したときに速やかに入手できるようにする。監督指針は例として、比較表示と同時に提供する方法のほか、インターネットのホームページ上に「契約概要」を表示できるようにする方法や、要望があれば遅滞なく郵送等で交付できるようにする方法などの体制を整備したうえで、これを顧客に周知することを挙げています
  2. 注意喚起文言の記載 — 比較表には保険商品の内容の全てが記載されているものではなくあくまで参考情報として利用する必要があること、記載された商品の内容は必ず「契約概要」やパンフレットにおいて全般的に確認する必要があること

保険料を比較する場合について、監督指針は、契約条件や保障(補償)内容の概要など保険料に影響を与えるような前提条件を併せて記載することが、適切な表示として最低限必要と考えられるとしています。あわせて、保険料だけでなく他の要素も考慮に入れて比較・検討する必要がある旨の注意喚起を併せて記載することなど、顧客の誤解を招かない工夫も求められています。

したがって制作の指示としてはこうなります。

  • 最低でも保険期間・保障内容(主な免責を含む)・引受条件・特約・保険料・払込方法の列を立て、貯蓄性のある商品なら払込保険料と満期返戻金の関係も加える。「現在は取り扱っていない商品」を比較対象に残さない
  • 保険料は各社で条件を揃えた事例に統一し、算出条件(年齢・性別・保険金額・払込期間など)を併記する
  • 比較表の直下に注意喚起文言を置き、各商品の「契約概要」への導線を同じ画面内に用意する。スマートフォンでは縦積みに切り替え、免責事由の行が畳まれたまま読まれない設計にしない
  • **(Ⅱ)への対応として、他社商品のスペックは出典と取得日を記録し、商品改定時に洗い替える手順を決めておく。**掲載データが古いままだと「不正確なものとならないための措置」を欠くことになる

そもそも比較表を載せるべきか自体が判断事項です。掲載するなら、原稿を作った段階で承認フローに回す前提で工程を組んでください。

乗合代理店の「◯社取扱い」をどう書くか

乗合代理店とは、二以上の所属保険会社等を有する保険募集人です。「取扱◯社」はサイトの見出しに使われがちですが、社数を掲げること自体が求められる説明を満たすわけではありません。

保険業法第294条の3第1項は、二以上の所属保険会社等を有する場合における比較した事項の提供を含む業務運営上の措置を求めています。これを受けた施行規則第227条の14は、比較事項の提供時に誤解させるおそれのある表示を防止する措置と、二以上の比較可能な同種の保険契約から提案する場合に必要な説明を確保する措置を求めています。

さらに監督指針 II-4-2-9(5) は、推奨理由の説明について次の2分岐を示しています。

絞り込みの根拠説明すべき内容
商品特性や保険料水準など客観的な基準・理由により絞り込む場合その客観的な基準や理由について説明する
客観的な基準・理由に基づかずに絞り込む/特定商品を提示・推奨する場合その基準や理由(特定の保険会社との資本関係、その他の事務手続・経営方針上の理由を含む)を説明する

この2分岐が「取扱保険会社」ページに書く内容を決めます。一覧を並べるだけでなく、どういう考え方で提案する商品を絞っているかを1段落で説明し、客観的な基準で絞っているならその基準(保障内容の適合、保険料水準、引受条件など)を具体的に書きます。

「公平・中立」は表示と実態の両面で見る

監督指針は「公平・中立」について、表示それ自体と、その裏づけとなる実態の両面から留意を求めています。

まず表示の面。II-4-2-9(4) の注は、単に「公平・中立」との表示を行った場合には、「保険会社と顧客との間で中立である」と顧客が誤解するおそれがある点に留意するとしています。乗合代理店が意図するのは通常「複数の保険会社の間で公平」ですが、読者は「保険会社側ではなく自分の側に立つ」という意味に取り得る、ということです。

次に実態の面。II-4-2-9(5) の注は、各保険会社間における「公平・中立」を掲げる場合には、商品の絞込みや提示・推奨の基準や理由等として、特定の保険会社との資本関係や手数料の水準その他の事務手続・経営方針などの事情を考慮することのないよう留意する、としています。

つまり「資本関係があっても開示すれば中立と書ける」わけではありません。手数料水準や資本関係を考慮して商品を絞っているなら、注記して「中立」と掲げるのではなく、「中立」と掲げないという判断になります。キャッチコピーを決める前に、自社の提案プロセスが実際にどうなっているかを確認してください。

なお意向把握義務(保険業法第294条の2)との関係で、相談の流れの説明は顧客の意向を把握してから提案する順序に沿って描いてください。フォーム入力だけで商品が確定するような見せ方は実際の募集プロセスと整合しません。

問い合わせフォームは「機微情報」の入口

保険代理店の問い合わせフォームは他業種とは扱いが違います。保険相談の性質上、持病・通院歴・服薬状況といった健康に関する情報が入力されやすいからです。

個人情報保護法第2条第3項は、病歴を含む一定の情報を要配慮個人情報と定義し、同法第20条第2項は、法令に基づく場合など限られた例外を除きあらかじめ本人の同意を得ないで取得してはならないと定めています。

保険業はさらに、個人情報保護委員会・金融庁の「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」(令和6年3月)の対象です。同ガイドライン第5条は、要配慮個人情報に加えて労働組合への加盟、門地、本籍地、保健医療および性生活に関する情報を機微(センシティブ)情報とし、限定列挙された場合を除いて取得・利用・第三者提供を行わないこととしています(本人や国の機関等により公開されているもの、目視・撮影で取得する外形上明らかなものは除く)。例外には、保険業その他金融分野の事業の適切な業務運営を確保する必要性から、本人の同意に基づき業務遂行上必要な範囲で取得・利用・第三者提供する場合が含まれます。

つまりフォーム設計は「聞けるか」ではなく「どの段階で、どういう同意のもとで聞くか」の問題です。

フォーム項目設計の考え方
氏名・連絡先・希望日時通常の個人情報。利用目的を明示して取得する
相談したい保険の種類・世帯構成通常の個人情報。ここまでで一次受付は成立する
持病の有無・通院歴・服薬状況機微情報に該当し得る。Web上で不用意に集めない。必要性が生じる面談・申込段階で、同意を得たうえで所定の様式により取得する運用に寄せる。自由記述欄には「健康状態など詳しい内容は面談時にお伺いします」と添え、入力を誘導しない

加えて個人情報保護法第21条第1項は、個人情報を取得した場合、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き速やかに本人に通知するか公表することを求めています。さらに第2項は、本人から直接書面(電磁的記録を含む)で取得する場合にあらかじめ利用目的を明示することを求めており、Webフォームはこちらに当たります。フォーム画面からプライバシーポリシーへの導線を置き、所属保険会社への情報提供が発生するならその旨も記載してください(プライバシーポリシーの雛形と書き方)。

SSL化とプライバシーポリシー設置は前提であって本題ではありません。本題は入力項目そのものの設計です。

ここまでで載せるべきものの輪郭は決まりました。実際の構成は、たたき台を一度形にしてから点検するほうが早く進みます。

ホームページ、できてから決めませんか?

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保険代理店ホームページの必須コンテンツ一覧(コピペチェックリスト)

保険代理店のホームページに必要なコンテンツは、法定層・信頼層・集客層の3層に分けると漏れがなくなります。

法定層は、法令が求める事項を読者が確認できる状態にしておく領域です。勧誘方針のようにウェブ掲載そのものが求められるものと、明示すべき4項目のように媒体を問わない明示義務をサイトで満たすものが混在します。いずれも集客効果とは無関係に最初に埋めます。商品内容に踏み込まないため承認フローの外側で用意でき、着手初日から進められます。

信頼層は、相談を決めるかどうかを左右する領域です。保険は無形で長期の契約になるため、読者が知りたいのは商品スペックより「誰が、どういう手順で、どこまで面倒を見てくれるのか」です。

集客層は見つけてもらうための領域です。ここが弱いと他を整えても読者が到達せず、ここだけ強くしても信頼層が空なら問い合わせにつながりません。3層は順番に積むもので、どれか1つでは機能しません。

次の表は、そのままスプレッドシートやNotionに貼って進捗管理に使えます。

層コンテンツ根拠・ねらい状態
法定層明示すべき4項目(前掲の表を参照)法第294条第3項・規則第227条の2第12項☐
法定層勧誘方針の掲載金融サービス提供法第10条・施行令第14条第3号☐
法定層プライバシーポリシー(機微情報の扱いを含む)個人情報保護法第21条ほか☐
法定層苦情・相談窓口顧客対応の起点。所属保険会社の窓口も併記☐
信頼層取扱保険会社の一覧と、提案の絞り込み方針監督指針II-4-2-9(5)☐
信頼層募集人・スタッフ紹介(届出済みであることを社内確認)法第302条(損保代理店等)/誰に相談するかの不安を解消☐
信頼層相談の流れ(意向把握→提案→説明→確認の順序)法第294条の2との整合☐
信頼層相談事例(個人が特定されない形。具体的な成果数値は書かない)相談前の不安解消☐
信頼層よくある質問問い合わせ前の疑問を先に潰す☐
集客層対応エリア・アクセス・駐車場・営業時間ローカル検索の受け皿☐
集客層相談予約フォーム(機微情報を集めない設計)一次受付☐
集客層電話・LINE等の複数チャネル導線世代による選好差に対応☐
集客層オンライン相談の案内商圏拡大☐
集客層法人向けページ(法人開拓を狙う場合)個人と法人で意思決定が違う☐
集客層採用ページ(募集人採用を狙う場合)人材難への対応☐

相談事例を書くときは、匿名の事例に具体的な金額や削減率を書かないでください。実在の契約に基づかない数値は誤解を招く表示になりかねず、実在の契約に基づく場合も個人が特定されるリスクがあります。「保障の重複を整理し、必要な保障を残す形に見直した」といった定性的な記述に留めるのが安全です。

信頼層の3点セットに何を書くか

3層のうち書き方でいちばん差がつくのが信頼層です。核は次の3つです。

募集人紹介は肩書と資格の羅列では足りません。読者が知りたいのは「自分と近い立場の相談を扱ったことがあるか」なので、得意分野(法人/個人、生保/損保、相続、事業承継など)とその分野に取り組む理由を本人の言葉で書き、顔写真を添えます。

相談の流れは意向把握義務(法第294条の2)と整合する順序で書きます。「ご希望をうかがう → 意向に沿った商品をご提案 → 内容をご説明 → ご意向と合っているかご確認いただく」です。各ステップの所要時間を添えると初回相談のハードルが下がります。

売り込まない旨の明示は、保険相談で最も強い離脱要因に直接答える部分です。「その場で契約を迫ることはありません」と書けるかどうかで問い合わせ率が変わります。ただし書いた以上は実際にそう運用してください。

ページ全体の組み立て方はホームページの構成の考え方、採用ページを本格的に作る場合は採用サイトの作り方を参照してください。

承認フローの要否でページを分ける

必要なコンテンツが決まったら、次は並べ方です。ここまでの規制からは一つの結論が出ます。商品内容に踏み込むページと踏み込まないページを、最初から分けて設計するべきだということです。

線引きはどこから始まるか

線引きの手がかりは自主基準にあります。生命保険協会の適正表示ガイドラインは、対象を「募集用の資料等(広告も含む)」としたうえで、商品名や会社名のみを訴求する広告など、具体的な商品内容に触れないものは対象としないと明記しています。前述のとおり拘束力のない自主基準ですが、「どこから点検対象になるか」の区別としては実務で使えます。最終的な線引きは所属保険会社の基準で確認してください。

領域ページ例更新のたびに承認が要るか
商品内容に踏み込む商品紹介、保険料例、比較表、シミュレーション要。原稿を承認フローに乗せる前提で作る
踏み込まない会社概要、勧誘方針、スタッフ紹介、相談の流れ、アクセス、お知らせ、地域の話題相対的に軽い。自社で回せる領域

この2領域をディレクトリで分離し、CMSの権限も分けるのが設計上の要点です。商品系は /products/ 以下にまとめて承認済みの文言だけを流し込み、会社・人・相談の流れは自社で更新する。更新のたびに全社的な点検が走る事態を避けられ、運用コストが構造的に下がります。

登録番号は原則掲載、省略を自己判断しない

同ガイドライン6.(3)は、募集人が使用する募集用の資料等には、当該保険商品を提供する保険会社が承認していることを顧客に明確に示す観点から、原則として登録番号を掲載するよう留意すべきものとしています。バナー広告等でスペースに制約がある場合など省略が考えられる類型もありますが、省略には保険会社の承認と対象資料の一覧管理が前提です。自己判断で省略しないでください。

Web特有の緩和:リンクボタンで必要表示事項を示す

同ガイドラインは表示基準として興味深い扱いを示しています。インターネット上のホームページにおいて、保険料等を表示したページから必要表示事項を表示したページへのリンクボタンを分かりやすく設けており、それをもって確認していただく旨を表示する場合には、必要表示事項を表示しているものとみなすことも可能とする、というものです(ここでいう必要表示事項は同ガイドラインが定めるものを指します)。

紙の資料では同一紙面に必要表示事項を置くことが求められるのに対し、Webではリンクで代替できる余地がある。ホームページに有利に働く数少ないポイントです。実装としては、保険料や保障内容を示す表示の近くに「ご注意いただきたい事項」へのリンクボタンを置き(テキストリンクとして本文に埋没させない)、リンク先を1ページにまとめて商品ごとに参照できるようにします。

ただしこれも前掲のとおり拘束力のない自主基準の考え方です。リンク方式で足りるかは、生保・損保いずれについても所属保険会社の基準で必ず確認してください。

作り方5択の比較と5年TCO

作り方は大きく5つです。費用相場の一般論はホームページ制作の費用相場に譲り、ここでは保険代理店固有の増分に絞ります。

手段初期費用の目安月額の目安保険代理店としての向き不向き
ノーコードで自作0〜5万円1,000〜5,000円法定層と信頼層だけの小さなサイトなら成立。商品内容に踏み込むなら承認フローを自分で回す
AIツールで生成0〜3万円0〜3,000円たたき台向き。生成文をそのまま公開せず表記チェックを通す
フリーランスに依頼10万〜80万円0〜2万円小規模サイト向き。保険業法の知識は期待せず原稿責任を自社に置く
中小の制作会社に依頼30万〜150万円1万〜5万円最も一般的。体制がある分、抜け漏れが少ない
保険業界特化の制作サービス各社により幅がある各社により幅がある承認フローに慣れている点が価値。テンプレート型だと差別化が効きにくい

自作の詳細はノーコードでのホームページ作成、AI活用はAIでのホームページ制作にまとめています。

5年で見るとどうなるか

TCO(総保有コスト)とは、初期費用・月額・更新費用を数年分積み上げた総額のことです。ホームページは初期費用より公開後に何回書き換えるかで総額が変わります。保険代理店では商品改定・保険料改定・取扱保険会社の増減のたびに商品系ページの更新と承認フローが発生するため、この頻度を織り込まないと見積りが実態と合いません。

手段初期月額×60ヶ月更新代行(年2回想定)5年総額の目安
ノーコードで自作3万円18万円0円(自社対応)約21万円
AIツールで生成2万円6万円0円(自社対応)約8万円
フリーランスに依頼50万円60万円30万円約140万円
中小の制作会社に依頼100万円180万円60万円約340万円

※ 初期費用は上表レンジの中位付近を丸めた想定値、月額と更新代行は一般的な目安として置いた想定値です。各社の実際の見積りにより変動し、特定のサービスの価格ではありません。 ※ 保険業界特化の制作サービスは各社の価格差が大きく、公開されている数値も各社の自社価格であって相場ではないため、5年総額の目安は示していません。見積り時は商品ページの更新が定額内に含まれるかを必ず確認してください。維持費の内訳はホームページの維持費・ランニングコストで詳しく解説しています。

制作費に補助金を充てられる可能性もあります。要件と時期は年度ごとに変わるため、小規模事業者持続化補助金とホームページで最新の考え方を確認してください。

保険代理店が制作会社を選ぶときの3つの質問

制作会社選びの一般的な基準はホームページ制作会社の選び方に譲り、ここでは固有の質問だけを挙げます。相見積もりの段階でこの3つを聞くと実力差が出ます。

  1. 原稿の最終責任はどちらが持つ契約になりますか。 表記が募集規制に触れた場合の修正費用の負担まで詰めます。曖昧なまま進むと、承認フローで戻された分が追加請求されます。
  2. 承認フローに合わせた進行の経験はありますか。 なくても構いませんが、その場合は「原稿確定→承認待ち→実装」を見積りの工程に組み込んでもらいます。承認待ちを制作期間に含めない見積りは必ず後ろ倒しになります。
  3. 商品ページの文言を自社で差し替えられますか。 できない場合の作業単価と、取扱保険会社が増えたときのページ追加費用も確認します。

シタミの料金プランは料金ページで確認できます。対話に答えるとサイトの形になるところまでは無料で試せるため、社内で企画を通す前のたたき台づくりに使えます。

公開までの手順(承認フローを組み込んだ7ステップ)

一般的な制作の流れはホームページ制作の流れにまとめていますが、保険代理店では所属保険会社とのやり取りが2回入る点が違います。

ステップやること所要の目安
1目的を決める(新規相談の獲得/既存顧客の信頼/募集人採用のどれが主目的か)1週間
2所属保険会社に「どこまで自社で作れるか」を確認する1〜3週間
3サイト構造を設計する(商品系と非商品系をディレクトリで分離)1週間
4法定層の原稿を確定する(明示すべき4項目・勧誘方針・プライバシーポリシー)1週間
5商品系の原稿を作り、承認フローに乗せる2〜6週間
6制作・実装。フォーム項目を法務観点で最終確認する2〜6週間
7公開。表示速度・SEO・アクセシビリティの技術面を点検する1週間

ステップ2で聞いておくべきこと

この確認を飛ばすとステップ5で作り直しが確定します。制作会社を選ぶ前に、最低限この5点を押さえてください。

  • 代理店が自ら募集用の資料等を作成してよいか、保険会社が作成したものだけを使う取り決めか
  • 作成してよい場合、承認を申請する窓口と標準的な所要日数
  • 登録番号の掲載ルール(掲載するか、省略が認められるか)
  • ロゴの使用可否と、使用する場合の表示ルール
  • 比較表や保険料例を自社サイトに掲載してよいか

差し戻しは想定内の工程です。指摘を「この商品固有のもの」と「表記ルール全般のもの」に仕分け、後者はサイト全体を検索して一括で直します。1ページずつ再申請すると同じ指摘で何往復もします。

ステップ7の技術面はホームページ品質チェックツールで自動診断できます。表示速度・SEO・アクセシビリティ・ベストプラクティスの観点をURLを入れるだけで測れます。ただしこのツールは技術的な指標を測るものであり、必須ページ構成の充足や法令上の表示要件は点検できません。法定層のチェックは本記事のチェックリストと所属保険会社の基準で別途行ってください。

集客設計:地域×相談意図と、商品名クエリの落とし穴

Web集客は検索クエリを2種類に分けると設計しやすくなります。

相談意図のクエリは「◯◯市 保険相談」「保険 見直し 相談 ◯◯区」のような、人に相談したいという検索です。自社の対応エリア・相談の流れ・スタッフ紹介で応えられ、商品内容に踏み込まずに書けるため承認フローの外側で自由に増やせるという運用上の利点があります。

商品名クエリは「◯◯生命 △△保険 評判」のような検索です。応えようとすると必然的に商品内容に踏み込むため承認フローの内側に入り、加えて他社商品との比較になりやすく第300条第1項第6号の領域に直行します。集客効率だけを見て手を出す領域ではありません。

エリアページとコラムの作り方

「対応エリア一覧」に市区町村名だけを並べるページは、内容が薄く読者にも価値がありません。主要な商圏に絞ってエリアごとに独立したページを作り、交通手段と駐車場、対応している相談内容、担当者、オンライン相談の可否といったそのエリアの読者にしか意味のない情報を入れてください。商品内容に触れないため承認フローの外側で運用できます。Googleビジネスプロフィールも併せて整備し、屋号・住所の番地表記・電話番号・営業時間をサイトと一致させてください。ずれているとローカル検索での評価が安定しません。

継続的に更新するコラムは、公的制度の解説に寄せるのが有効です。厚生労働省や日本年金機構などの一次情報を出典に書けるため、商品比較に踏み込まずに専門性を示せます。承認フローの外側で書けて、かつ引用されやすい領域です。

記事タイトルの粒度まで落とすと、たとえば次のようなテーマです。

  • 高額療養費制度の自己負担限度額は年収でどう変わるか
  • 傷病手当金はいくら・いつまで受け取れるか
  • 遺族基礎年金と遺族厚生年金は誰がいくら受け取れるか
  • 介護保険の自己負担割合と、要介護度別の支給限度額
  • 会社員が退職したときの健康保険の選択肢(任意継続・国保・扶養)

いずれも「公的制度でここまで賄える」を示し、足りない部分の相談へつなげる導線になります。商品名を出さずに書けるため承認フローに乗せる必要がなく、地域名を絡めなくても検索需要があります。制度は改正されるため、施行日と出典の取得日を明記し、年度替わりに見直す運用をセットにしてください。

集客施策の一般論はホームページ集客の考え方にまとめています。

AI検索(AI Overview)に拾われる書き方

AI検索とは、検索エンジンや対話型AIが複数のページを読んで回答を生成する仕組みです。保険領域は正確性が重視されるため出典が明示された記述が引用されやすい傾向があります。制度解説のコラムでは次の4点を守ってください。

  • 厚生労働省・金融庁・各協会など一次情報のURLを本文中に明記する
  • 見出しの直下1〜2文を「◯◯とは、◯◯です」という定義文にする
  • よくある質問を、実際に検索される質問文そのままの形にする
  • 数値には「(出典: ◯◯、20XX年)」の形で発行機関と年を添える

うまくいかないときの失敗診断表

公開したのに問い合わせが来ない原因は、いくつかのパターンに分かれます。症状から逆引きしてください。

症状考えられる原因打ち手
検索しても自社サイトが出てこない対応エリアと相談内容のページがなく、拾えるクエリが存在しないエリアページと相談内容別ページを作る。Googleビジネスプロフィールを整備し、サイトと表記を揃える
アクセスはあるが問い合わせがない誰に相談するのかが見えず、相談の心理的ハードルが下がっていない前掲の信頼層3点セット(募集人紹介・相談の流れ・売り込まない旨の明示)を埋める
フォームまで来て離脱する入力項目が多すぎる。健康状態など答えにくい項目がある一次受付は氏名・連絡先・相談内容に絞る
スマートフォンで表示が崩れる・表示が遅い画像が最適化されていない。比較表が横スクロールで読めない画像を圧縮し、比較表を縦積みに切り替える
公開後に更新が止まった更新のたびに承認が必要な構造になっており、心理的コストが高い非商品系ページのCMS権限を現場担当者に開放し、承認不要で書ける範囲を明示する
承認フローで毎回大量に差し戻される表記ルールが原稿作成者に共有されていない過去の差し戻し内容をチェックリスト化し、原稿作成時に自己点検する

技術面の可能性を潰したい場合はホームページの品質チェック項目を確認してください。

よくある質問(FAQ)

保険代理店のホームページ制作費用の相場はいくらですか?
ノーコード自作なら初期0〜5万円、フリーランスへの依頼なら10万〜80万円、中小の制作会社なら30万〜150万円程度が目安です。保険代理店に固有の増分は、商品ページの原稿を所属保険会社の承認フローに乗せる工数と、商品改定のたびに発生する更新費用です。見積り時は、原稿の最終責任の所在、承認待ち期間が工程に入っているか、商品ページを自社で差し替えられるかの3点を確認してください。
ホームページの公開に所属保険会社の承認は必要ですか?
掲載内容によります。具体的な商品内容に踏み込む場合は募集用の資料等として扱われ、所属保険会社との取り決めに基づく作成可否の判断と承認が前提になるのが一般的です。会社概要やアクセスなど商品内容に触れない部分の扱いも含め、着手前に所属保険会社へ確認してください。制作会社を選ぶより先にこの確認を済ませると、作り直しを避けられます。
勧誘方針はホームページに載せる必要がありますか?
原則として必要です。保険契約の締結の代理・媒介を業として行う保険代理店は、金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律上の金融商品販売業者等にあたり、勧誘方針を定めて公表する義務があります。同法施行令第14条は、本店や営業所での掲示等に加えてインターネットでの公衆の閲覧に供することを求めており、令和6年内閣府令第102号はその方法を自社ウェブサイトへの掲載と定めています。例外は、常時使用する従業員が20人以下か広告用の自社サイトがない場合と、電子情報処理組織を使用する方法による金融商品の販売等を行わない場合の両方に当てはまるときだけです。前者は小規模な代理店の多くが当てはまるため、実質的には後者で決まります。オンラインで申込みや契約手続まで受け付けるなら例外には当たりません。相談予約の受付にとどまる場合の該当性は所属保険会社と確認してください。定めない、または公表しない場合は50万円以下の過料の対象です。
「取扱◯社」「業界最安」といった表現は使えますか?
「取扱◯社」は社数を掲げるだけでは足りず、金融庁の監督指針は、乗合代理店が商品を絞り込んで提示・推奨する場合にその基準や理由を説明することを求めています。「業界最安」のような最上級表現については、生命保険協会が会員各社すなわち生命保険会社向けに定める適正表示ガイドラインが、根拠となった調査方法・出典または前提条件の表示を求めています。ただしこのガイドラインは拘束力を持たず、代理店を直接拘束するものでも損害保険に適用されるものでもありません。生保・損保を問わず代理店を直接拘束するのは保険業法施行規則第234条第1項第4号で、判断に影響する重要な事項について誤解させるおそれのある表示を禁じています。加えて景品表示法も及び、実際のものより著しく優良であると示す表示や、著しく有利であると一般消費者に誤認される表示のうち、不当に顧客を誘引し一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるものを禁じています。根拠を併記できないなら使わないのが安全です。
保険商品の比較表をホームページに載せてもよいですか?
載せる場合は金融庁の監督指針が示す条件を満たす必要があります。客観的事実に基づかない数値、必要な事項を包括的に示さず一部のみの表示、長所のみの強調、同等でない保険種類間の比較、現に提供されていない契約との比較、誹謗中傷目的の短所強調は避けるべき類型とされています。また比較表示には保険期間、保障内容と主な免責事由、引受条件、特約、保険料率・保険料、払込方法、払込保険料と満期返戻金の関係などを含めることが求められ、あわせて他社商品の特性等について不正確なものとならないための措置も必要です。対象商品の契約概要を顧客が速やかに入手できる措置と、比較表はあくまで参考情報である旨の注意喚起文言も求められます。なお比較表は商品内容に踏み込むため、掲載前に所属保険会社の承認が前提になるのが一般的です。
問い合わせフォームで持病や通院歴を聞いてもよいですか?
病歴を含む一定の情報は個人情報保護法上の要配慮個人情報にあたり、原則としてあらかじめ本人の同意を得ないと取得できません。さらに保険業は金融分野における個人情報保護に関するガイドラインの対象で、保健医療に関する情報は機微情報として原則的に取得・利用・第三者提供しないこととされています。Webフォームでの一次受付は氏名・連絡先・相談したい保険の種類程度に絞り、健康状態は面談・申込の段階で同意を得たうえで所定の様式により取得する運用が無難です。

まとめ:今日から始める3ステップ

保険代理店のホームページ制作は、デザインの前に表示ルールを設計するとうまくいきます。最後に、今日から動ける順序に整理します。

  1. 所属保険会社に確認する。 どこまで自社で作れるか、承認フローはどうなっているかを、制作会社を選ぶ前に確認します。ここが全工程の起点です。
  2. 法定層から作る。 明示すべき4項目に加えて、勧誘方針とプライバシーポリシーを固めます。商品内容に踏み込まないため承認を待たずに進められます。
  3. 商品系と非商品系を分けて設計する。 ディレクトリとCMS権限を分けておくと公開後の更新が止まりません。更新が止まったサイトは、作らなかったのとほとんど同じです。

そのうえで集客は、地域×相談意図と制度解説から積み上げていくのが、規制と両立する最短ルートになります。

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