占い師のホームページ作成ガイド|特商法の表記・鑑定名・キャンセル規定まで【2026年版】

記事についての開示: この記事はシタミ編集部が作成しています。記事内に自社サービス「シタミ」の紹介を含みます。特定商取引法・消費者契約法・景品表示法・不当寄附勧誘防止法・個人情報保護法に関する記述は2026年9月時点のe-Gov法令検索の条文本体、および消費者庁・個人情報保護委員会の公式資料に基づく一般的な整理であり、法的助言ではありません。個別の表示の可否や契約条件の設計は、必ず弁護士・消費生活センター・消費者庁の窓口にご確認ください。
占い師のホームページを検索すると、出てくるのはデザイン事例集と制作会社の比較記事ばかりです。星や月をあしらった配色、神秘的なフォント、鑑定メニューの並べ方。どれも間違ってはいません。
ただ、それらの記事が一本残らず触れていないことがあります。オンラインで鑑定を売る占い師は、法律上「通信販売」の事業者として整理されるという一点です。通信販売になると、ホームページに何を書かなければならないかが法律で決まります。しかもその中には、多くの占い師にとって一番書きたくないもの、つまり本名と住所と電話番号が含まれています。
この記事は、デザインの話から始めません。表記から逆算してホームページの設計を組み立て直します。世界観は、表記の要件を満たしたうえで作るものだからです。順序を逆にすると、公開したあとにページ構成をやり直すことになります。
個人事業主に共通する開業手続き・制作費の勘定科目・補助金の使い方については個人事業主のホームページ作り方完全ガイドで扱っているため、この記事では占い師に固有の論点に集中します。
この記事でわかること
- オンライン鑑定・メール鑑定・電話占いが特定商取引法の「通信販売」に該当する理由(特商法 第2条第2項、同法施行規則 第2条)
- 鑑定名(活動名)は特商法の表記に使えないこと、そして商号登記という解決策(消費者庁 通信販売広告Q&A Q16)
- 自宅住所・電話番号を公開せずに済ませる2つの方法(同Q17・Q18)と、うち1つは本名もまとめて省略できること(同Q15)。私書箱は使えない理由(同Q19)
- 「霊感等」による勧誘の取消権が、通常の1年・5年ではなく3年・10年残る仕組み(消費者契約法 第4条第3項第8号、第7条第1項)
- 「必ず当たる」が使えない構造的な理由と、NG/OK対照表15項目(景品表示法 第7条第2項の不実証広告規制)
- 不当寄附勧誘防止法は個人の占い師には原則として適用されないという線引きと、例外になる場面(同法 第1条、第2条第1号、第4条、第8条第3項)
- 通信販売として提供する鑑定に法定のクーリングオフは存在しない、だからこそキャンセル規定を自分で書く必要があるという非対称(特商法 第15条の3、第11条第5号)
- 相談フォームで要配慮個人情報を受け取っても同意なく取得したことにはならない理由と、本当に気をつけるべき4点(個人情報保護法 第2条第3項・第20条第2項・第17条・第21条・第23条・第27条、個人情報保護委員会ガイドライン通則編)
- プラットフォームの手数料と自社サイトの制作費を同じ土俵に載せた5年間の総額比較
結論|占い師のホームページは「世界観」より先に「表記」で決まる
占い師のホームページとは、鑑定という役務を販売するための広告であり、法律上は通信販売の広告として扱われる可能性が高いページです。この一文が、この記事の結論のすべてを含んでいます。
多くの占い師が最初に悩むのは「どんなデザインにするか」ですが、実際に公開後につまずくのは次の3点です。
- 特定商取引法に基づく表記のページに、本名と住所と電話番号を書けと言われて手が止まる
- 「当たる」「必ず良くなる」と書きたいが、どこまでが許容範囲か分からない
- キャンセルされたときのルールを決めていなかったので、その場で揉める
いずれもデザインの問題ではありません。先に決めておけば5分で済み、後から直すと全ページの構成に響く類の問題です。だから表記から始めます。
なお、対面鑑定だけで、ホームページは店舗の案内板としてしか使わない場合は話が変わります。この記事では「ホームページから予約や申込みを受ける」ケースを中心に扱い、対面のみのケースとの違いも随時示します。
占い師にホームページが必要な3つの理由
占い師にとってのホームページとは、プラットフォームに支払い続けている手数料を、自分の資産に置き換えるための装置です。集客の入口を増やすだけの話ではありません。
理由1|プラットフォーム手数料は「売れ続けるほど」重くなる
ココナラや電話占いサイトは、集客の手間を肩代わりしてくれる代わりに、成約のたびに手数料を取ります。ココナラは2021年4月12日に、電話相談サービス以外の取引(テキストサービス・ビデオチャットサービス・有料ブログ)について販売手数料を「従来の27.5%(税込)から一律22%(税込)に改定」し、同じく電話相談サービス以外の取引で購入者側にも「購入金額の5.5%(税込)」のサービス手数料を導入しました。いずれも対象から電話相談が外れており「電話相談サービスに変更はございません」と注記されているため、占い師が最も使う電話相談は、販売手数料27.5パーセント(税込)が据え置かれていると読めます(購入者側の5.5%は電話相談には掛かりません)。さらにビデオチャットサービスは、2025年4月16日以降に開いたトークルームから「従来の22%(税込)」が「27.5%(税込)」に改定されました(出典: ココナラ「本日より、『購入時のサービス手数料の導入』および『販売時の手数料の改定』を行いました」、ココナラ「【予告】2025/4/16(水)以降、ビデオチャットサービス販売時の手数料、出品ルールの改定をいたします」。料率は改定されるため、実際の数字は必ず最新の公式情報を確認してください)。
ここで重要なのは、この手数料が売上に比例して永久に発生することです。月商10万円なら電話相談で約2万7千円、月商30万円なら約8万2千円が毎月出ていきます。一方、ホームページの費用は初期にまとまって発生し、その後は維持費だけになります。売れれば売れるほど、自社サイトの相対的な安さが効いてくる構造です。5年間の総額比較は「プラットフォーム依存からの脱却設計と5年TCO」の章で具体的に示します。
理由2|指名検索の受け皿がないと、せっかくの信頼が他人に渡る
対面鑑定やイベント、SNSであなたを知った人は、次に必ず名前で検索します。そのとき最上位に出るのがプラットフォームのプロフィールページだと、その人はプラットフォーム経由で申し込むことになり、手数料が発生します。さらに、そのページには他の占い師の広告も並んでいます。自分が獲得した見込み客を、競合が並ぶ棚に案内している状態です。
指名検索の受け皿としてのホームページは、SEOで新規流入を取る話とは別問題です。上位表示を狙わなくても、名前で検索した人が最初に見る場所を自分で持つ意味があります。検索経由の集客をこれから伸ばしたい場合はホームページ集客の進め方も参考にしてください。
理由3|鑑定前の不安を、鑑定時間を使わずに解消できる
占いの相談者は、申し込む前に強い不安を抱えています。いくらかかるのか、途中で高額なものを勧められないか、相談内容が漏れないか。これらに鑑定の冒頭10分を使っていると、本来の鑑定時間が削られます。
料金体系、キャンセル規定、相談内容の取扱い、鑑定の進め方をページに書いておけば、その説明は一度書くだけで済みます。この記事で扱う法務要件は、そのまま「不安に先回りして答えるコンテンツ」になります。義務を果たすことと、信頼を得ることが同じ作業になる、珍しい業種です。
占い師のホームページに関係する5つの法律を1枚に整理する
占い師に関係しうる法律は主に5つありますが、そのうち1つは個人の占い師には原則として適用されません。ここを混同したまま「霊感商法の規制で占いは危ない」と言われることが多いので、まず射程を整理します。
| 法律 | 何を規律するか | 個人事業主の占い師への適用 | よくある誤解 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|---|
| 特定商取引法(通信販売) | ネットや電話で申込みを受けて役務を提供する場合の広告表示 | 適用される(オンライン鑑定・メール鑑定・電話占い) | 「物を売っていないから関係ない」→ 役務も対象 | 第2条第2項、第11条、施行規則第23条 |
| 消費者契約法 | 事業者と消費者の契約における取消権 | 適用される(有償の鑑定契約) | 「占うこと自体が規制される」→ 規制されるのは不安をあおる勧誘 | 第4条第3項第8号、第7条第1項 |
| 景品表示法 | 商品・役務の表示における優良誤認・有利誤認 | 適用される(「当たる」等の表現) | 「実際に当たっているなら書ける」→ 根拠資料を出せなければ優良誤認とみなされる | 第5条第1号、第7条第2項 |
| 不当寄附勧誘防止法 | 法人等による寄附の不当な勧誘 | 原則として適用されない(例外は後述) | 「霊感商法の規制で占いも対象になった」→ 主体が法人等、客体が無償の寄附に限られる | 第1条、第2条第1号、第4条、第8条第3項 |
| 個人情報保護法 | 相談者から取得する情報の取扱い | 適用される(相談内容・予約情報) | 「小規模だから対象外」→ 取り扱う件数に下限はない | 第2条第3項、第16条第2項、第17条、第20条第2項、第21条、第23条、第27条 |
「許認可は不要」で話を終わらせてはいけない
占い師の開業について調べると、ほぼ必ず「特別な資格や許認可は必要ありません」と書かれています。これは正しい記述です。占い業そのものを免許制にする業法は存在せず、開業届(所得税法 第229条の開業等の届出)を出して事業を始めることができます。
ただし、許認可が不要であることと、表示義務がないことは別の話です。免許は要らないが、ネットで鑑定を売るなら特定商取引法の表示義務は掛かります。この接続が抜けたまま「資格不要」だけを読むと、ホームページを公開してから表記の不備を指摘されることになります。
開業届については、職業欄の書き方を迷う人が多いところです。占い師の場合は「占い師」「鑑定業」「運勢鑑定業」など、実際の活動が伝わる書き方で構いません。職業欄の記載が事業の許認可を左右するわけではないため、ここで悩む必要はありません。ホームページの設計に効いてくるのは、開業届ではなく屋号の扱いのほうです。この点は次の章で詳しく扱います。
ここからは、占い師固有の論点に入ります。
特定商取引法|オンライン鑑定は「通信販売」になる
特定商取引法における通信販売とは、事業者が郵便や電話・インターネットなどで契約の申込みを受けて、商品や役務を提供する取引のことです。占いの鑑定は、この定義の「役務」に当たります。
なぜ鑑定が通信販売なのか
条文を順に辿ると、逃げ道がないことが分かります。
特定商取引法 第2条第2項は通信販売をこう定義しています。
この章及び第五十八条の十九において「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法(以下「郵便等」という。)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは特定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう。
ポイントは3つです。
第一に、主語に「役務提供事業者」が含まれています。同法第2条第1項第1号の括弧書きで「役務の提供の事業を営む者」と定義されており、有償で鑑定を提供する占い師はこれに当たります。物を売っていないから関係ない、とはなりません。
第二に、「郵便等」の中身です。同法施行規則 第2条は、法第2条第2項の主務省令で定める方法として、郵便・信書便のほか「電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法」を挙げています。ホームページの申込みフォーム、メール、電話、チャットアプリは、いずれもここに含まれます。
第三に、「電話勧誘販売に該当しないもの」という除外です。これは後述しますが、こちらから電話をかけて勧誘した場合は別区分になり、規制がさらに重くなります。
つまり、ホームページのフォームやメール、あるいはかかってきた電話で鑑定の申込みを受けて有償で鑑定を行うなら、それは通信販売です。対面鑑定のみで、ホームページは営業時間と地図を載せた案内板にすぎない場合は、通信販売の広告には当たらないと整理できます。ただし「オンライン鑑定も受け付けています」と一行書いた時点で、その一行が通信販売の広告になり得ます。
表示しなければならない事項の一覧
特定商取引法 第11条と同法施行規則 第23条が定める表示事項を、占いの鑑定に読み替えると次のようになります。
| 根拠 | 表示事項 | 占い師の場合の書き方 |
|---|---|---|
| 法11条1号 | 役務の対価 | 鑑定料。税込か税別かを明記 |
| 法11条2号 | 対価の支払の時期及び方法 | 事前決済/鑑定後請求、クレジットカード・銀行振込等 |
| 法11条3号 | 役務の提供時期 | 「お申込みから3営業日以内に日程調整」「メール鑑定は7日以内に納品」など |
| 法11条4号 | 申込みの期間の定めがあるときはその旨と内容 | 期間限定メニューを出すときのみ |
| 法11条5号 | 申込みの撤回又は解除に関する事項 | キャンセル規定。定めがなくても書く必要がある(後述) |
| 規則23条1号 | 事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号 | ここが最大の論点(後述) |
| 規則23条2号 | 法人の場合の代表者名または通信販売業務の責任者名 | 個人事業主には不要 |
| 規則23条4号 | 対価以外に負担すべき金銭があるときはその内容と額 | 振込手数料、延長料金、鑑定書の郵送料など。額を明示できるものが対象で、通信事業者に支払う通話料はここには馴染まない(誰の負担かは別途案内する) |
| 規則23条5号 | 引き渡された商品の契約不適合責任について定めがあるときはその内容 | お守り等の物販を併売する場合のみ |
| 規則23条7号 | 契約を2回以上継続して締結する必要があるときはその旨等 | 継続鑑定・月額サブスクを設ける場合 |
| 規則23条8号 | その他特別の提供条件があるときはその内容 | 年齢制限、対応できない相談内容の範囲など |
| 規則23条10号 | 通信販売電子メール広告をするときは事業者の電子メールアドレス | メールマガジンで鑑定を案内する場合 |
表にない号のうち、規則23条3号(外国法人・外国居住者の国内事務所)と6号(プログラムの販売や電子計算機を使って鑑賞させる役務など)は、鑑定のみを提供する国内の個人事業主には通常あてはまりません。9号は性格が違い、後述する「請求があったら提供する方式」を採るときに、その書面や電磁的記録の提供に実費を課すなら、その額を表示せよという規定です。無料で応じるなら記載は不要です。
書き方についても定めがあります。同法施行規則 第24条第2号は、役務の提供時期を「期間又は期限をもつて表示すること」としています。「なるべく早く」では要件を満たしません。同条第3号は、解除に関する事項について「顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示すること」と定めています。フッターの小さなリンクの奥に埋めるのではなく、料金を書いた場所の近くに同じ大きさで置くのが素直な対応です。
なお、規則23条2号は「販売業者又は役務提供事業者が法人であつて」と条件を付けているため、個人事業主として活動している占い師は代表者名を追加で書く必要はありません。1号の氏名を書けば足ります。
鑑定名は特商法の表記に使えない|最も実務に響く論点
占い師の鑑定名は、特定商取引法の表記における「氏名」としては使えません。ここが、占い師のホームページで最も実務に響く論点です。
規則23条1号が求めているのは「販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号」です。この「氏名」に、占い師として使っている活動名を当てはめられるか。消費者庁は明確に否定しています。
消費者庁の特定商取引法ガイド「通信販売広告Q&A」のQ16は、事業者の名称は屋号の表示で足りるかという問いに対し、個人事業者の場合は「戸籍上の氏名又は商業登記簿に記載された商号」を表示する必要があるとし、「通称や屋号、サイト名のみを表示することは認められません」と回答しています(出典: 消費者庁 特定商取引法ガイド 通信販売広告Q&A。以下、同Q&Aから引用します)。
占い師の鑑定名は、まさにここでいう「通称」です。「星読みサロン ○○」も「タロット鑑定士 △△」も、氏名の欄に書いて済ませることはできません。では、どうするか。取り得る選択肢は4つです。
| 選択肢 | 内容 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| A. 本名を表記する | 特商法表記のページにのみ戸籍上の氏名を書き、サイト全体のブランディングは鑑定名で行う | 本名の公開に抵抗がなく、費用をかけたくない場合 | 検索で本名と鑑定名が結び付く。副業で勤務先に知られたくない場合は要検討 |
| B. 鑑定名を商号として登記する | 法務局で商号登記を行い、登記された商号を表記に用いる | 鑑定名を長く使う予定があり、本名を出したくない場合 | 登録免許税3万円が必要。同一の所在場所における同一商号は登記できない |
| C. 法人化する | 会社を設立し、法人名義で活動する | 事業規模が大きくなり、法人化のメリットが出てきた場合 | 設立費用と維持コスト。規則23条2号により代表者名または責任者名の表示が追加で必要になる |
| D. 氏名の表示自体を省略する | 請求があったら遅滞なく提供する旨を広告に表示し、実際にその体制を整える | 費用をかけず、本名も出したくない場合 | 省略であって免除ではない。請求があれば戸籍上の氏名を遅滞なく提供する義務は残る |
Dは見落とされがちですが、同Q&AのQ15が明示しています。事業者の氏名または名称の表示は原則として必要としたうえで、次のように述べています。
ただし、消費者からの請求によって、広告表示事項を記載した書面又は電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、事業者の氏名(名称)の表示を省略することも可能です。
条文側の建て付けも同じです。法11条ただし書は、請求により表示事項を記載した書面等を遅滞なく提供する旨を表示する場合に「これらの事項の一部を表示しないことができる」としており、規則25条2項が省略できる範囲から除外しているのは規則23条4号と6号から10号までで、氏名・住所・電話番号を定める規則23条1号は除外されていません。
ここで混同しやすいのは、Dは「鑑定名を氏名として表示してよい」という話ではないことです。氏名の欄そのものを置かず、請求があれば提供する旨を書くという選択です。鑑定名はあくまでサイトのブランド表示として残ります。Q16の「通称のみの表示は認められない」という建て付けは変わりません。
なお、後述する住所・電話番号の省略もこれと同じ仕組みです。
いずれの選択肢でも大事なのは、サイトの見せ方と法定表記は別レイヤーとして設計できるということです。トップページ、プロフィール、鑑定メニューはすべて鑑定名で構いません。「特定商取引法に基づく表記」という独立したページを1枚用意し、そこで法定の扱いを完結させる。この構造にしておけば、世界観を壊さずに要件を満たせます。
Bを選ぶ場合、商号登記は法務局で行う手続きです。屋号との違い、登記できる商号の条件、必要書類については管轄の法務局または司法書士に確認してください。開業届に書く屋号は登記された商号ではないため、開業届に屋号を書いただけでは、この要件は満たしません。ここは混同されやすい箇所です。
住所と電話番号を出したくないときの2つの経路と、使えない1つ
住所と電話番号についても、原則は表示ですが、条件を満たせば公開を避けられます。自宅で鑑定している占い師にとって、住所の公開は切実な問題です。相談者との関係が近くなりやすい業種であり、防犯上の懸念も現実的です。消費者庁のQ&Aは、この点について3つの異なる扱いを示しています。使えるのは2つ、使えない方法が1つです。
経路1:請求時提供方式(請求があったら遅滞なく提供する)
Q17は、住所と電話番号を必ず表示しなければならないかという問いに対し、原則として「住所」は現に活動している住所、「電話番号」は確実に連絡が取れる番号を表示する必要があるとしたうえで、消費者からの請求によって広告表示事項を記載した書面または電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、住所及び電話番号の表示を省略することも可能としています。
これは前節のDと同じ仕組みです。 つまりこの方式を選べば、氏名・住所・電話番号を一括で省略できます。
ここで注意したいのは「遅滞なく」の意味です。同Q&Aは「販売方法等の取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいいます」と説明しています。つまり、請求から数日放置してよいという話ではありません。問い合わせフォームを置いておくだけでなく、実際に短時間で返せる体制が前提になります。ひとりで鑑定を回している場合、この体制を維持できるかを冷静に見積もる必要があります。
経路2:バーチャルオフィス方式(プラットフォームの住所を使う場合を含む)
Q18は、バーチャルオフィス等の住所及び電話番号を表示することの可否について、3つの条件を示しています。
- 個人事業者がプラットフォーム事業者の住所及び電話番号を表示する場合、当該個人事業者の通信販売に係る取引の活動が、当該プラットフォーム事業者の提供するプラットフォーム上で行われること
- プラットフォーム事業者またはバーチャルオフィス運営事業者の住所及び電話番号が、当該個人事業者が通信販売に係る取引を行う際の連絡先としての機能を果たすことについて、当該個人事業者と当該プラットフォーム事業者または当該バーチャルオフィス運営事業者との間で合意がなされていること
- プラットフォーム事業者またはバーチャルオフィス運営事業者が、当該個人事業者の現住所及び本人名義の電話番号を把握しており、当該事業者と当該個人事業者との間で確実に連絡が取れる状態となっていること
2つ目の条件にある「合意」を落とさないでください。バーチャルオフィスは特商法表記への住所利用を規約で禁じていたり、別料金のオプションにしていたりする業者が少なくありません。契約前に、特商法表記に使う用途で合意できるかを必ず確認してください。
そのうえで同Q&Aは、個人事業者・プラットフォーム事業者・バーチャルオフィス運営事業者のいずれかが不誠実であり、消費者から連絡が取れないなどの事態が発生する場合には、特定商取引法上の表示義務を果たしたことにはならない、としています。
⚠️ ここに、ほとんど指摘されていない落とし穴があります。 1つ目の条件は、通信販売に係る取引の活動がそのプラットフォーム事業者の提供するプラットフォーム上で行われることです。ということは、ココナラで活動していても、自分のホームページの特商法表記にココナラの住所を書けば条件1を満たさず、表示義務を果たしたことにはならないと整理されます。自社サイトで申込みを受ける取引は、ココナラのプラットフォーム上で行われる取引ではないからです。
なおQ18は禁止規定ではなく、条件を満たせば「特定商取引法の要請を満たすもの」として扱われるという安全圏の提示です。したがって条件1を外れる使い方が直ちに違法と断じられるわけではありませんが、安全圏の外に出ることは確かです。自社サイトで直接受注しながら住所を出したくないなら、バーチャルオフィスの契約(条件2と条件3を満たすもの)か、経路1の請求時提供方式を選ぶのが素直です。プラットフォームからの脱却を進めるほど、この論点は避けて通れなくなります。
使えない方法:私書箱
Q19は私書箱について、「私書箱を表示しても、このような場所を表示したことにはならないので、『住所』の表示をしたことにはなりません」としています。私書箱は選択肢に入りません。
個人事業主が自宅住所を公開せずに事業を行う方法の一般論は、自宅住所を載せたくない個人事業主のための4つの対処法に専用の章があります。そちらは対処法を4つに整理していますが、占い師が自社サイトで直接受注する場合に現実的なのは、上記の2経路です。前節の「鑑定名と法定表記の分離」と組み合わせて設計してください。
予約フォームの最終確認画面にも表示義務がある
特商法表記のページを作れば終わり、ではありません。2022年6月に施行された特定商取引法 第12条の6は、申込みを受ける画面そのものにも表示を求めています。
同条第1項は、事業者が定める様式の書面や、電子計算機の映像面に表示する手続に従って顧客が行う申込み(これを「特定申込み」と呼びます)を受ける場合、その画面に次を表示しなければならないとしています。
- 当該役務提供契約に基づいて提供する役務の分量
- 当該役務提供契約に係る第11条第1号から第5号までに掲げる事項
「役務の分量」は、占いの場合「60分」「1回」「メール鑑定 往復2通まで」といった具体的な量です。予約フォームの確認画面に、鑑定時間・回数・料金・支払方法・提供時期・キャンセル規定が並んでいる状態を作る必要があります。
さらに同条第2項は、その画面において、送信が申込みになることについて人を誤認させるような表示、および前項各号の事項について人を誤認させるような表示を禁じています。「無料相談はこちら」というボタンを押すと有償鑑定の申込みが確定する、といった導線は、この規定に照らして問題になり得ます。
予約システムを外部サービスで用意する場合、その確認画面をどこまで編集できるかが要件を満たせるかどうかを分けます。選定時の具体的な確認点は、後述する「予約導線の設計」の章にまとめます。
こちらから電話をかけると、規制の区分が変わる
最後に、営業のやり方によって規制区分そのものが変わる点を押さえます。
特定商取引法 第2条第3項は電話勧誘販売を、事業者が電話をかけ、または政令で定める方法により電話をかけさせ、その電話で契約締結について勧誘を行い、相手方から郵便等により申込みを受ける取引と定義しています。通信販売の定義から「電話勧誘販売に該当しないもの」が除かれていたのは、この区分があるからです。
区分が変われば、規制も変わります。まず第18条と第19条により、申込みを受けたときと契約を締結したときに、それぞれ書面を交付する義務が生じます。通信販売にはない義務です。そのうえで第24条第1項は、電話勧誘販売において役務提供契約の申込みをした者は、書面を受領した日から起算して8日を経過するまでの間、申込みの撤回または契約の解除ができるとしています。クーリングオフです。さらに同条第3項は「販売業者又は役務提供事業者は、その申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない」と定めています。
ここで見落とされやすいのが起算点です。8日は「書面を受領した日から」数えます。書面を交付しない限り起算が始まらないため、撤回できる期間がいつまでも終わりません。つまり書面の交付は、事業者にとって義務であると同時に、クーリングオフ期間を確定させる唯一の手段でもあります。先延ばしにするほど不利になる性質のものだと理解してください。
つまり、相談者から申込みが来るのを待つ通信販売と、こちらから電話をかけて鑑定を勧める電話勧誘販売では、後者に書面交付義務とクーリングオフが付き、キャンセル料も取れません。リピート営業として過去の相談者に電話をかける運用を考えているなら、区分が移る可能性があります。
ただし例外があります。第26条第7項第1号は、第18条・第19条および第21条から第25条までの規定を「売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結するために電話をかけることを請求した者(電話勧誘行為又は政令で定める行為によりこれを請求した者を除く。)に対して行う電話勧誘販売」には適用しないと定めています。相談者のほうから「電話をください」と依頼してきた場合は、一定の条件のもとで書面交付義務もクーリングオフも適用されません。
⚠️ この「一定の条件」を、ホームページの設計者は必ず押さえてください。 括弧書きの「政令で定める行為」を追うと、同法施行令 第19条がこう定めています。
法第二十六条第七項第一号の政令で定める行為は、電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは電磁的方法により、若しくはビラ若しくはパンフレットを配布し、又は広告を新聞、雑誌その他の刊行物に掲載し、若しくはラジオ放送、テレビジョン放送若しくはウェブページ等を利用して、当該電話勧誘販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに電話をかけることを請求させる行為とする。
「ウェブページ等」が名指しされています。 つまり、ホームページに折り返し依頼のフォームを置いても、そのページでその電話が契約の勧誘のためのものだと告げていなければ、相談者は「政令で定める行為により請求した者」に当たり、例外から外れます。「無料でお電話相談を承ります」とだけ書いたフォームは、まさにこの類型です。例外に乗るつもりで作った導線が、逆に書面交付義務とクーリングオフを呼び込むことになります。
例外を使うなら、フォームの説明文に「このお電話では鑑定メニューのご案内・お申込みのご相談をいたします」と、勧誘目的であることを明示してください。あわせて、ここでいう「請求」は契約の申込みや締結のために電話をかけることを求めた場合を指すため、単に問い合わせへの折り返しを希望しただけで常に当たるとは限りません。こちらから電話して勧誘したうえで「かけ直してください」と言わせた場合も、括弧書きの「電話勧誘行為により請求した者」として除外されます。
なお、この例外が外すのは第18条・第19条と第21条から第25条までであって、第16条と第17条は外れません。第16条は電話勧誘販売をしようとするときに、勧誘に先立って事業者の氏名・勧誘者の氏名・役務の種類・その電話が契約締結の勧誘のためのものであることを告げるよう求めています。第17条は「契約を締結しない旨の意思を表示した者」への勧誘を禁じています。リピート営業で過去の相談者に電話をかける運用では、一度断られた相手をリストから外す仕組みがないと、まずこの第17条に触れます。 例外に乗る場合でも、電話口での名乗りと、断られた相手への再勧誘の禁止は残ります。判断が微妙な運用を組むなら、事前に専門家へ確認してください。
消費者契約法|「霊感等」による取消権は10年間残る
消費者契約法における霊感等の取消権とは、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見を用いて不安をあおり、契約が必要不可欠だと告げて締結させた場合に、消費者が契約を取り消せる制度です。占い師が最も正確に理解しておくべき条文です。
第4条第3項第8号の4つの要件を分解する
条文はこうなっています。
当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、当該消費者又はその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、そのままでは現在生じ、若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、又はそのような不安を抱いていることに乗じて、その重大な不利益を回避するためには、当該消費者契約を締結することが必要不可欠である旨を告げること。
この条文は、4つの要素がすべて揃ってはじめて取消事由になります。
- 霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として告げること
- 消費者またはその親族の生命・身体・財産その他の重要な事項についてであること
- そのままでは重大な不利益を回避できないとの不安をあおる、またはその不安に乗じること
- その不利益を回避するには契約の締結が必要不可欠である旨を告げること
占うこと自体は禁じられていない
要件を分解すると、重要なことが見えてきます。この条文は「占うこと」を禁じていません。禁じられているのは、不安をあおったうえで「この契約をしなければ回避できない」と告げて契約させることです。
「あなたの運勢はこういう傾向にあります」と伝えることと、「このままでは家族に不幸が起きる、この祈祷を受けなければ避けられない」と告げることの間には、条文上の明確な線があります。前者は要件3と4を満たしません。
ホームページの設計に落とすと、次のようになります。
- 鑑定の目的を「不利益の回避」ではなく「判断材料の提供」として書く
- 相談者の不安を煽る訴求(「今すぐ見ないと手遅れになります」等)を導線に置かない
- 追加メニューへの誘導を「これを受けなければ効果がない」という構造にしない
- 鑑定結果に基づく高額な物品・祈祷の販売を、鑑定とセットの必然として提示しない
これらは法務対応であると同時に、相談者が安心して申し込める導線設計でもあります。
なぜ記録を10年残す必要があるのか
取消権には行使期間があります。消費者契約法 第7条第1項は、第4条第1項から第4項までの規定による取消権について、追認をすることができる時から1年間、契約の締結の時から5年を経過したときに時効によって消滅すると定めています。
ただし、同項は括弧書きで、第4条第3項第8号に係る取消権については「三年間」「十年」という特則を置いています。霊感等の類型だけ、通常の3倍・2倍の期間が設定されているわけです。この期間延長は、令和4年の消費者契約法改正によるもので、改正法は令和5年1月5日に施行されました(出典: 国民生活センター「国民生活」2023年4月号 消費者問題アラカルト)。
実務上の意味は明確です。10年前の鑑定契約について、後から取消しを主張される可能性が制度上は残ります。だからこそ、次の記録を残せる運用にしておく価値があります。
- 申込み時にどの料金体系・どのメニューで合意したかの記録(申込みフォームの控え、確認メール)
- 鑑定時に何を伝えたかの概要(相談者のプライバシーに配慮した範囲で)
- 追加の物販や継続契約を勧めた場合、その提示内容と相談者の意思表示
ホームページの予約フォームを「申込内容の控えが自動でメール送信される」設計にしておくと、この記録が自然に蓄積されます。なお、記録の保存期間や方法は事業規模によって現実的な選択が変わるため、具体的な設計は専門家に相談してください。
景品表示法|「当たる」表現のNG/OK対照表
景品表示法における不実証広告規制とは、事業者の表示が優良誤認に当たるか判断するために消費者庁が根拠資料の提出を求め、事業者が提出しなかった場合に、その表示を優良誤認表示とみなす制度です。占いの広告表現を考えるうえで、この制度の構造を知っておくことが決定的に重要です。
なぜ占いは「効果を数値で断言できない」のか
景品表示法 第5条第1号は、商品または役務の内容について、一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると示す表示を禁じています。ここでいう対象には「役務」が明記されているため、鑑定サービスも対象です。
問題は第7条第2項です。
内閣総理大臣は、前項の規定による命令(以下「措置命令」という。)に関し、事業者がした表示が第五条第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、同項の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす。
「みなす」という強い書き方に注目してください。根拠資料を出せなければ、実際に優良誤認かどうかを審査するまでもなく、優良誤認表示として扱われます。
占いの的中率や開運効果について、合理的な根拠を示す資料を用意することは、性質上きわめて困難です。したがって「的中率95パーセント」「必ず良い方向に向かいます」といった表示は、そもそも立証の土俵に上がれないという構造になります。これは占い師を狙い撃ちにした規制ではなく、効果を数値で謳うすべての事業者に共通する仕組みです。
NG/OK対照表
以下は、上記の構造を踏まえた一般的な整理です。個別の表現の可否は文脈全体で判断されるため、迷う場合は消費生活センターや弁護士に確認してください。
言い換えれば使える表現
| # | 避けたい表現 | 言い換えの例 | 根拠法 | 理由 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 必ず当たります | これまでの鑑定では、こうした傾向をお伝えしています | 景表法 | 効果の断定は根拠資料を要求される |
| 2 | 100パーセント運命が変わります | 今後の選択肢を整理するお手伝いをします | 景表法 | 結果の保証に読める |
| 3 | 復縁できます | 相手との関係性の傾向を読み解きます | 景表法 | 特定の結果の実現を約束している |
| 4 | 悪い縁を断ち切れます | ご自身の判断材料をお渡しします | 景表法 | 効果の断定 |
| 5 | 業界最安値 | 当サロンの料金は◯◯円です | 景表法 | 比較の根拠と調査時点を示せないと有利誤認になり得る |
| 6 | 今日中に申し込まないと手遅れです | お申込みは随時受け付けています | 消契法 | 不安をあおる勧誘 |
| 7 | 効果がなければ全額返金(実際には応じない) | 返金の条件を具体的に明記する | 景表法 | 実行できない条件の表示 |
| 8 | 口コミ評価5.0(自作) | 実際にいただいた感想を、そのまま掲載します | 景表法 | 事実に反する表示 |
| 9 | 通常30,000円が今だけ5,000円(通常価格の実績なし) | 現在の料金を明示する | 景表法 | 二重価格表示は販売実績が必要 |
言い換えが利かず、使わない一択の表現
| # | 使わない表現 | 根拠法 | 使えない理由 |
|---|---|---|---|
| 10 | 的中率98パーセント | 景表法 | 算出根拠を示す資料を用意できないため、数値である限りどう書いても同じ問題が起きる |
| 11 | 日本一当たる占い師 | 景表法 | No.1表示は客観的な調査に基づく必要があり、占いの的中は調査対象にできない |
| 12 | 鑑定を受けないと不幸になります | 消契法 | 消費者契約法第4条第3項第8号の「不安をあおる」「必要不可欠と告げる」に正面から当たる |
| 13 | このお守りを買えば災いを避けられます | 景表法・消契法 | 効果の断定であり、かつ第8号の要件にも触れる |
| 14 | ○○大学の研究で証明された占術 | 景表法 | 出典を示せる場合を除き、権威付け自体が優良誤認になる |
| 15 | 芸能人○○さんも鑑定しました(許諾なし) | 肖像・パブリシティ・守秘(虚偽なら景表法) | 事実であっても許諾がなければ書けず、許諾があっても範囲の管理が必要 |
言い換えの共通原則は、「結果」ではなく「行為」を書くことです。「復縁できます」は結果の約束ですが、「相手との関係性を読み解きます」は自分が行う行為の記述です。行為であれば実際にやっているので、根拠資料の問題が生じません。しかも、こちらのほうが鑑定の内容が具体的に伝わるため、申込みの判断材料としても優れています。
ホームページ、できてから決めませんか?
不当寄附勧誘防止法|個人の占い師には原則として適用されない
2023年1月に施行された不当寄附勧誘防止法は、報道で「霊感商法の規制強化」として大きく扱われました。そのため、占い師のあいだにも「自分も規制対象になったのか」という不安があります。条文を読むと、個人事業主として鑑定を有償で提供している占い師は、原則としてこの法律の対象外と整理できます。理由は2つあり、二重に射程の外にあります。ただし後述する例外が1つあります。
理由1|規制の主体が「法人等」に限られている
同法 第1条は、この法律が「法人等(法人又は法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定めがあるものをいう。以下同じ。)による不当な寄附の勧誘を禁止する」ものだと定めています。
そして禁止行為を定める第4条の柱書きは「法人等は、寄附の勧誘をするに際し、次に掲げる行為をして寄附の勧誘を受ける個人を困惑させてはならない」と始まります。主語が法人等に限定されているため、個人事業主は名宛人になりません。
なお、第4条第6号は消費者契約法第4条第3項第8号とほぼ同じ文言で霊感等の類型を規定しています。同じ行為でも、誰がやるかで適用される法律が変わる構造です。
理由2|対象が「無償の寄附」に限られている
同法 第2条第1号は「寄附」を、個人と法人等の間で締結される契約のうち、当該個人が当該法人等に対し「無償で財産に関する権利を移転することを内容とする契約」等と定義しています。
鑑定料は、鑑定という役務の対価として支払われるものです。無償の給付ではないため、そもそも「寄附」に当たりません。有償の鑑定契約は、この法律ではなく消費者契約法の側で捕捉されます。
では、どういう場合に関係するのか
逆に言えば、次のいずれかに当てはまる場合は関係してきます。
- 法人化している、または代表者の定めがある団体として活動している
- 鑑定の対価としてではなく、お布施・ご奉納・支援金といった名目で無償の寄附を募っている
- 法人等から寄附の媒介を委託され、その委託に基づいて勧誘している
3つ目は個人でも当てはまるため、注意が必要です。同法第8条第3項は、法人等が第三者に寄附の媒介を委託し、その委託を受けた第三者が第4条各号の行為をした場合について、寄附の意思表示の取消しの規定を準用しています。寺社や宗教法人、団体から寄附集めを頼まれて、その一環として鑑定の場で勧誘するようなケースは、個人であっても射程に入り得ます。
法人として占いサロンを運営していても、鑑定料を受け取っているだけなら第4条の対象にはなりません。境界が問題になるのは、鑑定とは別に献金を募る場面や、他の団体の寄附集めを引き受ける場面です。該当しそうな場合は、必ず弁護士に確認してください。
ホームページに「霊感商法とは違います」と書くより、料金と提供内容が明示された表記のページがあるほうが、はるかに雄弁です。 制度を正しく理解すると、書くべきものが変わります。
料金とキャンセル規定の書き方
占い師のホームページにおけるキャンセル規定とは、法律が定めてくれないルールを、事業者自身が決めて明示しなければならない項目です。ここには、ほとんど知られていない非対称があります。
通信販売の鑑定には法定のクーリングオフが存在しない
通信販売には「返品権」があると理解されていますが、条文を読むと限定が付いています。特定商取引法 第15条の3第1項の主語はこうです。
通信販売をする場合の商品又は特定権利の販売条件について広告をした販売業者が当該商品若しくは当該特定権利の売買契約の申込みを受けた場合における…
対象が「商品又は特定権利」であり、主語が「販売業者」です。役務は含まれていません。したがって、鑑定という役務については、この8日間の返品権は生じません。
「では継続鑑定のような長期契約なら守られるのでは」と思うかもしれませんが、そちらも当てはまりません。特定商取引法には長期・継続的な役務を対象とする「特定継続的役務提供」という別の類型があり、こちらにはクーリングオフ(第48条)と中途解約権(第49条)が付きます。ただし対象は政令で7つに限定されており、同法施行令 別表第四が挙げるのはエステティック、美容医療、語学の教授、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスだけです。占い・鑑定はこの7類型に含まれていません。契約期間を長くしても、法定のクーリングオフは生じません。
一方で、表示義務のほうは役務も対象です。法第11条第5号は「商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項」の表示を求めています。
この2つを並べると、占い師が置かれた状況が見えます。法律はキャンセルのルールを用意してくれない。しかし、ルールを表示する義務は課している。 つまり、キャンセル規定は自分で決めて書くしかありません。書かないという選択肢は、表示義務の観点から取りにくいということです。
料金表示は体系によって書き方が変わる
| 料金体系 | 法11条1号(対価) | 法11条3号(提供時期) | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 時間制(60分◯◯円) | 単価と時間を明記。延長料金があれば規則23条4号で別途表示 | 「お申込みから◯営業日以内に日程調整」等、期間で表示 | 延長を当日その場で提案する運用は、金額の事前明示と齟齬が出やすい |
| 1件制(1件◯◯円) | 「1件」の範囲を定義する(質問1つか、テーマ1つか) | メール鑑定は「◯日以内に納品」と期限で表示 | 追加質問の扱いを決めておかないと、範囲の争いになる |
| 継続・月額制 | 月額と最低契約期間 | 各回の提供タイミング | 規則23条7号により、2回以上の継続が必要な場合はその旨と契約期間の表示が必要 |
| 物販併売(お守り等) | 販売価格と送料 | 発送時期 | 15条の3が適用されるため、返品特約を書かないと8日間の返品権が生じる |
最後の行が重要です。鑑定だけなら法定返品権はありませんが、開運グッズやお守りを一緒に売った瞬間、その物販部分には8日間の返品権が復活します。返品特約を表示していなければ、引渡しから8日間は返品を受け入れる必要が生じ得ます。
しかも表示の場所に条件が付きます。法第15条の3第1項ただし書は、返品特約を「当該広告に表示していた場合」に法定返品権が生じないとしたうえで、電子消費者契約に該当する場合は「当該広告に表示し、かつ、広告に表示する方法以外の方法であつて主務省令で定める方法により表示していた場合」と括弧書きで加重しています。その主務省令にあたる同法施行規則 第44条は、その方法を「顧客が…売買契約の申込みとなる電子計算機の操作を行うための表示において、顧客にとつて見やすい箇所に明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示する方法」と定めています。
つまりネット通販では、返品特約を「特定商取引法に基づく表記」のページに書くだけでは足りず、注文を確定する画面でも顧客が容易に認識できる形にしておく必要があります。条文は「その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示する方法」という受け皿も置いていますが、確実なのは最終確認画面に表示することです。片方だけだと、返品不可のつもりで売った開運グッズに8日間の返品権が付いたままになりかねません。物販を始めるなら、この2か所をセットで用意してください。
キャンセル規定のひな型
以下は、時間制の対面・オンライン鑑定を想定した記載例です。そのまま使うのではなく、自分の運用に合わせて数字と条件を書き換えてください。また、キャンセル料の水準が高すぎると、消費者契約法第9条の平均的な損害を超える部分が無効とされる可能性があります。設定にあたっては専門家に相談することをおすすめします。
【キャンセルについて】
■ お客様のご都合によるキャンセル
鑑定予定日の3日前まで:キャンセル料なし(全額返金)
鑑定予定日の2日前〜前日:鑑定料の50%
鑑定当日・無断キャンセル:鑑定料の100%
■ 日程変更
鑑定予定日の3日前までにご連絡いただいた場合、1回に限り無料で承ります。
■ 当方の都合による中止
全額を返金いたします。振込手数料は当方が負担します。
■ 鑑定開始後のキャンセル
鑑定を開始した後のご返金は承っておりません。
■ メール鑑定
当方から「鑑定を開始しました」のメールをお送りした後のキャンセルは承っておりません。
それ以前のご連絡であれば全額を返金いたします。
■ ご連絡先
(キャンセルの連絡方法・受付時間を記載)
「着手した後」のように事業者にしか分からない時点を基準にすると、相談者が自分で確認できません。上の例で開始通知メールを基準にしているのはそのためです。キャンセル料が発生する時点は、相談者の側から客観的に確認できる出来事で区切ってください。
このひな型を置く場所も要件です。施行規則 第24条第3号が「顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように」と定めている以上、料金表の直下に置くのが最も安全です。特商法表記のページにも同じ内容を記載し、さらに予約フォームの確認画面にも表示すれば、法第12条の6の要件も同時に満たせます。同じ文章を3か所で使い回す設計にしておくと、更新時の食い違いも起きません。
相談内容の取扱いとフォーム設計
占いの相談フォームで扱う情報は、個人情報保護法上の要配慮個人情報を含み得ます。ただし、この論点は誤って伝わりやすいので、正確に整理します。
なぜ要配慮個人情報の話になるのか
個人情報保護法 第2条第3項は、要配慮個人情報を「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報」と定義しています。
占いの相談は、健康の不安、家族との関係、信仰や価値観に踏み込むことが少なくありません。フォームの自由記述欄に「持病があって将来が不安です」と書かれた瞬間、それは病歴に関する記述を含む情報になります。
また、同法 第16条第2項は個人情報取扱事業者を「個人情報データベース等を事業の用に供している者」と定義しており、取り扱う件数の下限はありません。予約管理を表計算ソフトや予約システムで行っていれば、個人でも個人情報取扱事業者に当たります。
ただし「同意なく取得したら違法」ではない
ここが正確さの分かれ目です。同法 第20条第2項は、法令に基づく場合など次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで要配慮個人情報を取得してはならないと定めています。この条文だけを読むと、相談フォームの運用が非常に難しく見えます。
しかし、個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、要配慮個人情報の取得について次の注記を置いています。
個人情報取扱事業者が要配慮個人情報を書面又は口頭等により本人から適正に直接取得する場合は、本人が当該情報を提供したことをもって、当該個人情報取扱事業者が当該情報を取得することについて本人の同意があったものと解される。
(出典: 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」)
つまり、相談者が自分で相談内容をフォームに書いて送信した場合、その行為自体が取得への同意と解されるというのが公的な整理です。相談フォームを置くこと自体が問題になるわけではありません。
では、本当に気をつけるべきことは何か
取得の同意ではなく、その後の取扱いです。実務上の要点は次の4つに整理できます。
- 利用目的を特定し、本人に明示する(法第17条、第21条第2項)。第21条第2項は、本人から直接書面(電磁的記録を含む)に記載された個人情報を取得する場合、あらかじめ利用目的を明示するよう求めています。フォームでの取得はこれに当たるため、公表しておくだけでは足りません。「鑑定の実施およびご連絡のため」といった目的を、フォームの近くで読める形にしてください
- 安全管理措置を講じる(法第23条)。フォームの送信をSSLで暗号化する、受信したメールを共有端末に残さない、鑑定記録の保管場所を決める、といった基本的な対策です
- 第三者に提供しない(法第27条)。占術の判断を外部の先生に相談する運用がある場合、それは第三者提供に当たり得るため、事前の同意設計が必要です
- 必要以上に集めない。フォームの必須項目を減らすことは、法務リスクの低減と、申込み率の向上を同時に達成します
フォーム設計の実務としては、次のようにするのが現実的です。
- 必須項目は氏名(またはニックネーム)とメールアドレス、希望日時に絞る
- 相談内容の詳細は任意項目にし、「差し支えない範囲でご記入ください」と添える
- フォームの近くに、相談内容の取扱い方針への短いリンクを置く
- 生年月日など占術上必要な情報は、なぜ必要かを1行添える
プライバシーポリシーの構成や記載項目についてはプライバシーポリシーの書き方とテンプレートにまとめています。
鑑定メニュー・占術・実績・口コミの見せ方
占い師のホームページにおける鑑定メニューとは、相談者が「自分に合う人かどうか」を鑑定前に判断するための情報設計です。ここからは法務要件を満たしたうえで、申込みにつながるコンテンツの作り方を扱います。
占術の説明は「何が分かるか」で書く
タロット、西洋占星術、四柱推命、九星気学、姓名判断、手相。占術名を並べただけでは、相談者は選べません。相談者が知りたいのは占術の歴史ではなく、自分の悩みに対して何が分かるのかです。
避けたい書き方
当サロンではタロット、西洋占星術、四柱推命に対応しています。
おすすめの書き方
- タロット:今の状況で「次の一手」を決めたいときに。3か月程度の近い未来を扱います
- 西洋占星術:生まれ持った傾向や、人生の大きな転換期の流れを見るのに向いています
- 四柱推命:転職や結婚など、長期的な選択を判断材料とともに考えたいときに
占術ごとに「向いている相談」「見られる時間軸」を書くだけで、相談者は自分で選べるようになります。この形式は、検索する人が「タロット占いサイト」「占いコンテンツ 作り方」といった語で探している内容にも重なります。
体験談は、断定を避けた形で載せる
利用者の声は有効ですが、景品表示法の観点から2つの注意があります。
第一に、事実に反する体験談を載せないこと。自作の口コミは論外です。第二に、体験談の内容が効果の断定になっていないかを確認すること。「先生に言われた通りにしたら復縁できました」という体験談をトップに大きく掲げると、体験談の形を借りた効果の訴求と受け取られ得ます。
安全かつ有効なのは、鑑定の受け方や雰囲気についての感想を中心に据えることです。「話しやすい雰囲気で、聞きたいことを全部聞けました」「事前に料金が分かっていたので安心して申し込めました」といった声は、断定の問題を生まず、しかも申込み前の不安に直接答えます。
掲載にあたっては、相談者の許諾を得ることと、個人が特定されない形にすることを徹底してください。相談内容は要配慮個人情報を含み得るため、この配慮は法務上も必要です。
「危ない占いサイト」に見えない設計
「占い師 ホームページ」で検索したときに表示される「他の人はこちらも質問」には、相談者側の警戒心を示す質問(「危ない占いサイトってどんなの?」など)が並びます(2026年9月時点)。裏を返せば、警戒されない見せ方には集客上の価値があるということです。警戒を招きやすい要素と、その回避策を整理します。
| 警戒を招く要素 | 回避策 |
|---|---|
| 料金がどこにも書いていない | 料金表をグローバルナビからの1クリック以内に置く |
| 「まずは無料鑑定」だけが目立つ | 無料の範囲と、その後の有償メニューの料金を同じ画面に書く |
| 事業者情報が見当たらない | 特定商取引法に基づく表記へのリンクをフッター全ページに置く |
| 不安を煽るコピー | 「判断材料をお渡しします」という位置づけで統一する |
| 連絡先がフォームのみ | 返信の目安時間を明記する(「2営業日以内にご返信します」) |
| キャンセル規定がない | 料金表の直下にキャンセル規定を置く |
この表の右列は、すべてこの記事で扱ってきた法務要件と重なります。要件を満たすことが、そのまま信頼設計になるという構造がここでも現れます。
自宅サロンとしての見せ方や、施術系サービスに共通する導線設計はサロンのホームページ作成も参考になります。
予約導線の設計|4つの導線と規制区分の対応
占い師の予約導線は、対面・電話・チャット・オンラインの4つに整理できます。それぞれで適用される規制区分が異なるため、導線ごとに設計を変える必要があります。
| 導線 | 申込みの受け方 | 規制区分の整理 | ホームページ側で必要なこと |
|---|---|---|---|
| 対面鑑定(店舗・レンタルスペース) | サイトのフォームや電話で予約を受ける | フォーム・電話で契約の申込みを受けるなら通信販売の広告として整理される | 表示事項一式。加えて所在地・アクセス |
| 電話鑑定(相談者からかかってくる) | 相談者が電話をかけてくる | 通信販売 | 表示事項一式。通話料が相談者負担になる旨も案内する(額を書けないため規則23条4号の対象ではない) |
| チャット鑑定 | サイトやアプリのフォームから申込み | 通信販売 | 表示事項一式。役務の分量(往復回数など)を確認画面に |
| オンライン鑑定(ビデオ通話) | サイトのフォームから申込み | 通信販売 | 表示事項一式。接続方法と必要な環境も案内 |
| (参考)こちらから電話をかけて勧誘 | 事業者が発信して勧誘し、申込みを受ける | 電話勧誘販売。書面交付義務、書面受領から8日のクーリングオフ、違約金請求不可(法26条7項1号の例外は施行令19条の条件付き) | 通常の予約導線とは分けて設計する |
1行目には幅があります。フォームで受けているのが日程の仮押さえだけで、契約は来店して対面で成立するという運用なら、そのフォームは契約の申込みを受ける手段ではないため、通信販売に当たらないと整理する余地があります。対面鑑定だけで、サイトから契約を成立させていない場合は、表示義務の範囲が変わり得ます。判断が微妙なときは、フォームの文言を「日程のご相談」に寄せたうえで専門家に確認してください。
表の最終行だけが別の区分です。ここを混ぜた運用にすると、想定していなかったクーリングオフが発生し得ます。
予約システムは、確認画面に必要事項を表示できるか(法第12条の6)、申込み内容の控えを自動送信できるか(記録保全)、キャンセル規定を予約フローの中に表示できるか(規則第24条第3号)の3点を、契約前に確認してください。満たせないサービスを選ぶと、要件を別の場所で補う手間が続きます。
プラットフォーム依存からの脱却設計と5年TCO
占い師にとってのプラットフォーム脱却とは、集客の対価として払い続けている手数料を、資産として残る自社サイトへ段階的に置き換えていく設計です。ココナラや電話占いサイトは、始めたばかりの占い師にとって合理的な選択肢です。集客をゼロから作る必要がなく、決済も用意されています。問題は、売上が伸びるほど手数料の絶対額が増えることと、相談者との関係がプラットフォームに帰属することです。
手数料と制作費を同じ土俵に載せる
比較を成立させるには、両者を同じ単位で見る必要があります。月商20万円をプラットフォームの電話相談(手数料27.5パーセント)で得ている場合と、自社サイトを持つ場合の5年間の総額を並べます。合計は「初期費用(1回)+(月額費用+手数料)×60か月」で計算し、レンジの下限どうし・上限どうしを足しています(自分の条件で電卓を当てて検算できるようにするためです)。決済手数料は国内のカード決済で概ね3〜3.6%が実勢のため、月商20万円なら月6〜7千円で見込んでいます。
| 項目 | プラットフォームのみ | 自社サイト(作成ツール・AI) | 自社サイト(制作会社に外注) |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 0円 | 0〜5万円 | 20〜80万円 |
| 月額費用 | 0円 | 1,000〜3,000円 | 5,000〜20,000円(保守) |
| 手数料(月商20万円想定) | 月55,000円 | 決済手数料のみ(月6〜7千円程度=概ね3〜3.6%) | 同左 |
| 5年間の総額 | 330万円 | 42〜65万円 | 86〜242万円 |
| 集客 | プラットフォームが送客 | 自分で作る必要がある | 自分で作る必要がある |
| 顧客との関係 | プラットフォームに帰属 | 自分に帰属 | 自分に帰属 |
金額は2026年9月時点の一般的な相場に基づく試算であり、実際の費用は選ぶサービスと機能によって変わります。決済手数料は決済代行会社によって異なります。上限どうしを足した外注の242万円は、初期80万円+保守月2万円×60か月(120万円)+決済手数料月7千円×60か月ぶん(42万円)の合計です。保守内容が金額に見合っているかは契約前に確認してください。
この表を見て「自社サイトに移行すべき」と結論づけるのは早計です。プラットフォームの手数料は集客の対価であり、自社サイトにはその機能がありません。330万円という数字は、5年分の集客代行費とも読めます。
だから「併用から始める」のが現実的
正しい問いは「どちらか」ではなく「どの順序で、何を自分の側に移すか」です。段階的な移行設計はこうなります。
第1段階:受け皿を作る プラットフォームでの活動は続けたまま、自分の名前で検索した人が着地するホームページを用意します。この段階の目的は集客ではなく、指名検索の受け皿を作ることです。プロフィール、鑑定メニュー、料金、特商法表記があれば足ります。
第2段階:リピートを自社側に寄せる プラットフォームの規約で許される範囲で、リピートの導線を自社サイトに向けます。⚠️ 多くのプラットフォームは規約で直接取引の誘導を禁じています。必ず利用規約を確認し、違反しない範囲で行ってください。規約違反はアカウント停止という最悪の結果を招きます。
第3段階:自社サイト経由の新規を作る 記事コンテンツやSNSからの流入を自社サイトに集め、新規の申込みを直接受けられる状態を目指します。ここまで来てはじめて、手数料の削減効果が本格的に現れます。
第2段階に進むとき、この記事で扱った表記の要件が現実の問題になります。自社サイトで直接受注する以上、ココナラの住所を使うことはできず(Q18の条件1)、住所・電話番号・氏名の扱いを自分で決める必要が出てきます。移行の設計と法務の設計は、同じタイミングで必要になります。
制作手段4つの比較
占い師のホームページを作る方法は、大きく4つです。
| 手段 | 公開まで | 更新のしやすさ | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 無料の作成ツール | 1〜3日 | 高い | まず受け皿を作りたい。独自ドメインは使えないことが多い |
| 有料の作成ツール・AI生成 | 1日〜1週間 | 高い | 独自ドメインで運用し、自分で更新したい |
| WordPress | 1〜4週間 | 中(要学習) | ブログで集客を伸ばしたい。技術的な作業を厭わない |
| 制作会社に外注 | 1〜3か月 | 低い(都度依頼) | デザインに強くこだわる。予算がある |
費用は前章の5年TCO表を参照してください。同表は有料ツールと外注の2列なので、残る2手段を補うと、無料の作成ツールは初期・月額とも0円(そのぶん独自ドメインが使えないことが多い)、WordPressは初期0〜10万円に加えてサーバー代が月1,000〜2,000円が目安です。金額はいずれも2026年9月時点の一般的な相場です。詳しい費用の内訳と、規模別の目安はホームページ制作の費用相場にまとめています。作成方法全体の比較はホームページ作成の方法と全体像を参照してください。
占い師の場合、判断軸は次の2つに絞られます。
- 更新頻度:鑑定メニューや料金、受付状況を自分で変えたいなら、外注は向きません。1回の修正に費用と日数がかかります
- 表記の要件を自分で満たせるか:テンプレートに「特定商取引法に基づく表記」のページが用意されているか、予約フォームの確認画面を編集できるかを、契約前に確認してください
制作費の勘定科目や、小規模事業者持続化補助金を使えるかどうかについては制作費の勘定科目と個人事業主の経費処理とホームページ制作に使える補助金で扱っています。
世界観を出しつつ、規制に触れないデザイン
占い師のホームページのデザインとは、この記事で唯一、法規制がほとんど及ばない領域です。制約が掛かるのは文言と情報の配置だけで、見た目そのものは自由に決められます。
星、月、宇宙、カード、鉱物といったモチーフも、深い青や紫を基調にした配色も、フォントも、写真の雰囲気も、鑑定名やロゴも、ページ構成も、何の規制も受けません。
ひとつだけ注意点を挙げるなら、暗い背景に細い明朝体、という組み合わせは慎重に扱ってください。世界観は出ますが、スマートフォンで料金やキャンセル規定が読みにくくなると、規則第24条第3号が求める「明瞭に判読できる」表示の要件にも、相談者の信頼にも響きます。
装飾の強さと信頼感は、しばしばトレードオフになります。トップページは世界観、料金とキャンセルのページは可読性、と役割を分けるのが最も無理のない解です。
よくある質問(FAQ)
占い師がホームページを作るのに資格や許可は必要ですか?
ホームページに本名を載せたくありません。鑑定名だけではだめですか?
自宅で開業しています。住所を公開せずにホームページを作れますか?
「当たる」「絶対に当たる」とホームページに書いてもいいですか?
鑑定にクーリングオフはありますか?キャンセル規定はどう決めればいいですか?
ココナラや電話占いサイトに登録していれば、ホームページは要りませんか?
相談内容をフォームで受け取るとき、気をつけることはありますか?
占い師のホームページ制作費用はどのくらいかかりますか?
まとめ|占い師のホームページ、3ステップで進める
占い師のホームページは、デザインの前に表記の設計をどう解いたかで完成度が決まります。順序を守れば、どれも1日で片が付く作業です。
ステップ1:氏名・住所・電話番号の扱いを決める
氏名をどう表記するか(本名か、商号登記か、法人化か、請求時提供方式での省略か)。住所と電話番号をどう扱うか(そのまま出すか、請求時提供方式か、バーチャルオフィスか)。請求時提供方式を選ぶなら、この3つをまとめて非公開にできるので、実質的にはひとつの決定で片が付きます。ここが決まればページ構成も決まります。あわせて鑑定料・提供時期・キャンセル規定を文章にしておきます。ここまでがサイトを作り始める前の宿題です。
ステップ2:料金とキャンセルを、最も読みやすい場所に置く
法律が鑑定のキャンセルルールを用意していない以上、自分で決めて明瞭に示すしかありません。置き場所は料金表の直下・特商法表記のページ・予約フォームの確認画面の3か所で、ステップ1で決めた文面をそのまま流用します。物販を併売するなら、返品特約は最終確認画面にも表示しておくのが確実です。
ステップ3:世界観は、要件を満たしたうえで自由に作る
配色もモチーフも鑑定名も、何の制約も受けません。守るべきなのは、料金とキャンセル規定だけはスマートフォンで読み切れる可読性を優先する、という一点だけです。世界観づくりは、そこさえ外さなければ自由に進められます。
占いは、消費者トラブルが制度として蓄積されてきた分野です。だからこそ、料金とルールが明示されたページを持っていること自体が、他の占い師との差になります。この記事で扱った要件は負担に見えるかもしれませんが、そのほとんどは「申し込む前に知りたいこと」に答える作業でもあります。義務と信頼づくりがこれほど重なる業種は多くありません。
シタミでは、対話形式の質問に答えるだけでAIが業種に合ったホームページを生成できます。特定商取引法に基づく表記のページも含めて構成を用意できるので、まずは無料でプレビューを作り、この記事のチェック項目が自分のページで満たせるか確かめてみてください。