カフェのホームページの作り方|構成7類型と営業許可・表示ルール・5年TCO【2026年版】

記事についての開示: この記事はシタミ編集部が作成しています。記事内に自社サービス「シタミ」の紹介を含みます。食品衛生法・食品表示法・景品表示法・特定商取引法・JAS法に関する記述は2026年9月時点のe-Gov法令検索の条文本体を基本とし、制度改正の経緯については所管省庁および自治体の公表資料を補足的に参照していますが、法的助言ではありません。個別の許可の要否や表示の可否は、必ず所轄の保健所や専門家にご確認ください。
カフェのホームページとは、Instagram・Googleビジネスプロフィール・グルメサイトが担いきれない情報と手続きを引き受ける「受け皿」です。集客の入口そのものはすでにSNSと地図アプリに移っており、そこを取り戻そうとしてホームページを作ると、たいてい失敗します。
そしてもうひとつ、ほとんどのカフェHP記事が触れていない前提があります。あなたが持っている営業許可の種類によって、ホームページに載せられる商品が変わるということです。店内で出すだけなら書けることも、焼き菓子を袋詰めして持ち帰ってもらう、通販する、となった瞬間に必要な許可も必要な表示も変わります。デザインの前に、ここを間違えると作り直しになります。
この記事では、デザイン事例の「型」から入り、載せるべき情報を役割から逆算し、そのうえで法令が決めている表示ルールと、作り方4手段の5年間の総額まで一気に整理します。
この記事でわかること
- カフェのホームページが担う5つの役割と、SNS・Googleビジネスプロフィールとの役割分担
- 検索から来てもらうために、ホームページのSEOより先にやるべきこと
- 集客できるカフェHPの構成7類型と、自分で良い事例を見つけるための評価チェックリスト10項目
- 飲食店営業許可だけでできること/菓子製造業許可が要る場面の境界(条文根拠つき)
- メニューのアレルギー表示に法的義務はあるのかという問いへの、条文に基づく正確な答え
- 「無添加」「オーガニック」「国産」をホームページに書くときのNG/OKと、違反したときの実際の帰結
- 臨時休業・売り切れを前提にした、更新しなくて済むサイト構成の作り方
- 開業前と開業後で変わる、作るべきホームページの中身
- AI生成・ノーコード・自作・制作会社外注の、4手段×5年間の総保有コスト(TCO)比較
カフェのホームページは「集客の入口」ではない
カフェのホームページを作る前に決めるべきことは、デザインでもツールでもなく、「このサイトは何を引き受けるのか」です。ここが曖昧なまま作られたサイトが、いちばん多く放置されます。
集客の主戦場はすでにSNSと地図アプリにある
いまのカフェの発見経路は、おおむねInstagramの発見タブ・ハッシュタグ、Googleマップの「近くのカフェ」、グルメサイトの一覧に集約されています。ホームページを作ったからといって、この流れが自店に向くわけではありません。
そのうえでホームページが効くのは、すでにあなたの店を知っている人が「もう一段深く知ろうとした瞬間」です。Instagramで見つけて気になった人が店名で検索する。取引先が卸の相談先を探して会社概要を確認する。求職者が働く場所として調べる。この「二歩目」を受け止めるのがホームページの仕事です。
したがって、ホームページの評価指標を「新規流入数」に置くと、ほぼ確実に失望します。見るべきは指名検索からの着地と、そこから先の行動です。
ホームページが担う5つの役割
カフェのホームページに載せるべき情報は、次の5つの役割のうちどれを引き受けるかで決まります。全部を引き受ける必要はありません。
| 役割 | 引き受ける内容 | 必要になるページ | この役割が要る店 |
|---|---|---|---|
| ① 予約 | 席の予約、貸切、コース予約 | 予約フォーム or 予約サービス連携 | 予約を受ける、席数が限られる、夜も営業する |
| ② 採用 | 求人情報、働く環境の提示 | 採用ページ | 継続的に人を採る、アルバイトの定着に課題がある |
| ③ BtoB問い合わせ | 卸、イベント出店、撮影・取材、スペース貸し | 会社概要、法人向け問い合わせ | 豆や焼き菓子を卸す、外部イベントに出る |
| ④ EC | 焼き菓子・コーヒー豆・器具の通信販売 | 商品ページ、カート、法定表示ページ | 物販を収益の柱にする、遠方のファンがいる |
| ⑤ 指名検索の受け皿 | 営業時間、場所、コンセプト、メニューの世界観 | トップ、メニュー、アクセス、コンセプト | すべてのカフェ |
⑤はどのカフェにも必要ですが、①〜④は必要な店だけです。ここを絞らずに「一応全部つけておく」と、更新されない予約フォームや空の採用ページが残り、かえって信頼を落とします。
検索から来てもらうには、SEOよりMEOが先
カフェの検索行動は「地名+カフェ」「◯◯駅 カフェ 電源」のようなローカル検索が中心で、その結果を占めるのは通常のウェブ検索枠ではなく地図枠です。ここに出るかどうかを決めるのはホームページではなく、Googleビジネスプロフィールの整備状況です。したがって着手の順序は、①Googleビジネスプロフィールを埋める(カテゴリ、営業時間、写真、属性、メニュー)→②ホームページを用意してGoogleビジネスプロフィールから正しくリンクする→③店名・コンセプトでの指名検索に備える、になります。
ホームページ側でやるべきSEOは、この順序の③にあたる部分に限られます。店名、地名、業態(カフェ・喫茶店・コーヒースタンドなど自店に合う語)、看板メニューが、トップページの見出しと本文に自然に含まれていること。スマートフォンで崩れず、写真が重すぎず、素早く表示されること。ここまでで十分です。ホームページ単体で「カフェ」のような競合の激しい語を取りにいく必要はありません。検索対策の基礎は初心者向けのSEO対策にまとめています。
自分の店に必要な役割を決める(3つの質問)
- 予約を取りますか? 取らない/席のみ受ける/コースや貸切も受ける──のどれか。「取らない」なら予約フォームは不要で、代わりに「予約不可・満席時の目安」を書くほうが親切です
- 今後1年で人を採りますか? 採るなら採用ページ、採らないなら不要。中途半端な求人情報は放置されて古くなります
- 店内飲食以外で売る予定がありますか? 持ち帰り、卸、通販。ここに「はい」があると、後述する営業許可と表示義務の話が一気に効いてきます
この記事が扱う範囲(飲食店全般・パン屋との切り分け)
- 飲食店全般の必須コンテンツ、予約システムの比較、食べログ・ぐるなびとの使い分け、費用相場の基礎は飲食店のホームページ作成完全ガイドにまとめています。本記事では重複を避け、そちらに委ねます
- パン屋・ベーカリーは、製造販売が主で「売り切れ」「取り置き・予約」「ECの在庫」がサイト設計の中心になるため、サイトの設計思想が変わります。該当する方はパン屋のホームページ作成ガイドを参照してください。ただし本記事の「営業許可」「アレルギー表示」「景品表示法」「特商法」の各章は、製造販売型にも共通して効きます
- ケーキ屋・洋菓子店は、ホールケーキやクリスマスケーキといった受注生産が売上の柱になるため、予約導線とキャンセル規定、季節催事ページの公開時期がサイト設計の中心になります。該当する方はケーキ屋のホームページ制作ガイドを参照してください
- ラーメン店は回転型で、行列の並び方の告知、限定メニューの数量表記、自家製麺を販売する場合の営業許可が設計の中心になります。該当する方はラーメン屋のホームページ作成ガイドを参照してください
- 居酒屋は団体予約が中心で、宴会コースの条件提示、キャンセル料の定め方、酒類の銘柄表記、深夜営業の届出が設計の軸になります。該当する方は居酒屋のホームページ作成ガイドを参照してください
- 本記事のカフェは、滞在型で「空間とメニューの世界観」を伝えることが軸になる店を想定しています。ただし焼き菓子の持ち帰りや通販に踏み出すなら、製造販売型の論点が重なってきます。その境界は「営業許可」の章で扱います
【構成分析】集客できるカフェHPの7つの型
「カフェ ホームページ」で検索すると、おしゃれな事例を並べた記事が大量に出てきます。ただ、それらを眺めても自分の店のサイトが決まらないのは、事例が「見た目」で分類されていて、「構成」で分類されていないからです。
ここでは実在店舗の名前を挙げる代わりに、カフェのホームページに繰り返し現れる7つの構成の型に分解します。実在店舗を並べる形式にしないのは、閉店やリニューアルで数年後に成立しなくなるためです(実際、上位に出てくる事例記事には2021年当時の事例のまま更新されていないものがあります)。型で理解しておけば、あとから自分で最新の事例を評価できます。
型1: フルスクリーン写真型
トップを1枚の大きな写真や動画で埋め、ロゴと最小限のナビゲーションだけを置く型です。
- 向く店: 空間そのものが売りの店、内装に投資した店、非日常感を売る店
- 必要ページ: トップ/メニュー/アクセス/コンセプト
- 落とし穴: 写真の質が全てになります。スマートフォンでは縦長に切り取られるため、縦位置でも成立する構図が必要です。また画像が重いと表示が遅くなり、そこで離脱されます
型2: メニューカタログ型
メニューを主役に据え、カテゴリごとに写真と価格を一覧できる構成です。
- 向く店: メニュー数が多い店、スイーツやフードに力を入れている店、単価が読まれる店
- 必要ページ: トップ/メニュー(カテゴリ分割)/アクセス
- 落とし穴: 価格改定と季節替わりで真っ先に古くなるのがこの型です。更新の仕組みを先に決めないと、値上げ後も旧価格が残り、後述する景品表示法上のリスクにもなります
型3: ストーリー・コンセプト型
豆の産地、焙煎の考え方、開業の経緯、作り手の人物像を軸に、読ませる構成にする型です。
- 向く店: スペシャルティコーヒー、自家焙煎、産地や生産者との関係を売りにする店
- 必要ページ: トップ/コンセプト/メニュー/アクセス/(あれば)オンラインショップ
- 落とし穴: 書き手の思いが強いほど長くなり、肝心の営業時間と場所が探しにくくなります。読み物は下層に置き、トップからは常に基本情報へ1タップで戻れるようにします
型4: 一枚完結(ランディングページ)型
1ページを縦にスクロールするだけで、写真・メニュー・営業時間・地図・SNSまで完結する型です。
- 向く店: 個人経営の小規模店、開業直後、更新に手をかけられない店
- 必要ページ: 1ページ+(必要なら)法定表示ページ
- 落とし穴: 情報が増えると破綻します。メニューが20品を超えるあたりが限界の目安です。構成がシンプルなぶん、写真とコンセプトの質がそのまま印象になります。逆に言えば、その2つを用意できるなら最も費用対効果が高い型です
型5: お知らせ更新型
トップに「お知らせ」「今日の営業」を置き、臨時休業や新メニューを流していく構成です。
- 向く店: 不定休の店、間借り営業、イベント出店が多い店、天候で営業が変わる店
- 必要ページ: トップ/お知らせ一覧/メニュー/アクセス
- 落とし穴: 更新が止まった瞬間に「潰れたのでは」と思われる型です。最終更新日が半年前のお知らせは、何も書いていないより悪い印象を与えます。この型を選ぶなら、お知らせは手打ちにせずSNS投稿の埋め込みで実装してください(後述の「更新できないホームページは死ぬ」を参照)
型6: 物販・EC併設型
店舗紹介にオンラインショップを併設し、豆や焼き菓子を通信販売する構成です。
- 向く店: 自家焙煎、焼き菓子の製造販売、遠方にファンがいる店
- 必要ページ: トップ/商品一覧/商品詳細/カート/特定商取引法に基づく表記/プライバシーポリシー
- 落とし穴: 必要な営業許可と法定表示が一段増えます。詳しくは後述の許可と特商法の章を必ず読んでください。ECを本格的に運用するならネットショップの作り方も参照してください
型7: 多店舗・ブランド型
複数店舗やブランド全体を束ね、店舗一覧から各店の詳細に降りる構成です。
- 向く店: 2店舗以上、業態違いを展開している、フランチャイズや採用を強化したい会社
- 必要ページ: トップ/店舗一覧/店舗詳細/会社概要/採用/お問い合わせ
- 落とし穴: 店舗ごとの営業時間・定休日が分散して管理不能になります。店舗情報は1か所で管理し、各ページから参照する構造にしてください
自分で良い事例を見つけるための探し方
型を理解したら、あとは自分の目で最新の事例を見るのが確実です。次のWebデザインギャラリーは業種別に分類されており、カフェ・飲食店のカテゴリから実例を辿れます。
- SANKOU!(sankoudesign.com)— カフェ・飲食店・テイクアウトのカテゴリがあり、更新頻度が高い
- MUUUUU.ORG(muuuuu.org)— 縦長デザイン中心。飲食店・カフェ・レストランのカテゴリあり
- Web Design Clip(webdesignclip.com)— 飲食・レストラン・カフェのカテゴリあり
事例を評価するチェックリスト10項目
「おしゃれ」で終わらせず、次の10項目で見ると自店に活かせる点が具体化します。
- スマートフォンで見たとき、営業時間と場所に3秒以内でたどり着けるか
- 写真は縦位置でも構図が成立しているか
- メニューに価格が明記されているか(「時価」「応相談」で逃げていないか)
- 表示が待たされずに出るか(写真が多いサイトほど差が出る)
- 電話番号がタップで発信できるか
- 地図が埋め込まれ、経路案内に飛べるか
- 定休日・臨時休業がどこで更新されているかが読み取れるか(サイト内か、SNSかGoogleか)
- SNSへの導線が新しい投稿を表示しているか(リンクだけで中身が古くないか)
- 予約する店なら、予約導線がスクロールしても常に見えるか
- 最終更新がいつかわかるか
この10項目は、他店の事例を「おしゃれかどうか」以外の軸で見るためのレンズです。自店のサイトが完成したあとの点検には、飲食店のホームページ作成完全ガイドの公開前チェックリストとホームページ公開前の品質チェックリストを使ってください。
載せるコンテンツは「役割」から逆算して決める
必須コンテンツを列挙した記事は多いのですが、列挙されたものを全部載せると、更新できない項目まで抱え込むことになります。先に決めた役割(①〜⑤)から逆算するのが実務的です。
役割別・必要ページ決定表
| ページ | ⑤のみ | ①を足す | ②を足す | ③を足す | ④を足す |
|---|---|---|---|---|---|
| トップ | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 |
| メニュー | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 |
| アクセス・営業時間 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 |
| コンセプト | 推奨 | 推奨 | 必須 | 必須 | 推奨 |
| 予約 | — | 必須 | — | — | — |
| 採用 | — | — | 必須 | — | — |
| 会社概要 | — | — | 推奨 | 必須 | 必須 |
| お問い合わせ | 推奨 | 推奨 | 必須 | 必須 | 必須 |
| 商品一覧・カート | — | — | — | — | 必須 |
| 特定商取引法に基づく表記 | — | — | — | — | 法定 |
| プライバシーポリシー | 条件付き必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 |
各列は⑤(指名検索の受け皿)にその役割を単独で足した場合を示しています。複数に当てはまる店は、該当する列を重ねて読んでください。凡例は「必須=実務上ほぼ不可欠/推奨=あると良い/条件付き必須=下記の条件に当てはまるなら必須/法定=法令上の表示義務/—=不要」です。
問い合わせフォームや予約フォームを置く場合、個人情報を受け取ることになるためプライバシーポリシーが必要です。書き方はプライバシーポリシーのテンプレートを参照してください。
カフェで特に効く3つの情報
一般的な必須コンテンツ(写真・メニュー・営業時間・アクセス)は飲食店のホームページ作成完全ガイドに譲り、ここではカフェ固有に効くものだけを挙げます。
① 滞在に関する条件
カフェは「滞在」を買われる業態です。にもかかわらず、滞在の条件が書かれていないサイトが大半です。電源の有無、Wi-Fi、席数とテーブルの大きさ、長居の可否、勉強・作業の可否、混雑時間帯の目安、ベビーカーで入れるか、子ども連れの可否。これらは来店前にいちばん知りたいのに、どこにも書いていない情報です。トラブル防止にもなります。
② 「予約はできません」と書くこと
予約を受けない店ほど、その旨を明記する価値があります。書いていないと電話がかかってきますし、来店者は満席リスクを読めません。「予約は承っておりません。土日13〜15時は満席になることが多いです」の2文で、双方の手間が減ります。
③ 決済手段
キャッシュレスの可否、使えるブランド、現金のみの場合はその旨。カフェの単価帯では「現金しか使えなかった」が明確な不満になります。
営業許可でホームページに載せられるものが変わる
店内で出すだけなら、この章と続く3つの章は読み飛ばして「開業前と開業後で、作るべきホームページは変わる」へ進んで構いません。持ち帰り・物販・通販・卸のどれかを考えているなら、ここからの4章がこの記事でいちばん重要な部分です。なお、店内提供だけの店にとっては、その先の「更新できないホームページは死ぬ」がもっとも実益のある章です。
ここからが、他のカフェHP記事がほとんど触れていない領域です。あなたが受けている営業許可の種類は、ホームページに載せられる商品を規定します。
まず前提:「喫茶店営業許可」はもう存在しない
平成30年の食品衛生法改正に伴い、営業許可制度が見直され、令和3年6月1日から新しい許可業種の区分に移行しました(令和元年政令第123号附則第1条)。現行の食品衛生法施行令第35条が列挙する許可業種は32業種で、そこに「喫茶店営業」はありません。改正前の同条は34業種を挙げ、その第2号が「喫茶店営業」でした。つまり再編で喫茶店営業は飲食店営業に統合されたということです。なお改正前に受けていた許可については、同政令附則第2条第1項が、旧法の有効期間の満了の日までは従前の例により営業を行える旨を定めていました。
これは条文でも確認できます。まず、現行の食品衛生法施行令第35条は許可を要する営業を第1号から第32号まで列挙していますが、そこに「喫茶店営業」はありません。これが主たる根拠です。これを補強するのが、後述するHACCPの「小規模な営業者等」を指定する食品衛生法施行規則第66条の3第1号(食品衛生法施行令第34条の2第2号を受けた規定です)で、対象となる営業者を次のように定めています。
令第三十五条第一号に規定する飲食店営業を行う者(喫茶店営業(喫茶店、サロンその他設備を設けて酒類以外の飲物又は茶菓を客に飲食させる営業をいう。)を行う者及び法第六十八条第三項に規定する学校、病院その他の施設における当該施設の設置者又は管理者を含む。)
— 食品衛生法施行規則 第66条の3第1号(e-Gov法令検索)
つまり現行制度では、喫茶店営業を行う者は飲食店営業を行う者に含まれるという整理です。許可を受ける業種として「喫茶店営業」を選ぶことはできません。
なお、改正前に取得していた喫茶店営業許可は、その有効期間が満了するまでは有効とされ、満了後に新制度での許可を取得する扱いになっていました。これから開業する方が「喫茶店営業許可」を前提に情報収集していると噛み合わないので、注意してください。
飲食店営業許可でできること
食品衛生法施行令第35条は、都道府県が施設の基準を定めるべき営業(=許可が必要な営業)を列挙しており、その第1号が「飲食店営業」です。カフェの基本はこれにあたります。
許可は都道府県知事が与えるもので、食品衛生法第55条第1項が根拠です。同条第3項は「都道府県知事は、第一項の許可に五年を下らない有効期間その他の必要な条件を付けることができる」と定めており、更新が必要になります。ホームページに営業許可番号を載せる場合、更新のたびに番号や期限の記載が古くなる点に気をつけてください。
焼き菓子を売るときの境界
問題はここからです。同じ施行令第35条の第11号が「菓子製造業」を挙げています。
菓子製造業(菓子(パン及びあん類を含む。)を製造する営業をいい、第二十六号又は第二十八号に該当するものを除く。)
— 食品衛生法施行令 第35条第11号(e-Gov法令検索)
「その場で提供する」のと「製造して包装し、持ち帰り・通信販売・卸に回す」のとでは、必要になる許可の考え方が変わります。どこからが菓子製造業にあたるかは、施設の構造や実際の営業形態を踏まえて保健所が判断します。全国一律の線引きを記事が断定できる性質のものではないので、通販や卸を計画しているなら、サイトを作る前に所轄の保健所に相談してください。
実務上の要点は「ホームページに載せた瞬間に、その商品を売る体制が問われる」ということです。載せてから許可がないと気づくと、ページごと作り直しになります。
許可の種類とホームページの対応表
| やりたいこと | 想定される許可・届出 | ホームページで必要になるもの |
|---|---|---|
| 店内でドリンク・フードを提供 | 飲食店営業許可(施行令35条1号) | メニュー、営業時間、アクセス |
| 店内で作ったものを客が持ち帰る(テイクアウト) | 飲食店営業許可の範囲で可能な場合が多いが、要確認 | 持ち帰りメニュー、受け渡し時間、消費期限の考え方 |
| 焼き菓子を容器包装して店頭で販売 | 飲食店営業許可に加え菓子製造業許可が必要になり得る(施行令35条11号) | 商品ページ、容器包装への食品表示(後述) |
| 焼き菓子・コーヒー豆を通信販売 | 上記+通信販売としての法定表示 | 特定商取引法に基づく表記(後述)、商品ページ、カート |
| 他店・企業に卸す | 上記+取引形態に応じた確認 | 会社概要、法人向け問い合わせ、(任意で)卸価格の問い合わせ導線 |
この表は判断の出発点であり、最終的な可否は所轄の保健所の判断によります。「たぶん大丈夫」でページを公開しないでください。
許可番号をホームページに載せるべきか
食品衛生法は、営業許可番号をウェブサイトに掲載することを直接には義務づけていません。義務は施設側にあります。
一方で、通信販売を行う場合は後述の特定商取引法により、事業者の氏名・住所・電話番号の表示が必要になります。許可番号については、信頼の提示として任意で載せるという位置づけになります。載せるなら、更新のたびに直す前提で運用してください。
アレルギー表示とHACCP:何を書く義務があるのか
「カフェのホームページにアレルギー表示は必要ですか」という質問に、多くの記事は「必要です」と答えています。条文を読むと、店内で提供する料理については違います。
店内で飲食させる場合、食品表示基準は適用されない
食品表示法に基づく食品表示基準の第1条(適用範囲)は、次のとおりです。
この府令は、食品関連事業者等が、加工食品、生鮮食品又は添加物を販売する場合について適用する。ただし、加工食品又は生鮮食品を設備を設けて飲食させる場合には、第四十条の規定を除き、適用しない。
— 食品表示基準 第1条(e-Gov法令検索)
「設備を設けて飲食させる場合」とは、まさに店内飲食のことです。同基準第3条(横断的義務表示)も、義務表示の対象を「容器包装に入れられた加工食品」を販売する際とし、括弧書きで「(設備を設けて飲食させる場合を除く。第六条及び第七条において同じ。)」と重ねて除外しています。
つまり、店内で提供するメニューには、食品表示基準に基づくアレルゲン表示の義務はありません。当然、それをそのまま載せたホームページのメニューページにも義務は生じません。
適用除外の唯一の例外が第40条です。これは生食用牛肉の注意喚起表示に関する規定で、内臓を除く牛肉であって生食用のものを容器包装に入れずに販売する場合に、食肉の生食には食中毒のリスクがある旨と、子ども・高齢者など抵抗力の弱い者は生食を控えるべき旨を、店舗の見やすい場所に表示することを求めています。一般的なカフェのメニュー構成であれば、通常は関係しません。
では、容器包装して売る場合は
義務がかかる側に移ります。焼き菓子を袋詰めして販売する、通販する、といった「容器包装に入れられた加工食品を販売する」場面は、食品表示基準の適用対象です。名称・原材料名・添加物・内容量・消費期限または賞味期限・保存方法・製造者などの表示が必要になり、アレルゲンの表示もここに含まれます。
ホームページの商品ページは、この容器包装の表示と内容が食い違ってはいけません。パッケージには書いてあるのにサイトには書いていない、あるいは逆にサイトの説明が実際の原材料と違う、という状態は、次章の景品表示法の問題にもつながります。
義務がないからこそ、書き方を設計する
義務がないことと、書かなくてよいことは別です。アレルギーの当事者にとって、外食は情報がないほど選べません。実務的に成立しやすいのは、次の設計です。
- 主要な原材料を、断定しすぎずに書く——「小麦・卵・乳を使用しています」は書ける事実です
- コンタミネーション(意図しない混入)の但し書きを添える——「同一の厨房で小麦・卵・乳・落花生を含む製品を製造しているため、微量の混入の可能性があります」。小規模な厨房では混入を完全には防げないため、これを書かずに「不使用」と言い切るほうが危険です
- 問い合わせ導線を必ず置く——「詳しい原材料は、ご来店前にお電話でお問い合わせください」。全メニュー分を網羅するより、確実に答えられる窓口を用意するほうが安全です
- 「アレルギー対応可」と書き切らない——対応できない日や商品があるなら、そう書きます
HACCPは「考え方を取り入れた衛生管理」で足りる
もうひとつ、開業準備でよく不安になるのがHACCPです。食品衛生法第51条第1項は、公衆衛生上必要な措置の基準として、第1号に一般的な衛生管理、第2号に「食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組」を挙げたうえで、第2号の括弧書きで「(小規模な営業者(中略)その他の政令で定める営業者にあつては、その取り扱う食品の特性に応じた取組)」としています。
その「政令で定める営業者」を定めているのが食品衛生法施行令第34条の2で、第2号が「飲食店営業」を明示的に挙げています。
法第五十一条第一項第二号の政令で定める営業者は、次のとおりとする。(中略)二 飲食店営業(食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業をいう。次条第一号において同じ。)又は調理の機能を有する自動販売機(中略)により食品を調理し、調理された食品を販売する営業を行う者その他の食品を調理する営業者であつて厚生労働省令で定めるもの
— 食品衛生法施行令 第34条の2(e-Gov法令検索)
末尾の「厚生労働省令で定めるもの」にあたるのが、先ほど営業許可の章で引用した食品衛生法施行規則第66条の3第1号です。同号は「令第三十五条第一号に規定する飲食店営業を行う者(喫茶店営業(中略)を行う者(中略)を含む。)」と定めており、カフェ・喫茶店が名指しでここに入っています。
つまり、通常のカフェはこの「小規模な営業者等」に該当し、業界団体が作成した手引書に沿った簡略なアプローチ(いわゆる「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」)で足ります。大規模工場と同じ仕組みを構築する必要はありません。
ホームページに「HACCP対応」と書くこと自体は禁止されていませんが、具体的に何をしているか(手引書に沿った衛生管理計画の作成と記録)を書けないなら、書かないほうが無難です。中身のない「対応」は、次章の優良誤認の問題になり得ます。
「無添加」「オーガニック」「国産」を書くときのルール
カフェのホームページでいちばん事故が起きやすいのが、こだわりを伝えようとした表現です。ここは、「容器包装のルール」と「ウェブの文章のルール」が別物だと理解すると、一気に整理できます。
「無添加」のガイドラインは、実は容器包装向け
消費者庁は令和4年3月30日に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定し、注意すべき表示を10類型に分けています(類型1「単なる『無添加』の表示」、類型6「健康、安全と関連付ける表示」、類型10「過度に強調された表示」など)。
このガイドラインの適用範囲は、原文で次のように限定されています。
食品表示基準の規定に基づき、一般用加工食品の容器包装における、食品衛生法第4条第2項に規定する食品添加物の不使用表示について適用する。(後略)
— 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日)2. 適用範囲
つまり、ホームページの文章や店内メニューは、このガイドラインの直接の適用対象ではありません。ただし、焼き菓子を容器包装して売るなら、そのパッケージの表示には効いてきます。そしてパッケージと商品ページの記載が食い違えば、次に述べる景品表示法の問題になります。
「オーガニック」はマークの話と名称の話を分ける
ここは2つの別々の条文が動いており、それを混ぜると結論を間違えます。JAS法(日本農林規格等に関する法律)の第37条は「有機JASマーク」を、第63条は「有機」という名称そのものを規律しています。
① 有機JASマーク(格付の表示)=第37条
「格付の表示」とは、同法第10条第1項が定める「日本農林規格により格付をしたことを示す主務省令で定める方式による特別な表示」、つまりマークそのものです。第37条第1項は認証を受けた者等の場合を除きこれを農林物資・包装・容器・送り状に付すことを禁じ、第2項は「広告等」への格付の表示を、第4項は広告等への「格付の表示と紛らわしい表示」を禁じています。「広告等」は同法第13条第1項が「その農林物資の取扱い等に関する広告その他の主務省令で定めるもの」と定義しており、自店のホームページはこれにあたります。
ただし第2項には除外があり、それは広告を出す側が認証を受けているかではなく、広告の対象になっている商品に正規の格付の表示が付いているかで決まります。条文が除いているのは「格付の表示の付してある農林物資(中略)に関する広告等に当該格付の表示を付する場合」だからです。したがって、認証事業者が格付した豆をそのまま仕入れて売るなら、その豆に関する広告に有機JASマークを掲げられます(小売店がチラシに有機JASマークを載せられるのはこの除外によります)。一方、自店で淹れたドリンクや自家製の焼き菓子など、格付の表示が付いていないものについてマークを掲げれば第2項違反です。
違反は第78条第5号で1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(直罰)、法人には第83条第1項第1号により1億円以下の罰金です。
② 「有機」「オーガニック」という名称=第63条
一方、名称のほうは第63条です。ここでいう指定農林物資は施行令第18条が定めており、化学農薬等を使わない圃場で収穫された農産物(同令第2条第1項)、それに準じた畜産物(同条第2項)、および専らこれらを原料または材料とする加工飲食料品——つまり有機農産物・有機畜産物・有機加工食品です。施行令第18条が挙げるのはこの3つだけなので、はちみつや水産物はここに含まれません。
第63条は2つの項で場面を分けています。第1項は、指定農林物資(=真に有機だが格付を受けていないもの)について、それ自体や包装、容器、送り状に格付の表示が付されていない場合に、その名称の表示や紛らわしい表示を付すことを禁じます。禁止の対象として条文が挙げているのは「当該指定農林物資又はその包装、容器若しくは送り状」で、広告等は挙がっていません。第2項は、指定農林物資以外の農林物資——有機栽培ではないふつうの豆はこちらです——について、「有機」の名称や紛らわしい表示を付すことを禁じます。カフェで現実に問題になりやすいのは第2項のほうですが、第2項には第1項のような場所の限定が条文上ありません。
なお罰則の科され方はマークと異なり、第63条違反は直罰ではなく、第64条による除去命令等を経て、その命令に違反した場合に第78条第14号の罰則(法人には第83条第1項第1号により1億円以下の罰金)の対象になります。
ホームページの説明文と、商品そのものへの表示
では、ホームページの説明文はどうなるのか。第2項に場所の限定がない以上、条文だけでは決まりません。手がかりは所管省庁の運用にありますが、その射程には注意が要ります。参照するのは「有機農産物、有機加工食品、有機畜産物及び有機飼料のJASのQ&A」(令和7年10月・国税庁課税部酒税課/農林水産省新事業・食品産業部食品製造課)です。
このQ&Aが直接扱っているのは第1項の場面です。産消提携(真に有機だが格付を受けていない)を問う問34-8の答は、規制の対象を商品そのものに付す表示——シール、容器・包装・送り状、そして陳列された指定農林物資を指し示す立て札——とし、「新聞、雑誌、インターネット等の媒体における有機農産物を取り扱っている等の説明文」やチラシ・看板の記載を、規制の対象とならない情報提供として挙げています。立て札まで含める点は条文の文言より広い運用です。そのうえで、同じ答えは範囲の原則をこう述べています。
なお、商品及びその包装、容器、送り状以外のもの、すなわち商品を説明するパンフレット、注文書等については規制の対象になりません。
— 「有機農産物、有機加工食品、有機畜産物及び有機飼料のJASのQ&A」(令和7年10月・国税庁課税部酒税課/農林水産省新事業・食品産業部食品製造課)問34-8
外食については問34-7が扱っています。ただしこちらが挙げる対象外は「チラシ、メニュー、のぼり」で、インターネットには触れていません。
外食産業や中食産業であっても、消費者が購入して持ち帰る商品など、販売している食品に「有機」等の表示が貼付されている場合には、有機食品に関する表示規制が適用されます。なお、消費者への情報提供となるチラシ、メニュー、のぼりについては規制の対象になりませんが、不当景品類及び不当表示防止法の規制の対象となる場合があります。
— 「有機農産物、有機加工食品、有機畜産物及び有機飼料のJASのQ&A」(令和7年10月・国税庁課税部酒税課/農林水産省新事業・食品産業部食品製造課)問34-7
カフェに翻訳すると、こうなります。
| やること | 条文上の位置づけ | 結論 |
|---|---|---|
| HPやメニューに「有機栽培の豆を使っています」と説明文として書く | 名称/運用上、規制の対象外(HP=問34-8。ただし産消提携の文脈からの類推。店内メニュー=問34-7) | 事実なら書ける。事実でなければ景品表示法の問題になり、JAS法第63条第2項の問題にもなり得る |
| 格付済みの豆をそのまま売り、その豆の広告にマークを載せる | マーク/第37条第2項の除外(格付の表示が付してある農林物資に関する広告等) | 掲げられる |
| 自店のドリンクや自家製菓子について有機JASマークを載せる | マーク/第37条第2項(広告等への格付の表示) | 不可。第78条第5号の直罰 |
| 焼き菓子や豆を容器包装して販売し、その包装に「有機」と表示する | 名称/第63条第1項・第2項 | 格付を受けていなければ不可。第64条の命令を経て罰則 |
| 店頭で豆を陳列し、立て札に「有機」と書く | 名称/第63条(運用上、立て札も対象) | 格付を受けていなければ不可 |
| 仕入れた認証豆を自店の袋に詰め替えて売る | マーク/JAS法第11条第1項(小分け業者による格付の表示) | その袋に格付の表示を付すには小分け業者としての認証が必要 |
| 店内にオーガニックコーナー等の売り場表示を出す | 名称/運用上、規制の対象外(問34-8の答 2.(6)) | 売り場を指す記載であれば差し支えない |
整理すると、インターネット上の説明文を名指しで対象外としているのは問34-8=第1項の文脈であり、第2項(有機栽培ではないものに「有機」と書く場合)についてホームページを名指しした運用は公表されていません。
ではその第2項をどう読むか。手がかりは同じ法律のなかにあります。第37条は第2項と第4項で「広告等」を名指ししているのに、第63条は第1項から第3項までのどこにも「広告等」を挙げていません。同一の法律でこう書き分けられている以上、第63条の射程は物・包装・容器・送り状の側にあると読むのが自然です。
ただしこれは条文の読み方であって、確定した公的見解ではありません(第2項は物・包装の側も名指ししていないため、書き分けだけで決めきることもできません)。事実でないことを書けば、景品表示法に加えてJAS法第63条第2項の問題にもなり得ます(その場合は第64条の除去命令等を経て、命令違反で第78条第14号。法人には第83条第1項第1号により1億円以下の罰金)。安全な線は単純で、有機栽培でない豆を「オーガニック」と書かないことです。
つまり、「サイトの説明文」と「商品そのものへの表示」で結論が逆になり、「マーク」と「名称」で条文が変わります。ここを一緒くたにした記事が多いので、注意してください。
なお、カフェが正面からマークを掲げたい場合の制度も用意されています。JAS規格には「有機料理を提供する飲食店等の管理方法」(JAS 0004・平成31年1月制定。いわゆるオーガニックレストランJAS)があり、登録認証機関の認証を受けた事業者は適合の表示を広告等に付せます。有機を看板にする店なら、グレーな書き方を探すより、この認証を検討するほうが筋が通ります。
カフェのホームページ、できてから決めませんか?
ウェブの文章を規律するのは景品表示法
景品表示法第5条は、次のように定めています。
事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
— 不当景品類及び不当表示防止法 第5条(e-Gov法令検索)
第1号が優良誤認表示(内容が実際よりも著しく優良だと示す表示)、第2号が有利誤認表示(価格その他の取引条件が著しく有利だと誤認させる表示)です。「表示」にはホームページも含まれます。飲食という役務も対象です。
そして重要なのが、いわゆる不実証広告規制です。これは2本立てになっています。措置命令については同法第7条第2項が、優良誤認に当たるか判断するため必要と認めるときは事業者に対し表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、提出しないときは「当該表示は同号に該当する表示とみなす」と定めています。課徴金についても同法第8条第3項に同様の規定があり、こちらは「当該表示は同号に該当する表示と推定する」とされています。つまり、根拠を出せなければ優良誤認として扱われます。「こだわり」を書くときは、その裏付けを説明できる状態にしておいてください。
帰結も軽くありません。
- 課徴金(第8条第1項)——課徴金対象期間の売上額に3%を乗じた額。ただし課徴金額が150万円未満のときは命じられません
- 措置命令違反の罰則(第46条第1項)——2年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
- 直罰(第48条)——著しく優良/有利であると一般消費者を誤認させるような表示をしたこと自体に対し、100万円以下の罰金。これは令和5年の改正(令和5年法律第29号)で新設され、令和6年10月1日から施行されています。措置命令を経ずに処罰され得る点が従来との違いです
- 両罰規定(第49条)——従業者等の違反行為について、法人にも罰金刑が科されます。措置命令違反(第46条第1項)については法人に3億円以下の罰金です
「国産」は品目を特定して書く
「国産」も同じ枠組みで考えます。「国産素材にこだわった」と書きながら主要な原材料の一部しか国産でなければ、内容が実際よりも著しく優良だと示す表示として第5条第1号の問題になり得ます。産地を売りにするなら、「小麦は北海道産、卵は◯◯県産」のように品目を特定して書くのが最も安全です。特定しておけば、後から根拠を求められても仕入先の資料で答えられます。
カフェのHP表記 NG/OK対照表
| 書きたいこと | 避けたい書き方 | 成立しやすい書き方 |
|---|---|---|
| 添加物を使っていない | 「無添加」(何が無添加か不明) | 「保存料・合成着色料は使用していません」(対象を特定する) |
| 有機の原料 | 有機栽培ではない豆について「オーガニック」と書く | 「有機栽培のコーヒー豆を使用しています」(事実であること・仕入伝票等で示せること) |
| 産地 | 「国産素材にこだわった」(一部だけ国産) | 「小麦は北海道産、卵は◯◯県産を使用しています」(品目を特定する) |
| 手づくり | 「すべて手づくり」(一部は仕入れ) | 「焼き菓子は店内の厨房で毎日焼いています」 |
| 健康 | 「体にやさしい」「アレルギーの方でも安心」 | 事実の記述にとどめる(健康・安全と結びつけない) |
| 価格 | 根拠のない「通常価格」からの値引き表示 | 実際に販売していた価格のみを比較対象にする |
| 衛生管理 | 中身のない「HACCP対応」 | 「手引書に基づく衛生管理計画を作成し、日々の記録を行っています」 |
コツは単純で、「言い切りたくなったら、対象を特定して事実に置き換える」ことです。特定すればするほど、根拠資料を出せる表現になります。
テイクアウト・物販・通販を載せるなら特商法の表示が要る
オンラインショップを併設した瞬間、あなたは通信販売の事業者になります。ここで発生するのが特定商取引法の広告表示義務です。
何を書く必要があるのか
特商法第11条は、通信販売の広告に表示すべき事項として、販売価格(送料が含まれない場合は販売価格及び商品の送料)、代金の支払の時期及び方法、商品の引渡時期、申込みの期間の定めがあるときはその内容、申込みの撤回または解除に関する事項、そのほか主務省令で定める事項を挙げています。
その「主務省令で定める事項」が特定商取引法施行規則第23条で、次のようなものが並びます。
- 販売業者の氏名または名称、住所、電話番号(第1号)
- 法人がインターネットで広告する場合は、代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名(第2号)
- 販売価格以外に購入者が負担すべき金銭があるときは、その内容と額(第4号)
- 引き渡された商品が種類・品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容(第5号)
- 二回以上継続して契約する必要があるとき(定期購入等)は、その旨と金額・契約期間その他の条件(第7号)
- 販売数量の制限その他の特別の販売条件があるときは、その内容(第8号)
一般に「特定商取引法に基づく表記」というページ名で用意されるのがこれです。
カフェの通販で特に効く3つ
① 返品の可否を明示する
食品は衛生上の理由から返品を受けられないことが多いのですが、書いていなければ、その方針は通りません。特商法第15条の3第1項は、通信販売の購入者は商品の引渡しを受けた日から起算して8日を経過するまでの間、申込みの撤回または契約の解除ができると定めており、これを免れられるのは「販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合」だけだからです(返送に要する費用は購入者負担=同条第2項)。
しかもオンラインショップの場合は、それだけでは足りません。同項のかっこ書きは電子消費者契約について、広告に表示し、かつ主務省令で定める方法でも表示することを求めており、その方法を定めた特定商取引法施行規則第44条は「顧客が(中略)売買契約の申込みとなる電子計算機の操作を行うための表示において、顧客にとつて見やすい箇所に明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示する方法」としています。
さらに、これとは別に特商法第12条の6第1項が、申込みを受ける画面(同法にいう「特定申込み」の手続が表示される映像面)に、分量と「第十一条第一号から第五号までに掲げる事項」を表示することを義務づけています。第11条第5号は申込みの撤回・解除に関する事項で、この中に第15条の3第1項ただし書の返品特約が含まれます。つまり、「特定商取引法に基づく表記」のページに書くだけでは足りず、注文の最終確認画面にも返品の可否を表示する必要があります。
② 個人事業でも氏名と住所の表示が必要になる
自宅を拠点にしている場合、住所の公開に抵抗があるかもしれません。ここは表示義務と居住プライバシーが衝突する典型的な場面です。店舗の住所を事業所として使えるならそれが最も素直な解決になります。「書きたくないから書かない」という選択はできない点に注意してください。
③ 消費期限と配送の条件を書く
焼き菓子の通販では、消費期限が短いこと、配送方法(常温・冷蔵・冷凍)、到着日指定の可否が、そのまま満足度とクレームを左右します。これらは第23条第8号の「特別の販売条件」にもあたり得ます。
なお、農産物のネット直販における食品表示・特商法の整理は農家のホームページ作成ガイドでより詳しく扱っています。物販の設計を詰めるときの参考になります。
開業前と開業後で、作るべきホームページは変わる
同じ「カフェのホームページ」でも、開業前と開業後では目的も作り方も違います。分けて整理します。
開業前:小さく出して、育てる
開業前のサイトに求められるのは、存在の告知と、オープン日の周知です。完成度の高いサイトを作り込んでも、開業までにメニューも価格も内装写真も変わります。
- 1ページで十分です。店名、コンセプト、場所、オープン予定、SNSへの導線。前述の型4(一枚完結型)が向いています
- 写真は工事中の様子でも成立します。むしろ「できていく過程」はSNSと相性がよく、開店前からのファンづくりに効きます
- メニューと価格は載せないか、「予定」と明記します。オープン後に変わったとき、古い価格が残っていると景品表示法上の火種になります
- 予約フォームは置かない。開店前に予約を受けても、運用が固まっていない段階では対応しきれません
- 費用をかけない。この段階で数十万円をかけると、開業後の作り直しでもう一度かかります
開業準備そのものの流れはホームページ制作の進め方が参考になります。また、開業時のウェブ制作費に補助金を検討する場合はホームページ制作に使える補助金と小規模事業者持続化補助金でホームページを作るを確認してください(本記事では補助金の詳細は扱いません)。
開業後:役割を1つずつ足す
営業が始まると、必要なものが実態から見えてきます。
- 最初の3か月——指名検索の受け皿(役割⑤)に集中します。営業時間・場所・メニュー・写真を正確に保つことが最優先です
- 半年〜1年——採用(役割②)や予約(役割①)で困り始めたら、そのページを足します。困っていないなら足しません
- 1年以降——常連がつき、卸やイベントの話が来るようになったらBtoB(役割③)、遠方のファンができたらEC(役割④)
この順序を守ると、更新できないページを抱え込まずに済みます。「最初から全部」は、ほぼ確実に更新が止まります。
更新できないホームページは死ぬ
カフェのホームページが失敗する最大の原因は、デザインでも費用でもなく、更新が止まることです。しかもカフェは、更新イベントの頻度が業種の中でもかなり高い部類に入ります。
カフェで発生する更新イベント
| イベント | 頻度 | 放置したときの実害 |
|---|---|---|
| 臨時休業 | 月に数回 | 来店した客が閉まった店の前に立つ。最も直接的な信頼の毀損 |
| 売り切れ(本日分終了) | ほぼ毎日 | 目当ての品がないまま来店される |
| 営業時間の変更(季節・年末年始) | 年に数回 | 同上 |
| 季節メニューの入れ替え | 年4回程度 | 終了したメニューを目当てに来られる |
| 価格改定 | 年1回程度 | 旧価格が残る(対策は本章の④) |
| 内装・設備の変更 | 数年に1回 | 写真と実物の乖離 |
解決策は「更新しなくて済む構造」にすること
「こまめに更新しましょう」という助言は、忙しい現場では機能しません。変動する情報をホームページから外すのが正解です。
① 変動情報はGoogleビジネスプロフィールに寄せる
臨時休業と営業時間の変更は、Googleビジネスプロフィールで更新するのが最も効果的です。検索結果と地図に直接反映され、そこが実際に最も見られている場所だからです。ホームページには、「最新の営業状況はGoogleマップをご確認ください」と1行書いてリンクするだけにします。
② 売り切れ・日々の告知はSNSに寄せる
その日の営業やパンの焼き上がりのような情報は、SNSに投稿し、ホームページにはそのタイムラインを埋め込みます。埋め込みなら、投稿した時点でサイトも更新されます。
③ ホームページには「変わらない情報」だけを置く
コンセプト、店内の様子、定番メニュー、場所、席数、決済手段、Wi-Fiや電源の有無。これらは年単位で変わりません。ここだけを持たせれば、サイトは放置しても腐りません。
④ 価格だけは例外的に管理する
メニューの価格は変わるうえに、古いまま放置すると景品表示法上の有利誤認のリスクを抱えます。対策は2つのどちらかです。(a)自分で編集できるツールを選ぶか、(b)サイトには価格を載せず「価格は店頭またはGoogleマップの最新メニューをご確認ください」とするか。制作会社に都度依頼する形にすると、必ず更新が止まります。
この「自分で直せるかどうか」は、次章の手段選びで最も重視すべき軸です。
カフェHPの作り方4手段と5年TCO
費用の話は初期費用だけで語られがちですが、実際に効くのは5年間の総額と、自分で更新できるかどうかです。
4つの手段
① AI生成ツールで作る
質問に答えていくとサイトが生成される方式です。当社のシタミもこの方式で、業種と要望を対話形式で伝えるとカフェ向けの構成とデザインで生成されます。写真と文章が用意できていれば最短1日で公開でき、公開後の編集も自分でできます。AIでホームページを作る方法に一般的な流れをまとめています。
② ノーコードツールで自作する
Wix、ジンドゥー、グーペのようなツールでテンプレートを選び、写真と文章を差し替えていく方式です。自由度と手間のバランスが取れています。詳細はノーコードでホームページを作ると無料で使えるホームページ作成ツールを参照してください。
③ WordPress等で自作する
サーバーとドメインを自分で用意し、テーマを導入して構築する方式です。自由度は最も高い一方、更新とセキュリティの責任も自分で負います。
④ 制作会社に外注する
撮影、コピーライティング、設計まで含めて任せる方式です。品質は最も高くなりますが、公開後の更新をどうするかを契約時に決めておかないと、更新のたびに費用と時間がかかります。選び方はホームページ制作会社の選び方にまとめています。
5年TCO比較
以下はシタミ編集部が公開情報と一般的な相場から整理した目安です。実際の金額は仕様・地域・制作会社によって大きく変動します。
| ① AI生成 | ② ノーコード | ③ WordPress自作 | ④ 制作会社 | |
|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 0〜数万円 | 0〜3万円 | 0〜5万円(テーマ代等) | 20〜150万円 |
| 月額(5年平均) | 0〜3,000円 | 1,000〜3,000円 | 1,000〜3,000円(サーバー・ドメイン) | 5,000〜3万円(保守) |
| 5年総額の目安 | 0〜21万円 | 6万〜21万円 | 6万〜23万円 | 50万〜330万円 |
| 公開までの日数 | 最短1日 | 数日〜2週間 | 2週間〜2か月 | 1〜3か月 |
| 自分で更新できるか | できる | できる | できる(要慣れ) | 契約次第。要確認 |
| 写真・文章の用意 | 自分 | 自分 | 自分 | 依頼可(別途費用) |
| 向くカフェ | 個人店、開業前、まず出したい | 個人店、自分でこだわりたい | 技術に抵抗がない、拡張したい | 複数店舗、ブランド重視、撮影も任せたい |
表の読み方——初期費用の差より、5年で見たときの差のほうが大きいことがわかります。ただし④が悪いという話ではありません。空間そのものが売りで、撮影から世界観を作り込む価値がある店なら、④の投資は回収されます。判断軸は「そのサイトが何を引き受けるか(役割①〜⑤)」と「自分で更新する意思があるか」の2つです。
費用の一般的な相場についてはホームページ制作費用の相場、公開後の維持費についてはホームページの維持費も参照してください。
写真だけは、どの手段でも投資する価値がある
4手段のどれを選んでも、カフェのサイトの出来は写真でほぼ決まります。制作は自分でやり、撮影だけプロに頼むという配分は合理的です。撮影費用は地域やカット数で幅がありますが、内装とメニューをまとめて撮っておくと、サイト・SNS・メニュー表・Googleビジネスプロフィールで長く使い回せます。
失敗診断表:症状から原因を引く
うまくいっていないカフェのホームページには、症状ごとに典型的な原因があります。
| 症状 | よくある原因 | 対処 |
|---|---|---|
| アクセスがほとんどない | 集客の入口をホームページに期待している | 役割⑤(指名検索の受け皿)に目的を置き直す。入口はSNSとGoogleビジネスプロフィールで作る |
| Instagramでは反応があるのにHPが見られない | 役割⑤の設計不足。指名検索の受け皿になっていない | プロフィールのリンク先で最初に見える画面に、営業時間・場所・メニューを置く |
| 見られているが来店につながらない | 営業時間・場所・価格が探しにくい | スマホで営業時間と場所に3秒以内で到達できるかを確認する |
| 「閉店したと思った」と言われる | お知らせの最終更新が古い | 変動情報をGoogleビジネスプロフィールとSNSに移し、お知らせ欄を外すかSNS埋め込みに置き換える |
| 不定休・間借りで、営業日が伝わらず来店ミスが起きる | 営業カレンダーをサイトで手入力している | 営業日はGoogleビジネスプロフィールに一本化し、サイトからは参照だけにする |
| 更新が止まった | 自分で編集できない契約になっている | 編集可能な手段に移行するか、更新範囲を契約に含める |
| 通販を始めたが問い合わせが多い | 消費期限・配送・返品の条件が書かれていない | 特商法の表示事項を点検し、条件を明記する |
| 焼き菓子の注文が入るが、許可の範囲外だった | 商品ページを作る前に許可を確認していない | 掲載を止め、所轄の保健所に相談する(「営業許可」の章参照) |
| 電源やWi-Fiの可否を電話で何度も聞かれる | 滞在の条件をサイトに書いていない | 電源席の有無・滞在時間の目安・混雑時間帯を明記する(「滞在に関する条件」参照) |
| 求人を出しても応募がない | 採用ページに働く条件と人の顔が見えない | 勤務時間帯・シフトの実態・スタッフの声を具体的に書く |
集客全般の設計はホームページで集客する方法、検索対策の基礎は初心者向けSEO対策、ページ構成の考え方はホームページの構成の作り方にまとめています。
よくある質問(FAQ)
自宅カフェは違法ですか?
カフェにホームページは必要ですか?
カフェのホームページは自分で作れますか?
カフェのホームページを一番安く作る方法は?
カフェのホームページにアレルギー表示は必要ですか?
ホームページに「無添加」や「オーガニック」と書いてもいいですか?
焼き菓子をホームページで通販するには何が必要ですか?
ホームページとInstagram、Googleビジネスプロフィールはどう使い分けますか?
まとめ
カフェのホームページで結果を分けるのは、デザインの良し悪しよりも、次の4点です。
- 役割を絞る——ホームページは集客の入口ではなく受け皿です。予約・採用・BtoB・EC・指名検索の5つのうち、自店に必要なものだけを引き受けさせます
- 許可の範囲を先に確認する——飲食店営業許可でできること、菓子製造業許可が必要になり得る場面。通販や卸を考えているなら、ページを作る前に保健所に相談してください
- 表示は「対象を特定して事実を書く」——店内提供のメニューにアレルゲン表示の義務はありませんが、容器包装には義務があります。「無添加」「オーガニック」は景品表示法の対象で、令和6年10月1日から直罰も施行されています
- 更新しなくて済む構造にする——変動情報はGoogleビジネスプロフィールとSNSへ。ホームページには変わらない情報だけを置きます
作る手段は、5年間の総額と「自分で直せるか」で選んでください。まず小さく公開して育てたいなら、対話形式で質問に答えるだけでカフェ向けの構成を生成できるシタミから試すのが早道です。業種を横断したホームページ制作の全体像はホームページ制作の完全ガイドにまとめています。