·43分で読めます·シタミ編集部

民泊のホームページ制作ガイド|住宅宿泊事業法の表示ルール・180日と条例・費用【2026年版】

民泊住宅宿泊事業ホームページ制作民泊新法特区民泊直予約Airbnb
民泊のホームページ制作ガイド|住宅宿泊事業法の表示ルール・180日と条例・費用【2026年版】

記事についての開示: この記事はシタミ編集部が作成しています。記事内に自社サービス「シタミ」の紹介を含みます。住宅宿泊事業法・旅館業法・国家戦略特別区域法・特定商取引法・消防法令・自治体条例に関する記述は2026年9月時点のe-Gov法令検索の条文本体、観光庁・厚生労働省・国土交通省・消防庁・各自治体の公式資料に基づいていますが、法的助言ではありません。個別の判断は必ず物件所在地の自治体窓口(住宅宿泊事業の担当課・保健所・消防署)でご確認ください。

民泊のホームページは、一般的な会社や店舗のホームページとは決め方の順番が違います。デザインや写真より先に、どの制度で営業しているかと物件のある自治体の条例で、載せなければならない情報と、載せてはいけない売り方が決まるからです。住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)は、標識に何を書くか、宿泊者に何を説明するか、年に何日まで泊められるかを法律・省令・ガイドライン(住宅宿泊事業法施行要領。以下「ガイドライン」)で指定している、数少ない業種です。

この記事は、民泊を探している旅行者向けではなく、民泊を運営している人、これから始める人が、Airbnbなどの仲介サイトとは別に自社のホームページを持つべきか、持つなら何を載せ、いくらで誰に頼むかを判断するための実務ガイドです。条文・省令・ガイドライン・自治体資料の一次ソースにあたって整理しました。

旅館・ホテル・民宿の方へ: 旅館業法の許可(旅館・ホテル営業、または施設として売る簡易宿所営業)で営業している宿泊施設のホームページは、費用相場と予約システムを軸にまとめた宿泊施設(旅館・ホテル)のホームページ制作費用・相場をご覧ください。本記事は住宅宿泊事業(届出制)と特区民泊(認定制)を主な対象にしています。簡易宿所の許可で一棟貸し・古民家・ゲストハウスを「民泊」として運営している方は、業態の整理(「まず業態を確定する」の章のマトリクス)まで本記事を読み、予約システムや撮影の詳細は旅館側の記事を参照してください。

この記事でわかること

  • 民泊は「住宅宿泊事業」「特区民泊」「簡易宿所」のどれで営業しているかでホームページに書ける内容が変わる。家主居住型か不在型かでも、運営者情報に書くべき相手が変わる
  • 届出番号は、届出住宅への標識掲示が義務、自社サイトへの掲示はガイドライン上の推奨、Airbnbなどの仲介サイトでは表示されるという3層構造になっている。義務ではないが、載せない理由がない
  • 年間180日は毎年4月1日正午から翌年4月1日正午まで、正午から正午を1日として数える。自社サイトからの予約も同じ日数に入る。さらに自治体の条例で営業できる期間が削られる地域があり、2026年7月15日には国がいわゆる「ゼロ日規制」を条例で行えると整理した
  • 非常用照明・避難経路・外国語案内・近隣への配慮事項の説明は法律上の義務で、ホームページの「安全」「ハウスルール」ページはその履行手段として設計できる
  • 自社サイトで予約を受ければ特定商取引法の通信販売にあたり、事業者情報とキャンセル条件の表示が要る
  • 届出の3分の1超がすでに廃止されている業種なので、費用は5年の総額だけでなく「3年で撤退した場合の総額」でも比較する

民泊のホームページが一般的な制作ガイドで作れない理由

民泊のホームページとは、Airbnbなどの住宅宿泊仲介サイトに置いているリスティングとは別に、事業者が自分のドメインで運営する物件の公式サイトのことです。一般的な制作ガイドが「魅力を伝える構成」「写真の撮り方」「SEO」を説く一方で、民泊では適法に営業していることをどう見せるかが集客の前提になります。宿泊者だけでなく、近隣住民、管理組合、自治体の担当課も見に来るサイトだからです。

届出の36%が廃止されているという前提

観光庁の「住宅宿泊事業法の施行状況」によると、2026年7月15日時点の届出件数は65,837件、このうち事業廃止件数は23,767件で、稼働している届出住宅数は42,070件です(出典: 観光庁 民泊制度ポータルサイト「住宅宿泊事業法の施行状況」2026年7月15日時点)。届出の36.1%がすでに廃止されている計算です。

一方で需要は伸びています。同じ資料の2026年4月1日から5月31日の宿泊実績は、宿泊者数626,765人(前年同期比130.1%)、宿泊日数624,088日(同138.6%)、宿泊者のうち外国人が391,174人で62.4%を占め、届出住宅あたりの宿泊日数は17.9日でした(いずれも観光庁の公表値。1住宅あたりの値は観光庁の算定によるもので、本文の稼働届出住宅数で割った値とは一致しません)。伸びている市場で3分の1が撤退しているという構図は、ホームページの作り方に直接影響します。初期費用を大きくかけ、解約しにくい契約で作ると、回収する前に閉じる可能性があるのです。本記事の費用の章で「3年で撤退した場合の総額」を併記しているのはこのためです。

Airbnbだけで足りる宿と、足りない宿

「Airbnbに出しているからホームページはいらない」という判断は、条件によっては正しいです。1物件、家主居住型、年間の稼働が数十日、ゲストの大半が海外からの初回利用という宿なら、仲介サイトのリスティングと、自治体が求める周知事項を紙で用意すれば運営は成り立ちます。

足りなくなるのは次のような場合です。

  • 手数料の負担が重くなった。 Airbnbは、ホストとゲストの双方から取っていた2種類のサービス料を、ホストが負担する15.5%のシングルサービス料に統合する移行を進めています(出典: Airbnbリソースセンター「Airbnbサービス料の簡素化」2026年7月7日投稿・2026年8月24日更新)。同記事は、切り替え後に確定した予約に適用され、受取金を維持するには料金の調整が必要だと説明しています。売上が同じでも手取りの計算式が変わるため、リピーターや長期滞在を自社で受ける価値が相対的に上がりました
  • リピーターと紹介が増えた。 2回目のゲストに「前と同じ条件で」と言われたとき、仲介サイト経由でしか受けられないと、双方に手数料が乗り続けます
  • 近隣や自治体への説明責任が増えた。 家主不在型、複数物件、住居専用地域での営業は、誰が管理し、どこに連絡すればよいかを常時公開しておくほうが、苦情対応(住宅宿泊事業法第10条)を回しやすくなります
  • 業態を切り替えた。 簡易宿所の許可を取って日数制限を外した、特区民泊から住宅宿泊事業に移った、といった変更は、仲介サイトの掲載情報だけでは伝わりません

つまり民泊のホームページは「集客のため」だけでなく、手数料構造・リピート・説明責任・業態変更の4つのうち1つでも当てはまるようになったときに必要になります。

まず業態を確定する|3制度×家主居住・不在でホームページに書けることが変わる

民泊の業態とは、どの法律に基づいて営業しているかの区分です。日本で住宅に人を泊めて宿泊料を受け取る営業は、次の3つのいずれかに必ず属します。

  1. 住宅宿泊事業(民泊新法): 住宅宿泊事業法第3条第1項の届出をして営む事業。人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えないものに限られます(同法第2条第3項)
  2. 特区民泊: 国家戦略特別区域法第13条の特定認定を受けた「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」。認定事業には旅館業法第3条第1項の許可が不要になります(同条第5項)
  3. 簡易宿所(旅館業法): 「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設」を設けて営む営業で(旅館業法第2条第3項)、都道府県知事等の許可が要ります(同法第3条第1項)

「一棟貸し」「古民家」「ゲストハウス」といった呼び方は業態ではありません。同じ古民家でも、届出で運営していれば住宅宿泊事業、許可を取っていれば簡易宿所です。ホームページに書ける内容はこの区分で決まるので、業態が決まっていない段階でホームページを作り始めてはいけません。届出・許可・認定の手続き自体は観光庁の民泊制度ポータルサイトと各自治体の手引に譲り、ここではホームページに効く違いだけを表にします。

業態別マトリクス|ホームページに書ける・書かねばならないこと

業態根拠年間日数番号の種類ホームページで決定的に変わる点
住宅宿泊事業・家主居住型住宅宿泊事業法第3条・第11条第1項第2号、同法施行規則第9条第3項・第4項180日以内(施行規則第3条)届出番号事業者本人が管理する旨を書ける。標識は施行規則第11条の区分に応じた様式(自ら管理する者は第四号様式または第五号様式)
住宅宿泊事業・家主不在型住宅宿泊事業法第11条第1項第2号、同法施行規則第9条180日以内届出番号+管理業者の登録番号住宅宿泊管理業者への委託が義務。運営者情報に管理業者名と登録番号を併記し、苦情窓口は管理業者になる
住宅宿泊事業・居室が6以上住宅宿泊事業法第11条第1項第1号、同法施行規則第9条第2項180日以内届出番号+管理業者の登録番号家主居住型でも委託が義務(施行規則が定める居室数は5で、これを超えると該当)
特区民泊国家戦略特別区域法第13条、国家戦略特別区域法施行令第13条制限なし認定番号施設を使用させる期間は3日から10日の範囲で条例が定める期間以上(施行令第13条第2号)。料金・予約ページに「最低◯泊から」を明記。一居室25㎡以上(同条第3号イ)。大阪市は2026年5月29日で新規受付を終了
簡易宿所旅館業法第2条第3項・第3条、旅館業法施行令第1条第2項制限なし許可番号客室の延床面積33㎡(宿泊者10人未満なら3.3㎡×人数)以上が構造設備の基準。施設として売るなら宿泊施設(旅館・ホテル)のホームページ制作費用・相場へ

出典: 住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号、最終改正 令和4年法律第68号)、住宅宿泊事業法施行規則(平成29年厚生労働省・国土交通省令第2号)、国家戦略特別区域法第13条、国家戦略特別区域法施行令第13条、旅館業法第2条・第3条、旅館業法施行令第1条。いずれも2026年9月2日にe-Gov法令検索で確認。

家主不在型と居室6以上は、管理業者を運営者情報に併記する

住宅宿泊事業法第11条第1項は、届出住宅の居室の数が省令で定める数を超えるとき(第1号)、または人を宿泊させる間に不在となるとき(第2号)は、住宅宿泊管理業務を一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならないと定めています。省令で定める居室の数は5です(施行規則第9条第2項)。「不在」から除かれるのは「日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在」(同条第3項)で、買い物や通勤程度の外出はここに入ります。

例外もあります。事業者の生活の本拠と届出住宅が同一の建物内・敷地内にあるか隣接していて(届出住宅から生じる騒音などによる生活環境の悪化を認識できないことが明らかな場合を除く)、かつ自ら管理する居室の合計が5以下なら、不在時でも委託しなくてよいとされています(施行規則第9条第4項)。離れや隣の家を貸すケースがここに当たります。

委託義務に違反すると50万円以下の罰金です(住宅宿泊事業法第75条)。ホームページの観点で重要なのは、委託した瞬間に第5条から第10条までの義務(衛生・安全・外国語対応・名簿・周辺説明・苦情対応)は管理業者が負うことです(第11条第2項)。つまり家主不在型のサイトでは、「困ったときの連絡先」「近隣の方からのお問い合わせ先」は管理業者の窓口を書くのが筋で、事業者本人の携帯番号を書いてしまうと実態と表示がずれます。

特区民泊と簡易宿所の人は、何を確認すべきか

特区民泊は、外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約に基づいて一定期間以上使用させる事業として設計されています。施行令第13条は、期間のほかに、出入口と窓に鍵がかかること、台所・浴室・便所・洗面設備を有すること、外国語での案内と緊急時の情報提供、滞在者名簿、申請前の周辺住民への説明、苦情への適切かつ迅速な処理を要件にしています。ホームページの「ハウスルール」「安全」「最低宿泊日数」は、この要件をそのまま公開する形で書けます。

ただし特区民泊は制度として縮小局面にあります。特区民泊の認定施設の大半を占めてきた大阪市は、2026年5月29日をもって新規申請と居室追加の変更認定の受付を終了しました(出典: 大阪市「大阪市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の新規受付終了について」、令和7年11月28日に内閣総理大臣の認定)。同ページは、同日以前に認定を受けている施設は従来どおり営業できると明記しています。認定済みの事業者は、認定番号と「認定済み施設である」旨を運営者情報に書いておくと、新規参入が止まった後の信頼材料になります。

簡易宿所は日数制限がない代わりに、構造設備の基準と許可が要ります。旅館業法第3条第3項は、学校や児童福祉施設の敷地の周囲おおむね100メートル以内で「清純な施設環境が著しく害されるおそれがある」場合に許可を与えないことができるとしており、立地で結果が変わります。無許可で旅館業を営むと6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方です(旅館業法第10条第1号)。住宅宿泊事業者が180日を超えた場合も、都道府県知事等が旅館業法違反(無許可営業)と判断しうる旨がガイドラインに書かれているため、「180日と自治体条例」の章で述べます。

届出番号と標識|「義務・推奨・仲介サイト」の3層構造

届出番号とは、都道府県知事等が住宅宿泊事業の届出を受け付けたときに届出者へ通知する番号です(施行規則第4条第7項)。この番号をどこに表示するかは、義務のレベルが3層に分かれています。ここを「届出番号の表示に対応」の一言で済ませると、義務でない場所を義務と誤解したり、義務の場所を落としたりします。

表示する場所義務のレベル根拠違反した場合
届出住宅(門扉・玄関などの公衆の見やすい場所)義務住宅宿泊事業法第13条、施行規則第11条(様式)30万円以下の罰金(同法第76条第2号)
自社サイト推奨住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)「標識については、ウェブサイトを作成している場合は、届出住宅における掲示に加え、当該ウェブサイト上での掲示が推奨される」罰則なし
Airbnbなどの住宅宿泊仲介サイト表示される(仲介業者側の措置)ガイドライン4-7「仲介サイトにおいて、届出番号等、物件の適法性に関する情報を表示することとする」。仲介業者は取引相手が届出をした者かどうかの確認を怠ることを禁じられ(同法第58条第4号、国土交通省関係施行規則第39条第2号)、仲介契約前の説明事項に事業者の届出番号が含まれる(同規則第40条第2号)仲介業者側の違反

出典: 観光庁「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」平成29年12月26日策定・最終改正 令和6年12月24日、国土交通省関係住宅宿泊事業法施行規則(平成29年国土交通省令第65号)。

自社サイトへの掲示は義務ではありません。しかし、仲介サイトには番号が出ていて自社サイトには出ていない、という状態は、比較して見る宿泊者や近隣住民からすると不自然です。「載せなくてよい」ではなく「載せない理由がない」と考えてください。標識の画像をそのまま載せる方法と、記載事項をテキストで転記する方法があり、検索で拾われるのは後者です。

運営者情報ブロックのテンプレート

会社概要や「運営者情報」のページに、次の項目を並べます。文言は自治体の標識様式と自分の届出書に合わせてください。

項目住宅宿泊事業(家主居住型)住宅宿泊事業(家主不在型・居室6以上)特区民泊簡易宿所
事業者の商号・名称・氏名◯◯◯◯
届出番号/認定番号/許可番号届出番号届出番号認定番号許可番号
届出住宅(施設)の所在地◯◯◯◯
住宅宿泊管理業者の名称・登録番号委託していれば記載◯(必須)該当なし該当なし
苦情・問い合わせの窓口(近隣住民向け)事業者管理業者認定事業者営業者
緊急時の連絡先(宿泊者向け)◯管理業者の連絡先◯◯
最低宿泊日数任意任意条例で定める日数以上を明記任意
年間営業日数・営業できない期間180日以内、条例の制限があれば期間を明記同左記載不要記載不要

宿泊者名簿については、氏名・住所・職業・宿泊日、外国人で国内に住所がない人は国籍と旅券番号を記載し、作成の日から3年間保存します(施行規則第7条)。ホームページの予約フォームや事前チェックインの入力項目は、この名簿の記載事項から逆算して設計すると、到着後に聞き直す手間が消えます。ただし旅券番号のような情報をフォームで集めるなら、取得目的と保管方法をプライバシーポリシーに書いておく必要があります。

届出番号が通知される前にサイトを公開してはいけない

ガイドラインは、届出番号が通知されない場合には標識の掲示ができず、通知される前に事業を開始すると第13条に規定する標識に届出番号を記載できないことから同条違反として罰則等の対象になる、と明記しています。ホームページも同じ順番で考えてください。「準備中」のページを先に公開するのは構いませんが、予約を受け付ける状態にするのは届出番号が来てからです。届出は事業を開始しようとする日の前日までに行うものとされていますが(施行規則第4条第1項)、記載事項や添付書類に不備があると受け付けられず、届出日は形式的要件を満たした書類が到達した日になります。公開日を先に決めて逆算すると、この待ち時間で崩れます。

180日と自治体条例|営業カレンダーを先に塞ぐ

180日ルールとは、住宅宿泊事業で人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えてはならないという上限で、住宅宿泊事業法第2条第3項が定義そのものに組み込んでいます。数え方は省令で決まっています。ホームページに料金や空室カレンダーを載せる前に、営業できない日を先に塞ぐのが民泊の順番です。

正午基準の数え方と定期報告

施行規則第3条は、日数を「毎年四月一日正午から翌年四月一日正午までの期間において人を宿泊させた日数」とし、「正午から翌日の正午までの期間を一日とする」と定めています。つまり1泊2日の宿泊は1日、金曜チェックイン・日曜チェックアウトの2泊は2日です。年度の区切りは4月1日の正午なので、3月31日から4月1日にまたがる宿泊は前年度の1日になります。

この日数には、Airbnb経由の予約も、自社サイトからの直接予約も、知人を宿泊料を受けて泊めた日も、すべて含まれます。「直予約なら180日にカウントされない」という誤解を見かけますが、条文は宿泊させた日数を数えているだけで、経路を区別していません。

数えた結果は2か月ごとに報告します。施行規則第12条第2項は、届出住宅ごとに毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月の15日までに、前2か月分の宿泊させた日数・宿泊者数・延べ宿泊者数・国籍別の内訳を都道府県知事に報告することを求めています。報告を怠ると30万円以下の罰金です(住宅宿泊事業法第76条第3号)。ガイドラインは、報告は民泊制度運営システムを利用して行うことを原則とし、仲介業者からも営業日数の報告を受けて補完的に確認するとしています。営業日数が180日を超過し、都道府県知事等が旅館業法違反とする場合には、事業者自身に仲介サイト上の予約キャンセルや新規予約停止を指導し、要請に応じて観光庁が仲介業者へ新規予約受付停止を要請する、という流れがガイドライン4-8に書かれています。自社サイトの予約受付を止める手順も、この流れの中に自分で組み込んでおく必要があります。

自治体の条例で営業できる期間が変わる

住宅宿泊事業法第18条は、都道府県(保健所設置市・特別区を含む)が、騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、区域を定めて住宅宿泊事業を実施する期間を制限できると定めています。この条例は自治体ごとに中身が違います。3つの例を挙げますが、あなたの物件の自治体は別の内容であると考えて、後述の手順で必ず確認してください。

自治体主な制限ホームページへの影響
東京都新宿区住居専用地域では月曜日の正午から金曜日の正午まで営業不可。届出の7日前までに近隣住民へ書面で周知し、区に報告平日の空室カレンダーを塞ぐ。周知した事実と連絡先を運営者情報に載せると、近隣からの確認に答えられる
京都市住居専用地域では原則として1月15日正午から3月16日正午までの間のみ営業可能(届出住宅に3か月以上居住し自ら管理する家主居住型と、一定の基準を満たす認定京町家事業を除く)。家主不在型は、届出住宅の戸口までおおむね10分以内に駆け付けられる場所に現地対応管理者を駐在させる。届出前に近隣住民等へ計画を掲示・説明営業期間が実質約60日になるため、年間の売上見込みとホームページの投資額が連動する。駆け付け体制を「安全」ページに書ける
東京都大田区家主不在型は低層・中高層の住居専用地域や工業地域、文教地区などで実施が制限される。小学校・中学校の敷地の周囲100メートル以内で家主不在型の新規届出をする場合、月曜日正午から金曜日正午までは事業を行えない家主不在型は物件の用途地域で可否が決まる。ホームページを作る前に届出できるかを確認する

出典: 新宿区「住宅宿泊事業と新宿区のルールについて」、京都市「住宅宿泊事業法の届出の手引(全体概要)」および「民泊に係る京都市の独自ルール」(平成30年3月14日時点の説明資料。現行の条例・規則は京都市の民泊ポータルサイトで確認)、大田区「住宅宿泊事業について」。いずれも2026年9月2日閲覧。条例・規則は改正されるため、必ず自治体の現行資料で確認してください。

2026年7月15日の「ゼロ日規制」技術的助言

条例の考え方は2026年に変わりました。ガイドライン2-4(1)②は、条例で年間すべての期間において一律に制限することや、都道府県等の全域を一体として一律に制限することは法の目的を逸脱し「適切ではない」としてきました。これに対し、令和8年7月15日付で厚生労働省健康・生活衛生局生活衛生課長・国土交通省不動産・建設経済局不動産業課長・観光庁観光産業課長の連名で、都道府県・保健所設置市・特別区の住宅宿泊事業主管部局長宛てに「住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について(技術的助言)」(健生衛発0715第1号・国不動第129号・観観産第78号)が出されました(出典: 観光庁「地方公共団体に対して民泊に関する通知を行いました」令和8年7月15日、通知本文を含む)。

通知の骨子は3点です。

  1. ゼロ日規制: 住宅地や教育施設等の周辺で静穏な環境が損なわれるおそれがある場合や、住宅の多くが民泊に転用されて定住人口や地域コミュニティの維持が困難になるおそれがある場合に、区域を定めて新たな住宅宿泊事業の実施を禁止することや、営業可能日を土日祝前日等に制限することは、各自治体の判断で合理的に必要と認められる限度において可能。すでに多くの民泊が立地し現に弊害が生じているなどの強い必要性があり他に適切な対応策がない場合には、既存の届出住宅に対しても一定の猶予期間を設けたうえで制限を設けることも考えられる
  2. ICTを用いた管理の義務付け: 騒音計や出入口のカメラを設置してモニタリングし、過去1年分などのデータ保存を条例で義務付けることが考えられる
  3. その他: チェックイン・チェックアウト時間の制限や施設の定員数の上限の設定など、法第18条の規定に関わらず合理的な範囲で条例による規制が可能

通知は地方自治法第245条の4第1号に基づく技術的助言で、それ自体が事業者を直接縛るものではありません。ただし、これを受けて条例を改正する自治体が出れば、営業できる曜日、定員、チェックイン時間がホームページの記載事項として増えます。新規禁止区域では事業者の変更時に届出を新たに行う必要があることから、その届出住宅で事業を引き続き実施できないとも通知は述べています。物件を譲渡・相続する前提でホームページを資産として作る発想は、この区域では成り立たないことになります。

自分の物件の自治体で確認する5ステップ

全国一律の正解はありません。次の順で確認し、結果をホームページの「営業可能日」「定員」「チェックイン時間」に反映してください。

  1. 条例の有無を調べる。 観光庁の民泊制度ポータルサイト「各自治体の情報・窓口案内(条例等の状況等)」から物件所在地の自治体ページに進み、条例・規則・要綱・手引の現行版を取得します。2026年7月の技術的助言を受けた改正が予定されていないかも担当課に聞きます
  2. 用途地域を確認する。 自治体の都市計画情報のサイトで、物件が第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域に当たるかを見ます。条例の制限はここで分岐することが多いです
  3. 学校等からの距離を測る。 小中学校や児童福祉施設の敷地から100メートル以内かどうかで、家主不在型の可否や曜日制限が変わる自治体があります。簡易宿所の許可判断でも同じ距離が基準です(旅館業法第3条第3項)
  4. 管理規約と賃貸借契約を読む。 分譲マンションは規約に住宅宿泊事業を禁止する定めがないこと、賃貸なら転貸の承諾があることが届出の要件です(施行規則第4条第3項第11号〜第13号)。ここで止まる案件は多いです
  5. 保健所と消防署に事前相談する。 京都市の手引が事前協議を前提にしているように、多くの自治体は届出前の相談を求めています。消防署では次章の用途判定と消防法令適合通知書の要否を確認します

安全・外国語・近隣配慮をページに翻訳する

住宅宿泊事業法第5条から第10条までは、宿泊者の衛生・安全、外国人観光旅客への対応、宿泊者名簿、周辺地域への配慮事項の説明、苦情対応を事業者の義務にしています。この義務は紙の案内や口頭説明でも果たせますが、ホームページを履行手段として使うと、宿泊前に読んでもらえて、近隣住民にも同じ内容を見せられるのが利点です。

消防の用途判定と50平方メートルの境目

消防庁の通知「住宅宿泊事業法に基づく届出住宅等に係る消防法令上の取扱いについて」(平成29年10月27日 消防予第330号)は、届出住宅は原則として消防法施行令別表第一(5)項イの防火対象物(旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの)として扱うとしたうえで、人を宿泊させる間に住宅宿泊事業者が不在とならない旨の届出が行われた届出住宅については、宿泊室の床面積の合計が50平方メートル以下となるときは住宅として取り扱う、と定めています(出典: 総務省消防庁「民泊における消防法令上の取り扱い等」掲載の消防予第330号)。

つまり家主居住型で宿泊室が合計50平方メートル以下なら住宅用火災警報器などの住宅の基準、それ以外は自動火災報知設備や誘導灯といった宿泊施設の基準です。多くの自治体は届出時に消防署が交付する「消防法令適合通知書」の添付を求めており、消防庁は平成29年12月26日の消防予第389号で交付手続きを示しています。ホームページの「安全」ページに「自動火災報知設備設置済み」「消防法令適合通知書取得済み」と書けるかどうかは、この判定と手続きの結果で決まります。

法第6条・第7条・第9条とページの対応表

義務根拠内容ホームページでの置き場所
宿泊者の安全の確保法第6条、国土交通省関係施行規則第1条非常用照明器具の設置、避難経路の表示、その他国土交通大臣が定める措置「安全・防災」ページに避難経路図と設備一覧。館内表示の写真を載せる
外国人観光旅客の快適性・利便性法第7条、同規則第2条外国語による設備の使用方法の案内、交通手段の情報提供、火災・地震等の通報連絡先の案内英語版のハウスガイドとアクセスページ。翻訳はSEOのためでなく義務の履行手段
周辺地域への悪影響の防止に関する説明法第9条騒音防止のために配慮すべき事項などを宿泊者に説明。外国人には外国語で説明(第2項)「ハウスルール」ページ。予約時に同意チェックを入れると説明の記録になる
苦情等への対応法第10条周辺住民からの苦情・問い合わせに適切かつ迅速に対応運営者情報ページに近隣向け窓口。ガイドラインは宿泊者不在の期間も対応が必要としている

出典: 国土交通省関係住宅宿泊事業法施行規則第1条・第2条。

ガイドラインは、届出にあたって届出者から周辺住民に対し事業を営む旨を事前に説明することが望ましいとし、都道府県知事等が届出住宅の所在地を公表することが望ましいとも述べています。自治体によっては事前周知が条例上の義務です。周知した内容をホームページにも置いておくと、後から引っ越してきた住民や管理組合の役員交代のたびに説明し直す手間が減ります。

ハウスルールの雛形

ハウスルールは、法第9条の説明事項を宿泊者向けの言葉にしたものです。次の項目を日本語と英語(外国人観光旅客には外国語での説明が義務です)で用意します。

  • 静粛にする時間帯(例: 22時から翌8時まで屋外・ベランダでの会話や音楽を控える)と、近隣が住宅であること
  • ゴミの分別と出し方。回収日と、収集場所に出してよい時刻
  • 定員と、届出人数以外の立ち入り(訪問者・パーティー)の禁止
  • 喫煙場所、火気の扱い、非常口と消火器の位置、火災・地震時の連絡先(119番とオーナーまたは管理業者の番号)
  • チェックイン・チェックアウトの時刻と、鍵の受け渡し方法
  • 苦情・緊急時の連絡先(家主不在型は管理業者)

2026年7月の技術的助言を受けて、騒音計やカメラの設置を条例で義務付ける自治体が出た場合、その事実もハウスルールと運営者情報に書くことになります。宿泊者に撮影範囲と保存期間を知らせておくのは、個人情報の扱いとしても必要です。

民泊のホームページ、できてから決めませんか?

無料で下見する

自社サイトで予約を受けるなら特定商取引法の表記が要る

自社サイトで宿泊の申込みを受け付けると、特定商取引法の通信販売に当たります。同法第2条第2項は、販売業者または役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法(インターネットを含む)により役務提供契約の申込みを受けて行う役務の提供を通信販売と定義しており、宿泊はこの役務に含まれます。旅行業者が行う役務の提供は適用除外ですが(第26条第1項第8号ハ)、宿泊事業者自身が自分の施設の予約を受ける行為はこの除外に当たりません。

第11条は、通信販売の広告に、役務の対価、支払時期と方法、提供時期、申込期間の定めがあればその内容、申込みの撤回または解除に関する事項、その他省令で定める事項を表示することを求めています。省令で定める事項(施行規則第23条)には、事業者の氏名または名称・住所・電話番号、法人がインターネットで広告する場合は代表者または業務責任者の氏名、対価以外に負担すべき金銭があるときはその内容と額、が含まれます。解除に関する事項は、顧客にとって見やすい箇所に明瞭に判読できるように表示する必要があります(施行規則第24条第3号)。出典: 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)、特定商取引に関する法律施行規則。

民泊固有の項目に絞ると、「特定商取引法に基づく表記」ページに次を書きます。

  • 事業者名・住所・電話番号(家主不在型でも事業者本人の情報。管理業者名は運営者情報側に)
  • 宿泊料金と、清掃料・リネン代・追加人数料金・入湯税など宿泊料以外に負担する金額
  • 支払時期と方法(事前カード決済か、現地払いか)
  • 役務の提供時期(チェックイン日)と、特区民泊なら最低宿泊日数
  • キャンセル料の発生時期と割合。無断キャンセルの扱い

ネット販売で必要な表記の考え方は農家のホームページ制作ガイドの特商法の節でも扱っています。宿泊は物販と違って「返品」がないため、キャンセル条件の書き方がすべてです。

民泊ホームページの必須コンテンツ一覧(コピペチェックリスト)

民泊のホームページに必要なコンテンツは、法定層・信頼層・魅力層の3層に分けると漏れがなくなります。ページ構成の一般論はホームページのページ構成の決め方を参照してください。

法定層は、法律・省令・条例が求める事項と、自社サイトで予約を受けるために要る表示をまとめた領域です。届出番号のサイト掲載自体は「届出番号と標識」の章のとおり推奨にとどまりますが、内容が届出で決まる項目なのでここに含めます。一度作れば届出内容や条例が変わらない限り書き換えません。

信頼層は、宿泊者と近隣住民の両方に「誰がどう運営しているか」を見せる領域で、年に数回見直します。

魅力層は写真・設備・料金・周辺情報で、季節やイベントごとに更新します。層を分けておくと、更新のたびに法定層を触って崩す事故が減り、制作会社に頼むときも「法定層は原稿を渡す、魅力層は撮影と文章を任せる」と分担できます。

次の表は、そのままスプレッドシートやNotionに貼って進捗管理に使えます。

層コンテンツ根拠・ねらい状態
法定層運営者情報(事業者名・届出番号または認定番号・許可番号・届出住宅の所在地・管理業者名と登録番号・近隣向け窓口・緊急連絡先)住宅宿泊事業法第13条の標識記載事項(届出番号・事業者名・様式に応じた連絡先や管理業者名と登録番号)を転記し、届出住宅の所在地と近隣向け窓口を加える。管理業者は同法第11条☐
法定層標識の画像またはテキスト転記ガイドラインの推奨事項。仲介サイトの表示と揃える☐
法定層営業可能日と定員・チェックイン/チェックアウト時刻・条例による制限期間営業日数は住宅宿泊事業法第2条第3項・同法施行規則第3条、期間制限は同法第18条の条例、定員は同法第5条・厚生労働省関係施行規則(宿泊者1人当たり3.3㎡)、定員やチェックイン時刻の条例上限は2026年7月の技術的助言☐
法定層特定商取引法に基づく表記(事業者情報・追加負担・支払時期・キャンセル条件)特定商取引法第11条・施行規則第23条・第24条☐
法定層プライバシーポリシー(名簿記載事項と旅券番号の取得目的・保管期間、カメラ設置の有無)施行規則第7条の名簿、個人情報保護法☐
法定層安全・防災(消防設備・避難経路・消防法令適合通知書の取得の有無)住宅宿泊事業法第6条・国土交通省関係施行規則第1条、消防予第330号☐
法定層ハウスルール(日本語・英語)住宅宿泊事業法第9条の説明事項、外国人には外国語で(第2項)☐
法定層英語版の設備案内・交通・緊急連絡先住宅宿泊事業法第7条・国土交通省関係施行規則第2条☐
信頼層運営者のプロフィール。家主居住型なら同じ建物に住んでいる事実誰が運営しているかの不安を解消☐
信頼層家主不在型の駆け付け体制(条例で要件がある場合はその内容)京都市のように条例が定める場合は表示と実態を揃える☐
信頼層近隣住民への事前周知を行った旨ガイドラインの「望ましい」事項。条例で義務の自治体もある☐
信頼層宿泊者の声(仲介サイトのレビューを転載する場合は各サイトの利用規約を確認)初回利用者の不安解消☐
信頼層よくある質問(鍵の受け渡し、荷物預かり、子ども・ペット、喫煙)問い合わせ前の疑問を先に潰す☐
魅力層物件の特徴と写真(間取り、寝室数、ベッド構成、水回り)予約の決め手☐
魅力層設備とアメニティの一覧(Wi-Fi、キッチン設備、洗濯機、暖房)長期滞在・家族連れの検討材料☐
魅力層料金の目安と空室カレンダー、または仲介サイトへの導線直予約と仲介サイトの役割分担の入口☐
魅力層アクセスと周辺情報(最寄り駅、スーパー、コンビニ、観光地までの時間)地域×体験クエリの受け皿☐
魅力層予約・問い合わせフォーム(名簿記載事項から逆算した入力項目)一次受付。到着後の聞き直しを減らす☐

一般的な制作ガイドが挙げる「利用のルール」「特商法表記」「英語版」は、それぞれ法第9条・特商法第11条・法第7条の履行手段です。なぜ必要かが分かっていると、制作会社に頼むときに「英語版はSEO用の1ページで」といった削り方をしなくなります。

OTAと自社サイトの役割分担|手数料の実額と直予約の設計

OTAとは、Airbnb・Booking.com・楽天などのオンライン旅行代理店の総称で、民泊では住宅宿泊事業法上の住宅宿泊仲介業者(同法第2条第10項)または旅行業者に当たります。住宅宿泊事業者が宿泊サービス提供契約の締結の代理または媒介を他人に委託するときは、住宅宿泊仲介業者か旅行業者に委託しなければなりません(同法第12条、違反は50万円以下の罰金)。自社サイトで直接予約を受ける行為は委託ではないので、この制約にはかかりません。本記事では法律上の用語に合わせ、OTAを一貫して仲介サイトと呼んでいます。

手数料の実額シミュレーション

Airbnbは前述のとおり、ホストが負担する15.5%のシングルサービス料への統合を進めています。Booking.comについては基本手数料15%前後にプログラム参加で加算される仕組みが業界メディアで報告されていますが、本記事では一次資料を確認できていないため、契約条件は各社のパートナー向け資料でご確認ください。

ここではAirbnbの15.5%を使って、直予約に置き換えた場合の差を計算します。数値は説明のための想定値で、特定の物件の実績ではありません。

想定仲介サイト経由自社サイトで直接予約差
1泊15,000円×月10泊手数料 23,250円/月決済手数料(3〜4%想定)4,500〜6,000円/月約17,000〜19,000円/月
年間(180日上限を12か月10泊で使う想定)279,000円/年54,000〜72,000円/年約207,000〜225,000円/年

年間20万円前後の差は、自作やAI生成のホームページなら初年度で回収でき、制作会社に頼んだ場合は数年かかる金額です。ただし全予約を自社に寄せる前提は現実的ではありません。新規のゲスト、とくに海外からの初回利用は仲介サイトの信頼と決済に依存しているからです。新規は仲介サイト、リピーター・紹介・長期滞在は自社サイトという役割分担で、直予約比率を1〜2割から始めるのが現実的です。

180日の上限がある住宅宿泊事業では、日数を増やして売上を伸ばすことができません。だからこそ、同じ180日をどの客層と単価で埋めるかが直予約の設計になります。家族連れの連泊、同じ用事で毎月来るビジネス客、地域のイベントに合わせた長期滞在は、自社サイトで受けたほうが条件を柔軟にできます。

直予約に理由を作る3つの型

自社サイトに来た人が仲介サイトに戻らないためには、直予約を選ぶ理由が要ります。

  1. 価格型: 手数料分を一部還元して直予約の料金を下げる。仲介サイトの規約で最安値保証を求められる場合があるため、掲載条件を確認してから設定する
  2. 条件型: 連泊割引、チェックイン時刻の柔軟な調整、荷物の事前受け取りなど、仲介サイトの画面では表現しにくい条件を自社サイトだけで提示する
  3. 関係型: 宿泊後に次回の直予約用の案内を渡す。名簿の連絡先をマーケティングに使うなら、プライバシーポリシーでその利用目的を明示しておく

予約システムの選び方、サイトコントローラーとの連携、直予約比率別の削減額の詳細は、旅館業向けですが宿泊施設(旅館・ホテル)のホームページ制作費用・相場のOTA手数料削減の章が参考になります。

作り方5択の比較と「3年撤退・5年継続」の総額

制作手段は大きく5つです。費用相場の一般論はホームページ制作の費用相場に譲り、ここでは民泊固有の向き不向きに絞ります。

手段初期費用の目安月額の目安民泊としての向き不向き
ノーコードで自作0〜5万円1,000〜5,000円1物件・家主居住型なら十分。法定層のテキストは自分で用意する。予約は仲介サイト併用で始める
AIツールで生成0〜3万円0〜3,000円構成と文章のたたき台、英語版の初稿に向く。届出番号(サイト掲載は推奨)・営業可能日・特商法表記など制度で内容が決まる事項は生成文に頼らず自分で埋める
民泊特化の制作サービス5万円前後〜0〜5,000円程度届出番号の表示欄や予約エンジン連携が型になっている。複数物件・多言語は別料金になりやすい
フリーランスに依頼10〜50万円0〜2万円写真と文章にこだわる1〜2物件向け。法令の知識は期待せず、法定層の原稿は自社で責任を持つ
制作会社に依頼30〜150万円1〜5万円複数物件・予約エンジン・多言語・撮影を一括で任せる法人運営向け

自作の詳細はノーコードでのホームページ作成、AI活用はAIでのホームページ制作にまとめています。民泊特化サービスは各社の自社価格であって相場ではないため、上表の数値は公開されている一例の水準を丸めたものです。

3年で撤退した場合と5年続けた場合の総額

前述のとおり、届出の36.1%はすでに廃止されています。5年の総保有コストだけで比べると、初期費用の重い手段が月額の安さで逆転して見えることがありますが、3年で閉じた場合には初期費用が回収できません。両方を並べます。

手段初期月額(想定)3年で撤退した場合の総額5年続けた場合の総額
ノーコードで自作3万円3,000円約14万円約21万円
AIツールで生成2万円1,000円約6万円約8万円
民泊特化の制作サービス6万円5,000円約24万円約36万円
フリーランスに依頼30万円1万円約66万円約90万円
制作会社に依頼80万円3万円約188万円約260万円

※ 初期費用は上表レンジの中位付近を丸めた想定値、月額は一般的な目安として置いた想定値です。更新代行や撮影は含みません。各社の実際の見積りにより変動し、特定のサービスの価格ではありません。維持費の内訳はホームページの維持費・ランニングコストで解説しています。

判断の軸は「回収までに何日の宿泊が要るか」です。直予約の差額が1泊あたり約1,700〜1,900円(前章の想定)なら、AI生成や自作の初期費用は数十泊、制作会社の80万円は400泊以上の直予約に相当します。180日の上限がある業態では、後者は複数物件でなければ届きません。

制作費に補助金を充てられる可能性もあります。小規模事業者持続化補助金はウェブサイト関連費の扱いに独自の上限があり、要件と時期は年度ごとに変わるため、小規模事業者持続化補助金とホームページで最新の考え方を確認してください。

民泊が制作会社に聞く3つの質問

制作会社選びの一般的な基準はホームページ制作会社の選び方に譲り、民泊固有の質問だけを挙げます。

  1. 「届出番号・営業可能日・特商法表記・ハウスルールの英語版を、どのページにどう置く想定ですか」 法定層の設計図が返ってこない会社は、魅力層だけを作ります
  2. 「予約エンジンと仲介サイトの在庫連携をどう組み、180日到達時や条例の制限期間に自社サイトの予約受付をどう止めますか」 止め方を答えられない設計は、超過リスクを事業者に残します
  3. 「廃業・売却時に、ドメインとサイトデータを引き渡す条件と費用はいくらですか」 撤退が珍しくない業種なので、出口の条件を先に決めます

集客設計|地域×体験クエリ・Googleビジネスプロフィール・多言語・AI検索

民泊のホームページが検索で拾えるのは、物件名で探す指名検索を除けば「地域名×宿タイプ」と「地域名×体験・条件」のクエリです。仲介サイトの検索軸では表現しにくい条件を見出しにすると、仲介サイトと競合せずに拾えます。どのクエリでも受け皿の作りは同じで、各ページの冒頭に所在地・業態・届出番号・定員を事実として先に書くのが共通の原則です。検索エンジンも、Googleビジネスプロフィールの代替も、AI検索も、この一文を読みます。集客の基本はホームページからの集客方法と初心者向けSEOの始め方を参照してください。

地域×宿タイプ・体験のクエリ例

クエリの型例受け皿にするページ
地域×宿タイプ◯◯市 一棟貸し/◯◯ 古民家 宿泊/◯◯駅 ゲストハウストップページと物件紹介(冒頭の原則どおり)
地域×人数・構成◯◯ 貸切 10人/◯◯ 三世代 旅行 宿定員・寝室数・ベッド構成のページ。定員は床面積から決まる法定の上限(宿泊者1人当たり3.3㎡)と、条例で上限がある場合はそれに一致させる
地域×条件◯◯ ペット可 宿/◯◯ 長期滞在 キッチン付き/◯◯ 駐車場 無料 宿設備・アメニティのページ。条件ごとに見出しを立てる
地域×体験・イベント◯◯ 花火大会 宿泊/◯◯ 登山 前泊/◯◯ 合宿 宿周辺情報のページ
制度・信頼◯◯ 民泊 届出済み/◯◯ 民泊 管理業者運営者情報のページ

季節やイベントの情報は更新負荷が高いので、営業カレンダーと連動するものだけに絞ります。条例で営業できない期間に重なるイベントを載せると、問い合わせだけ増えて断る手間が発生します。

Googleビジネスプロフィールに登録できない場合の代替

実店舗やスタッフの常駐がない宿泊物件は登録が認められない場合があり、無人運営の民泊が該当することがあります。登録できるかどうかはGoogleの「Google でのビジネス情報の表示に関するガイドライン」の最新版で確認し、登録できない場合は次の3点で代替します。

  1. 運営者情報とアクセスのページに地図を埋め込む(所在地は冒頭の原則で各ページに既出)
  2. 仲介サイトのリスティングと自社サイトで、物件名・所在地・定員・チェックイン時刻の表記を完全に揃える。表記ゆれは検索エンジンにもAIにも別物件と判定されるおそれがある
  3. 自治体の観光協会や地域のポータルに掲載できる場合は、届出番号入りの物件情報で申請する

多言語とAI検索

法第7条の履行手段でもある多言語は、宿泊者の62.4%が外国人という統計(観光庁、2026年4〜5月)を踏まえると、少なくとも英語版のハウスガイド・アクセス・緊急連絡先は必須です。機械翻訳で初稿を作り、設備名と緊急時の文言だけは人が確認する、という運用が現実的です。

AI検索(Google AI Overview など)は、冒頭に書いた「◯◯市の住宅宿泊事業の届出住宅、届出番号◯◯、定員◯名、最寄り駅から徒歩◯分」といった事実を、適法な物件かどうかの判定材料にしえます。原則を守ったサイトは、引用元として拾われやすくなります。

うまくいかないときの失敗診断表

公開したのに予約も問い合わせも来ない原因は、いくつかのパターンに分かれます。症状から逆引きしてください。

症状考えられる原因打ち手
検索しても自社サイトが出てこない物件名でしか拾えるクエリがない。地域×宿タイプ・体験のページがない「地域名×一棟貸し」「地域名×連泊」などの見出しでページを作る。所在地と届出番号を冒頭に書く
仲介サイトからは来るが自社サイトからは予約がない直予約を選ぶ理由(価格・条件・関係)がない。自社サイトの予約が仲介サイトより面倒「直予約に理由を作る3つの型」のどれかを置く。予約フォームの入力項目を名簿記載事項に絞る
近隣から苦情が来た、管理組合から問い合わせが来たハウスルールの周知事項が足りない。近隣向けの窓口が分からない法第9条の説明事項をハウスルールに落とし、運営者情報に近隣向け窓口を明記する。自治体の条例で周知が義務なら記録を残す
届出番号の掲載後に問い合わせの内容が変わった適法性が可視化され、法人や長期客の問い合わせが増える一方、無届の時期に公開していた場合は行政からの確認が来る届出番号が通知される前に予約受付を開始しない。番号取得後に運営者情報を更新する
180日を超えそう仲介サイトと自社サイトの在庫が別管理で、合計日数を把握していない予約エンジンで在庫を一元化し、定期報告のたびに残日数を確認する。上限が近づいたら自社サイトの受付を先に止める
条例の制限期間に予約が入った空室カレンダーに制限期間を反映していない営業できない期間を先にカレンダーで塞ぐ。自治体の条例改正を年1回確認する
更新が止まった季節・イベント情報の更新負荷が高い変わる情報は予約エンジンや仲介サイト側に寄せ、自社サイトは法定層と信頼層を中心にする

技術面の可能性を潰したい場合はホームページの品質チェック項目を確認してください。表示速度・SEO・アクセシビリティ・ベストプラクティスの観点はホームページ品質チェックツールでURLを入れるだけで自動診断できます。

よくある質問(FAQ)

民泊のホームページに届出番号は載せなければいけませんか?
自社ホームページへの掲示は義務ではなく、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)が推奨する事項です。義務なのは届出住宅の公衆の見やすい場所に省令の様式の標識を掲げることで(住宅宿泊事業法第13条)、違反は30万円以下の罰金の対象になります。Airbnbなどの住宅宿泊仲介サイトでは、ガイドラインに基づき届出番号などの適法性に関する情報が表示されます。仲介サイトには出ていて自社サイトには出ていない状態は不自然なので、運営者情報のページに届出番号・事業者名・届出住宅の所在地を載せるのが実務上の基本です。
2026年に民泊のルールはどう変わりますか?
住宅宿泊事業法そのものの180日上限や届出制は変わっていませんが、制度の運用と市場の動きが3点変わりました。2026年7月15日に厚生労働省・国土交通省・観光庁が自治体宛てに技術的助言を出し、区域を定めて新たな民泊の実施を禁止するいわゆるゼロ日規制や、騒音計・カメラによるICT管理の条例義務付け、チェックイン時間や定員の制限が条例で可能と整理しました。大阪市は2026年5月29日で特区民泊の新規受付を終了しました。Airbnbはホストが15.5%を負担するシングルサービス料への統合を進めています。物件所在地の自治体が条例を改正するかどうかは担当課に確認してください。
自社サイトで直接予約を受けても年間180日にカウントされますか?
カウントされます。住宅宿泊事業法施行規則第3条は、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間に人を宿泊させた日数を、正午から翌日の正午までを1日として数えると定めており、予約の経路は区別していません。仲介サイト経由も自社サイト経由も同じ180日の中に入ります。2か月ごとの定期報告でも合計の日数を報告するため、在庫を一元管理して残日数を把握しておく必要があります。
民泊のホームページ制作費用と毎月の維持費はいくらですか?
ノーコードで自作すれば初期0〜5万円と月1,000〜5,000円、AIツールで生成すれば初期0〜3万円と月0〜3,000円、民泊特化の制作サービスで初期5万円前後から、フリーランスで10〜50万円、制作会社で30〜150万円と月1〜5万円が目安です。民泊は届出の3分の1超が廃止されている業種なので、5年の総額だけでなく3年で撤退した場合の総額でも比べてください。1物件・家主居住型なら自作かAI生成で十分なことが多く、複数物件で予約エンジンと多言語を一括で任せたい場合に制作会社が候補になります。
一番安く民泊のホームページを作るにはどうすればよいですか?
AIツールやノーコードで自作し、予約は当面仲介サイトに任せるのが最も安い構成です。ただし届出番号(サイト掲載は推奨)・営業可能日・特定商取引法に基づく表記・ハウスルールの英語版といった制度で内容が決まる文章は、生成ツールに任せず自分の届出書と自治体の条例に合わせて書いてください。安く作る場合ほど、法定層を先に作って魅力層を後から足す順番が重要です。写真は自分のスマートフォンで撮ったものでも、明るさと水平さえ整えれば予約は取れます。
家主不在型ですが、ホームページに管理業者の名前を載せるべきですか?
載せるべきです。家主不在型は住宅宿泊事業法第11条により住宅宿泊管理業者への委託が義務で、委託した時点で衛生・安全・外国語対応・名簿・周辺説明・苦情対応の義務は管理業者が負います。したがって近隣住民向けの窓口と宿泊者向けの緊急連絡先は管理業者のものを書くのが実態に合います。運営者情報のページには事業者名と届出番号に加えて、管理業者の名称と登録番号を併記してください。京都市のように駆け付け要件を条例で定めている自治体では、その体制も書いておくと信頼につながります。
民泊が近隣から嫌がられる理由と、ホームページでできる対策はありますか?
苦情の多くは騒音、ゴミ出し、見知らぬ人の出入り、誰が運営しているのか分からないことに集中します。住宅宿泊事業法第9条は騒音防止などの配慮事項を宿泊者に説明すること、第10条は近隣からの苦情に適切かつ迅速に対応することを義務にしています。ホームページにハウスルールを日本語と英語で掲載し、運営者情報に近隣向けの窓口と管理業者を明記し、事前周知を行った旨を書いておくと、説明責任を果たしている状態を近隣にも見せられます。2026年7月の国の技術的助言は、現に弊害が生じていて他に適切な対応策がない区域では、一定の猶予期間を設けたうえで既存の民泊にも条例で制限を設けることも考えられると整理しており、近隣との関係はそのまま営業継続の条件になっています。
個人で1物件だけの民泊でもホームページは必要ですか?
必ずしも必要ではありません。1物件で家主居住型、稼働が年数十日、ゲストの大半が海外からの初回利用なら、仲介サイトのリスティングと自治体が求める周知事項で運営できます。必要になるのは、仲介サイトの手数料負担が重くなった、リピーターや紹介が増えた、家主不在型や住居専用地域での営業で近隣や自治体への説明責任が増えた、簡易宿所や特区民泊などに業態を変えた、のいずれかが当てはまったときです。その段階では自作かAI生成で法定層と運営者情報だけの小さなサイトから始めるのが現実的です。

まとめ:今日から始める3ステップ

民泊のホームページ制作は、デザインの前に制度と条例を確定するとうまくいきます。最後に、今日から動ける順序に整理します。

  1. 業態と自治体の条例を確定する。 住宅宿泊事業か、特区民泊か、簡易宿所か。家主居住型か不在型か。物件所在地の条例で営業できる期間・曜日・定員がどう制限されるか。観光庁のポータルから自治体ページに進み、保健所と消防署に事前相談します。ここが全工程の起点です
  2. 法定層から作る。 運営者情報(届出番号・管理業者・窓口)、営業可能日、特定商取引法に基づく表記、プライバシーポリシー、安全、ハウスルールの日本語版と英語版。届出番号が通知されるまでは予約受付を開始しません
  3. 魅力層と直予約の理由を足す。 写真・設備・アクセスを整え、新規は仲介サイト、リピーターと長期は自社サイトという役割分担で、直予約の理由を1つ置きます。費用は3年撤退と5年継続の両方で比べ、出口の条件を先に決めます

そのうえで集客は、地域×宿タイプ・体験のクエリと、届出番号まで書いた事実ベースの情報から積み上げていくのが、規制と両立する最短ルートになります。

シタミの料金プランは料金ページで確認できます。対話に答えるとサイトの形になるところまでは無料で試せるため、法定層と運営者情報だけの小さなサイトのたたき台づくりに使えます。生成されたたたき台に、届出番号・営業可能日・特商法表記・ハウスルールを自分の届出書と条例に合わせて埋めてから公開してください。

関連記事