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石材店のホームページ制作ガイド|価格表示と産地表記の法令ルール【2026年版】

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石材店のホームページ制作ガイド|価格表示と産地表記の法令ルール【2026年版】

記事についての開示: この記事はシタミ編集部が作成しています。記事内に自社サービス「シタミ」の紹介を含みます。墓地、埋葬等に関する法律・景品表示法・消費税法・個人情報保護法・建設業法・不正競争防止法に関する記述は2026年9月時点のe-Gov法令検索の条文本体、および消費者庁・公正取引委員会・個人情報保護委員会・厚生労働省の公式資料に基づいていますが、法的助言ではありません。個別の表示の可否や手続きの要否は、所轄の市町村役場、消費者庁および弁護士等の専門家にご確認ください。

石材店のホームページには、他の小売業や工事業にはない固有の難しさがあります。扱う商品が「工事を伴う100万円超の買い物」であり、しかもその手続きが法律で許可制になっているからです。

墓石の価格をどう書けば景品表示法に触れないのか。石種の産地はどこまで書く義務があるのか。墓じまいの相談ページに手続きをどこまで載せるべきなのか。これらは「おしゃれなデザイン」や「SEO対策」の前に決めなければならない設計の話ですが、石材店向けのホームページ記事でこれらを扱っているものは、調査した範囲では見つかりませんでした。

この記事は事例集ではありません。石材店という業種でホームページが担うべき役割を、条文と政府統計から組み立て直したものです。ホームページ制作そのものの全体像はホームページ制作の完全ガイドとホームページ作成の基礎知識で扱っているため、この記事では石材店に固有の論点に集中します。


この記事でわかること

  • 改葬(墓じまい・お墓の引っ越し)が5年で4割以上増えたという厚生労働省の統計と、そこから導かれる導線設計の組み替え方
  • 墓石選びで最も重視されるのが価格(51.5%)である以上避けて通れない、価格表示が景品表示法に触れるかを判定する3要素チェックと、消費者庁ガイドラインが挙げる工事業の事例
  • 「産地を書く義務がある」という通説が法令上は成り立たないこと(業界団体の自主基準は別)と、原石の採石地・加工地・据付を分けて書くという実務解
  • 墓じまい相談ページの必要書類・許可の管轄と、分骨には改葬許可証が要らないという条文上の切り分け
  • 施工事例の写真は第三者提供に当たらないと決めつけず、利用目的の明示と掲載の同意を契約時に済ませる方法
  • 「全国対応」と書けない理由になる指定石材店制度の書き分けと、建設業許可(石工事業)をホームページにどう書くか
  • 業界ポータル・団体サイトと自社サイトの役割分担、および制作会社・ノーコード・AI生成・自作の4手段×5年間の総額

石材店のホームページは、いま「改葬」の受け皿になっている

石材店のホームページで最も需要が伸びているのは、新しくお墓を建てる人向けのページではなく、すでにあるお墓をどうするかを考えている人向けのページです。

改葬とは、墓地、埋葬等に関する法律(以下「墓地埋葬法」)第2条第3項が「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定義する手続きです。一般に「墓じまい」「お墓の引っ越し」と呼ばれるものの、法律上の名称にあたります。

改葬件数は5年で41.6%増えた(厚生労働省の統計)

厚生労働省「衛生行政報告例」は、市町村長が交付した改葬許可の件数を毎年度集計しています。この統計の第4章生活衛生 第6表から改葬数を抜き出すと、次のようになります。

年度改葬件数うち無縁墳墓等の改葬
令和元年度(2019年度)124,346件2,982件
令和2年度(2020年度)117,772件2,718件
令和3年度(2021年度)118,975件3,309件
令和4年度(2022年度)151,076件3,414件
令和5年度(2023年度)166,886件3,651件
令和6年度(2024年度)176,105件3,006件

(出典:厚生労働省「衛生行政報告例」第4章生活衛生 第6表「埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数」各年度、政府統計の総合窓口 e-Stat)

令和元年度から令和6年度で41.6%増、コロナ禍で落ち込んだ令和2年度を底に見れば49.5%増です。同じ統計で令和6年度の火葬件数は1,674,137件(埋葬は383件)ですから、火葬のおよそ9.5件に1件の割合で、どこかのお墓が動いていることになります。

「建墓の相談窓口」から「お墓をどうするかの相談窓口」へ

この数字が石材店のホームページ設計に与える含意は明確です。トップページの一等地に建墓プランのバナーだけを置き、墓じまいを「その他のサービス」の下層に置いている構成は、伸びている需要を最も見つけにくい場所に隠していることになります。

具体的には、次の3点を見直す価値があります。

  1. グローバルナビゲーションに「墓じまい・改葬」を独立させる。「お墓のリフォーム」「その他」の中に畳まない
  2. 改葬の手続きを説明するページを作る。後述するとおり、依頼者が最初につまずくのは費用ではなく「どこに何を出すのか」です
  3. 建墓と改葬で問い合わせフォームの項目を分ける。改葬の相談では「現在のお墓の所在地」が最初に必要になりますが、建墓の相談では不要です

なお、ご逝去直後の即時対応や事前相談の導線設計、家族葬プランの見せ方については葬儀社のホームページ制作ガイドで扱っています。石材店と葬儀社は顧客層が重なりますが、検索されるタイミングが違う(葬儀は数時間以内の意思決定、墓石は数か月から数年の検討)ため、設計も分けて考える必要があります。


購入者が最も重視するのは価格。参考情報の1位は「石材店のアドバイス」(77.8%)

石材店のホームページに求められているのは、価格を隠すことでも、安さを競うことでもなく、価格の根拠を説明できる状態にすることです。この結論は、業界団体が毎年実施している購入者調査の2つの設問を並べると見えてきます。

一般社団法人全国優良石材店の会(全優石)の「第38回(2025)お墓購入者アンケート調査」(調査期間2025年3月1日〜5月31日、回答818名、全優石認定店で墓石を契約した人が対象)によると、墓石の平均購入価格は169.5万円(前年171万円)でした。そのうえで、2つの設問の答えが対になっています。

設問上位の回答
墓石選びで重視したこと(複数回答)①価格 51.5% ②石の色 40.7% ③石の材質 35.3% ④デザインのよさ 27.4%
墓石購入時の参考情報①「石材店のアドバイス」77.8% ②「墓地に行って他の墓石を参考にした」36.1%

また、墓地と墓石の「同時新規購入」は寺院墓地17.8%、公営墓地13.8%、民営墓地19.3%で、新規購入墓地の合計は50.9%です。裏を返せば約半数はすでに墓地を持っている人で、その多くは建て替え・リフォーム・改葬にあたります。

この2つの数字がホームページ設計に意味すること

最も重視されるのは価格です。だから価格を書かないページは、購入者が最初に知りたいことに答えていません。

一方で、購入時に何を参考にしたかを聞くと、77.8%が「石材店のアドバイス」を挙げています。価格が最重視されているのに、その価格を含めた判断は対面の説明に依存している。これはホームページ単体で契約が完結しないことと、価格の数字だけを並べても足りないことを同時に意味します。

つまりホームページの役割は「安さで比較して選ばれること」ではなく、「価格の根拠を示し、相談の場に来てもらうまでの不安を減らすこと」に絞られます。石種で価格が数倍変わる商材で、その差の理由を書けているページは多くありません。後述する価格の3要素と石種の工程分離表記は、まさにこの「根拠を説明する」ための道具です。

この視点で見ると、多くの石材店のホームページに欠けているのは以下の要素です。

一般的なホームページにあるもの相談の入口として本当に必要なもの
施工事例のギャラリー施工事例になぜその石種・その形にしたのかの説明
「〇〇万円〜」の価格表その金額に何が含まれ、何が別途かの内訳
「お気軽にご相談ください」相談したら何が起きるか(訪問の有無・所要時間・費用・断り方)
会社概要誰が担当するか(顔・経歴・在籍年数)
「創業〇〇年」その年数が何を保証するか(アフター対応の実績・保証年数)

ホームページからの問い合わせを増やす一般的な考え方はホームページ集客の基本にまとめています。


ポータルサイト・団体サイトと自社ホームページの役割分担

石材店には、全優石の認定店ページや墓地・霊園のポータルサイトという既存の露出面があります。「石材店 ホームページ」で検索したときに上位を占めるのも、業界団体のサイトです。では自社サイトは要らないのかというと、逆です。役割が違います。

ポータル・団体サイト自社ホームページ
強み霊園検索・地域検索の入口として強い。掲載するだけで一定の露出が得られる掲載する内容を自分で決められる
書ける内容店名・所在地・連絡先・写真など定型項目のみ価格の内訳、石種の採石地と加工地、対応霊園の3区分、墓じまいの手続きなど判断材料そのもの
差がつくところ掲載順・掲載プラン(費用で決まる)説明の質(工夫で決まる)
役割見つけてもらう相談したいと思ってもらう

ポータルの定型項目では、この記事が扱う「価格に何が含まれるか」「この石はどこで採れてどこで加工したか」「この霊園では当店が施工できるか」を書けません。ポータルは発見の場、自社サイトは相談の入口という切り分けで、両方を使うのが現実的です。

なお、地図検索対策(MEO)とGoogleクチコミの運用は業種を問わず共通するため、葬儀社のホームページ制作ガイドのMEO実装手順とクチコミ運用の項をそのまま参照してください。


石材店のホームページに載せる7つのコンテンツ

石材店のホームページに載せるべき内容は、業種を問わない一般的な「会社概要・サービス・お問い合わせ」に加えて、石材店固有の判断材料があります。ページ全体の組み立て方はホームページのページ構成の考え方も参考にしてください。

以下の1から5の順序は、この記事の後半の並びと対応しています。

#コンテンツなぜ必要か最低限入れる要素解説
1価格の内訳墓石選びで最も重視されるのが価格。本体・工事・彫刻・付属品の合算で総額が読めない含まれるもの/別途になるもの/永代使用料の扱い価格表示の3要素
2石種の一覧石種で価格が数倍変わるが、消費者は違いが分からない石種名/原石の採石地/加工地/表記例石種と産地の書き方
3墓じまい・改葬のページ需要が最も伸びている領域手続きの流れ/必要書類/申請先/期間墓じまい・改葬の相談導線
4対応霊園・墓地の一覧指定石材店制度があるため、依頼できるかどうかが立地で決まる霊園名/指定の有無/対応できる作業の範囲対応霊園一覧の作り方
5施工事例完成イメージが最大の不安要素石種・形状・霊園の種類・選定理由施工事例ギャラリー
6アフターサービス・保証建てた後の関係が長い商材保証年数/保証の対象と対象外/有償対応の料金—
7担当者の紹介購入者が最も参考にしているのは対面での助言氏名/担当歴/資格(お墓ディレクター等)—

このうち1から5は法令の制約を受けます。以下、この順に見ていきます。6と7に法令上の制約はありませんが、相談の入口としての重みは1から5に劣りません。


墓石の価格表示は「3つの要素」で決まる

墓石の価格をホームページに載せるとき、景品表示法上の適否を決めるのは「いくらか」ではなく、何が含まれるかです。

消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(平成12年6月30日公正取引委員会策定、平成28年4月1日消費者庁改定)は、販売価格に関する表示について次のように定めています。

販売価格に関する表示を行う場合には、(1)販売価格、(2)当該価格が適用される商品の範囲(関連する商品、役務が一体的に提供されているか否か等)、(3)当該価格が適用される顧客の条件について正確に表示する必要があり、これらの事項について実際と異なる表示を行ったり、あいまいな表示を行う場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。

このガイドラインは適用範囲について「商品本体による表示(商品に添付又は貼付される値札等)、店頭における表示、チラシ広告、新聞・テレビによる広告、インターネットによる広告等多様な媒体により行われているが、一般消費者に対して行われる価格表示であれば、それがどのような表示媒体により行われるものであるかを問わず、本考え方が適用されるものである」としており、ホームページ上の価格表示も明確に対象です。

消費者庁が挙げる事例は、墓石にそのまま当てはまる

同ガイドラインは、不当表示に該当するおそれのある表示として次の類型と事例を挙げています。

イ 通常他の関連する商品や役務と併せて一体的に販売されている商品について、これらの関連する商品や役務の対価を別途請求する場合に、その旨を明示しないで、商品の販売価格のみを表示すること。

(事例)A内装工事業者が、「カベ1部屋 5,000 円 クロス張替え」と表示しているが、実際には、5,000 円はクロスそのものの代金であり別途施工料金が請求されるとき。

墓石の「〇〇万円」表示が石材の代金のみで、基礎工事費・据付工事費・彫刻費が別途請求されるなら、構造はこの事例と同じです。石材店の見積書では当たり前に分かれている項目でも、ホームページ上で「墓石一式88万円」とだけ書けば、一般消費者は工事費込みの総額だと受け取ります。

価格表示3要素チェック表

ホームページに価格を載せる前に、次の表を埋めてください。空欄が残る項目があれば、その項目を本文中に明記する必要があります。

要素墓石の場合に確認すること記載例
(1) 販売価格税込か税抜か。総額表示になっているか「88万円(税込)」
(2a) 価格に含まれるもの石材本体のみか。基礎工事は含むか。据付は。文字彫刻は。外柵は。付属品(花立・香炉)は「本体・基礎工事・据付・和型3文字までの彫刻を含む」
(2b) 別途になるもの永代使用料、管理料、追加彫刻、地盤改良、既存墓石の撤去、遠方の運搬費「墓地の永代使用料・年間管理料は霊園に直接お支払いいただきます」
(3) 価格が適用される顧客の条件特定の霊園限定か。区画面積の上限は。キャンペーン期間は「〇〇霊園の1.0平方メートル区画の場合の価格です」

永代使用料は「別途」であることを明示する

墓石を建てるとき、施主が支払う費用は石材店に支払うものだけではありません。墓地の永代使用料と年間管理料は墓地の経営者(寺院・自治体・公益法人等)に支払うものであり、石材店の売上ではないのが一般的です。

しかしホームページ上で「お墓一式120万円〜」とだけ書けば、消費者はそれで墓地も含めて手当てできると受け取ります。実際に永代使用料が別途かかるなら、それは「関連する商品や役務の対価を別途請求する場合に、その旨を明示しない」表示にあたるおそれがあります。

永代使用料・管理料は「霊園にお支払いいただく費用で、当店の見積もりには含まれません」と明記する。これだけで、価格ページの法的リスクは大きく下がります。

見積もりが無償なら、その範囲まで書く

「見積もりを取ったら断りにくいのではないか」という不安は、墓石という商材では特に強く働きます。実際に見積もりを無償で行っている場合に限り、「見積もり後にお断りいただいても費用はかかりません」という一文を問い合わせフォームの直前に置くと、送信の心理的ハードルが下がります。

ただし出張見積の交通費や現地調査費を実費で請求しているなら、この一文はそのまま有利誤認(景品表示法第5条第2号)になります。無償の範囲(例:営業エリア内の現地調査までは無料、遠方は交通費実費)を必ず書き添えてください。


価格表示の3つのルールと、違反したときに起きること

3要素を満たしたうえで、価格の書き方には具体的なルールが3つあります。あわせて、違反したときに何が起きるかも押さえておきます。

なお「〇〇万円〜」という下限価格表示そのものは禁止されていません。問題になるのは、その金額で実際に契約できる仕様が存在しないときと、前節の3要素(とくに何が含まれ何が別途か)を書いていないときです。

ルール1:総額表示(消費税法第63条)

消費税法第63条は、事業者が「不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(中略)を行う場合」にあらかじめ価格を表示するときは、「当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格」を表示しなければならないと定めています。

一般消費者にお墓を販売する石材店はこれに当たり、税込価格の表示が必要です。同条が除いているのは、消費税の納税義務が免除される免税事業者と、「専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合」=卸売のみを行う場合です。

「88万円(税抜)」だけの表示は避け、「96万8,000円(税込)」または「96万8,000円(税込・本体価格88万円)」の形にします。

ルール2:二重価格の「8週間ルール」

「通常価格120万円 → キャンペーン価格88万円」のような表示を二重価格表示といいます。前掲の消費者庁ガイドラインは、過去の販売価格を比較対照価格とする場合の判断基準を次のように示しています。

一般的には、二重価格表示を行う最近時(最近時については、セール開始時点からさかのぼる8週間について検討されるものとするが、当該商品が販売されていた期間が8週間未満の場合には、当該期間について検討されるものとする。)において、当該価格で販売されていた期間が当該商品が販売されていた期間の過半を占めているときには、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよいものと考えられる。ただし、前記の要件を満たす場合であっても、当該価格で販売されていた期間が通算して2週間未満の場合、又は当該価格で販売された最後の日から2週間以上経過している場合においては、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはいえないものと考えられる。

整理すると、比較対照価格として使ってよいのは次の条件を満たす価格です。

  • セール開始時点からさかのぼる8週間(その商品の販売期間が8週間未満ならその期間)のうち、その商品が販売されていた期間の過半をその価格で販売していた
  • かつ、その価格での販売期間が通算2週間以上ある
  • かつ、その価格で販売した最後の日から2週間以内である

墓石のように販売頻度が低く単価が高い商材では、「通常価格」として掲げた金額で実際に販売した実績が薄くなりがちです。実績が伴わない「通常価格」を掲げるくらいなら、二重価格表示自体を使わないのが安全です。

ルール3:将来価格との比較も根拠が要る

同ガイドラインは、将来の販売価格を比較対照価格とする表示について「表示された将来の販売価格が十分な根拠のあるものでないとき(実際に販売することのない価格であるときや、ごく短期間のみ当該価格で販売するにすぎないときなど)には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある」としています。「来月から120万円に値上げします」という訴求も、実際に値上げして販売する予定がなければ使えません。

違反したときに何が起きるか

不当な価格表示は、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第5条第2号の有利誤認表示に当たり得ます。石種の品質や産地について実際より著しく優良に見せる表示は同条第1号の優良誤認表示です。

違反した場合の措置は3段階あります。

措置根拠条文内容
措置命令第7条第1項行為の差止め、再発防止に必要な事項、公示その他必要な事項の命令
課徴金納付命令第8条第1項対象期間の売上額の3%。ただし150万円未満は不課徴。確定した課徴金納付命令を基準日から遡り10年以内に受け、かつその命令の日以後に課徴金対象行為をしていた場合は同条第5項により4.5%
罰金第48条100万円以下の罰金(令和5年改正で新設された直罰規定)

さらに第8条第3項は、優良誤認に当たるかを判断するため必要があるときは表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、提出しないときは優良誤認表示と推定すると定めています。「この石は劣化しません」といった品質の断定をホームページに書くなら、それを裏付ける資料を手元に持っておく必要があります。

課徴金は売上額の3%です。対象となる表示が付いた商品の売上が5,000万円あれば、単純計算で150万円になります。表示ひとつの管理コストとしては、事前に整えるほうが圧倒的に安いという水準です。


石種と産地の書き方 — 「産地表示の義務」という誤解

石材店の実務でしばしば語られる「墓石には産地表示の義務がある」という話は、法令上は正確ではありません。義務があるのは表示することではなく、表示するなら誤認させないことです。

根拠になるのは、景品表示法第5条第3号にもとづく指定告示「商品の原産国に関する不当な表示」(昭和48年10月16日公正取引委員会告示第34号)です。この告示は次の構造になっています。

告示は2つの項からなり、第1項が国産品について、第2項が外国産品についての不当表示を定めています。石材店にとって直接効くのは、輸入石材を扱う場面を規律する第2項です。

2 外国で生産された商品についての次の各号の一に掲げる表示であつて、その商品がその原産国で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められるもの

 一 その商品の原産国以外の国の国名、地名、国旗、紋章その他これらに類するものの表示

 二 その商品の原産国以外の国の事業者又はデザイナーの氏名、名称又は商標の表示

 三 文字による表示の全部又は主要部分が和文で示されている表示

第1項は裏返しの構造で、国産品に外国の国名・地名や外国の事業者名を表示したり、表示の全部または主要部分を外国の文字にしたりして、国産であると判別しにくくすることを規律しています。

いずれの項も、条件は「一般消費者が判別することが困難であると認められるもの」です。つまりこの告示は「原産国を書け」と命じるものではなく、「原産国が分からなくなるような表示をするな」と禁じるものです。産地を一切書かないこと自体は、この告示には触れません。

「原産国」の定義が石材では特殊に効く

告示の備考は次のように定めています。

備考

1 この告示で「原産国」とは、その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行なわれた国をいう。

2 商品の原産地が一般に国名よりも地名で知られているため、その商品の原産地を国名で表示することが適切でない場合は、その原産地を原産国とみなして、この告示を適用する。

この備考2が、石材では決定的に効きます。庵治石、大島石、本小松石といった石種名は国名ではなく産地名で流通しており、まさに「原産地が一般に国名よりも地名で知られている」商品です。したがって、これらの産地名の表示は原産国の表示として扱われる領域に入ります。

そして備考1により、原産国は「実質的な変更をもたらす行為が行なわれた国」です。石材の流通では、原石を採石した国と製品に加工した国が異なる場合があります。この場合、どの工程を「実質的な変更」と見るかで原産国の答えが変わり得ます。

運用基準(昭和48年10月16日事務局長通達第12号)第十項は、逆に「実質的な変更をもたらす行為」に含まれないものとして、ラベルを付けるなどの表示、容器詰め・包装、単なる詰合せ・組合せ、簡単な部品の組立の4つを挙げています。石材の切削・研磨・彫刻がこのどれにも当たらないことは読み取れますが、逆にそれらが実質的な変更に当たると明示した公的な判断は確認できませんでした。断定を避けつつ誤認リスクを最小にする方法が、同じ運用基準の別の項に書かれています。

運用基準の考え方を借りる:工程ごとに分けて書く

「商品の原産国に関する不当な表示」の運用基準(昭和48年10月16日事務局長通達第12号)第八項は次のように定めています。

八 告示第一項各号の表示がされている場合であつて、前項の表示をしても、なお、その商品の原産国がいずれであるかが紛わしいときには、これらの表示とともに、外国の国名等とその商品との関係を和文で明示しなければ、告示第一項の不当な表示に該当するおそれがある。

注 例えば、「Fabric made in England」、「Material、imported from France」又は単に「Italy/Japan」などと表示されている場合、「日本製、生地は英国製」、「原材料をフランスから輸入し、○○株式会社ΔΔ工場で製造」、「イタリヤのデザインにより、○○株式会社で縫製」などと表示すればよい。

この第八項は告示第1項(国産品)の場面の規定なので、輸入石材を扱う第2項の場面にそのまま適用されるわけではありません。ただし「外国の国名等とその商品との関係を和文で明示」して紛らわしさを解くという考え方自体は、第2項の場面にも応用できます。「〇〇産」の一語で片づけず、原石の採石地・加工地・据付を分けて書く。これがもっとも誤認リスクの低い書き方です。

流通の型は3つに整理できます。石種一覧ページには、型ではなく右端の表記例をそのまま書きます。

流通の型原石の採石地加工地ホームページでの表記例
国内採石・国内加工国内国内「〇〇石(△△県産/自社工場にて加工、当店にて据付)」
海外採石・同一国加工海外採石国と同じ「〇〇石(インド産/現地にて採石・加工、据付は当店施工)」
海外採石・第三国加工海外採石国と別の国「〇〇石(原石はインド産、加工は中国の提携工場、据付は当店施工)」

3行目が、この考え方をもっとも素直に形にしたものです。原石と加工が国をまたぐ流通は珍しくありませんが、「インド産」の一語だけで書くと、加工地に触れないまま原産国を示したことになってしまいます。工程を分けて書けば、どの工程が「実質的な変更」に当たるかを断定しなくても、読み手に事実がそのまま伝わります。

価格帯は流通の型ではなく石種そのもので決まるため、この表とは別に石種ごとの価格を出してください。一般に国産の銘石が高く、海外産が抑えられます。その差の理由を上の表で説明できていれば、「なぜこの石は数倍高いのか」を説明する営業資料が、そのままコンプライアンス対応になる構造ができます。

やってはいけない表示

運用基準を踏まえると、次の表示は避けるべきです。

  • 海外で加工した石材に、和風の商品名だけを付けて産地に触れない(告示第2項の類型に近づきます)
  • 「国産同等品質」「国産に劣らない」といった、産地を誤認させかねない比較表現
  • 石種の呼称だけを書き、実際の採石地・加工地と一致しているかを確認していない状態

行政規制とは別に、競合他社から訴えられる筋もある

産地の表示で見落とされやすいのが、景品表示法とは別系統の不正競争防止法です。同法第2条第1項第20号は、「商品若しくは役務若しくはその広告」に「その商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量」について「誤認させるような表示」をする行為を、不正競争と定めています。条文が明示的に「広告」と「原産地」を挙げているため、ホームページ上の石種紹介はここに含まれます。

景品表示法が消費者庁による行政処分であるのに対し、不正競争防止法は競合他社が差止めや損害賠償を請求できる筋道です。国産銘石を扱う同業者からすれば、産地を曖昧にした表示は直接の競争上の不利益になります。

産地を書かない選択について

産地を書かない選択自体は、告示違反ではありません。ただし「石材の産地は書いていないが、価格差の説明もない」ページは、前掲の購入者調査(最重視は価格、その参考情報の1位は石材店のアドバイス)に照らすと、商機を落としています。


墓じまい・改葬の相談導線を法令から設計する

改葬の相談ページは、費用の話から始めてはいけません。依頼者が最初に詰まるのは「どこに、何を出すのか」だからです。

改葬には市町村長の許可が要る(罰則あり)

墓地埋葬法第5条第1項は次のように定めています。

埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。

そして同法第21条第1号は、第5条第1項に違反した者を2万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処すると定めています。金額は小さいものの、改葬の許可は「取っておいたほうがよい」ではなく法律上の義務です。

さらに同法第14条第1項は「墓地の管理者は、第八条の規定による埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ、埋葬又は焼骨の埋蔵をさせてはならない」と定めています。改葬許可証がなければ、移転先の墓地は遺骨を受け入れられません。

許可を出すのは「いま、お墓がある市町村」

ホームページで最も誤解を招きやすいのがこの点です。墓地埋葬法第5条第2項は、許可を行う市町村長について次のように定めています。

前項の許可は、埋葬及び火葬に係るものにあつては(中略)市町村長が、改葬に係るものにあつては死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行なうものとする。

つまり申請先は移転先の市町村ではなく、いま遺骨が納められている墓地がある市町村です。「実家のお墓を都市部の納骨堂に移したい」という相談なら、申請先は移転先ではなく実家のある市町村になります。

遠方の依頼者を多く扱う石材店ほど、この一文をページに書く価値があります。依頼者が自分の住所地の役所に問い合わせて「うちではありません」と言われてから相談が止まる、という取りこぼしを防げます。

改葬許可申請に必要なもの

墓地、埋葬等に関する法律施行規則第2条第1項は、改葬許可申請書の記載事項を次の7項目と定めています。

  1. 死亡者の本籍、住所、氏名及び性別
  2. 死亡年月日
  3. 埋葬又は火葬の場所
  4. 埋葬又は火葬の年月日
  5. 改葬の理由
  6. 改葬の場所
  7. 申請者の住所、氏名、死亡者との続柄及び墓地使用者又は焼骨収蔵委託者との関係

同条第2項は添付書類を次のように定めています。

一 墓地又は納骨堂(以下「墓地等」という。)の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面(これにより難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面)

二 墓地使用者等以外の者にあつては、墓地使用者等の改葬についての承諾書又はこれに対抗することができる裁判の謄本(以下略)

三 その他市町村長が特に必要と認める書類

実務上つまずきやすいのが第1号と第2号です。第1号の埋蔵証明書は現在の墓地の管理者が作成するため、離檀の話し合いが済んでいないと発行してもらえないことがあります。第2号は、申請者と墓地使用者が別人(名義が先代のままなど)の場合に承諾書が必要になるという規定で、親族間の合意形成が前提になります。

なお第1号の括弧書きは「これにより難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面」を認めています。平成28年度厚生労働科学研究費補助金による研究成果として公開されている「墓地の経営・管理に関するFAQ」(公益社団法人全日本墓園協会)でも、埋蔵証明書が得られない場合に除籍簿・戸籍等の公的資料などが「これに準ずる書面」として扱われ得ることが示されています。同FAQは、墓地管理者が納骨の事実の証明を拒むべきではなく、拒んだような場合にはこれにかわる立証の書面をもって取り扱って差し支えないとする厚生省通達(昭和30年2月28日衛環第22号「墓地改葬許可に関する疑義について」)にも触れています。行き止まりではないという情報自体が、相談ページの価値になります。

相談ページに載せるべき手順

以上を踏まえた最小構成は次のとおりです。

  1. ご家族・ご親族の合意(第2号の承諾書が必要になる場合の説明)
  2. 移転先を決める(改葬許可申請書に「改葬の場所」の記載が要るため、先に決まっている必要があります)
  3. 現在の墓地の管理者から埋蔵証明書を受け取る(離檀の相談を含む)
  4. いま遺骨がある市町村に改葬許可を申請する(第5条第2項)
  5. 改葬許可証の交付を受ける(第8条)
  6. 閉眼供養・遺骨の取り出し・墓石の解体撤去(石材店の工事範囲)
  7. 移転先に改葬許可証を提出して納骨(第14条第1項)

石材店が担当するのは6だけですが、1から5と7を先回りして説明しているページが、相談の入口として選ばれます。

無縁墳墓の改葬は別手続き

承継者が分からないお墓の改葬には、さらに重い手続きがあります。施行規則第3条は、無縁墳墓等の改葬について、埋蔵証明書に加えて次の書類の添付を求めています。

  • 無縁墳墓等の写真及び位置図
  • 死亡者の本籍及び氏名、墓地使用者等・死亡者の縁故者・無縁墳墓等に関する権利を有する者に対し1年以内に申し出るべき旨を官報に掲載し、かつ無縁墳墓等の見やすい場所に設置された立札に1年間掲示して公告し、その期間中に申出がなかった旨を記載した書面
  • 官報を出力した書面等の写し及び立札の写真

前掲の統計のとおり、この手続きは令和6年度で3,006件行われています。1年という期間と官報公告が必要であることをページに明記しておくと、寺院や霊園から相談を受ける際の初動が変わります。


分骨は改葬ではない — 相談ページで混ぜてはいけない手続き

墓じまいのページで「分骨も承ります」と書いている石材店は多いのですが、分骨は改葬ではなく、改葬許可証は必要ありません。ここを混ぜると、依頼者に不要な役所手続きをさせることになります。

根拠は施行規則第5条です。

墓地等の管理者は、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者の請求があつたときは、その焼骨の埋蔵又は収蔵の事実を証する書類を、これに交付しなければならない。

2 焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者は、墓地等の管理者に、前項に規定する書類を提出しなければならない。

3 前二項の規定は、火葬場の管理者について準用する。(以下略)

分骨の手続きは、現在の墓地等の管理者が交付する「埋蔵・収蔵の事実を証する書類」を、移転先の墓地等の管理者に提出するという当事者間のやり取りで完結します。市町村長の許可は登場しません。

なぜそうなるかは第2条第3項の改葬の定義に戻ると分かります。改葬は「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」です。分骨は遺骨の一部を分けるもので、元のお墓はそのまま残ります。「移す」に当たらないため、改葬ではないという整理です。

相談ページでの書き分け

論点改葬(墓じまい・お墓の引っ越し)分骨
法律上の位置づけ墓地埋葬法第2条第3項の「改葬」施行規則第5条の手続き
市町村長の許可必要(法第5条第1項)不要
交付を受ける書類改葬許可証(法第8条)埋蔵・収蔵の事実を証する書類(規則第5条第1項)
誰が発行するかいま遺骨がある地の市町村長いまの墓地等または火葬場の管理者
提出先移転先の墓地の管理者(法第14条第1項)移転先の墓地等の管理者(規則第5条第2項)
元のお墓撤去して返還するそのまま残る

この表をそのまま相談ページに置くだけで、競合の石材店サイトにはない情報になります。「分骨にも改葬許可が必要」と書いているページは実在するため、正確に書き分けていること自体が信頼の証拠として機能します。

なお、火葬場で焼骨を分けてもらう場合は施行規則第5条第3項により火葬場の管理者に同じ規定が準用されます。葬儀の当日に分骨を決めるケースがあるため、この点も併せて書いておくと親切です。

ホームページ、できてから決めませんか?

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対応霊園一覧の作り方 — 指定石材店制度をどう書くか

寺院墓地や民営霊園には、その霊園で建墓工事を行える石材店をあらかじめ定める指定石材店制度があります。指定を受けていない霊園では、たとえ施主が希望しても建墓工事を請け負えません。

にもかかわらず、多くの石材店のホームページには「全国対応」「どちらの霊園でもご相談ください」と書かれています。実際には指定を受けていない霊園の工事を受けられないのであれば、この表示は景品表示法第5条第1号(実際のものよりも著しく優良であると示す表示)や第2号の射程に入り得ます。

3区分で書く

正確に、かつ営業機会を落とさずに書く方法は、対応できる範囲を作業単位で分けることです。指定を受けていない霊園でも、墓じまい・追加彫刻・クリーニングなど、霊園によっては指定石材店以外でも行える作業があります。

区分表記対応できる作業
A:指定石材店「当店が指定石材店です」新規建墓・リフォーム・墓じまい・彫刻すべて
B:指定制度あり(当店は非指定)「建墓工事は指定石材店のみ。それ以外はご相談ください」霊園の規則により可否が分かれる作業のみ
C:指定制度なし(公営霊園等)「指定石材店の制度はありません(工事施工届等の手続きは当店で行います)」すべて

公営墓地は一般に指定石材店制度がないため、C区分に入ることが多くなります。ただし制度がないことと手続きが不要なことは別で、公営霊園でも工事の施工届や業者登録を求められる場合があります。「どなたでもご依頼いただけます」とだけ書くと実態と食い違うことがあるため、必要な手続きは自店で行う旨を添えてください。前掲の全優石調査で公営墓地の購入が13.8%を占めることを踏まえると、「公営霊園なら当店にご依頼いただけます」という情報の価値は小さくありません。

書き方のポイント

  • 霊園名を列挙するだけでなく、区分を併記する
  • B区分では「〇〇霊園の規則により、建墓工事は指定石材店に限られます」と制度の存在自体を説明する(施主にとっては初耳であることが多い)
  • 「墓じまいは指定石材店以外でも可能な場合があります」と書く場合は、必ず霊園の管理規則を確認したうえでにする

指定石材店制度そのものの是非は書かない

指定石材店制度については「消費者の選択の自由を奪っているのではないか」という議論が民間の記事に散見されます。ただし、この制度が独占禁止法上どう評価されるかを示した公的な判断を確認することはできませんでした。

公正取引委員会「葬儀の取引に関する実態調査報告書」(平成29年3月22日、全81ページ)を全文検索しましたが、「石材」「霊園」の記載はなく、「墓石」も葬儀業に参入した事業者の元の業種の例示(「その他(不動産事業,建設事業,墓石事業等)」)として2か所現れるだけです。この報告書は葬儀業者とその納入業者との取引関係を扱ったもので、指定石材店制度への言及はなく、その根拠にはなりません。

自社のホームページで他社や霊園の制度を法的に断罪する記述は、事実関係の裏付けが取れていない限り避けるべきです。制度があるという事実と、自店で何ができるかだけを書くのが安全であり、かつ施主にとっても実用的です。


施工事例ギャラリーの法的整理と、陳腐化しない掲載様式

施工事例は石材店のホームページで最も見られるコンテンツですが、「掲載には許可が必要」という一般論だけで運用すると、実務が回りません。論点を正確に切り分けます。

故人の情報それ自体は個人情報保護法の「個人情報」ではない

個人情報の保護に関する法律第2条第1項は、次のように定義しています。

この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(中略)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)

二 個人識別符号が含まれるもの

「生存する個人」と明記されているため、墓石に彫られた戒名・俗名・没年月日それ自体は、同法上の個人情報には当たりません。故人の情報であることを理由に掲載を止める必要は、この法律の枠組みでは生じません。

しかし石材店にとっては個人情報になり得る

問題は第1号の括弧書きです。「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む」とされています。

石材店は自社の顧客台帳を持っています。家名が読める竿石の写真に霊園名を添えて掲載すれば、その石材店自身は台帳と照合して施主(生存している墓地使用者)を特定できます。つまりその石材店にとっては、施工事例の写真は生存する個人に関する情報として個人情報に当たり得ます。

同じ写真でも、顧客台帳を持たない第三者にとっては個人情報に当たらない場合があります。この「持っている情報によって該当性が変わる」構造が、施工事例の扱いを分かりにくくしている正体です。加えて個人情報保護委員会のQ&A(A1-21)は、死者に関する情報が「同時に生存する遺族などに関する情報である場合」には「その遺族などに関する『個人情報』となります」としています。故人の情報だから対象外、と単純に切れるわけではありません。

まず整えるのは「利用目的」。ただし「第三者提供にならない」と決めつけない

実務でまず整えるべきなのは利用目的です。

  • 第17条第1項:個人情報を取り扱うにあたっては、利用目的をできる限り特定しなければならない
  • 第17条第2項:利用目的を変更する場合は、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない
  • 第18条第1項:あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない

「お墓の施工のため」という目的で取得した情報を、事後にホームページ掲載へ流用するのは、この枠組みでの整理が必要になります。

そのうえで、「ホームページに載せるだけだから第三者提供ではない」と決めつけないでください。個人情報保護委員会の「ガイドラインに関するQ&A」は、行事の写真を社内で展示する場合について次のように答えています(A7-11)。

一般的に、本人を判別可能な写真の画像は個人情報には該当しますが、個人データ(個人情報データベース等を構成する個人情報)ではないと解されるため、あらかじめ本人の同意を得ずに展示等を行っても、法第27条第1項に違反するおそれはないと解されますが、利用目的を通知又は公表することは必要です(法第21条第1項)。

なお、プライバシーの権利や肖像権の侵害に当たる場合もあるため、例えば展示期間を限定したり、不特定多数の者への提供に際しては自主的に本人の同意を得る等の取組が望ましいと考えられます。

読み取るべき点は3つあります。

  1. 第三者提供の制限(第27条第1項)が対象にしているのは「個人情報」ではなく「個人データ」=個人情報データベース等を構成する個人情報です。単体の写真画像は通常これに当たらないため、第27条違反のおそれはないと整理されています
  2. それでも利用目的の通知または公表は必要(第21条第1項)
  3. 不特定多数の者への提供にあたっては、プライバシーや肖像権の観点から自主的に本人の同意を得ることが望ましいとされています。ホームページ掲載はまさにこの「不特定多数への提供」です

そして、写真を顧客ごとに検索できる形で管理していれば、それは個人情報データベース等を構成する個人データになり得ます。同Q&AのA1-49は、検索できるように構成したデータベースについて「このような情報を不特定多数の者が閲覧できるような状態に供する行為は、第三者提供に該当し、原則として本人の同意が必要になります(法第27条第1項)」としています。この設問はデータベースそのものを公開する場面を扱ったものですが、そこで示された「不特定多数が閲覧できる状態に供する行為は提供にあたる」という考え方に照らせば、施工事例を顧客管理と紐づけて運用しているなら、第27条の射程に入り得ると読むのが安全です。

結論として、実務の順序は変わりません。利用目的を先に明示し、そのうえで掲載についての同意も取っておくのが、どちらの整理でも安全側に立てる最も確実な方法です。家名にぼかしを入れる、石種のクローズアップに絞るなど、そもそも個人を識別しない形で掲載する道もあります。

実務解:見積書と契約書に一文を入れておく

事後に一件ずつ許諾を取り直す運用は、件数が増えると必ず破綻します。最初に利用目的として書いておくのが最も安く確実です。

しかもこれは望ましいだけでなく、契約書に記載される情報については法律上の義務でもあります。個人情報保護法第21条第2項は次のように定めています。

個人情報取扱事業者は、前項の規定にかかわらず、本人との間で契約を締結することに伴って契約書その他の書面(電磁的記録を含む。以下この項において同じ。)に記載された当該本人の個人情報を取得する場合その他本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。(以下略)

墓石の工事契約書に施主の氏名・住所を記載してもらう行為はこれに当たるため、契約書に利用目的を書くこと自体が第21条第2項の要請です。そこに施工事例の掲載を含めておけば、義務の履行と掲載の説明を同じ紙の上で済ませられます。

見積書・契約書・プライバシーポリシーに、次のような一文を入れます。

【利用目的】 お客様からお預かりした情報および施工物件の写真は、お墓の設計・施工・アフターサービスのほか、当社ウェブサイト・パンフレット・SNSにおける施工事例の紹介に利用いたします。

【施工事例の掲載について】 上記の施工事例への掲載に同意いただける場合は、チェックをお願いします。 ☐ 同意する ☐ 同意しない(掲載しません)

利用目的の記載だけで済ませないでください。「掲載を希望されない場合はお申し付けください」というオプトアウト方式は利用目的の明示にはなりますが、同意を得たことにはなりません。上のようにチェック欄を1つ置けば、利用目的の明示(第21条第2項)と掲載の同意を同じ紙で完結できます。

あわせて、プライバシーポリシーページに利用目的を明記します。書き方はプライバシーポリシーの作り方を参考にしてください。

法令とは別レイヤー:霊園・寺院の管理規則

見落とされやすいのが、墓地の管理規則による撮影・掲載の制限です。これは法令ではなく、霊園経営者と石材店・使用者との契約上の制約であり、法律の要件を満たしていても違反になり得ます。

  • 撮影自体を許可制にしている霊園がある
  • 他家の墓が写り込むことを禁じている霊園がある
  • 霊園名の掲載に許諾が必要な場合がある

個人情報保護法の対応と、霊園の管理規則の確認は別々に行う必要があります。

掲載可否の判断表

写っているもの個人情報保護法上の扱い(当該石材店にとって)実務判断
家名が読める竿石+霊園名顧客台帳と容易に照合できるため個人情報に当たり得る利用目的の明示に加え、掲載の同意も得たうえで掲載
家名が読める竿石のみ(霊園名なし)同上(自社台帳と照合できる)同上
家名にぼかし処理識別性が下がる掲載しやすいが、霊園の管理規則は別途確認
石種・加工のクローズアップ個人を識別しない掲載可
他家の墓が背景に写り込む他家の使用者は自社の顧客でない場合が多い霊園の管理規則を優先。可能なら写り込みを避ける

陳腐化しない掲載様式

施工事例は、写真だけを並べると数年で古びます。購入時の参考情報として77.8%が「石材店のアドバイス」を挙げているという調査結果を踏まえれば、施工事例に載せるべきは写真そのものより判断の理由です。

各事例に次の項目を添えるだけで、事例が「アドバイスのサンプル」に変わります。

  • 石種と、その石種を選んだ理由(価格・耐久性・色味・産地)
  • 形状(和型・洋型・デザイン墓)と、選定の背景
  • 霊園の種類(寺院/公営/民営)と区画面積
  • ご相談から完成までの期間
  • 追加で検討した選択肢と、採用しなかった理由

最後の項目が特に効きます。「別の石種も候補でしたが、区画の広さに対して重量が過大になるため見送りました」といった記述は、その石材店が何を基準に判断しているかを示します。他社が模倣しにくく、写真が古びても価値が落ちません。


建設業許可(石工事業)とホームページ表記

石材を加工して据え付ける工事は、建設業法上は石工事に整理されるのが一般的です。同法別表第一は建設工事の種類として「石工事」を掲げ、対応する建設業を「石工事業」としています(個別の工事がどの業種に当たるかは、国土交通省の建設業許可事務ガイドラインの区分と、許可権者である都道府県の判断によります)。

500万円未満なら許可は不要

建設業法第3条第1項は建設業を営む者に許可を求めていますが、ただし書きで「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない」としています。

建設業法施行令第1条の2第1項は、この軽微な建設工事を「工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事(以下略)」と定めています。

墓石工事の多くは500万円未満に収まるため、許可を持っていない石材店は珍しくありません。許可がないこと自体は違法ではありません。

ただし契約を分割しても合算される

注意が必要なのは施行令第1条の2第2項です。

前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。

同一の工事を複数の請負契約に分けたとき、正当な理由がなければ合計額で判定されます。なお「墓石本体の売買契約+据付の請負契約」という分け方は、厳密にはこの第2項(請負契約どうしの分割)ではなく次の第3項で拾われます。同条第3項は「注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを(中略)請負代金の額とする」と定めています。施主が石材を支給する形にすれば請負代金が下がるかというと、その市場価格が加算されるため下がりません。いずれの分け方でも、実質的に一体の工事は合算して考えるのが安全です。

大型の墓所や外柵工事を含む案件では500万円を超えることがあります。ホームページで大規模案件を訴求するなら、許可の要否を先に確認しておく必要があります。

許可番号のホームページ掲載は義務ではない

建設業法第40条は標識の掲示を義務づけていますが、その対象は次のとおりです。

建設業者は、その店舗及び建設工事(発注者から直接請け負つたものに限る。)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令の定めるところにより、許可を受けた別表第一の下欄の区分による建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。

対象は店舗と工事現場であり、ホームページは掲示義務の対象ではありません。

だからこそ、許可を持っている石材店にとってホームページへの掲載は差別化になります。会社概要に「〇〇県知事許可(般-〇)第〇〇〇〇〇号(石工事業)」と書けば、500万円を超える工事を正規に請け負える体制であることを示せます。義務ではないからこそ、書いている店とそうでない店の差が出ます。

混同してはいけないこと

  • 建設業許可があること=墓石の品質保証、ではありません。誇大な結びつけ方をすると景品表示法第5条第1号の優良誤認の問題になり得ます
  • 許可がないのに許可があるかのような表示は、建設業法第40条の2(表示の制限)が正面から禁じています。同条は、許可を受けていないのに「その許可を受けた建設業者であると明らかに誤認されるおそれのある表示」をしてはならないと定めており、許可番号の詐称はもちろん、許可を受けずに「建設業者」「〇〇工事業」と紛らわしく名乗ることも射程に入り得ます。景品表示法第5条第1号の優良誤認とも重なります

制作手段4つと5年間の総額比較

石材店のホームページを作る手段は大きく4つです。判断基準は初期費用ではなく5年間の総額(TCO)と、更新を誰が担うかです。

手段初期費用の目安月額の目安5年間の総額目安向くケース
制作会社に外注30万〜150万円1万〜3万円90万〜330万円対応霊園が多く、ページ数が20を超える。写真撮影も任せたい
ノーコードツール0〜10万円2,000〜6,000円12万〜46万円自社で更新できる人がいる。ページ数10前後
AI生成サービス0〜10万円2,000〜1万円12万〜70万円早く公開したい。原稿づくりから支援がほしい
完全自作0〜3万円1,000〜3,000円6万〜21万円制作経験がある。時間を費用の代わりに使える

金額の幅が大きいのは、石材店の場合対応霊園の数がページ数を決めるからです。対応霊園が5件の店と50件の店では、必要なページ数も更新頻度もまったく違います。

費用の考え方の詳細はホームページ制作の費用相場とホームページの維持費・ランニングコスト、外注先の選び方はホームページ制作会社の選び方にまとめています。AIを使った制作の流れはAIでのホームページ作成をご覧ください。

石材店で見落とされがちな費用

  • 写真撮影費:施工事例の写真は霊園に出向いて撮影します。外注すると1回あたりの出張費が積み上がります
  • 石種一覧のメンテナンス:仕入れ先の変更で取扱石種が変われば、価格表と石種ページの両方を直す必要があります
  • 対応霊園の更新:指定石材店の追加・霊園の閉鎖に追随できないと、前述の表示の問題に直結します

これらは更新を誰が担うかで総額が決まる費用です。制作会社に外注する場合、更新1回あたりの費用と含まれる作業範囲を契約前に確認してください。

補助金

ホームページ制作に使える補助金は業種を問わない制度が中心です。詳細はホームページ制作に使える補助金と小規模事業者持続化補助金でのホームページ制作にまとめているため、この記事では扱いません。


制作前に埋めておく設計シート

制作会社に相談する前でも、自作を始める前でも、次の項目を先に埋めておくと手戻りが減ります。埋まらない項目があれば、それが制作以前に決めるべきことです。

価格の表示

  • 表示する価格は税込か(消費税法第63条)
  • その価格に含まれるもの(本体/基礎/据付/彫刻/外柵/付属品)を列挙したか
  • 別途になるもの(永代使用料/管理料/追加彫刻/撤去費/運搬費)を列挙したか
  • 価格が適用される条件(霊園・区画面積・期間)を書いたか
  • 二重価格表示を使うなら、比較対照価格の販売実績が8週間ルールを満たすか

石種と産地

  • 取扱石種ごとに、原石の採石地・加工地・据付を分けて書けるか
  • 石種名と実際の採石地が一致しているか確認したか
  • 品質の断定表現に裏付け資料があるか

墓じまい・改葬

  • 改葬許可の申請先が「いま遺骨がある地の市町村」であることを書いたか
  • 必要書類(埋蔵証明書・承諾書)を挙げたか
  • 分骨を改葬と分けて説明したか

対応霊園

  • 指定石材店になっている霊園を列挙したか
  • 非指定の霊園で対応できる作業の範囲を霊園の規則で確認したか
  • 「全国対応」等の表現が実態と合っているか

施工事例

  • 見積書・契約書・プライバシーポリシーに掲載の利用目的を書いたか
  • 見積書・契約書に掲載の同意欄(☐同意する/☐同意しない)を置いたか(オプトアウト文面だけでは同意にならない)
  • 各霊園の管理規則で撮影・掲載の制限を確認したか
  • 事例ごとに「選定理由」を書ける状態か

運用

  • 更新を誰が担当するか決まっているか
  • 対応霊園・石種・価格の更新頻度を決めたか

公開前の総点検にはホームページの品質チェックリストを、制作会社への依頼要件をまとめるにはホームページ制作のRFPの書き方を併用してください。


よくある失敗パターンと診断表

症状考えられる原因対処
問い合わせは来るが見積もりで終わる価格の内訳が不明で、他社と比較する材料としてしか使われていない価格3要素を明記し、別途費用を先出しする
墓じまいの問い合わせが少ない墓じまいのページが下層にあり、手続きの説明がないナビゲーションに独立させ、必要書類と申請先を書く
遠方からの相談が途中で止まる改葬許可の申請先を書いていないため、依頼者が自分の役所で断られている「申請先はいま遺骨がある市町村」と明記する
施工事例を増やしても反応が変わらない写真だけで、選定理由が書かれていない各事例に石種・形状の選定理由と検討した代替案を添える
アクセスはあるが問い合わせがない相談後に何が起きるか(訪問の有無・費用・断り方)が不明相談の流れを明記。見積もりが無償なら、その範囲を添えて「お断りいただいても費用はかかりません」と書く
価格ページを作ったら値切られるようになった総額でなく最低価格のみを出しているため、そこが基準になっている価格帯と、価格差の理由(石種の採石地・加工地)を併記する
「全国対応」と書いたが受けられない依頼が来る指定石材店制度を説明していない対応霊園を3区分で掲載する
更新が止まっている更新担当と頻度が決まっていない対応霊園・石種・価格の更新責任者と頻度を決める

シタミで石材店のホームページを作る場合

シタミは、対話形式のヒアリングからホームページを自動生成するサービスです。石材店のホームページで手戻りが起きやすいのは、この記事で挙げた価格の内訳・石種の産地表記・対応霊園の区分といった「何を書くか」の部分で、デザインではありません。

シタミのヒアリングでは、必要な項目を質問形式で埋めていく設計になっているため、設計シートを埋める作業とホームページを作る作業が同時に進みます。公開後の更新も管理画面から行えるため、対応霊園の追加や価格の改定を制作会社に依頼せずに反映できます。

まずは無料で試せますので、この記事の設計シートを手元に置いて触ってみてください。


よくある質問(FAQ)

石材店のホームページは自分で作れますか?
作れます。ノーコードツールやAI生成サービスを使えば、専門知識がなくても会社概要・施工事例・アクセス・問い合わせフォームを備えたページを公開できます。ただし石材店の場合は、価格の内訳、石種の採石地と加工地、対応霊園の区分といった「何を書くか」の部分に判断が必要で、ここはツールでは代替できません。この記事の設計シートを先に埋めてから制作に入ると手戻りが減ります。まず店舗紹介と施工事例で公開し、価格ページは内訳を整理してから追加するのが現実的な進め方です。
石材店のホームページはいくらで作れますか?一番安い方法は?
最も安いのは無料または低額のツールを使った自作で、5年間の総額でおおむね6万円から21万円です。ノーコードツールなら5年で12万円から46万円、AI生成サービスは12万円から70万円、制作会社に外注すると初期30万円から150万円に月額1万円から3万円の保守費が加わり5年で90万円から330万円が目安です。石材店の場合は対応霊園の数がページ数を左右するため、対応霊園が多い店ほど外注のメリットが出ます。逆に対応霊園が数件で更新頻度が低いなら、自作やノーコードで十分に足ります。
ホームページに墓石の価格を載せないといけませんか?載せる場合の注意点は?
価格の掲載自体に法令上の義務はありません。ただし全優石の2025年調査では墓石選びで重視したことの1位が価格(51.5%)であり、書かないページは購入者が最初に知りたいことに答えていないことになります。載せる場合は、消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」が求める3つの要素を正確に書く必要があります。すなわち販売価格、その価格が適用される商品の範囲、その価格が適用される顧客の条件です。同ガイドラインは内装工事業者が「カベ1部屋 5,000 円 クロス張替え」と表示しながら別途施工料金を請求する例を不当表示のおそれがある表示として挙げており、墓石の一式価格の表示が石材代のみで基礎工事や据付が別途なら同じ構造になります。また墓地の永代使用料と年間管理料は霊園に支払うもので石材店の見積もりには含まれないのが一般的なため、その旨を明記してください。免税事業者を除き、消費税法第63条により税込の総額表示も必要です。
ホームページに石の産地を書く義務はありますか?
法令上、産地を書くこと自体の一般的な義務はありません(加盟する業界団体の自主基準で産地の証明や表示を求められる場合は別です)。景品表示法第5条第3号にもとづく告示「商品の原産国に関する不当な表示」(昭和48年公正取引委員会告示第34号)は、原産国の表示を義務づけるものではなく、原産国が判別しにくくなるような表示を禁止するものだからです。ただし墓石は庵治石や大島石のように産地名で流通しており、同告示の備考2により産地が原産国とみなされる領域に入ります。さらに備考1は原産国を「その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行なわれた国」と定義しているため、原石の採石国と加工国が異なるときに答えが割れます。同告示の運用基準第八項が示す「外国の国名等とその商品との関係を和文で明示」するという考え方を借りて、原石の採石地・加工地・据付を分けて書くのが最も誤認リスクが低く、価格差の説明にもなります。なお不正競争防止法第2条第1項第20号は商品の広告に原産地を誤認させる表示をする行為を不正競争としており、こちらは競合他社から差止めや損害賠償を請求され得ます。
墓じまいの相談ページには、手続きをどこまで書けばよいですか?
最低限、改葬許可の申請先と必要書類は書いてください。墓地、埋葬等に関する法律第5条第2項により、改葬の許可を出すのは移転先ではなく「死体又は焼骨の現に存する地の市町村長」、つまり現在お墓がある市町村です。ここを書いていないために、遠方の依頼者がご自身の住所地の役所に問い合わせて止まってしまう取りこぼしが起きます。必要書類は同法施行規則第2条第2項が定めており、現在の墓地等の管理者が作成した埋葬もしくは埋蔵または収蔵の事実を証する書面と、申請者が墓地使用者等以外の場合は墓地使用者等の承諾書です。なお改葬許可を受けずに改葬すると同法第21条第1号により2万円以下の罰金または拘留もしくは科料の対象となり、また同法第14条第1項により移転先の墓地は改葬許可証を受理しないと埋蔵させられません。
分骨にも改葬許可は必要ですか?
必要ありません。分骨の手続きは墓地、埋葬等に関する法律施行規則第5条に定められており、現在の墓地等の管理者が交付する焼骨の埋蔵または収蔵の事実を証する書類を、移転先の墓地等の管理者に提出する形で完結します。市町村長の許可は登場しません。理由は改葬の定義にあります。同法第2条第3項は改葬を「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定めていますが、分骨は遺骨の一部を分けるもので元のお墓は残るため、移すことに当たりません。火葬場で焼骨を分ける場合も同規則第5条第3項により火葬場の管理者に同じ規定が準用されます。墓じまいのページで分骨を一緒に説明する場合、この違いを書き分けないとお客様に不要な役所手続きをさせることになります。
施工事例の写真を載せるのに、お客様の許可は必要ですか?
契約書で利用目的を明示し、あわせて掲載の同意も取っておくのが確実です。個人情報保護法第2条第1項は個人情報を「生存する個人に関する情報」と定めるため故人の戒名や没年月日それ自体は対象外ですが、同項第1号の括弧書きが容易に照合できる情報を含むとしており、顧客台帳を持つ石材店にとって家名が読める竿石の写真は生存する墓地使用者の個人情報に当たり得ます。第21条第2項は契約書に記載された個人情報を取得する際の利用目的の明示を義務づけているため、そこに施工事例掲載を含めるのが最も安く済みます。ただし掲載が第三者提供に当たらないと決めつけないでください。個人情報保護委員会のQ&Aは、写真の画像は個人データではないと解されるため第27条第1項違反のおそれはないとしつつ、不特定多数への提供には自主的な同意取得が望ましいとしています。加えて霊園や寺院の管理規則による撮影・掲載の制限は、法令とは別に確認が必要です。
建設業許可がないと、ホームページに書けないことはありますか?
石材を加工して据え付ける工事は建設業法上の石工事に整理されるのが一般的ですが、同法第3条第1項ただし書と施行令第1条の2第1項により、工事一件の請負代金の額が500万円に満たない軽微な建設工事のみを請け負う場合は許可が不要です。許可を持たない石材店が違法というわけではありません。注意すべきは施行令第1条の2第2項と第3項で、同一の工事を正当な理由なく複数の請負契約に分けても合計額で判定され、注文者が材料を提供する場合はその市場価格などが加算されます。なお同法第40条の標識掲示義務の対象は店舗と建設工事の現場でホームページは対象外なので、許可番号の掲載は義務ではありません。だからこそ持っているなら会社概要に書くことが差別化になります。逆に許可を受けていないのに許可を受けた建設業者であると明らかに誤認されるおそれのある表示は、同法第40条の2が正面から禁じています。

まとめ:石材店のホームページは「相談の入口」として設計する

石材店のホームページを考えるとき、出発点になる事実は2つです。

ひとつは、改葬が令和6年度で176,105件と、5年前から41.6%増えていること(厚生労働省「衛生行政報告例」)。もうひとつは、墓石選びで最も重視されるのは価格(51.5%)でありながら、購入時の参考情報として77.8%が「石材店のアドバイス」を挙げていること(第38回全優石お墓購入者アンケート調査)。この2つを合わせると、石材店のホームページに求められている役割が見えてきます。安さを競う場でも、価格を伏せる場でもなく、価格の根拠を示して、お墓をどうするか決めきれていない人に相談相手として選んでもらう場です。

その役割を果たすために、この記事では法令から逆算した設計を示しました。

  • 価格は消費者庁ガイドラインの3要素(価格・適用される商品の範囲・適用される顧客の条件)で書く。永代使用料が別途なら明示する
  • 石種は原石の採石地・加工地・据付を分けて書く。原産国告示の運用基準の考え方を借りたもので、同時に価格差の説明にもなる
  • 墓じまいの相談ページには申請先(いま遺骨がある市町村)と必要書類を書く。分骨は改葬ではないので分けて説明する
  • 対応霊園は指定/非指定/制度なしの3区分で書く
  • 施工事例は利用目的の明示と掲載の同意を契約時にまとめて済ませる。写真より選定理由を書くほうが古びない

これらはすべて、制作会社に依頼するかどうかに関わらず、石材店自身が決めなければならないことです。逆にここが決まっていれば、制作手段は予算と更新体制で選べば十分です。

葬儀社との連携やご逝去直後の導線設計については葬儀社のホームページ制作ガイドを、ホームページ制作全体の進め方についてはホームページ制作の完全ガイドをあわせてご覧ください。


参考: 本記事で参照した一次ソース(確認日 2026-09-05)

出典参照箇所リンク
墓地、埋葬等に関する法律2条3項・5条1項2項・8条・14条1項・21条1号e-Gov法令検索
墓地、埋葬等に関する法律施行規則2条1項2項・3条・5条e-Gov法令検索
不当景品類及び不当表示防止法5条1号2号3号・7条1項・8条1項3項5項・48条e-Gov法令検索
消費税法63条e-Gov法令検索
個人情報の保護に関する法律2条1項・17条・18条1項・21条1項2項・27条1項e-Gov法令検索
建設業法3条1項2項・40条・40条の2・別表第一e-Gov法令検索
建設業法施行令1条の2第1項2項3項e-Gov法令検索
不正競争防止法2条1項20号e-Gov法令検索
不当な価格表示についての景品表示法上の考え方第1-2(2)・第3-1・第3-2イ・第4-2消費者庁
商品の原産国に関する不当な表示(昭和48年公取委告示第34号)・同運用基準告示1項2項・備考1備考2/運用基準8項10項消費者庁
衛生行政報告例 第4章生活衛生 第6表令和元年度〜令和6年度の改葬数e-Stat
第38回(2025)お墓購入者アンケート調査平均購入価格・重視したこと・参考情報・墓地の種類全国優良石材店の会
個人情報保護法ガイドラインに関するQ&AA1-21・A1-49・A7-11個人情報保護委員会
葬儀の取引に関する実態調査報告書(平成29年3月22日)全81ページの全文検索(指定石材店制度への言及なし)公正取引委員会
墓地の経営・管理に関するFAQ(昭和30年2月28日衛環第22号通達を含む)埋蔵証明書に代わる書面全日本墓園協会

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