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ウェブアクセシビリティは義務化された?中小企業のホームページで今やること|方針の例文つき【2026年版】

ウェブアクセシビリティ障害者差別解消法JIS X 8341-3合理的配慮ホームページ
ウェブアクセシビリティは義務化された?中小企業のホームページで今やること|方針の例文つき【2026年版】

2024年4月1日に施行された改正障害者差別解消法で、民間の事業者に義務づけられたのは「合理的配慮の提供」です。ホームページを誰でも使えるように整えるウェブアクセシビリティの対応は、合理的配慮のための「環境の整備」として努力義務にとどまります。「2024年からウェブアクセシビリティ対応が義務化された」という説明は、正確ではありません。

ただし、努力義務だから何もしなくてよい、というわけでもありません。目の見えにくいお客さまから「フォームが使えないので、別の方法で申し込みたい」と申し出があれば、負担が重すぎない範囲で対応することは義務です。ふだんからホームページを使いやすくしておくほど、個別の申し出に対応する場面は減ります。

この記事では、障害者差別解消法の条文(e-Gov 法令検索、2026年10月8日時点)、デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」(2025年10月16日版)、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)のガイドラインをもとに、義務の範囲、JIS X 8341-3 の読み方、中小企業のホームページでまず直す項目、ウェブアクセシビリティ方針の例文を整理します。個別の対応が法律上十分かどうかの判断は、所管の省庁の相談窓口や弁護士に確認してください。

この記事の要点

  • 2024年4月1日から事業者に義務づけられたのは、障害のある人から申し出があったときの合理的配慮の提供(障害者差別解消法8条2項)
  • ホームページのウェブアクセシビリティ対応は、合理的配慮のための環境の整備で、努力義務(同法5条)。デジタル庁のガイドブックも同じ整理をしている
  • この法律に、ウェブアクセシビリティに対応していないことを直接罰する規定は無い。所管の大臣は、合理的配慮などについて報告を求めたり、助言・指導・勧告をしたりできる(12条)
  • 基準として使われるのは JIS X 8341-3:2016。国際的なガイドラインの WCAG 2.0(国際規格としては ISO/IEC 40500:2012)と同じ内容で、達成基準は61。適合レベルは A・AA・AAA の3段階。WCAG 2.2 をもとにした改正が予定されている
  • 中小企業のホームページは、画像の代替テキスト、文字と背景のコントラスト、キーボード操作、フォームのラベルとエラー表示から直すと効果が大きい。自動チェックツールで確認できるのは達成基準の2〜3割程度
  • 方針を公開するなら、WAIC のガイドラインに沿って対象範囲と目標とする適合レベルを明記する。「準拠」「一部準拠」は試験をしたうえで使う表記で、試験をしていないなら「配慮」と書く

ウェブアクセシビリティとは

ウェブアクセシビリティとは、障害のある人や高齢の人を含め、誰もがホームページの情報や機能を使える状態にすることです。目の見えない人が画面の読み上げソフト(スクリーンリーダー)で内容を聞き取れる、手が不自由な人がマウスを使わずキーボードだけで操作できる、色の見え方に特性のある人でも文字が読める、といった状態を指します。

デジタル庁のガイドブックは、厚生労働省の「生活のしづらさなどに関する調査」をもとに、令和4年時点で身体障害者手帳の所持者が415.9万人、療育手帳か精神障害者保健福祉手帳の所持者を含めると610万人(重複を除く)、障害者の総数は推計で1,164.6万人と紹介しています(出典:ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック|デジタル庁、2025年10月16日版を2026年10月時点で確認)。この人数は年々増えているとされています。手帳を持っていない高齢の人なども含めると、ホームページを使いにくいと感じる人はさらに多いと考えるのが自然で、対象が少ないから後回しでよいという判断は避けるべきです。

障害のある人だけでなく、老眼で小さな文字が読みにくい人、骨折で片手しか使えない人、屋外の明るい場所でスマートフォンを見ている人にとっても、読みやすく操作しやすいホームページは助けになります。お客さまが「読めない」「申し込めない」と感じて離れてしまうのを防ぐことは、法律の話の前に、集客の問題でもあります。


「義務化」の正しい意味:義務は合理的配慮、ホームページは努力義務

2024年4月の改正で義務になったのは、個別の申し出に応える「合理的配慮の提供」です。ホームページを前もって整える「環境の整備」は、改正の前後を通じて努力義務です。

合理的配慮の提供(義務)と、ウェブアクセシビリティなど環境の整備(努力義務)の関係

図のように、環境の整備は合理的配慮の土台にあたります。ホームページを前もって使いやすくしておくほど、個別の申し出に応える場面は少なくなります。条文で確認すると、次のとおりです。

項目条文の内容事業者にとっての強さホームページでの例
不当な差別的取扱いの禁止障害を理由として、障害のない人と不当に差をつけて権利利益を侵害してはならない(8条1項)義務障害を理由に、サイトからの申し込みを断る
合理的配慮の提供障害のある人から社会的障壁を取り除くよう意思の表明があったとき、負担が過重でなければ、必要かつ合理的な配慮をしなければならない(8条2項)義務(2024年4月1日から)フォームが使えないという申し出に、電話やメールでの申し込みで応える
環境の整備合理的配慮を的確に行うため、施設の構造の改善・設備の整備・研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない(5条)努力義務ホームページのウェブアクセシビリティを高めておく

条文は障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律|e-Gov 法令検索で確認できます。デジタル庁のガイドブックも、2024年4月1日から事業者による合理的配慮が義務化されたことに続けて、「ウェブアクセシビリティへの取り組みは、合理的配慮を提供するための環境の整備として努力義務が課せられています」と説明しています。義務の範囲を判断するときは、この2つを分けて考えるのが出発点です。なお、法律や指針は改正されることがあるので、対応を決める前に最新の条文と内閣府の案内も確認してください。

内閣府も、リーフレットで「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました」と案内しています(出典:リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました」|内閣府、2026年10月時点で確認)。ここでも、義務化の対象は合理的配慮であり、ホームページの対応そのものではない点に注意してください。

小さな会社や個人事業主も対象になる

この法律の「事業者」は、「商業その他の事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)」と定義されています(2条7号)。会社の規模や、利益を目的としているかどうかで対象が変わるわけではありません。個人事業主の店舗や教室、NPO法人も、合理的配慮の提供の義務を負います。

対応しないと、どうなるか

障害者差別解消法には、ウェブアクセシビリティに対応していないことを直接罰する規定はありません。事業者の合理的配慮などについては、所管の大臣が、特に必要があると認めるときに、報告を求めたり、助言・指導・勧告をしたりできます(12条)。報告をしなかったり、うその報告をしたりした場合は、20万円以下の過料の対象です(26条)。

罰則が無いからといって放置してよいわけではありません。合理的配慮の申し出への対応を誤れば、お客さまとのトラブルや評判の低下につながります。また、申し出を受ける窓口が無い、フォームしか連絡手段が無いといったホームページは、申し出そのものを受け付けられません。

よくある誤解と、条文での答え

ウェブアクセシビリティの「義務化」については、制作会社の解説記事でも説明が分かれています。条文とデジタル庁の説明で確かめると、次のとおりです。

よくある説明条文・公的資料で確かめた答え
2024年4月から、民間企業もウェブアクセシビリティ対応が義務になった義務になったのは合理的配慮の提供(8条2項)。ウェブアクセシビリティは環境の整備で努力義務(5条)
JIS X 8341-3 に準拠しないと違法になる法律は特定の規格への準拠を求めていない。JIS は対応の目安として使われる規格
対応しないと罰金を科される対応していないこと自体の罰則は無い。報告をしない・うその報告をした場合の過料(26条)がある
小さな会社や個人事業主は関係ない事業者の定義に規模の条件は無い(2条7号)
申し出があっても、ホームページを作り直さなければ対応できない合理的配慮は、負担が過重でない範囲で、電話・メール・紙など別の方法で応えることも含めて考える

ホームページで合理的配慮が求められる場面

合理的配慮は、障害のある人から「この部分が使えないので、こうしてほしい」と申し出があったときに、負担が重すぎない範囲で応えることです。ホームページに関係するのは、たとえば次のような場面です。

申し出の例応え方の例ふだんから整えておくと減らせること
画面の読み上げソフトでフォームが使えない電話・メールでの申し込みを受け付けるフォームの各項目にラベルを付け、エラーを文字で伝える
PDFの資料が読み上げられない同じ内容をテキストやWordなどの電子データで送る重要な情報はPDFだけでなく、ページの本文にも書く
動画の内容がわからない(耳が聞こえにくい)内容を文章にまとめて渡す動画に字幕を付ける
色だけで示した営業日カレンダーが読めない営業日を文字で伝える休業日を色だけでなく「休」などの文字でも示す

デジタル庁が職員向けに定めた対応要領も、合理的配慮の例として、視覚障害のある委員に会議資料などを事前に送るとき、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供することを挙げています(出典:デジタル庁における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領|内閣府)。民間の事業者が同じ対応を求められるわけではありませんが、どんな応え方があるかを考えるときの判断材料になります。どこまで応えるかは、負担が過重でないかという条件とあわせて、申し出た人と話し合って決めるのが基本です。

申し出を受ける窓口がわからないと、お客さまはそもそも相談できません。ホームページに、電話番号やメールアドレスなど、フォーム以外の問い合わせ方法を必ず載せておきましょう。

申し出を受けたときの進め方

ホームページについて申し出を受けたら、次の順で進めると、その場の対応と再発防止の両方ができます。

  1. 何に困っているかを聞く:どのページの、どの操作ができないのか。使っている機器や読み上げソフトがあれば、それも聞いておく
  2. まず別の方法で応える:申し込みや問い合わせなら電話・メールで受け付ける、資料ならテキストで送るなど、すぐにできる方法を示す
  3. ページそのものを直す:同じ問題で困る人がほかにもいる前提で、制作会社や作成サービスと相談して直す。すぐに直せない場合は、ウェブアクセシビリティ方針の「把握している問題点」に書いておく

ホームページを直すことが負担として重すぎる場合でも、別の方法で応える余地がないかを考えることが大切です。どこまで応えれば十分かの判断に迷う場合は、所管の省庁の相談窓口に確認してください。


JIS X 8341-3 と WCAG の関係

ホームページのウェブアクセシビリティの基準として、日本で使われているのが JIS X 8341-3:2016 です。正式名称は「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」です。

デジタル庁のガイドブックによると、国際的な基準である WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)は W3C が作るガイドラインで、2008年に 2.0 が勧告されました。2012年に、WCAG 2.0 の内容をそのまま採用した国際規格 ISO/IEC 40500:2012 が出され、JIS X 8341-3:2016 もこれと同じ内容の一致規格です。WCAG 2.0 は、「知覚可能」「操作可能」「理解可能」「堅牢」の4つの原則、12のガイドライン、61の達成基準で構成されています。

名前作っているところ位置づけ
WCAG 2.0W3C(ウェブ技術の標準化団体)2008年に勧告された国際的なガイドライン。達成基準は61
ISO/IEC 40500:2012ISO・IEC(国際標準化機構など)WCAG 2.0 をそのまま国際規格にしたもの
JIS X 8341-3:2016日本産業規格ISO/IEC 40500:2012 と同じ内容の日本の規格
WCAG 2.2W3C最新の勧告。WCAG 2.1 から達成基準が9つ加わり、4.1.1(構文解析)は廃止された。それ以外の 2.0・2.1 の達成基準はほぼ同じで、2.2 に適合すれば 2.1 や 2.0 にも適合する
ISO/IEC 40500:2025ISO・IECWCAG 2.2(2023年10月版)を国際規格にしたもの。2025年10月に W3C が承認を発表した

適合レベル A・AA・AAA

達成基準は、A・AA・AAA の3つのレベルに分かれています。A が最低限、AA がその上、AAA が最も高いレベルです。WAIC のガイドラインは、AAA の達成基準をすべて満たせないコンテンツもあるため、サイト全体の方針として AAA での適合を求めることは推奨されないとしています。中小企業のホームページなら、まず A、次に AA を目標にするのが現実的です。

行政機関の場合、デジタル庁のガイドブックは、政府のシステム調達では JIS X 8341-3:2016 の AA 準拠を目標にするのが標準的な対応だとしています。そのうえで、この基準は2016年に作られたもので、スマートフォンでの利用を考えると十分とは言い切れないため、WCAG 2.1 や 2.2 などの新しい基準への対応も検討する必要があると書いています。自治体や官公庁の仕事を受ける会社は、この水準を求められると考えておきましょう。

JIS X 8341-3 は改正が予定されている

デジタル庁のガイドブックは、JIS X 8341-3 について、ISO/IEC 40500 の更新後に WCAG 2.2 の内容での改正が予定されていると説明し、WCAG 2.1 と 2.2 で新たに追加された達成基準への対応を求めています。その ISO/IEC 40500 は、W3C が2025年10月21日に、WCAG 2.2 が ISO/IEC 40500:2025 として承認されたと発表しました。内容は2023年10月版の WCAG 2.2 です(出典:W3CのWebコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン2.2がISO/IEC国際標準として承認|W3C、2026年10月時点で確認)。WCAG 2.2 の変更点は、W3C の「What's New in WCAG 2.2」にまとまっています。これから作り直すホームページなら、JIS の改正を待たずに WCAG 2.2 の達成基準も意識しておくと、改正後に慌てずに済みます。

海外向けにネットで販売する場合(EUのアクセシビリティ法)

EUでは、製品とサービスのアクセシビリティを定めた指令(Directive (EU) 2019/882、いわゆる European Accessibility Act)が、2025年6月28日以降に提供される製品とサービスに適用されています。対象のサービスには、ウェブサイトなどを通じて消費者と契約を結ぶ電子商取引(eコマース)が含まれます。一方で、従業員10人未満で、年間売上高か貸借対照表の総額が200万ユーロ以下の「マイクロ企業」が提供するサービスは、アクセシビリティ要件の適用が免除されています。また、2025年6月28日より前から使っている製品でサービスを続ける場合などには、2030年6月28日までの経過措置があります(32条)(出典:Directive (EU) 2019/882|EUR-Lex、2026年10月時点で確認)。EUの消費者向けにネットショップを運営している場合は、各国の国内法と合わせて、専門家に確認してください。

JIS X 8341-3 の本文を読むには

JIS X 8341-3:2016 の本文は、日本規格協会からオンラインで購入できます。日本産業標準調査会(JISC)のJIS検索機能などで、一時的に閲覧することもできます(出典:ウェブアクセシビリティ方針策定ガイドライン|WAIC)。規格の本文は専門的なので、まずはデジタル庁のガイドブックや、WAIC が公開している「JIS X 8341-3:2016 試験実施ガイドライン」で全体像をつかむのがおすすめです。ガイドブック自身も、わかりやすさを重視して記載の厳密な正確性や網羅性は担保していないと断っているので、試験や準拠の判断には規格と試験実施ガイドラインを使う、という使い分けに注意してください。


中小企業のホームページで、まず直す項目

デジタル庁のガイドブックは、達成基準を「重大」「必須」「個別対応」などに分けて、優先して対応すべきものを示しています。中小企業のホームページでよく問題になる項目を、ガイドブックの区分に沿ってまとめます。

区分項目確認するポイントツールで見つけられるか
重大音声を自動再生しない自動で流れる音声は3秒以内にする。3秒より長く続くなら、止めたり音量を下げたりできるようにする一部
重大自動で切り替わるスライドを止められるトップページのスライドショーに一時停止・停止がある難しい
重大光を点滅させない1秒に3回を超えて点滅するものが無い難しい
重大キーボード操作で抜け出せない場所を作らないポップアップや動画プレイヤーから、キーボードで外に出られる難しい
必須画像に代替テキストを付けるロゴ・写真・バナーに、画像が伝える内容と同じ役割の文が付いている有無は見つけられる。内容が適切かは人が判断
必須文字と背景のコントラスト通常の文字は 4.5:1 以上、大きい文字は 3:1 以上ある程度見つけられる
必須キーボードだけで操作できるTab キーでリンクやボタンを順に選べ、選んでいる場所が見える難しい
必須色だけで情報を伝えない「赤字の項目は必須」のように色だけで区別していない難しい
必須見出しを正しく使う見た目だけ大きな文字ではなく、見出しとして作られている一部
必須文字を200%まで拡大しても読めるブラウザで文字を大きくしても、文字が重なったり欠けたりしない難しい
必須ページごとに内容がわかるタイトル「ページ名 | サイト名」の形で、ページどうしで重複しない一部
必須リンクの文言で行き先がわかる「こちら」だけでなく、行き先や PDF であることがわかる一部
個別対応フォームのラベルとエラー表示入力欄にラベルが関連付けられ、エラーの場所と直し方が文字で示される一部
個別対応動画の字幕会話や重要な効果音が字幕でわかる難しい

ガイドブックによると、文字と背景のコントラスト比の基準は、太字でない22ポイント(29px)未満の文字と、太字の18ポイント(24px)未満の文字で 4.5:1 以上、それより大きい文字で 3:1 以上です。薄いグレーの文字や、写真の上に白い文字を重ねたデザインは、基準を満たしていないことがよくあります。

代替テキストの書き方

代替テキストは、画像が無くても、その文を読めば同じ情報が伝わるように書きます。ロゴなら会社名、地図の画像なら住所や道順、料金表の画像なら料金の内容を書きます。飾りのための画像には、代替テキストを空にして読み上げないようにします。

画像悪い例良い例
会社のロゴロゴ株式会社やまびこ商店
店舗の外観写真写真駅前通りに面した店舗の外観。青い看板が目印
料金表の画像料金表料金表の内容を本文にも文字で書く(画像だけで載せない)
飾りの線や背景の模様線代替テキストを空にする(読み上げない)

文字を画像にしない

中小企業のホームページでよく見かけるのが、キャンペーンの告知、営業時間、料金表、チラシなどを画像のまま載せているケースです。画像の中の文字は、読み上げソフトでは読めず、文字を拡大するとぼやけ、検索エンジンにも内容が伝わりにくくなります。

営業時間・料金・住所・電話番号のように、お客さまが必ず確認する情報は、画像ではなく本文の文字で書きましょう。デザイン上どうしても画像にする場合は、同じ内容を代替テキストや画像の近くの本文にも書きます。チラシのPDFを載せる場合も、要点はページの本文に書いておくと、PDFを開けない人や読み上げを使う人にも伝わります。

「アクセシビリティ・オーバーレイ」は慎重に

ホームページにスクリプトを1行入れるだけで、文字の拡大や色の変更などのボタンを表示する「アクセシビリティ・オーバーレイ」と呼ばれるツールがあります。デジタル庁のガイドブックは、これを「導入に慎重な検討が必要(非推奨)」に分類しています。ガイドブックによると、支援技術が必要な利用者は、パソコンやスマートフォン、アプリ、ブラウザの機能をすでに使っていることが多く、サイトに同じ機能を入れると過剰な対応になります。また、サイトに機能を入れても他のサイトでは使えないため、効果は極めて限定的だとしています。どのサイトも、利用者がふだん使っている支援技術で閲覧できることを目指すべきだ、というのがガイドブックの考え方です。

また、文字を大きくするボタンを付けても、画像の代替テキストが無いという問題は解決しません。ツールを入れる前に、ホームページの中身そのものを直すことが優先です。

自分でできる、5つの簡単な確認

専門的なツールを使わなくても、パソコンとスマートフォンだけで大きな問題の多くは見つけられます。トップページとお問い合わせのページで、次の5つを試してみましょう。

  1. マウスを使わずに操作する:Tab キーを押してリンクやボタンを順に移動し、Enter キーで押せるか、いま選んでいる場所に枠線などの印が見えるかを確かめる。お問い合わせフォームは、最後の送信ボタンまでキーボードだけで進めるかを試す
  2. 文字を200%に拡大する:ブラウザの拡大機能で文字を大きくし、文字が重なったり、ボタンが画面の外にはみ出したりしないかを見る
  3. 白黒で見る:パソコンやスマートフォンの表示を白黒(グレースケール)に切り替え、色だけで区別している情報(必須項目の赤字、休業日の色など)が読み取れるかを見る
  4. フォームを空のまま送信する:エラーが出たときに、どの項目が、なぜエラーなのかが文字で表示されるかを確かめる
  5. 読み上げを聞く:スマートフォンの読み上げ機能(iPhone の VoiceOver、Android の TalkBack など)をオンにして、トップページの最初の部分を聞き、ロゴや画像が意味のある言葉で読まれるかを確かめる

5つのうち1つでもうまくいかない項目があれば、それが最初に直す候補です。制作会社に頼む場合は、どの操作で、どこがうまくいかなかったかを具体的に伝えると、直してもらいやすくなります。


確認の方法と、かかる手間

ウェブアクセシビリティの確認は、無料のチェックツールで機械的に見つけられる問題を直し、残りを人の目と操作で確かめるのが基本です。

デジタル庁のガイドブックは、総務省の miChecker や、Deque Systems がオープンソースで公開している axe-core などのチェックツールで確認できるのは、達成基準の2割から3割程度にとどまると説明しています。画像に代替テキストが付いているかはツールでわかっても、その文が適切かどうかは人が判断しなければなりません。

確認の方法わかること向いている使い方
無料のチェックツール(Lighthouse、axe、miChecker など)代替テキストの有無、コントラスト不足、見出しやラベルの抜けなど公開前や更新のたびに、全ページをざっと確認する
キーボードだけで操作してみるTab キーで順番に移動できるか、選んでいる場所が見えるかトップページとお問い合わせフォームを中心に確認する
スクリーンリーダーで聞いてみる読み上げの順番、代替テキストの内容、フォームのエラーが伝わるかWindows のナレーター、Mac や iPhone の VoiceOver で主要ページを確認する
規格に沿った試験JIS X 8341-3 の達成基準を満たしているか「準拠」「一部準拠」と表明したい場合。外部の試験機関に委託することもある

規格に沿った正式な試験には手間がかかります。ガイドブックは、100ページ程度のサイトで正式な試験を行うと1か月弱(改修まで含めると2〜3か月)かかり、外部の試験機関に委託した場合の費用はシステムの規模に応じて50万円程度から100万円程度だとしています。まずは無料のツールとキーボード操作で、大きな問題を減らすところから始めましょう。試験を委託するかどうかは、「準拠」「一部準拠」を表明する必要があるか(取引先や入札の条件になっているか)で判断するとよいでしょう。

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ウェブアクセシビリティ方針の書き方と例文

ウェブアクセシビリティ方針は、自社のホームページがどの範囲を、どのレベルまで対応するかを示す文書です。JIS X 8341-3:2016 の附属書JAでは作成が推奨されている位置づけで、法律上の義務ではありません。ただし、WAIC の対応度表記(準拠・一部準拠・配慮)を使う場合は、方針を定めておくことが必要とされています。

方針に書く項目

WAIC の「ウェブアクセシビリティ方針策定ガイドライン」(2021年12月版)は、方針に明記すべき事項と、明記するとよい事項を示しています。主な項目は次のとおりです(出典:ウェブアクセシビリティ方針策定ガイドライン|WAIC、2026年10月時点で確認)。必ず書く項目は2つだけなので、小さな会社でも作れる分量です。任意の項目は、自社の体制で守れる条件だけを書きましょう。

項目必ず書くか書き方のポイント
対象範囲必ず書くサイト名とURL(ドメイン)で示す。対象外のページがあればURLで特定できるようにする
目標とする適合レベル及び対応度必ず書く「適合レベルAAに準拠」「適合レベルAに一部準拠」など
目標を達成する期限書くとよい「2027年3月31日」など
満たすことのできない達成基準書くとよい(一部準拠の場合)対応できない理由と今後の方針
追加で目標とする達成基準書くとよい目標のレベルより上のレベルの達成基準のうち、追加で対応するもの
担当部署・連絡手段書くとよい問い合わせ先の電話番号やメールアドレス
把握している問題点と対応の考え方書くとよい「PDFの一部が読み上げに対応していない」など
試験結果のページへのリンク書くとよい(試験の後)試験を実施した場合

「準拠」「一部準拠」「配慮」の違い

対応度の表記は、JIS の規格そのものではなく、WAIC が独自に定めた表記方法です。WAIC の「ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2016 対応度表記ガイドライン」(2021年4月版)は、それぞれの要件を次のように定めています(出典:対応度表記ガイドライン 2021年4月版|WAIC、2026年10月時点で確認)。

表記方針の提示・公開試験と結果ほかに書くこと
準拠必須試験を実施し、目標とするレベルの達成基準をすべて満たしていることを確認したうえで、試験結果を公開するなし
一部準拠必須試験を実施し、達成基準の一部を満たしていることを確認する。試験結果の公開は任意今後の対応方針(部分適合を適用する場合はその記述)
配慮必須試験の実施の有無、結果は問わない目標とした適合レベル、または参照した達成基準の一覧

注意したいのは、「一部準拠」も試験が前提だという点です。さらに、WAIC のガイドラインは、レベルAAに一部準拠と表記する場合はレベルAに準拠していること(AAAに一部準拠ならAAに準拠していること)が前提になるとしています。つまり、「AAに一部準拠」と書けるのは、試験でレベルAの達成基準をすべて満たしていると確認できた場合です。

試験をしていないのに「JIS X 8341-3:2016 に準拠しています」「一部準拠しています」と書くのは誤りです。まだ試験をしていない中小企業のホームページなら、「配慮」から始めるのが正直な書き方です。

例文1:試験をしていない中小企業のホームページ

ウェブアクセシビリティ方針

株式会社やまびこ商店のウェブサイトでは、高齢の方や障害のある方を含め、誰もが情報を得て、お問い合わせやお申し込みができるよう、「JIS X 8341-3:2016 高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」に配慮したウェブサイトの制作と運用に取り組んでいます。

対象範囲
株式会社やまびこ商店のウェブサイト(https://www.example.co.jp/)全体

目標とする適合レベル及び対応度
JIS X 8341-3:2016 の適合レベルAAに配慮

注記:当社のウェブアクセシビリティ方針における「配慮」という表記は、情報通信アクセス協議会ウェブアクセシビリティ基盤委員会「ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2016 対応度表記ガイドライン - 2021年4月版」で定められた表記によります。

把握している問題点
一部のPDF資料は、読み上げソフトでの読み上げに対応していません。内容が必要な方は、下記の窓口までご連絡ください。テキストなど、お使いの環境で読める形でお送りします。

お問い合わせ
ウェブサイトの使いにくい点や、情報の入手でお困りのことがあれば、電話(00-0000-0000)またはメール(info@example.co.jp)でご連絡ください。

制定日:2026年10月8日

最後の「お問い合わせ」は WAIC のガイドラインでは任意の項目ですが、合理的配慮の申し出を受ける窓口にもなるので、中小企業のホームページでは必ず入れておくことをおすすめします。

例文2:試験をして一部準拠を表明する場合

試験を実施し、レベルAの達成基準はすべて満たしている(レベルAに準拠)が、レベルAAの一部が未対応の場合の書き方です。レベルAに準拠していることが確認できていない場合は、「AAに一部準拠」とは書けません。

目標とする適合レベル及び対応度
JIS X 8341-3:2016 の適合レベルAAに一部準拠

注記:当社のウェブアクセシビリティ方針における「一部準拠」という表記は、情報通信アクセス協議会ウェブアクセシビリティ基盤委員会「ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2016 対応度表記ガイドライン - 2021年4月版」で定められた表記によります。
2026年10月に実施した試験で、適合レベルAの達成基準はすべて満たしていることを確認しています(レベルAに準拠)。

目標を達成する期限
2027年3月31日

満たすことのできない達成基準と今後の対応
1.2.2 キャプション(収録済):会社紹介動画に字幕がありません。2027年3月までに字幕を付けます。

試験結果
2026年10月に実施した試験の結果は、試験結果のページをご覧ください。

WAIC のガイドラインは、方針で参照した対応度表記ガイドラインの版のURLを明記するか、リンクすることを推奨しています(2021年4月版なら https://waic.jp/docs/jis2016/compliance-guidelines/202104/ )。方針のページから、このURLへリンクを張っておきましょう。

方針はどこに載せるか

方針は、フッターから全ページでたどれる場所に載せるのが一般的です。単独のページにする方法のほか、サイトポリシーのページの中に「ウェブアクセシビリティ」の項目として載せる方法もあります。デジタル庁や国立国会図書館のサイトポリシーも、ウェブアクセシビリティの項目を含んでいます。サイトポリシー全体の作り方は、サイトポリシーの書き方と例文で解説しています。


状況別のやること早見表

当てはまる状況次のアクション
これからホームページを作る・作り直す制作会社や作成サービスに、代替テキスト・コントラスト・キーボード操作・フォームのラベルへの対応を確認する
すでにホームページがあり、何もしていない無料のチェックツールで主要ページを確認し、コントラストと代替テキストから直す。問い合わせ先を載せる
お客さまから「使えない」と申し出があったまず電話・メールなど別の方法で応える。そのうえで、同じ問題が起きないようにページを直す
取引先や自治体に対応状況を聞かれた方針を「配慮」で公開し、把握している問題点と今後の予定を書く
自治体の入札や公共の仕事を受けたい発注者が求めるレベルを確認し、試験を前提に計画を立てる(WAIC のガイドラインでも、公的機関のサイトの例はAAを目標にしている)

自分の状況に近い行から始めれば十分です。いきなりすべての達成基準を満たそうとせず、申し出を受け付ける窓口と、影響の大きい項目から手を付けましょう。


制作会社や作成サービスに確認したいこと

ホームページを外部に作ってもらう場合は、ウェブアクセシビリティにどこまで対応しているかを、発注前に確認しておくと手戻りを防げます。デジタル庁のガイドブックも、発注する側が十分な知識が無くても、制作を受ける事業者と適切にやり取りできることを目指して作られています。

  1. 画像の代替テキストは、だれが、どの言語で書くか(AIや制作側が自動で付ける場合も、内容を確認できるか)
  2. 配色は、文字と背景のコントラスト比 4.5:1 以上を確認しているか
  3. お問い合わせフォームは、各項目にラベルが関連付けられ、エラーが文字で示されるか
  4. トップページのスライドショーや動画は、止めたり消したりできるか
  5. キーボードだけで、メニューやフォームを操作できるか
  6. 公開後に自分で文章や画像を変えるとき、代替テキストも編集できるか
  7. 「JIS X 8341-3 に準拠」とうたう場合、試験を行い、結果を公開するか

「アクセシビリティ対応済み」という言葉だけでは、どのレベルに、どの方法で対応したのかがわかりません。対象の範囲と、確認の方法(ツールだけか、試験まで行うか)を具体的に聞きましょう。制作会社の選び方全体は、ホームページ制作会社の選び方も参考にしてください。


シタミで作るサイトのアクセシビリティ

シタミで作るホームページは、AIがデザインと文章を作り、完成したサイトを実物のURLで下見できるサービスです。サイトは JIS X 8341-3 への適合を試験したものではありません。公開前に、この記事の「まず直す項目」の表に沿って、トップページとお問い合わせのページを中心に確認してください。

確認には、無料の品質スコアチェッカーが使えます。URLを入力すると、Googleの PageSpeed Insights の仕組みを使って、パフォーマンス・アクセシビリティ・SEO・ベストプラクティスの4項目を診断し、スマートフォンでの結果を表示します。アクセシビリティの点数が低い場合は、表示される改善のポイントを確認しましょう。ただし、ツールで確認できるのは達成基準の一部なので、キーボード操作や読み上げでの確認もあわせて行ってください。

文章や画像は、ビジュアルエディタで書き換えられます。ご自身で直せない箇所があれば、シタミのお問い合わせ窓口(メール)に相談してください。

完成したホームページを見てから、確かめる

シタミなら、業種と好みを選ぶだけでホームページを作り、実物のURLで下見できます。下見したサイトは品質スコアチェッカーでアクセシビリティの点数も確かめられます。料金プランは公開しています。

料金プランを見る

よくある質問(FAQ)

ウェブアクセシビリティは2024年4月から義務になりましたか?
2024年4月1日から事業者に義務づけられたのは、障害のある人から申し出があったときの合理的配慮の提供です。ホームページのウェブアクセシビリティ対応は、合理的配慮のための環境の整備として努力義務です。
ウェブアクセシビリティに対応していないと罰則はありますか?
障害者差別解消法に、対応していないこと自体を罰する規定はありません。所管の大臣が報告を求めたり、助言・指導・勧告をしたりできる規定があり、報告をしない・うその報告をした場合は20万円以下の過料の対象です。
個人事業主の小さなホームページも対象ですか?
対象です。法律の事業者は商業その他の事業を行う者と定義され、規模の条件はありません。合理的配慮の提供は義務、ホームページの対応は努力義務という整理は会社と同じです。
JIS X 8341-3 と WCAG は何が違いますか?
JIS X 8341-3:2016 は、WCAG 2.0 をそのまま国際規格にした ISO/IEC 40500:2012 と同じ内容の日本の規格です。WCAG は改訂が続いており、最新の勧告は 2.2 です。
ウェブアクセシビリティ方針は必ず公開しないといけませんか?
法律上の義務ではありません。JIS X 8341-3:2016 では作成が推奨されており、WAIC の準拠・一部準拠・配慮の表記を使う場合は方針を定めておく必要があります。
試験をしていなくても「準拠」や「一部準拠」と書けますか?
書けません。準拠は試験で目標レベルの達成基準をすべて満たした場合、一部準拠は試験で一部を満たしたと確認した場合の表記です。AAに一部準拠と書くにはAに準拠していることが前提です。試験をしていなければ「配慮」と書きます。
チェックツールで問題が0件なら対応できていますか?
十分とはいえません。デジタル庁のガイドブックによると、チェックツールで確認できるのは達成基準の2割から3割程度です。キーボード操作や読み上げでの確認もあわせて行いましょう。

まとめ:義務の範囲を正しく知り、窓口と大きな問題から直す

2024年4月の改正で事業者の義務になったのは、合理的配慮の提供です。ホームページのウェブアクセシビリティは努力義務ですが、使いやすいホームページは、合理的配慮の申し出に応える場面を減らし、お客さまを逃さないことにもつながります。

  1. ホームページに、フォーム以外の問い合わせ方法(電話・メール)を載せ、申し出を受けられるようにする
  2. 無料のチェックツールとキーボード操作で、代替テキスト・コントラスト・フォームのラベルなど影響の大きい項目から直す
  3. ウェブアクセシビリティ方針を「配慮」から公開し、把握している問題点と今後の予定を書く

公開前に確認したいほかの項目は、ホームページの品質チェックリストにまとめています。無料でサイトの状態を確かめたい場合は、サイト診断を無料で行う方法も参考にしてください。

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