景品表示法の違反事例|ホームページで多い表示7つの型と直し方【措置命令の実例つき】

「ホームページに『地域No.1』と書いているが、大丈夫だろうか」「『通常価格』に取り消し線を引いてキャンペーン価格を見せたいが、どこまでなら許されるのか」「『今だけ』と書いたキャンペーンを延長したら違反になるのか」。景品表示法の違反というと大企業のテレビCMを思い浮かべがちですが、消費者庁が実際に措置命令を出した事例を読むと、資本金数百万円の会社の自社ウェブサイトが対象になったものもあります。
この記事では、消費者庁が公表した措置命令・課徴金納付命令の実例のうち、中小企業や店舗が自社ホームページに書きがちな表示に近いものを選び、「どんな表示が」「実際はどうだったために」違反とされたのかを整理します。そのうえで、同じ失敗をしないための言い換え例と、公開前に確かめる項目をまとめました。
本記事の情報について: 条文は e-Gov 法令検索の不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)の現行条文で、事例は消費者庁の報道発表資料(各事例に出典を記載)で、2026年10月14日時点の内容を確認しました。企業名は消費者庁の公表資料に記載されたとおりに記しています。個別の表示が違反に当たるかは、表示全体と事実関係から判断されます。判断に迷う場合は、消費者庁や都道府県の景品表示法の担当窓口、弁護士に確認してください。
この記事の要点
- 景品表示法が禁止する不当表示は、優良誤認(品質・性能などを実際より良く見せる。5条1号)、有利誤認(価格・取引条件を実際より得に見せる。5条2号)、内閣総理大臣が指定する表示(ステルスマーケティングなど。5条3号)の3種類
- 2025年度(令和7年度)に消費者庁が出した措置命令13件のうち8件が有利誤認。値引き・キャンペーン・「〇円〜」といった価格の見せ方で違反になる例が多い
- ホームページで多いのは、①No.1・満足度第1位、②施工実績などの数字、③「通常価格」との二重価格、④「今だけ」「期間延長」、⑤「〇円〜」と追加料金、⑥根拠のない効果・ビフォーアフター、⑦小さな注記(打消し表示)の7つの型
- 「通常価格」として比べてよいのは、原則としてセール開始前8週間のうち過半の期間、その価格で売っていた価格。通算2週間未満や、最後にその価格で売った日から2週間以上たっている場合は使えない
- 違反すると措置命令(表示の取りやめ・違反だった旨の周知・再発防止策)が出て公表される。優良誤認・有利誤認は売上額の3%の課徴金の対象(150万円未満なら課されない)で、100万円以下の罰金の罰則もある
- 「調査会社に任せていた」「わざとではない」は通りにくい。表示の根拠を自社で確かめ、記録を残しておくことが一番の予防になる
状況別の読み分け早見表
| 当てはまる状況 | 次に読むところ |
|---|---|
| 「No.1」「満足度第1位」「〇〇件の実績」を載せている | 型1・型2(No.1と実績の数字) |
| 「通常価格」「定価」に取り消し線を引いて値引きを見せている | 型3(二重価格)と「8週間ルール」の図 |
| 「今だけ」「〇月末まで」「期間延長」のキャンペーンを出している | 型4(期限の表示) |
| 「〇円〜」「〇円ポッキリ」「コミコミ」と料金を出している | 型5(追加料金) |
| 「痩せる」「効果抜群」「ビフォーアフター」を載せている | 型6(効果と根拠資料) |
| スマホで注記がアコーディオンやページ下部に隠れている | 型7(打消し表示) |
| お客様の声・口コミを載せている | 体験談の節と、ステマ規制とお客様の声の判断基準 |
| 違反したら何が起きるのか知りたい | 「違反するとどうなるか」の節 |
景品表示法とは:自社ホームページの表示も対象になる
景品表示法は、商品やサービスの品質・価格について、一般消費者に実際より良い・得だと誤認させる表示と、過大な景品を禁止する法律です。ここでいう「表示」には、チラシや店頭のPOPだけでなく、自社のウェブサイトの文章・画像・バナーも含まれます。実際、この記事で紹介する事例の多くは、表示媒体が「自社ウェブサイト」と明記されています。
禁止される不当表示は3種類
景品表示法5条は、事業者が自己の供給する商品・サービスの取引について、次のいずれかに当たる表示をしてはならないと定めています(e-Gov で条文を確認)。
| 種類 | 条文 | 何を実際より良く見せるか | ホームページでの典型例 |
|---|---|---|---|
| 優良誤認表示 | 5条1号 | 品質・規格その他の内容 | No.1・満足度第1位、施工実績の件数、効果・性能、ビフォーアフター |
| 有利誤認表示 | 5条2号 | 価格その他の取引条件 | 「通常価格」との二重価格、「今だけ」、「〇円〜」と追加料金、「入会金0円」 |
| 指定告示に当たる表示 | 5条3号 | 内閣総理大臣が指定したもの | ステルスマーケティング、商品の原産国、おとり広告など |
優良誤認は「中身」、有利誤認は「値段や条件」についての誤認と覚えると整理しやすくなります。どちらも、同業他社のものより著しく良い・得だと誤認させる表示も含みます。「他社より安い」「地域で一番」といった比較の表示が問題になるのはこのためです。
「わざとではない」は理由にならない
措置命令は、表示が不当表示に当たるかどうかで判断され、事業者がわざと誤認させようとしたかは要件になっていません。5条が禁止しているのは、事業者が「自己の供給する商品又は役務の取引について」行う表示です。文章やバナーを作ったのが広告代理店や制作会社でも、自社の商品・サービスの表示として載せていれば、責任を問われるのは自社です。この記事で紹介する太陽光発電の販売施工業者の事例でも、No.1表示の根拠となった調査は委託した調査会社が行ったものでしたが、命令の対象は表示をした販売施工業者でした。
課徴金については、事業者が違反の期間を通じて表示が不当だと知らず、知らないことに「相当の注意を怠った者でない」と認められる場合には課されません(8条1項ただし書)。ただし、消費者庁の公表資料を見ると、「調査が客観的なものか、調査結果と表示内容が対応しているかを十分に検証しなかった」ことを理由に、このただし書に当たらないと判断されています。根拠を自社で確かめた記録が無ければ、「知らなかった」は通りにくいと考えておくのが安全です。
国だけでなく都道府県も措置命令を出す
消費者庁の権限の一部は都道府県知事が行うこととされており(38条11項)、都道府県も措置命令を出しています。たとえば、後で紹介する痩身サービスの事例は、2023年3月14日に埼玉県が措置命令を行い、その後2026年2月に消費者庁が課徴金納付命令を出したものです。地域の小さな店舗やサロンでも、地元の自治体の調査で処分を受けることがあります。
最近の違反件数:措置命令は有利誤認が多い
消費者庁が2026年5月28日に公表した「令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組」によると、2025年度(令和7年4月〜令和8年3月)の消費者庁の処分は次のとおりです。
| 項目 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|
| 措置命令 | 44件 | 26件 | 13件 |
| 課徴金納付命令 | 12件 | 7件 | 10件 |
| 課徴金額 | 20億4419万円 | 19億2696万円 | 3億3940万円 |
2025年度の措置命令13件の内訳は、優良誤認3件、有利誤認8件、原産国告示2件でした。同じ年度に行った指導は388件で、インターネット上の広告に絞った監視では、324件の表示について改善を求める指導が行われています。措置命令の件数は減っていますが、2024年10月1日に施行された改正法で新設された「確約手続」(後述)による認定が2025年度に8件あり、処分の形が広がっています。
同じ資料には、2025年度に措置命令・確約計画の認定を行った事件の一覧が載っています。「住宅の外壁塗装役務のキャンペーン」「英会話教室の入会金」「エステティックサロンで提供する施術サービスの料金」「冷凍宅配食に係るNo.1表示及び体験談」「フィットネススタジオの利用料金」など、地域の事業者が自社サイトで行いがちなキャンペーン・入会金・No.1表示が並んでいます。
また、課徴金額が150万円未満となる場合には課徴金を課さないという基準などにより、措置命令を受けたものの課徴金が課されなかった案件は、過去3年度で50件あったとされています。課徴金が無くても、措置命令が出れば社名と違反の内容が公表されます。
ホームページで多い違反の型と実際の事例
ここからは、7つの型ごとに、消費者庁の公表資料に記載された表示と「実際」を紹介します。公表資料は「表示の内容」と「実際」を並べて書いているので、どこが食い違うと違反になるのかが具体的に分かります。
型1:No.1・満足度第1位
No.1表示が違反とされるのは、「顧客満足度No.1」などの根拠となる調査が、表示から読み取れる内容と対応していない場合です。
事例:太陽光発電システム機器等の販売施工業者4社(2026年3月17日 課徴金納付命令)
消費者庁の発表(太陽光発電システム機器等の販売施工業者4社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について)によると、4社はそれぞれの自社ウェブサイトで、次のような表示をしていました。
- フロンティアジャパン株式会社:「No.1 日本トレンドリサーチ 北海道エリア太陽光発電業者 アフターサポート満足度」「北海道エリア太陽光発電業者満足度3冠達成」など
- 株式会社エスイーライフ:「家庭用蓄電池購入後の保証・アフターサポート満足度第1位」など
- 株式会社SCエージェント:「アフターフォロー満足度No.1 蓄電池販売会社」など
- 株式会社安心頼ホーム:「九州エリアの蓄電池販売施工会社口コミ満足度」などの項目で第1位であるかのような表示
一般消費者は「実際に利用した人に調査して、その結果が1位だった」と受け取ります。ところが実際の調査は、回答者が実際に利用したことがあるかを確認せず、4社のうち1社と特定の事業者だけを任意に選んで比べ、各社のウェブサイトの印象を尋ねるものでした。消費者庁は、客観的な調査に基づくものではなかったと判断しています。
課徴金額は、フロンティアジャパン1119万円、エスイーライフ2069万円、SCエージェント469万円、安心頼ホーム826万円です。たとえばフロンティアジャパンは、課徴金の対象期間の売上額が3億7329万6991円とされており、その3%がほぼこの金額にあたります。
No.1表示の根拠として求められる4つの条件
消費者庁は2024年9月26日に「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表しています。概要資料によると、2023年度に措置命令を受けた44事業者のうち13事業者がNo.1表示に関連しており、いずれもウェブサイトの印象を尋ねる「イメージ調査」を根拠に「顧客満足度No.1」などと表示していました。報告書は、No.1表示が合理的な根拠に基づくと認められるには次の4点が必要だとしています。
- 比較対象が適切に選ばれている:「No.1」をうたう以上、原則として主要な競合商品・サービスを比較の対象にする
- 調査対象者が適切に選ばれている:「顧客満足度」なら、実際に利用した人に調査する
- 調査が公平な方法で行われている:自社を選択肢の一番上に固定する、No.1になった時点で調査を打ち切る、といったやり方をしない
- 表示内容と調査結果が対応している:調査の範囲・時期・項目と、表示の言葉が食い違っていない
同じ報告書のヒアリングでは、広告主の多くが「競合他社がNo.1表示をしているから」という理由で表示を始め、調査会社やコンサルティング会社から勧誘を受けた経緯があり、1フレーズ10万円〜数十万円という費用の安さに魅力を感じたという回答が多かったとされています。また、広告主の多くは、根拠とした調査の質問項目や比較対象を把握していなかったと報告されています。「イメージ調査の結果です」と注記しても、「顧客満足度No.1」という表示と調査結果が対応していないことに変わりはない、とも明記されています。
ホームページでの直し方
- 「地域No.1」「満足度第1位」は、上の4条件を満たす調査結果を自社で確認できない限り載せない
- 載せる場合は、調査機関・調査時期・対象者・比較対象・調査項目を表示のすぐ近くに書き、調査票と結果の原本を保管する
- 調査から時間がたったら外す。「2023年調査」の結果を何年も掲げ続けない
- No.1の代わりに、自社で検証できる事実(創業年、対応地域、保有資格、保証の内容)を具体的に書く
型2:施工実績・導入件数などの数字
「施工実績〇〇件」「累計〇万人が利用」といった数字も、サービスの内容を示す表示として優良誤認の対象になります。
同じ太陽光発電の事例では、エスイーライフが「施工実績12,000件突破」と表示していたのに対し、実際の契約件数は1800件程度でした。SCエージェントも「施工実績10,000件!!」と表示していましたが、実際の契約件数は1万件を大きく下回っていました。消費者庁は、両社とも契約件数が表示の数に達しないことを認識しながら表示していたと認定しています。
ホームページでの直し方
- 実績の数字は、何を数えたか(契約件数か、見積もり件数か、問い合わせ件数か)、いつ時点か、グループ会社や前身の会社を含むかを決めてから書く
- 「〇〇件以上」は、数え方と時点を注記する(例:「2026年9月末時点の施工契約件数。グループ会社分を含みます」)
- 数字の元になった台帳や集計表を保管し、更新日を決めて見直す
型3:「通常価格」との二重価格
二重価格表示とは、実際の販売価格と、それより高い比較対照価格(「通常価格」「定価」など)を並べて表示することです。比較対照価格に根拠が無いと、有利誤認になります。
事例1:株式会社那覇直葬センター(2024年5月30日 措置命令)
消費者庁の発表によると、同社は自社ウェブサイトで「直葬プラン 70,000円(税別)77,000円(税込)」と「通常価格 180,000円(税込198,000円)」を並べて表示していました。しかし、「通常価格」とされた価格は、同社で提供された実績のないものでした。
事例2:株式会社デザインワード(2024年12月17日 措置命令)
消費者庁の発表によると、同社が運営するネイルスクールのウェブサイトでは、2023年10月6日から2024年3月24日までの間、講座ごとに「今だけ授業料50%割引!!」「通常授業料 701,800円(税込)」「割引額 350,900円(税込)」などと表示していました。実際には、「通常授業料」は最近相当期間にわたって提供された実績のない価格でした。約半年にわたって「今だけ50%割引」が続いていたことになります。
事例3:株式会社NOVAランゲージカンパニー(2025年10月17日 措置命令)
消費者庁の発表によると、英会話教室のウェブサイトで、2024年9月から毎月のように「入会金 一般 20,000円(税込22,000円)▶0円」と表示していました。実際には、この入会金を最近相当期間にわたって支払わせた実績がなかったとされています。値引きの対象が商品の価格ではなく「入会金」「初期費用」「事務手数料」でも、同じ考え方になります。
「通常価格」として使える価格の目安(8週間ルール)
消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)は、過去の販売価格を比較対照価格にするなら、それが「最近相当期間にわたって販売されていた価格」である必要があるとし、一般的な目安を次のように示しています。
- セール開始時点からさかのぼる8週間(販売期間が8週間未満ならその期間)のうち、その価格で販売していた期間が過半を占めていれば、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよい
- ただし、その価格で販売していた期間が通算2週間未満の場合、またはその価格で販売した最後の日から2週間以上たっている場合は、該当しない
たとえば、10月1日からセールを始めるなら、8月6日からの8週間のうち4週間を超えて「通常価格」で販売していて、しかも最後にその価格で売った日が9月17日より後である必要があります。この目安は「一般的には」という前提つきで、商品の価格変動の状況などから個別に判断されます。目安を満たしていても、販売実績がほとんど無い価格は「販売されていた」とはいえない点にも注意してください。
競合他社の価格や「市価」と比べる場合も、同じ商品について代替的に購入できる事業者の最近時の販売価格でなければ、不当表示に当たるおそれがあるとされています。「他社平均〇万円のところ当社は〇万円」と書くなら、どの会社のいつの価格かを確認できる資料が必要です。
ホームページでの直し方
- 「通常価格」を書くなら、その価格で実際に売っていた期間と販売実績を記録しておく。新サービスで販売実績が無い価格は比較に使わない
- 「通常価格」「定価」を何か月も消さずに、常に割引価格で売り続けない。実態が割引価格なら、それを通常の価格として表示する
- 「入会金0円」「初期費用無料」も、本来の入会金を実際に受け取っていた期間が無ければ使わない
- 将来の値上げ予定の価格を「通常価格」として並べる場合も、実際にその価格で販売する十分な根拠が必要(同ガイドライン)
型4:「今だけ」「〇月末まで」「期間延長」
期限を区切ったキャンペーンは、期限後も同じ条件で申し込めるなら有利誤認になります。
事例:株式会社創建(2025年9月22日 措置命令)
消費者庁の発表によると、同社は外壁塗装の自社ウェブサイト「創建ペイント」のトップページや特設ページで、2024年4月から9月にかけて、「好評につき期間延長!4/1〜4/30まで 外壁塗装の値段だけで 窓の断熱リフォーム 窓リフォーム代追加費用実質0円!」「今だけ!」「キャンペーン期間残り僅か、お急ぎください!」「好評につき内窓(実質)0円キャンペーン延長決定!」などと表示していました。表示からは、期限内に申し込んだ場合に限って、内窓が最大6か所(関東は5か所)まで無料で設置されるように読み取れます。
実際には、期限後に申し込んだ場合でも、期限内と同じかそれ以上の箇所数の内窓が無料で提供されていました。期限を過ぎても条件が変わらないのに「今だけ」「残り僅か」とあおっていたことが、取引条件を実際より有利に見せる表示とされました。
ホームページでの直し方
- 「今だけ」「〇月末まで」と書いたら、期限後は本当に条件を戻す。戻さないなら期限を書かない
- 「好評につき延長」を繰り返さない。延長するなら、延長の事実と新しい期限を明記し、延長が常態化していないかを社内で確かめる
- 「先着〇名」「残り〇枠」は、実際の枠数と申込状況に基づいて更新する
- ページのどこかに古いキャンペーンのバナーが残っていないか、公開中のページを定期的に見直す
型5:「〇円〜」「〇円ポッキリ」と追加料金
「〇円〜」の最低料金や「コミコミ」「追加料金なし」の表示は、実際にはその料金でほとんど利用できない場合や、ほぼ必ず追加料金がかかる場合に有利誤認になります。
事例1:株式会社那覇直葬センター(チラシの表示)
前述の那覇直葬センターは、チラシで個室に安置された棺の写真や合掌する人物の写真とともに「火葬プラン 77,000円(税込)」と表示し、「個別面会室をご用意いたしました」とも書いていました。実際には、個室で遺体と面会する場合は個室の料金が、個室に供花や仏具を置く場合はその料金が、追加で発生するものでした。写真や説明文で「この料金でここまで含まれる」と受け取れる見せ方をしていた点が問題とされています。
事例2:株式会社金宝堂(2026年9月18日 措置命令)
消費者庁の発表によると、同社はテレビコマーシャルで「お得なプランがこの価格から」という音声とともに「家族葬 10.45万円〜(税込)」と表示していました。実際には、わずかな場合を除き30万8000円以上の費用が必要でした。この事例の媒体はテレビですが、料金ページで「〇円〜」を大きく見せる構成はホームページでもよく見られます。
ホームページでの直し方
- 「〇円〜」の最低料金は、実際にその料金で利用した人がいて、どんな条件ならその料金になるのかを近くに書く
- 多くの人が選ぶ標準的な料金や、総額の目安も並べて書く
- 写真やイラストで、基本料金に含まれないオプション(個室、装飾、追加の作業)を含まれているように見せない
- 「追加料金なし」「コミコミ」と書くなら、追加料金がかかるケースが本当に無いかを確かめる
料金ページの見せ方や、料金表に何を書くかは、業種ごとに注意点があります。リフォームの料金表示はリフォーム会社のホームページの作り方、ジムの料金表示はパーソナルジムのホームページの作り方でも触れています。
型6:根拠のない効果・ビフォーアフター
「痩せる」「効果抜群」「必ず結果が出る」といった効果・性能の表示は、消費者庁から根拠資料の提出を求められ、期限内に出せなければ、措置命令では優良誤認とみなされ(7条2項)、課徴金では優良誤認と推定されます(8条3項)。これを不実証広告規制といいます。
事例:株式会社くまのみ(2026年2月17日 課徴金納付命令)
消費者庁の発表によると、同社が運営する痩身サロンの自社ウェブサイトでは、2022年6月から2023年1月までの間、「−7.3kgの体験! ※効果には個人差があります」「1年間で−23.3kgの体験!」とビフォーアフターの比較画像を載せ、「全ての脂肪・セルライトに絶大な効果があります」「必ず結果へと導いていきます」などと表示していました。消費者庁が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、期間内に提出されなかったため、優良誤認表示と推定されました。課徴金額は361万円です。この事例は、先に埼玉県が2023年3月14日に措置命令を出していたものです。
「※効果には個人差があります」と添えていても、表示全体から「誰でもこれだけ痩せる」と受け取れれば、それだけで誤認は解消されないことが分かります。
根拠資料として認められる2つの要件
消費者庁の「不実証広告規制に関する指針」は、提出された資料が合理的な根拠と認められるには、次の2つの要件を満たす必要があるとしています。
- 提出資料が客観的に実証された内容のものであること
- 表示された効果・性能と、提出資料で実証された内容が適切に対応していること
資料の提出期限は、求めを受けた日から原則15日後です。「新たな試験や調査を行う必要がある」という理由では延長は認められないとされているので、表示を出す前に資料をそろえておく必要があります。販売店がメーカーの試験データを根拠にする場合は、データの存在と試験方法・結果の客観性を自ら確認したことを示す書面を出すことも可能とされています。
ホームページでの直し方
- 効果・性能を書く前に、それを裏付ける試験・調査の資料が手元にあるかを確かめる。無ければ書かない
- 資料の範囲を超えて言い切らない(「成分に効果がある」データで「商品で痩せる」と書かない)
- ビフォーアフターは、典型的な結果か、どんな条件・期間・回数だったのかを近くに書き、特別にうまくいった例だけを選ばない
- 健康・美容・医療に関わる表示は、景品表示法のほかに医薬品医療機器等法や医療法の広告規制にも当たらないかを確認する
型7:小さな注記・見つけにくい注記(打消し表示)
「※条件あり」「※一部地域を除く」のように、強調した表示の例外を示す注記を「打消し表示」といいます。注記があっても、一般消費者が気付けない・理解できない書き方なら、強調表示どおりの内容だと誤認され、不当表示になるおそれがあります。
消費者庁が実態調査報告書をまとめた「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」は、打消し表示が適切かどうかを、文字の大きさ、強調表示の文字との大きさのバランス、配置箇所、背景との区別などから総合的に判断するとしています。スマートフォンについては、次のような特徴を挙げています。
- 関心のある情報だけを拾い読みしやすい
- 大きな文字や画像など、目立つ表示に注意が引き付けられる
- 下にスクロールした場所にある表示を見落としやすい
- 離れた画面に戻って内容を確認しないことがある
そのうえで、注記をアコーディオンパネル(タップすると開く折りたたみ)に入れ、ラベルが抽象的で開く必要性に気付けないような場合は、注記の内容を正しく認識できないと考えられるとしています。
ホームページでの直し方
- 例外や条件は、強調した表示のすぐ近く(同じ画面内)に、読める大きさで書く
- 背景画像の上に細い文字で注記を載せない
- 「詳しくはこちら」のような抽象的なラベルの折りたたみに、料金の条件を隠さない
- 強調表示と注記が矛盾していないかを確かめる(「全員無料」と大書きして「※条件を満たした方のみ」と注記する、など)
- 公開前に、実際のスマートフォンで最初の画面から順にスクロールして、強調表示と注記の両方が目に入るかを確かめる
体験談・お客様の声とステルスマーケティング
「お客様の声」や口コミは、2つの面から景品表示法に関わります。1つは、体験談で効果を実際より良く見せる優良誤認(型6と同じ考え方)です。もう1つは、事業者が選んだり、書き直したり、依頼して書いてもらったりした声を第三者の自発的な声のように見せるステルスマーケティング(5条3号の指定告示)です。
2025年度の確約計画の認定には、「冷凍宅配食に係る体験談」「エステティックサロンで提供する施術サービスの料金及び口コミ」に関するステルスマーケティング告示の事案が含まれています。自社ホームページの「お客様の声」がどこから規制の対象になるか、どう表示すればよいかは、ステマ規制とお客様の声の判断基準と表記例で、消費者庁の運用基準とQ&Aに沿って詳しく整理しています。
よくある書き方と言い換え例
ここまでの7つの型を、ホームページの文章でよく見かける書き方と、言い換えの方向に整理しました。言い換え後の文も、事実と根拠資料があって初めて使えます。
| よくある書き方 | 問題になりやすい点 | 言い換えの方向 |
|---|---|---|
| 「地域No.1の外壁塗装店」 | 何の調査で、誰を対象に、何と比べて1位か分からない | 「〇〇市で創業20年、外壁塗装の施工契約〇件(2026年9月末時点)」と、自社で確かめられる事実にする |
| 「お客様満足度98%」 | 回答者の選び方・回答数・時期が分からない | 「施工後アンケート(2026年1〜6月、回答〇件)で『満足』『やや満足』と答えた方が〇%」と条件を書く |
| 「通常価格30万円→今だけ15万円」 | 30万円で売った実績・期間が無いと有利誤認 | 実際の販売価格だけを書く。値引きするなら、元の価格で販売していた期間を記録しておく |
| 「今月末まで! キャンペーン延長決定!」 | 期限後も同じ条件なら有利誤認 | 期限を書くなら期限後は条件を戻す。続けるなら期限を外し、通常の価格・条件として書く |
| 「〇〇プラン 7.7万円〜」 | その料金で利用できる人がほとんどいないと有利誤認 | 最低料金の条件と、標準的な総額の目安を並べて書く |
| 「必ず痩せる」「効果抜群」 | 合理的な根拠資料が無ければ優良誤認とみなされる | 根拠資料で実証された範囲だけを、条件つきで書く。無ければ書かない |
| 「※条件あり」を小さく下部に | 注記に気付けなければ、強調表示どおりと誤認される | 条件を強調表示の近くに、読める大きさで具体的に書く |
| 「入会金0円」 | 本来の入会金を受け取っていた実績が無いと有利誤認 | 入会金が無いならそれを通常の条件として書く |
違反するとどうなるか:措置命令・課徴金・罰則
措置命令と公表
景品表示法7条1項に基づく措置命令では、これまでの事例を見ると、おおむね次のことが命じられています。
- 表示が景品表示法に違反するものであったことを、一般消費者に周知徹底すること
- 再発防止策を講じて、役員・従業員に周知徹底すること
- 今後、同様の表示を行わないこと(表示を続けている場合は取りやめ)
措置命令は消費者庁のウェブサイトで、社名・所在地・資本金・表示の内容とともに公表されます。紹介した事例でも、資本金300万円(那覇直葬センター)、600万円(デザインワード)の会社の名前と、実際の表示の画像が公表資料に載っています。違反が既に終わっていても命令は出せる(7条1項)ので、「もう表示を消したから大丈夫」とはなりません。
課徴金
優良誤認・有利誤認(5条1号・2号)の表示には、課徴金納付命令が出ます(8条)。5条3号の指定告示(ステルスマーケティングなど)は課徴金の対象外です。
| 項目 | 内容(条文) |
|---|---|
| 金額 | 対象期間の対象商品・サービスの売上額 × 3%(8条1項) |
| 対象期間 | 違反の期間(やめた後6か月以内の取引を含む)。最長3年(8条2項) |
| 課されない場合 | 相当の注意を怠らずに不当表示と知らなかった場合、または課徴金額が150万円未満の場合(8条1項ただし書) |
| 割増し | 過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者が再び違反した場合は 4.5%(8条5項) |
| 減額 | 違反を自主的に報告した場合は50%減額(調査を予知した報告は除く。9条)。対象の消費者に購入額の3%以上を返金する計画が認定された場合も減額(10条・11条) |
150万円未満なら課されないので、売上額が5000万円未満(5000万円×3%=150万円)のサービスなら、計算上は課徴金の対象になりません。ただし措置命令と公表は売上の大きさに関係なく行われます。くまのみの事例では課徴金額が361万円で、対象サービスの売上額が1億円を超えていたことになります。
確約手続(2024年10月から)
2024年10月1日に施行された改正景品表示法で、確約手続が新設されました(26条〜33条)。違反の疑いがある事業者が、自ら是正措置の計画を作って消費者庁の認定を受ければ、措置命令や課徴金納付命令の対象にならない仕組みです。2025年度には8件が認定されました。確約計画の認定も、消費者庁のウェブサイトで社名とともに公表されています。
罰則
措置命令とは別に、優良誤認・有利誤認の表示をした者には100万円以下の罰金の罰則があります(48条)。措置命令に違反した場合は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(情状により併科)が定められており(46条)、法人には3億円以下の罰金刑が科されることがあります(49条)。
社内で決めておくこと:表示の管理体制
景品表示法22条は、事業者に対して、表示を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じるよう求めています。No.1表示の実態調査でも、広告主の多くが根拠の調査内容を確認しておらず、この管理上の措置が十分にとられている様子はうかがわれなかったと指摘されています。
小さな会社や店舗で、最低限決めておきたいのは次の4つです。
- 表示の担当者:ホームページの文章・バナー・料金表を、公開前に誰が確認するか
- 根拠資料の保管場所:No.1・実績の数字・効果・「通常価格」の根拠(調査票、集計表、販売記録、試験データ)をどこに保管するか
- キャンペーンの終了手順:期限が来たら、どのページのどのバナー・文言を、誰がいつ外すか
- 定期的な見直し:半年に1回など、公開中のページを上から順に読み直す日を決める
制作会社や広告代理店に作ってもらったページでも、表示の責任は自社にあります。納品されたページの「No.1」「〇〇件の実績」「通常価格」などの文言は、根拠を自社で確かめてから公開しましょう。
表示の型ごとのチェックリスト
ホームページを公開・更新する前に、次の項目を確かめてください。
No.1・数字
- 「No.1」「第1位」「満足度〇%」には、比較対象・調査対象者・調査方法・表示との対応の4点を満たす調査がある
- 調査機関・時期・対象・比較対象を、表示のすぐ近くに書いた
- 「施工実績〇件」「累計〇人」は、数え方と時点を決めて、元の集計を保管している
価格・キャンペーン
- 「通常価格」「定価」は、セール開始前8週間のうち過半の期間その価格で販売し、通算2週間以上、最後の販売日から2週間たっていない
- 「入会金0円」「初期費用無料」の元の金額を、実際に受け取っていた期間がある
- 「今だけ」「〇月末まで」のキャンペーンは、期限後に条件を戻す(戻さないなら期限を書かない)
- 期限切れのキャンペーンのバナー・文言が、トップページや下層ページに残っていない
- 「〇円〜」には、その料金になる条件と、標準的な総額の目安を並べた
- 写真やイラストで、基本料金に含まれないものを含まれているように見せていない
効果・注記・口コミ
- 効果・性能の表示には、客観的に実証された資料があり、表示の内容と対応している
- 資料を求められたら15日以内に出せる状態で保管している
- 条件・例外の注記は、強調表示の近くに読める大きさで書き、スマホで確かめた
- お客様の声は、選び方・編集の有無に応じた表示を付けた(ステマ規制の判断基準)
業種別に気をつけたい表示
景品表示法はすべての業種に関わりますが、業種によって問題になりやすい表示が違います。事例で見たように、葬儀の「〇円〜」、外壁塗装やリフォームのキャンペーン、スクールやジムの入会金・授業料、エステの効果や料金、太陽光・蓄電池のNo.1表示などは、消費者庁の処分が繰り返し出ている分野です。
- ジム・フィットネス:ビフォーアフターの載せ方とキャンペーン価格の見せ方はパーソナルジムのホームページ制作ガイド
- リフォーム・外壁塗装:二重価格と「今だけ」の表示はリフォーム会社のホームページの作り方
- 電気工事・設備:施工実績の書き方は電気工事会社のホームページ制作ガイド
- 飲食店:飲み放題・純米酒・地鶏などの表示は居酒屋のホームページ作成ガイド
- 石材店・墓石:墓石の価格表示と石種・産地の書き方は石材店のホームページ制作ガイド
- 花屋:「産地直送」「日持ち」などの表現は花屋の開業とホームページの作り方
景品表示法以外にも、ホームページに載せる義務がある項目は業種ごとに決まっています。通信販売をするなら特定商取引法に基づく表記の書き方、業種別の掲載義務はホームページの掲載義務一覧、サイト全体の注意書きは免責事項の例文、公開前の全体の見直しはホームページの品質チェックリストを参考にしてください。
表示を見直したら、サイトの完成形を下見する
シタミなら、業種と好みを選ぶだけでホームページを作り、完成形を無料プレビューで確かめてから購入を決められます。各プランの料金と、できることは料金プランのページで公開しています。
よくある質問(FAQ)
小さな会社の自社ホームページでも景品表示法の対象になりますか?
「No.1」を載せるには何が必要ですか?
「通常価格」はどのくらいの期間販売していれば使えますか?
キャンペーンを延長すると違反になりますか?
「※効果には個人差があります」と書けば体験談を載せてもよいですか?
違反するとどんな処分を受けますか?
制作会社が書いた文章で違反した場合、責任は誰にありますか?
違反しているか自分で判断できない場合はどうすればよいですか?
まとめ:表示の根拠を、公開前に手元にそろえる
- 景品表示法の不当表示は、品質を良く見せる優良誤認、価格・条件を得に見せる有利誤認、ステマなどの指定告示の3種類。自社ホームページの文章・バナー・料金表も対象
- 措置命令は有利誤認が多い。「通常価格」との二重価格、「今だけ」「期間延長」、「〇円〜」と追加料金、「入会金0円」が繰り返し処分されている
- No.1表示は、比較対象・調査対象者・調査方法・表示との対応の4点を満たす調査が必要。印象を尋ねるだけの調査では足りない
- 「通常価格」は、セール前8週間のうち過半の期間その価格で売っていた実績が目安。期限を書いたら、期限後は条件を戻す
- 効果の表示は、求められたら15日以内に出せる根拠資料が要る。「個人差があります」の注記だけでは足りない
- 違反すると措置命令と公表、売上額3%の課徴金、罰則がある。「調査会社に任せていた」「わざとではない」は通りにくい
景品表示法の違反事例を読むと、問題の多くは「書いた内容と実際が食い違っていた」ことに尽きます。「No.1」「〇〇件」「通常価格」「今だけ」と書く前に、その言葉を裏付ける資料が手元にあるかを確かめ、無いなら書かない。その習慣が、お客様の信頼と自社の両方を守ります。