·27分で読めます·シタミ編集部

ステマ規制とお客様の声|自社ホームページに口コミ・体験談を載せるときの判断基準と表記例

ステマ規制景品表示法お客様の声口コミ法務
ステマ規制とお客様の声|自社ホームページに口コミ・体験談を載せるときの判断基準と表記例

「ホームページに『お客様の声』を載せているが、ステマ規制に引っかからないか」「アンケートの感想から、良いものだけを選んで載せてもよいのか」「口コミを書いてくれたら割引、は違反になるのか」。2023年10月にステルスマーケティング(ステマ)が景品表示法の不当表示になってから、自社サイトの口コミや体験談の扱いに迷う事業者が増えています。

結論から言うと、自社のホームページはそもそも「事業者の広告」であることが明らかなので、原則としてステマ規制の対象にはなりません。ただし、「お客様の声」のように第三者の意見に見える部分は例外で、事業者が声を選んだり、書き直したり、依頼して書いてもらったりしていれば、そのことが分かるように表示する必要があります。

この記事では、消費者庁の「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)と「ステルスマーケティングに関するQ&A」をもとに、自社ホームページの「お客様の声」がどこから対象になるのか、どう表示すればよいのかを整理します。法令は e-Gov 法令検索の景品表示法の現行条文(2026年10月11日時点)で確認しました。個別の表示が違反にあたるかは、表示内容全体と事実関係で判断されます。迷う場合は、消費者庁の相談窓口や弁護士に確認してください。

この記事の要点

  • ステマ規制は、事業者の広告なのに、広告だと一般消費者が分からない表示を不当表示として禁止するもの(景品表示法5条3号に基づく令和5年内閣府告示第19号、2023年10月1日施行)
  • 規制の対象は広告主(事業者)。依頼を受けて投稿したインフルエンサーなどは原則として対象外(Q&A Q1)
  • 自社のホームページは事業者の表示であることが明らかなので、原則として対象外。ただし、「お客様の声」のように第三者の客観的な意見に見える部分は、事業者が内容に関わっていれば、そのことを明瞭に表示する必要がある(運用基準 第3・2(2)オ)
  • アンケートの回答を無作為に選び、手を加えずにそのまま引用すれば、その部分は事業者の表示に当たらない。好意的な声だけを選ぶ、良い点だけを抜き出す、書き直す場合は事業者の表示になる(運用基準 第2・2(1)キ、Q&A Q10)
  • 依頼して書いてもらったインフルエンサーの投稿を「お客様の声」として載せるのは適当ではない(Q&A Q16)
  • ステマ規制とは別に、体験談で効果を実際より良く見せれば優良誤認(5条1号)。「個人の感想です」と添えても、それだけでは誤認は解消しないと消費者庁は整理している
  • ホームページ作成サービスやテンプレートの「お客様の声」パーツに入っている見本の文章は、公開前に必ず差し替えるか削除する

状況別の読み分け早見表

当てはまる状況読むところ
ステマ規制の中身をまず知りたいステマ規制とは:何が禁止されたのか
自社サイトの「お客様の声」が対象か知りたい自社ホームページは原則対象外、「お客様の声」は例外になりうる
自社のやり方が大丈夫か具体例で確かめたい「お客様の声」の載せ方別の判断表、措置命令の事例
どんな文言を添えればよいか知りたい事業者の表示だと分かるように書く:表記例
「個人の感想です」を付けているので安心だと思っているステマでなくても違反になる:体験談と優良誤認
クリニック・歯科など医療機関のサイトを運営している業種によっては体験談そのものを載せられない
公開前にまとめて点検したい掲載前のチェックリスト

ステマ規制とは:何が禁止されたのか

ステマ規制とは、事業者が自分の商品やサービスについて行う広告であるにもかかわらず、一般消費者が広告だと判別しにくい表示を、景品表示法の不当表示として禁止するルールです。景品表示法5条3号に基づく「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号)で指定され、2023年10月1日から施行されています。

消費者庁の運用基準は、規制の理由を次のように説明しています。一般消費者は、事業者の広告だと分かっていれば、ある程度の誇張が含まれることを考慮して商品を選びます。ところが、実際には事業者の広告なのに第三者の感想だと思い込むと、誇張を割り引いて考えなくなり、自主的で合理的な選択がゆがめられる、という考え方です。

違反になる2つの要件

告示に当たるかどうかは、次の2つで判断されます。

  1. 事業者の表示であること:外見は第三者の投稿や感想でも、事業者が表示内容の決定に関与していれば「事業者の表示」になる(運用基準 第2)
  2. 一般消費者が事業者の表示だと判別しにくいこと:「広告」などの表示が無い、あっても分かりにくい(運用基準 第3)

逆に言えば、事業者が関与していない第三者の自主的な感想は、そもそも規制の外です。また、事業者の表示であっても、それが一般消費者に明瞭であれば違反になりません。

誰が処分されるのか

規制の対象は、表示内容の決定に関与した事業者、つまり広告主です。消費者庁のQ&A Q1は、広告主から依頼を受けて投稿するインフルエンサーやアフィリエイターは対象外としています(広告主と共同して商品を供給しているような例外的な場合を除く。Q&Aは2026年10月時点で確認)。処分されるのは依頼した側だという点は、インフルエンサーに投稿を頼むときにも押さえておきたい点です。

違反が認められると、消費者庁は事業者に対し、表示の取りやめ、一般消費者への周知、再発防止策などを命じる「措置命令」を行います(景品表示法7条1項、Q&A Q2)。ステマ告示の違反だけでは課徴金の対象になりませんが、表示に優良誤認や有利誤認が含まれる場合は、課徴金納付命令の対象になることがあります(Q&A Q2)。違反のおそれがある段階でも、行政指導が行われます。


自社ホームページは原則対象外、「お客様の声」は例外になりうる

自社のホームページに載せた広告は、原則としてステマ規制の対象になりません。運用基準は、事業者の表示であることが一般消費者にとって明瞭、または社会通念上明らかなものは告示の対象ではないとし、その例として「事業者自身のウェブサイト」での表示を挙げています(運用基準 第3・2(2)オ、2026年10月時点で確認)。自社サイトの商品説明やキャッチコピーに、いちいち「広告」と書く必要はありません。

ただし、同じ項目には但し書きがあります。事業者自身のウェブサイトでも、特定のページで、専門家や一般消費者などの第三者の客観的な意見として表示しているように見えるのに、実際には次のどちらかに当たる場合は、事業者の表示であることを明瞭に表示しなければならない、というものです(運用基準 第3・2(2)オ(ア))。

  • 事業者が第三者に依頼・指示をして、特定の内容の表示をさせた場合
  • そもそも事業者が作成し、第三者に何らの依頼すらしていない場合

「お客様の声」「ご利用者の感想」「専門家のコメント」は、まさに第三者の意見に見える表示です。自社サイトの中にあっても、この部分は別に考える必要があります。

「お客様の声」以外にも、第三者の意見に見える表示がある

自社サイトの中で第三者の意見に見えるものは、「お客様の声」だけではありません。次のような表示も、同じ考え方で点検します。

  • 専門家のコメント・監修:医師や士業などのコメントを載せる場合、依頼して書いてもらったものなら事業者の表示です。運用基準は「弊社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」という表示例を示しています(運用基準 第3・2(2)オ(イ))。
  • 導入事例・お客様インタビュー:取引先に取材し、事業者が文章にまとめた事例は、事業者が内容を決めた表示です。「当社が取材し、編集して掲載しています」と添えておくと、読む人が誤解しません。
  • メディア掲載の紹介:新聞・雑誌などが自主的に企画・編集した記事は、通常は事業者の表示に当たりません(運用基準 第2・2(2)ア)。一方、通常の範囲を超える金銭の提供などがあった記事は、事業者の表示とされることがあります(同イ)。費用を払って掲載した記事広告を「メディアで紹介されました」と載せるなら、広告であることが分かるようにします。

そのまま引用すれば、その部分は事業者の表示にならない

一方で、運用基準は、事業者が自社のウェブサイトの一部で第三者の表示を利用する場合でも、次の2つを守ってそのまま引用するなら、その部分は事業者の表示に当たらないとしています(運用基準 第2・2(1)キ)。

  • 第三者の表示を恣意的に抽出しない(例:SNSの投稿から評判を上げる意見だけを抜き出し、そのことが一般消費者に分からない方法で表示しない)
  • 第三者の表示内容に変更を加えない(例:良い点と悪い点の両方が書かれた投稿の、片方だけを取り上げない)

Q&A Q10は、これをアンケートの回答に当てはめています(2026年10月時点で確認)。アンケートの回答から無作為に選んだ回答を引用して掲載する場合は事業者の表示に当たらない。一方、好意的な評価をしているものだけを選んで引用する場合や、「良い点」「悪い点」を挙げた回答の「良い点」だけを引用する場合は事業者の表示に当たり、そのことを明瞭にしなければ告示に違反する、という整理です。アンケートの回答を載せるときの判断材料になります。

分かれ目は「事業者が内容を選んだり、変えたり、作ったりしたか」

以上をまとめると、自社ホームページの「お客様の声」の扱いは、その声の中身を事業者が選んだり、変えたり、作ったりしたかで分かれます。

自社ホームページの「お客様の声」がステマ規制の対象になるかの分かれ目

実在しない声を事業者が作った場合について、運用基準は事業者の表示であることの明瞭な表示を求めていますが、「お客様の声」という見出しの下に作り話を置くこと自体が、次の章で説明する優良誤認につながりかねません。架空の声は、表示を付けるかどうか以前に、載せないのが基本です。


「お客様の声」の載せ方別の判断表

消費者庁のQ&Aと運用基準から、ホームページでよくある載せ方を整理しました。「事業者の表示に当たる」ものは、それだけで違法になるわけではなく、事業者の表示であることを明瞭に表示すれば告示には違反しません。

載せ方扱い根拠
アンケート回答から無作為に選び、原文のまま引用事業者の表示に当たらないQ&A Q10、運用基準 第2・2(1)キ
好意的な回答だけを選んで掲載事業者の表示に当たる。明瞭な表示が必要Q&A Q10
回答の「良い点」の部分だけを抜粋事業者の表示に当たる。明瞭な表示が必要Q&A Q10
お客様の言葉を事業者が書き直す・要約する内容に変更を加えているため、事業者の表示として扱う運用基準 第2・2(1)キ
依頼して書いてもらったインフルエンサーの投稿を「お客様の声」として掲載「お客様の声」として載せるのは適当ではない。依頼した投稿だと明瞭にするQ&A Q16
専門家に依頼したコメントを掲載事業者の表示。「弊社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」などと表示運用基準 第3・2(2)オ(イ)
実在しない声を事業者が作って掲載事業者の表示。優良誤認のおそれもあり、載せない運用基準 第3・2(2)オ(ア)、景品表示法5条1号

ホームページ以外の口コミについても、Q&Aには判断の目安があります。自社サイトの「お客様の声」に転載する前の段階で問題になるので、あわせて確認しておきましょう。

場面扱い根拠
予約サイトへの口コミ投稿を条件に割引する(内容の指定なし)通常は事業者の表示に当たらないQ&A Q6前段
口コミで「星5」を付けることを条件に割引する事業者の表示に当たるQ&A Q6後段
サービスを推奨するコメントを書くことを条件にする事業者の表示に当たるQ&A Q6後段
レビュー投稿を条件に次回のクーポンを渡す(内容の指定なし)通常は事業者の表示に当たらないQ&A Q7
事実と違う記載や他社の名誉を損なう記載の修正を頼むそれだけでは事業者の表示に当たらないQ&A Q9
感想を自社に都合の良い内容に改めるよう頼む修正された投稿は事業者の表示に当たるQ&A Q9
販売促進の立場にある従業員が自社商品をSNSで宣伝する事業者の表示に当たるQ&A Q3、運用基準 第2・1(1)

Googleマップなどの口コミは、それ自体を事業者が書き換えることはできませんが、投稿を頼むときの条件の付け方で事業者の表示になります。後で紹介する措置命令の事例は、まさにこの場面でした。

Googleの口コミやSNSの投稿をホームページに載せる場合

Googleマップの口コミやSNSの投稿を、自社のホームページに転載したり、口コミを表示する仕組みで埋め込んだりする場合も、考え方は同じです。運用基準 第2・2(1)キは、SNSの投稿から評判を上げる意見だけを抜き出し、そのことが一般消費者に分からない方法で表示することを、恣意的な抽出の例に挙げています。

  • 星5の口コミだけを選んで載せる:評判を上げる意見だけを選んでいるため、事業者の表示として扱い、「当社が選んだ口コミを掲載しています」などと表示します。
  • 新しい順にすべて表示する、評価に関係なく表示する:選び方に事業者の意図が入らないため、そのままの引用に近い形になります。
  • 口コミの一部だけを切り取る:良い点と悪い点の両方が書かれた口コミの、良い点だけを載せると内容の変更に当たります。載せるなら全文を載せます。

転載するときは、投稿した人の文章であることにも配慮が必要です。プラットフォームの規約で転載や埋め込みの方法が決まっている場合もあるため、各サービスの規約を確認し、必要に応じて投稿者の了承を得てください。

社員・家族・知人やモニターの声

社員や家族、知人に書いてもらった感想を「お客様の声」として載せると、第三者の自主的な感想に見えるのに、実際は事業者の側の人の表示になります。販売を促進する立場にある社員の表示は事業者の表示に当たるとされているため(運用基準 第2・1(1)、Q&A Q3)、載せるなら「当社スタッフの感想です」などと分かるように書きます。

無料体験やモニター価格で参加してもらった人の声も注意が必要です。運用基準は、事業者が商品を無償で提供して投稿を依頼し、相手が事業者の方針や内容に沿った表示をするなど、客観的に見て相手の自主的な意思による内容と認められない場合を、事業者の表示の例に挙げています(運用基準 第2・1(2)イ(ア))。モニター募集のときに感想の内容を指定したり、掲載を条件にしたりしたなら、「モニター価格で参加された方の感想です」のように、その関係が分かる表示を添えましょう。


事業者の表示だと分かるように書く:表記例

事業者の表示に当たる「お客様の声」を載せるときは、一般消費者が見て、事業者が関わった表示だとすぐ分かるように書きます。

運用基準が示す表示の方法

運用基準は、事業者の表示であることが明瞭になる例として、次の2つを挙げています(運用基準 第3・2(1))。

  • 「広告」「宣伝」「プロモーション」などの文言で表示する
  • 「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章で表示する

Q&A Q11は、これ以外の言葉でも、表示内容全体から事業者の表示であることが明瞭なら認められるとしています。一方、Q&A Q12は、「私は○○社の社員です」と所属を書くだけでは、明瞭とは必ずしもいえないとしています。

「お客様の声」に添える文例

運用基準とQ&Aの考え方に沿って、ホームページの「お客様の声」に添える文例をまとめました。実際の選び方・編集の仕方に合わせて書き換えて使ってください。

【好意的な声を選んで載せる場合】
※掲載しているお客様の声は、当社が実施したアンケートの回答から、
  当社が選んで掲載しています。

【読みやすく編集して載せる場合】
※お客様からいただいた感想を、ご本人の了承を得て、当社が要約・編集して掲載しています。

【依頼したモニター・インフルエンサーの声を載せる場合】
※当社が依頼し、商品を無償で提供したモニターの方の感想です(広告)。

【専門家のコメントを載せる場合】
※当社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。

【無作為に選び、原文のまま載せる場合(表示は必須ではない)】
※アンケートの回答から無作為に選び、原文のまま掲載しています。

最後の文例は、告示上は必須ではありません。ただ、選び方を書いておくと、読む人に誤解されにくくなります。そのとおりに運用していることを示せるよう、元の回答と選んだ方法を記録として残しておきましょう。

分かりにくい表示になってしまう例

文言を入れていても、見つけにくければ明瞭とはいえません。運用基準は、分かりにくい表示の例として次のようなものを挙げています(運用基準 第3・1(2))。

  • 事業者の表示である旨を、部分的にしか表示していない
  • 表示の末尾など、一般消費者が見落としやすい位置にだけ表示する
  • 周りの文字より小さい文字や、薄い色で表示する
  • 長い文章の中に紛れ込ませる、大量のハッシュタグに埋もれさせる

ホームページなら、「お客様の声」の見出しのすぐ下か、各声の近くに、本文と同じくらいの大きさで表示するのが確実です。ページ最下部の注記だけで済ませるのは避けましょう。

ホームページでの置き方の例

トップページに「お客様の声」を3件ほど並べ、詳しい一覧ページへリンクする構成なら、表示はトップページと一覧ページの両方に入れます。トップページだけを見て問い合わせる人もいるため、一覧ページにだけ書いても、トップページの3件については分かりにくい表示になります。

スライドで声が切り替わる「カルーセル」形式は、表示を各声のカードの中か、カルーセルのすぐ上に固定して置きます。運用基準は、動画で一般消費者が認識できないほど短い時間しか表示しない場合を分かりにくい例に挙げており、Q&A Q15も画面上に常に表示することが望ましいとしています。動画ではありませんが、切り替わる表示でも、どの声を見ている時にも表示が目に入る置き方にしておくと安心です。

選び方の異なる声を同じページに混ぜる場合は、まとまりごとに表示を分けます。たとえば「アンケートから無作為に選んだ声」と「モニターの方の声」を並べるなら、見出しを分け、それぞれに表示を付けます。

口コミをお願いするときの文例

口コミの依頼で問題になるのは、評価や内容に条件を付けることです(Q&A Q6)。お客様にレビューをお願いするときは、次のように、感想の中身を指定しない書き方にします。

【口コミのお願い(来店後のメール・カードなど)】
本日はご来店ありがとうございました。
よろしければ、Googleマップの当店ページに、ご感想をお寄せください。
良かった点も、気になった点も、率直なご意見をお待ちしています。
いただいたご意見は、サービスの改善に役立てます。

避けたいのは、「星5をお願いします」「『丁寧だった』と書いてください」「高評価の方に割引」のように、評価や内容を指定したり、評価によって特典を変えたりする書き方です。割引やクーポンを渡す場合も、口コミの内容や評価に関係なく、投稿した全員に同じ条件で渡します。

社内のルールにしておく項目

「お客様の声」の更新を担当者任せにすると、異動や退職のたびに扱いがぶれます。次の項目を社内のルールとして書き残しておくと、誰が更新しても同じ基準で載せられます。

  • 声を集める方法(アンケート、来店後のメール、口コミサイト など)と、依頼の文面
  • 掲載する声の選び方(無作為・全件・担当者が選ぶ)と、選ぶ場合に添える表示
  • 編集してよい範囲(誤字脱字の修正だけ、要約する場合は本人の了承を得る など)
  • 同意の取り方と、同意書・元の回答の保管場所
  • 体験談で効果をうたわないこと、業種ごとの禁止事項
  • 掲載をやめてほしいと連絡があったときの対応

ステマでなくても違反になる:体験談と優良誤認

「広告」と明記していても、体験談の中身で商品やサービスを実際より著しく良く見せれば、優良誤認表示として景品表示法5条1号に違反します。ステマ規制は「誰の表示か」の問題、優良誤認は「中身が正しいか」の問題で、別々に満たす必要があります。

「個人の感想です」だけでは足りない

消費者庁の「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」(2018年6月公表、2026年10月時点で確認)は、体験談について次のように整理しています。体験談を載せる前に注意したい点です。

  • 体験談をねつ造する場合や、一部の都合の良い体験談のみを引用する場合など、体験談を不適切に使うと不当表示に当たるおそれがある
  • 体験談を見た一般消費者は「大体の人が効果を得られる」と認識し、「個人の感想です。効果には個人差があります」といった打消し表示に気付いても、その認識はほとんど変わらないと考えられる
  • 誤認を招かないためには、事業者が行った調査の被験者の数と属性、体験談と同じような効果が得られた人の割合、得られなかった人の割合などを明瞭に表示すべき

たとえば、施術や講座の「お客様の声」に「1回で劇的に改善しました」という声を並べるなら、実際にどのくらいの割合の人がそうなったのかを示せることが前提になります。示せないなら、効果を断定する声ではなく、接客や雰囲気、分かりやすさなど、事実として言える感想を中心に載せる方が安全です。

効果を断定する声と、事実として言える声

同じ満足の声でも、効果を断定するものと、体験した事実を述べるものでは、根拠の重さが違います。効果を断定する声を載せるなら、その効果が「大体の人」に当てはまることを示せるかを先に確かめます。示せない場合は、本人の了承を得て別の部分を引用するか、事実として言える声を選びます。

効果を断定する声(根拠が要る)事実として言える声の例
1回の施術で肩こりが治りました施術の前に、どこがつらいかを丁寧に聞いてもらえました
3か月で10kg痩せました食事の記録を毎週見てもらえたので、続けやすかったです
ホームページを変えたら問い合わせが3倍になりました打ち合わせの回数が少なく、忙しい時期でも進められました
必ず合格できる塾です質問しやすい雰囲気で、子どもが自分から通うようになりました

右の列の声も、編集や選別をしていれば事業者の表示である旨の表示は必要です。ただ、効果をうたわない分、優良誤認の心配は小さくなります。読む人にとっても、自分が体験する場面を想像しやすい声は、問い合わせる前の不安を和らげる材料になります。

根拠を求められたら出せるようにしておく

消費者庁は、表示が優良誤認に当たるかを判断するために、事業者に対して期間を定めて合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。提出できなければ、優良誤認表示とみなされます(景品表示法7条2項、2026年10月時点の条文で確認)。根拠を出せないリスクに注意してください。また、品質などについて著しく優良だと一般消費者を誤認させる表示をした者には、100万円以下の罰金の規定もあります(48条1号)。

「お客様の声」で効果をうたうなら、その声の元になったアンケートや記録を保管し、どういう人の何割がそう答えたのかを説明できるようにしておきましょう。


業種によっては体験談そのものを載せられない

業種ごとの法律で、体験談の掲載自体が制限されている場合があります。代表的なのが医療機関です。

医療法施行規則1条の9第1号は、医療に関する広告の基準として、患者などの主観や伝聞に基づく、治療等の内容や効果に関する体験談の広告をしてはならないと定めています(医療法施行規則、2026年10月時点の条文で確認)。医療機関のサイトでは特に注意が必要です。クリニックや歯科医院のホームページでは、ステマ規制の表示を付ければよいという話ではなく、治療内容や効果についての患者の体験談を載せること自体ができません。詳しくは歯科ホームページで自費診療を強化する方法とクリニックのホームページ制作費用と作り方で解説しています。

ほかにも、業種ごとに口コミや体験談の扱いで気をつける点があります。

業種ごとにホームページへの表示が義務づけられている事項は、ホームページの掲載義務一覧にまとめています。


違反するとどうなるか:措置命令の事例

ステマ告示に該当するとして措置命令が出た事例に、2024年6月の医療機関の例があります。消費者庁の発表(医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について、令和6年6月7日公表、命令は令和6年6月6日。2026年10月時点で確認)によると、内容は次のとおりです。口コミの依頼方法を考えるときの判断材料として、条件の付け方に注意して読んでください。

  • 対象:東京都大田区の診療所の診療サービスに係る表示
  • 何をしたか:インフルエンザワクチン接種で来院した人に、Googleマップの口コミ投稿欄でクリニックを「★★★★★」または「★★★★」と評価して投稿することを条件に、接種費用を割り引くと伝え、その結果投稿された口コミが表示されていた
  • 判断:表示内容全体から、一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭になっているとは認められず、ステマ告示に該当する
  • 命じられたこと:表示の取りやめ、景品表示法に違反するものであることの一般消費者への周知、再発防止策の実施と役員・従業員などへの周知、今後同様の表示を行わないこと

Q&A Q6前段のとおり、内容を指定せずに「口コミを書いてくれたら割引」とするだけなら、通常は事業者の表示に当たりません。この事例では「星4以上」という評価の条件を付けたことで、事業者が内容を決めた表示とされました。口コミをお願いするときは、評価や内容に条件を付けないことが分かれ目です。

なお、告示の施行前に行った投稿でも、施行後も表示され続けていれば、事業者の表示であることが明瞭でない限り、行政処分の対象になる可能性があります(Q&A Q20)。昔から載せている「お客様の声」も、この機会に見直しておきましょう。


掲載前に用意するもの:本人の同意と記録

「お客様の声」をホームページに載せる前に、ステマ規制とは別に、次の2つを用意しておくと安心です。

本人の同意

お客様の名前、写真、会社名、年代などを載せるなら、掲載の前に本人の同意を得ます。顧客名簿など個人データとして管理している情報をホームページで公開する場合、個人情報保護法27条1項の第三者提供の制限との関係も問題になります。同意を書面やメールで残すときは、次の項目を入れておきます。

  • 掲載する文章(編集する場合は編集後の文章)
  • 掲載する名前の出し方(実名・イニシャル・年代のみ など)と写真の有無
  • 掲載する場所(ホームページ、チラシ、SNS など)
  • 掲載をやめてほしいときの連絡先

問い合わせフォームで感想を集める場合の同意文の書き方は、問い合わせフォームの個人情報の同意文例、個人情報の扱いを示すページはプライバシーポリシーの雛形と書き方で解説しています。

選び方と元の文章の記録

無作為に選んで原文のまま載せていることや、効果をうたう声の根拠を説明できるように、次の記録を残します。

  • 元のアンケート回答や投稿の原文と、受け取った日付
  • 掲載する声を選んだ方法(無作為、全件掲載、事業者が選んだ など)
  • 編集した場合は、編集前と編集後の文章
  • 割引や特典を渡した場合は、その条件(評価や内容の条件を付けていないこと)

ホームページ作成サービスの見本の「お客様の声」に注意

ホームページ作成サービスやテンプレートには、「お客様の声」のパーツに、見本の感想文・名前・写真があらかじめ入っているものがあります。見本のまま公開すると、実在しないお客様の声を事業者が載せている状態になります。

シタミのエディタでも、「お客様の声」のパーツを追加すると、見本の感想文・名前・会社名(形式によっては写真や星5の評価)が入った状態で表示されます。見本の感想文には「問い合わせ数が3倍に増えました」のように効果を断定するものもあり、そのまま残すと、前の「効果を断定する声と、事実として言える声」で説明した根拠の要る声を、実在しないお客様の言葉として載せることになります。実際のお客様の声に差し替えるか、パーツごと削除してから公開してください。差し替えるときは、この記事の判断表に沿って、選び方に応じた表示も添えましょう。

実際の声を載せる前に、サイトの完成形を下見する

シタミなら、業種と好みを選ぶだけでホームページを作り、実物のURLで下見できます。「お客様の声」のパーツは、エディタで追加・差し替え・削除ができます。下見までは無料です。

無料で下見する

ホームページのどこに「お客様の声」を置くかは、ホームページの構成ガイド、ランディングページでの使い方はランディングページの作り方が参考になります。サイト全体の注意書きは免責事項の例文やサイトポリシーの書き方でまとめられます。


掲載前のチェックリスト

  • 載せる声は実在するお客様のもので、本人の同意を得ている
  • テンプレートや作成サービスの見本の文章・名前・写真が残っていない
  • 声の選び方を確認した(無作為に選んだか、事業者が選んだか)
  • 原文のまま載せているか、編集したかを確認した
  • 事業者が選んだ・編集した・依頼した声には、「当社が選んで掲載」「広告」などの表示を、見出しや各声の近くに本文と同じ大きさで付けた
  • 依頼したインフルエンサーやモニターの投稿を、「お客様の声」として載せていない
  • 口コミの依頼で、評価(星の数)や内容に条件を付けていない
  • 効果をうたう体験談には、どのくらいの割合の人がそうなったかを示せる根拠がある
  • 医療機関など、体験談の広告が制限される業種に当たらないか確認した
  • 元の回答、選び方、編集前後の文章、同意の記録を保管している
  • 2023年10月より前から載せている声も見直した

よくある質問(FAQ)

自社ホームページの「お客様の声」はステマ規制の対象ですか?
自社サイトは事業者の広告と分かるので原則対象外です。ただし、お客様の声のように第三者の意見に見える部分で、事業者が声を選んだり書き直したり依頼したりしていれば、そのことを明瞭に表示する必要があります。
アンケートから良い感想だけを選んで載せてもよいですか?
載せられますが、事業者の表示に当たるため、「当社が選んで掲載しています」などと明瞭に表示します。無作為に選んで原文のまま引用する場合は、その部分は事業者の表示に当たりません(消費者庁Q&A Q10)。
お客様の感想を読みやすく書き直してもよいですか?
内容を変えると、そのままの引用ではなくなるため、事業者の表示として扱われます。本人の了承を得たうえで、「当社が要約・編集して掲載しています」などと分かるように表示してください。
口コミを書いてくれたら割引、はステマになりますか?
内容を指定しなければ、通常は事業者の表示に当たりません(Q&A Q6)。星5を付けることや推奨するコメントを条件にすると事業者の表示になり、2024年6月には星4以上を条件にした医療機関に措置命令が出ています。
「個人の感想です」と書けば体験談を載せても大丈夫ですか?
それだけでは足りません。消費者庁は、打消し表示があっても大体の人に効果があると受け取られると整理しています。効果をうたうなら、効果が得られた人の割合などを示せる根拠が必要です。
インフルエンサーに依頼した投稿を「お客様の声」に載せてもよいですか?
「お客様の声」として載せるのは適当ではないと消費者庁はしています(Q&A Q16)。載せる場合は、自社が依頼したインフルエンサーの投稿であることが分かるように表示します。
Googleの口コミを星5のものだけ選んでホームページに載せてもよいですか?
評判を上げる意見だけを選ぶと恣意的な抽出に当たり、事業者の表示として扱われます。載せる場合は「当社が選んだ口コミを掲載しています」などと、見出しや口コミの近くに分かるように表示してください。
社員や家族の感想を「お客様の声」に載せてもよいですか?
第三者の感想に見えるのに実際は事業者側の人の表示になるため、お客様の声として載せるのは避けます。載せる場合は「当社スタッフの感想です」などと、誰の声かが分かるように書きます。
ステマ規制に違反するとどうなりますか?
消費者庁が、表示の取りやめや再発防止策などを命じる措置命令を出します。ステマ告示の違反だけでは課徴金の対象になりませんが、優良誤認などを含むと課徴金の対象になることがあります。

まとめ:選んだ・変えた・頼んだなら、そう書く

  • ステマ規制は、事業者の広告なのに広告だと分からない表示を禁止するもの。自社ホームページは原則対象外
  • ただし「お客様の声」など第三者の意見に見える部分は、事業者が選んだ・変えた・頼んだ・作ったなら、そのことを見出しや各声の近くに明瞭に表示する
  • アンケートから無作為に選び、原文のまま引用するなら、その部分は事業者の表示に当たらない
  • 「広告」と書いても、体験談で効果を実際より良く見せれば優良誤認。「個人の感想です」だけでは足りない
  • 医療機関など、体験談の広告そのものが制限される業種もある
  • テンプレートや作成サービスの見本の「お客様の声」は、公開前に必ず差し替えるか削除する

お客様の声は、正しく載せれば、初めて訪れた人の不安を和らげる強い材料になります。選び方と表示のルールを社内で決めておけば、毎回迷わずに更新できます。これからホームページを用意する場合は、シタミの料金プランを確認し、完成したサイトを無料で下見してから決められます。

関連記事