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カスタマーハラスメント基本方針の例文|業種別の文例とホームページへの載せ方【2026年10月施行の法改正対応】

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カスタマーハラスメント基本方針の例文|業種別の文例とホームページへの載せ方【2026年10月施行の法改正対応】

「カスハラの基本方針を作るように言われたが、何を書けばいいのか分からない」「大企業の方針ページはたくさん見つかるが、うちのような小さな店や事務所に合う文例が無い」「ホームページに載せないと法律違反になるのだろうか」。2026年10月1日に改正労働施策総合推進法のカスタマーハラスメント対策の規定が施行され、こうした疑問を持つ中小企業や店舗が増えています。

この記事では、カスタマーハラスメント基本方針の例文を、そのまま下書きに使える基本形と、業種ごとに差し替える文に分けて紹介します。あわせて、法律で何が義務になったのか、ホームページへの掲載はどう位置づけられているのか、社内向けの方針と社外向けの方針をどう書き分け、ホームページのどこに、どんな名前で置けばよいかまでを整理しました。

本記事の情報について: 法律は e-Gov 法令検索の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)の現行条文、事業主の措置は厚生労働省のカスハラ防止指針(令和8年厚生労働省告示第51号)とカスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)、東京都の取扱いは東京都カスタマー・ハラスメント防止条例と東京都の指針(ガイドライン)で、2026年10月21日時点の内容を確認しました。例文は、これらの資料が示す方針の要素をもとにシタミ編集部が作成したもので、特定の企業の方針を転載したものではありません。自社の就業規則や対応手順との整合、個別の事案の判断に迷う場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、社会保険労務士、弁護士に確認してください。

この記事の要点

  • 2026年10月1日から、従業員を雇う事業主は、規模や業種を問わず、カスタマーハラスメントから従業員を守るための雇用管理上の措置を講じることが義務になった(労働施策総合推進法33条1項)
  • 指針が求める措置の1つ目が、「カスハラには毅然と対応し、従業員を守る」という方針を明確にし、従業員に周知・啓発すること。基本方針はこの措置の中心になる文書
  • ホームページへの掲載そのものは義務ではない。指針は、方針を顧客にも周知することを「被害の防止に効果的」と位置づけており、ホームページはその代表的な手段
  • 社外向けの基本方針には、①方針の目的と正当な意見への姿勢、②カスハラの定義、③対象となる行為の例、④カスハラがあった場合の対応、⑤制定日と代表者名、を入れると読む人に伝わりやすい
  • 医療・介護・宿泊など、法律でサービスの提供や受入れを原則として拒めない業種は、「対応をお断りする」の書き方に業種の法律との調整が要る
  • 方針を載せたら終わりではなく、相談窓口・対応手順・記録の仕組みなど、社内の措置とセットで整えることが法律上の義務の中身

状況別の読み分け早見表

当てはまる状況次に読むセクション・アクション
法改正で何が義務になったのかを先に知りたい「2026年10月1日から何が義務になったのか」
とにかく例文がほしい「そのまま使える基本方針の例文」から読み、業種別の差し替え文を選ぶ
医療・介護・宿泊など、サービスを断りにくい業種「業種別に差し替える文例」の該当業種と注意書き
ホームページのどこに載せるか迷っている「ホームページへの載せ方」と「掲載前のチェックリスト」
東京都内に事業所がある「東京都カスハラ防止条例との関係」
従業員5人以下で、窓口担当を置けない「小規模な事業者向けの短い例文」

カスタマーハラスメント基本方針とは

カスタマーハラスメント基本方針とは、顧客や取引先からの社会通念上許容される範囲を超えた言動に対して、会社として毅然と対応し、従業員を守ることを宣言する文書です。「カスタマーハラスメントに対する基本方針」「カスハラ対応方針」「カスタマーハラスメントへの考え方」など、名前は会社によってさまざまです。

社内に向けては「会社は従業員を守る。困ったらすぐ相談してほしい」というメッセージになり、社外に向けては「正当なご意見には真摯に向き合うが、従業員の尊厳を傷つける言動には応じない」という線引きを伝える役割を持ちます。

法律と指針が示すカスタマーハラスメントの定義

厚生労働省のカスハラ防止指針は、職場におけるカスタマーハラスメントを、次の3つの要素をすべて満たすものと定義しています。

  1. 職場において行われる、顧客等の言動であること
  2. その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして、社会通念上許容される範囲を超えたものであること
  3. その言動により、労働者の就業環境が害されること

「顧客等」には一般の消費者だけでなく、取引の相手方や施設の利用者など、事業に関係を有する者が含まれます(労働施策総合推進法33条1項)。そのため、BtoC の店舗だけでなく、法人や事業者と取引する BtoB の会社も対象です。指針は、店舗や施設での対面だけでなく、電話や SNS などインターネット上で行われる言動も含まれるとしています。

基本方針の文章を考えるときは、この3要素の言い回しをそのまま使う必要はありません。ただし、自社の方針に書く定義が法律や指針の定義から大きく外れていると、社内の判断がぶれる原因になります。例文では、指針の定義を読みやすく言い換えた形にしています。

正当なクレームとの違いを方針に書く理由

指針は、顧客等からの苦情の全てがカスタマーハラスメントに当たるわけではなく、客観的にみて社会通念上許容される範囲で行われたものは正当な申入れであり、カスタマーハラスメントには当たらないと明記しています。また、障害者が不当な差別的取扱いをしないよう求めることや、社会的障壁の除去を必要としている旨の意思を表明すること自体も、カスタマーハラスメントには当たりません。

社外向けの方針で「カスハラには応じません」とだけ書くと、ふつうの問い合わせや要望まで歓迎されていないように受け取られかねません。基本方針の冒頭で「お客様からのご意見・ご要望は、サービス改善のための大切な情報として真摯に受け止めます」と書き、そのうえで線を引くのは、この区別を読む人に伝えるためです。


2026年10月1日から何が義務になったのか

令和7年法律第63号による改正で、労働施策総合推進法にカスタマーハラスメントについての規定が加わりました。e-Gov 法令検索の改正履歴では、この改正法の公布日は2025年6月11日、カスハラの規定を含む改正の施行日は2026年10月1日です。厚生労働省のマニュアルも、カスタマーハラスメントについて事業主が雇用管理上必要な措置を講じることが義務化され、2026年10月1日から施行されると説明しています。

法律が事業主に求めていること

改正後の労働施策総合推進法33条は、事業主に次のことを求めています。

  • 雇用管理上の措置(33条1項): 顧客等の言動により従業員の就業環境が害されることのないよう、相談に応じて適切に対応するための体制の整備、カスハラへの対応の実効性を確保するための抑止の措置、その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない
  • 不利益な取扱いの禁止(33条2項): 従業員が相談したことや、相談への対応に協力して事実を述べたことを理由に、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない
  • 他社への協力(33条3項): 他の事業主から、その事業主が講じる措置の実施に必要な協力を求められたら、応じるように努めなければならない

あわせて34条5項は、顧客等の側にも、労働者に対する言動が就業環境を害することのないよう必要な注意を払う努力義務を定めています。

これらの措置を講じていない事業主に対しては、厚生労働大臣が助言・指導・勧告を行うことができ、33条1項・2項に違反して勧告に従わなかった場合は、その旨を公表できるとされています(42条)。また、厚生労働大臣は措置の実施状況について報告を求めることができ(45条1項)、報告をしなかったり虚偽の報告をしたりした場合は20万円以下の過料の対象です(51条)。

指針が示す5つの措置と、基本方針の位置づけ

具体的に何をすればよいかは、厚生労働大臣が定めたカスハラ防止指針(令和8年厚生労働省告示第51号)に書かれています。厚生労働省のマニュアルは、事業主が講ずべき措置(義務)として次の5つを挙げています。

指針が求める措置主な内容基本方針との関係
事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発毅然と対応し従業員を守る旨の方針を明確にし、管理監督者を含む従業員に周知する。カスハラの内容と対処の内容も定めて周知する基本方針そのもの。社外向けの方針もここから作る
相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備相談窓口をあらかじめ定め、従業員に周知する。担当者が適切に対応できるようにする社内向けの方針に窓口を書く
事後の迅速かつ適切な対応事実関係を確認し、被害を受けた従業員に配慮し、再発防止の措置をとる社外向けの方針の「対応」の項目の裏付けになる
抑止のための措置特に悪質なものへの対処の方針をあらかじめ定め、その対処ができる体制を整える社外向けの方針に「警察への通報」「対応の中止」などを書く根拠になる
そのほか併せて講ずべき措置相談者のプライバシーの保護、相談を理由とした不利益な取扱いをしない旨の周知社内向けの方針に書く

基本方針は、このうち1つ目の措置の中心になる文書です。ただし、方針を作っただけでは残り4つの措置は満たせません。逆に言えば、相談窓口や対応手順を決めてから方針を書くと、方針に書いた約束を実際に守れる状態になります。

ホームページへの掲載は義務ではない

ここは誤解が多いところです。指針の4(1)イは、方針を明確にして従業員に周知・啓発することを求めています。そのうえで、方針を顧客等に周知・啓発することも「被害の防止に当たっては効果的と考えられる」としています。つまり、顧客向けの周知は推奨の位置づけで、ホームページに載せることを義務づけた規定はありません。

厚生労働省のマニュアルも、取組姿勢や方針を自社のホームページやポスターなどで顧客等の外部に向けて発信することを「効果的であると考えられる」と説明し、コラムでは、カスハラへの基本姿勢を自社のホームページに掲載している企業の取組を紹介しています。

ホームページに載せる意味は、次の3点にあります。

  • 線引きを先に伝えられる: 来店や電話の前に方針を読んだ人は、どこからが応じてもらえない言動なのかを知ったうえで連絡してくる
  • 現場の従業員が説明しやすい: 「当社の方針として、ホームページでも公開しております」と示せると、その場で個人の判断として断る形にならない
  • 採用や取引の場面で姿勢が伝わる: 求職者や取引先にとって、従業員を守る会社かどうかを判断する材料になる

なお、ホームページへの掲載が法令で義務づけられている項目(介護の重要事項、古物商の許可番号など)は、ホームページの掲載義務一覧で業種別に整理しています。カスハラの基本方針は、そこに並ぶ「載せないと違反」になる項目とは性質が違い、「載せると効果的」な項目です。

東京都カスハラ防止条例との関係

東京都では、法改正より先に、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(令和6年東京都条例第140号)が2025年4月1日に施行されています。対象は都内で事業を行う事業者で、主な内容は次のとおりです。

  • 何人も、あらゆる場においてカスタマー・ハラスメントを行ってはならない(4条)。東京都の指針は、この禁止規定に違反した場合の罰則規定はないとしている
  • 事業者は、就業者がカスハラを受けたら速やかに安全を確保し、行為者に中止の申入れなど必要な措置を講じるよう努める(9条2項)。自社の就業者が顧客等としてカスハラを行わないようにする措置にも努める(9条3項)
  • 事業者は、指針に基づき、必要な体制の整備、被害を受けた就業者への配慮、カスタマー・ハラスメント防止のための手引の作成などの措置を講じるよう努める(14条1項)
  • 条例の適用に当たっては、顧客等の権利を不当に侵害しないよう留意する(5条)

都の条例の事業者の責務は努力義務ですが、2026年10月からは国の法律による措置の義務が全国の事業主にかかります。都の指針(ガイドライン)は、基本方針や基本姿勢を明確にしたうえで就業者及び外部に周知することを対応例として挙げ、外部に周知することで事業者の姿勢が顧客等に対しても明確になると説明しています。都内の事業者は、国の指針と都の指針の両方を見ながら方針を作ると、言葉づかいのずれを防げます。

東京都以外でも、群馬県カスタマーハラスメント防止条例が同じ2025年4月1日に施行されるなど、独自の条例を定めた自治体があります。事業所のある都道府県や市区町村のページも確認しておきましょう。


基本方針に入れる項目

厚生労働省のマニュアルは、企業の方針に含める要素の例として、次の7つを挙げています。

  • カスタマーハラスメントは自社にとって重大な問題である
  • カスタマーハラスメントを放置しない
  • カスタマーハラスメントから従業員を守る
  • 従業員の人権を尊重する
  • 顧客等から社会通念上許容される範囲を超えた要求や言動を受けたら、周囲に相談してほしい
  • カスタマーハラスメントには組織として毅然とした態度で対応をする
  • 本方針は企業のトップメッセージである

これは主に従業員に向けた方針の要素です。ホームページで顧客に向けて公開する方針は、読む相手が違うため、項目の重みづけを変えます。社内向けと社外向けで、何をどちらに書くかを整理すると次の図のようになります。

カスタマーハラスメント基本方針の書き分け:社内向けの方針には相談窓口・相談者のプライバシー保護・不利益な取扱いをしない旨・対応の流れを書き、社外向けの方針には正当な意見への姿勢・カスハラの定義・対象となる行為の例・カスハラがあった場合の対応を書く。従業員を守る宣言と代表者名・制定日は両方に入れる

社外向けの方針に入れる5つの項目

ホームページに載せる基本方針には、次の5つを入れると、読む人に必要なことが伝わります。

項目書く内容書き方のポイント
① 目的と正当な意見への姿勢お客様のご意見を大切にすること、そのうえで従業員を守ること冒頭に置き、方針が「お客様を遠ざけるため」ではないことを示す
② カスタマーハラスメントの定義社会通念上許容される範囲を超えた要求・言動で、従業員の就業環境を害するもの指針の3要素を言い換える。独自の広すぎる定義にしない
③ 対象となる行為の例暴力、暴言、威圧、長時間の拘束、執拗な繰り返し、SNS への投稿など「例」であることを明記する。業種で起きやすい行為を足す
④ カスハラがあった場合の対応対応の中止、以後の対応のお断り、警察・弁護士への相談「法令の範囲で」と添える。業種の法律で断れない場合は書き方を変える
⑤ 制定日と代表者名制定日(改定日)、会社名、代表者の役職と氏名トップの名前で出すと、会社としての方針であることが伝わる

社内向けの方針に入れる項目

社内向けの方針(または就業規則やハラスメント防止規程の該当部分)には、社外向けの内容に加えて、次の項目が必要です。

  • 相談窓口(担当者名・部署、連絡方法)と、「困ったら一人で抱え込まず、すぐに相談してほしい」というメッセージ
  • 相談者や事案に関わった人のプライバシーを守ること
  • 相談したことや事実確認に協力したことを理由に、解雇その他不利益な取扱いをしないこと
  • 現場での初期対応と、上長・本部への報告の流れ(詳細は対応マニュアルに書く)
  • 自社の従業員が、取引先など他社の従業員に対してカスハラに当たる言動をしないこと

最後の項目は、指針で「望ましい」とされている取組です。指針は、方針を明確にする際に、他の事業主が雇用する労働者に対する言動について、カスタマーハラスメントを行ってはならない旨の方針を併せて示すことが望ましいとしています。なお、自社の従業員が他社の労働者に対する言動に注意を払うよう研修などを行うことは、労働施策総合推進法34条2項で事業主の努力義務とされています。発注する側に立つことの多い会社は、社外向けの方針にも一文入れておくと、取引先からの信頼につながります。


そのまま使える基本方針の例文

ここからは、ホームページに載せる社外向けの方針の例文です。【 】の部分を自社の内容に置き換えて使ってください。業種によって書き換える部分は、後の「業種別に差し替える文例」で紹介します。

基本形(多くの業種で使える例文)

カスタマーハラスメントに対する基本方針

1. 基本的な考え方 【株式会社〇〇】(以下「当社」)は、お客様に誠実に向き合い、信頼と期待にお応えすることを大切にしています。お客様からいただくご意見・ご要望は、商品・サービスを改善するための大切な情報として、真摯に受け止めます。 一方で、お客様からの要求や言動の中には、従業員の人格や尊厳を傷つけるものもあります。当社は、このような行為から従業員を守り、安心して働ける職場環境を保つことが、すべてのお客様により良いサービスをお届けすることにつながると考え、本方針を定めます。

2. カスタマーハラスメントの定義 当社は、お客様や取引先などからの要求や言動のうち、言動の内容、またはその手段・態様が社会通念上許容される範囲を超えるもので、従業員の就業環境が害されるものをカスタマーハラスメントとします。 なお、社会通念上許容される範囲で行われるご意見・ご要望や、障害のある方からの合理的配慮の求めは、カスタマーハラスメントには当たりません。

3. 対象となる行為の例 次の行為は、カスタマーハラスメントに当たる行為の例です(これらに限りません)。

  • 暴力、物を投げつける、つばを吐きかけるなどの身体的な攻撃
  • 脅迫、暴言、侮辱、人格を否定する発言、土下座の要求
  • 大声を上げる、威圧的な態度をとるなどの行為
  • 同じ内容の要求や質問を執拗に繰り返す、長時間にわたって従業員を拘束する行為
  • 商品・サービスの内容と関係のない要求、契約の内容を著しく超える要求、不当な金銭の要求
  • 従業員の無断撮影、SNS やインターネット上への従業員の個人情報の投稿や、投稿をほのめかす脅し
  • 性的な言動、従業員のプライバシーに関わる要求、つきまといや待ち伏せ

4. カスタマーハラスメントへの対応 当社は、カスタマーハラスメントに当たると判断した場合、組織として毅然と対応し、お客様への対応を中止したり、以後のご利用をお断りしたりすることがあります。悪質と判断した場合は、警察や弁護士などの外部の専門家と連携し、法令に基づいて適切に対処します。

5. 従業員への取組 当社は、カスタマーハラスメントについての相談窓口を設け、従業員への研修を行い、被害を受けた従業員の心身の安全を最優先に対応します。また、当社の従業員が、取引先などに対して同様の行為をしないよう、教育を行います。

制定日:【2026年〇月〇日】 【株式会社〇〇】【代表取締役】【氏名】

この例文は、厚生労働省のマニュアルが示す方針の例と要素例、指針と同マニュアルが挙げる「社会通念上許容される範囲を超えた言動」の典型例(言動の内容に関するものと、手段・態様に関するもの)をもとにしています。対象となる行為の例は、自社で実際に起きた、または起きやすい行為を中心に、5〜8項目程度に絞ると読みやすくなります。

例文を自社向けに直すときの注意

例文をそのまま貼るだけでは、自社の方針になりません。次の3点は、必ず自社の実態に合わせて直してください。

  1. 「対応を中止する」「お断りする」と書く前に、社内で誰が判断するかを決めておく。 方針で約束しても、現場で判断できる人がいなければ実行できません。厚生労働省のマニュアルは、人事部門・カスタマーサービス部門・法務部門などの関係部門が連携して、取るべき対処を判断する体制を整えておく例を示しています。
  2. 対象となる行為の例に、自社で起きていない行為を並べすぎない。 例が多すぎると、お客様を疑っている印象を与えます。都の条例5条が、顧客等の権利を不当に侵害しないよう留意することを求めている点にも注意します。
  3. 社内向けの規程と矛盾させない。 就業規則やハラスメント防止規程で「相談は人事部へ」と定めているなら、社内向けの方針も同じ窓口にそろえます。

業種別に差し替える文例

基本形の「3. 対象となる行為の例」と「4. カスタマーハラスメントへの対応」は、業種によって起きやすい行為や、取れる対応が変わります。ここでは、業種ごとに差し替える、または追加する文の例を紹介します。

店舗・飲食店・小売店

店舗では、来店中の大声や居座り、返品・返金をめぐる過大な要求、口コミサイトや SNS への投稿をほのめかす脅しなどが起きやすいため、対象となる行為の例に次の文を足します。

  • 商品の欠陥や当店の過失が確認できないにもかかわらず、返品・返金・交換や金品を繰り返し要求する行為
  • 他のお客様の迷惑となる大声、長時間の居座り、営業時間外の対応の要求
  • 口コミサイトや SNS への投稿をほのめかして、要求を通そうとする行為

対応の項目には、「店舗への入店をお断りする場合があります」と足しておくと、出入り禁止を伝えるときの根拠になります。厚生労働省のマニュアルも、特に悪質なカスハラへの対応方針の例として、行為者に対して店舗・施設等への出入りを禁止することを挙げています。飲食店のホームページ全体の構成は飲食店のホームページ制作ガイドで解説しています。

美容室・エステなどのサロン

予約制で1対1の接客が多いサロンでは、施術後の執拗なやり直しや無償対応の要求、個人の連絡先の要求、つきまといが問題になりやすい業種です。

  • 施術の内容について、当店の説明や確認を経ていないにもかかわらず、無償でのやり直しや返金を繰り返し要求する行為
  • 担当スタッフの個人的な連絡先や SNS アカウントを執拗に求める行為、店外でのつきまといや待ち伏せ
  • 無断キャンセルや予約時間を大幅に超える滞在を繰り返す行為

予約ページのキャンセル規定と、方針の内容がずれないように注意します。サロンのホームページに載せる項目はサロンのホームページ作成ガイドにまとめています。

クリニック・歯科医院などの医療機関

医療機関は、方針の「お断りする」の書き方に特に注意が必要です。医師法19条1項は、診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければこれを拒んではならないと定めています(いわゆる応召義務)。歯科医師にも、歯科医師法19条1項に同じ規定があります。

どのような場合に診療しないことが正当化されるかは、厚生労働省医政局長の通知「応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」(令和元年12月25日 医政発1225第4号)が整理しています。通知は、最も重要な考慮要素を患者について緊急対応が必要か(病状の深刻度)としたうえで、患者の迷惑行為について、迷惑行為の態様に照らして診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合には、新たな診療を行わないことが正当化されるとし、その例として診療内容そのものと関係ないクレーム等を繰り返し続けることを挙げています。ただし、緊急対応が必要な場合は別の整理になります。厚生労働省のマニュアルも、各業法等によりサービス提供の義務が定められている場合や、サービスが途絶すると顧客等の生命や心身の健康に重大な影響が及ぶ場合に留意して対応する必要があるとしています。

  • 診療の順番の変更や、医師の判断と異なる検査・処方を強く求め続ける行為
  • 待合室や受付での大声、暴言、他の患者さんの迷惑となる行為
  • 職員への長時間の電話や、診療内容と関係のない苦情の繰り返し

4. カスタマーハラスメントへの対応 当院は、カスタマーハラスメントに当たると判断した場合、組織として対応し、診療以外の対応を中止することがあります。悪質と判断した場合は、警察や弁護士と連携して対処します。診療をお断りするかどうかは、患者さんの病状や緊急性、これまでの経緯などを踏まえ、法令と国の通知に従って判断します。

「以後の診療はすべてお断りします」と一律に書くのは避け、診療の継続をどう判断するかを院内で決めたうえで書きます。クリニックのホームページで気をつけたい医療広告のルールはクリニックのホームページ制作費用と作り方で解説しています。

介護施設・福祉サービス事業所

介護や障害福祉のサービスも、利用者の生活や健康に直結するため、サービスの中止は簡単には決められません。利用者本人だけでなく、家族からの言動が問題になることも多い業種です。

  • ご利用者様やご家族からの、職員への暴言、暴力、セクシュアルハラスメント
  • 契約やケアプランで定めた内容を著しく超えるサービスの要求
  • 職員の個人的な連絡先の要求、勤務時間外の連絡の強要

当事業所は、こうした行為があった場合、複数の職員で対応し、ご利用者様・ご家族と話し合いの場を設けます。改善が見られない場合は、関係機関と相談のうえ、契約に基づいてサービスの提供について判断します。

利用契約書や重要事項説明書の契約解除の条項と、方針の書き方をそろえておきます。介護施設のホームページに載せる重要事項の掲載方法は介護施設のホームページ制作ガイドで解説しています。

旅館・ホテルなどの宿泊施設

宿泊業は、旅館業法5条1項が、原則として宿泊を拒んではならないと定めたうえで、宿泊を拒める場合を列挙しています。その中に、宿泊しようとする者が、実施に伴う負担が過重で他の宿泊者へのサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したとき(同項3号)が含まれています。この「厚生労働省令で定めるもの」は、旅館業法施行規則5条の6が、①宿泊料の減額その他の実現が容易でない事項の要求、②粗野または乱暴な言動など従業者の心身に負担を与える言動を交えた要求で、通常必要とされる以上の労力を要するもの、と定めています。どちらも、障害を理由とする差別の解消に関わる求め(社会的障壁の除去の求めなど)は除かれます。

  • 正当な理由のない宿泊料の大幅な減額や、契約にないサービスの無償提供など、応じることが難しい要求を繰り返す行為
  • 大声や乱暴な言葉づかいを交えて、従業員に通常の接客を大きく超える対応を求め続ける行為
  • 客室やロビーでの迷惑行為、従業員の無断撮影やつきまとい

当館は、旅館業法その他の法令に従い、お客様からの過重な要求が繰り返され、他のお客様へのサービスの提供に著しい支障が出るおそれがあると判断した場合、ご宿泊をお断りすることがあります。

旅館業法5条2項は、宿泊を拒む場合には客観的な事実に基づいて判断し、求めに応じて理由を丁寧に説明できるようにすることも求めています。方針に「お断りすることがあります」と書くなら、どのような記録をもとに判断するかもあわせて決めておきます。宿泊施設のホームページ全体の作り方は旅館のホームページ制作ガイドで解説しています。

士業事務所・BtoB の会社

士業や BtoB の会社では、来店型の店舗とは違い、取引先や依頼者からの執拗な電話・メール、契約範囲を超えた作業の要求、担当者への人格攻撃が中心になります。

  • 契約で定めた業務の範囲を著しく超える作業や、無償での追加対応を繰り返し要求する行為
  • 業務時間外の電話やメール、同じ内容の問い合わせを執拗に繰り返す行為
  • 担当者への人格を否定する発言、担当者の変更を繰り返し要求して業務を妨げる行為

また当社は、当社の役員・従業員が、取引先の皆さまに対してこれらの行為を行わないよう、社内での教育を徹底します。

BtoB の会社は発注者にも受注者にもなるため、「自社がカスハラをしない」一文が、指針の「望ましい」取組にも合います。士業事務所のホームページの構成は士業のホームページ制作ガイド、法人向けの会社のホームページはBtoB 企業のホームページ制作ガイドで解説しています。

小規模な事業者向けの短い例文

従業員が数人の店舗や事務所では、相談窓口を別に置くのは現実的でないこともあります。東京都の指針も、従業員5人以下の小規模企業では、経営者などがカスハラ対策の推進、相談窓口、現場監督者の役割を兼ねる可能性があると示しています。小規模な事業者は、次のような短い方針から始めても構いません。

カスタマーハラスメントへの考え方 【〇〇店】は、お客様のご意見を大切にし、より良いサービスにつなげます。一方で、暴力や暴言、長時間の拘束、執拗な要求など、従業員の人格や尊厳を傷つける行為には、店として毅然と対応し、従業員を守ります。こうした行為があった場合は、対応を中止し、以後のご利用をお断りすることがあります。悪質な場合は警察に相談します。

【2026年〇月〇日】【〇〇店 店主】【氏名】

社内向けには、「困ったことがあれば店主に直接、いつでも相談してほしい」「相談したことで不利益な扱いはしない」と、口頭だけでなく紙やメッセージでも伝えておきます。


対象となる行為の書き方

基本方針で最も悩むのが、「どこからがカスハラか」を示す行為の例の書き方です。指針と厚生労働省のマニュアルは、判断の観点を言動の内容とその手段・態様の2つに分けています。どちらか一方だけが社会通念上許容される範囲を超える場合でも、カスハラに当たりうる点に注意します。

観点典型例(厚生労働省マニュアル)方針に書くときの言い換え例
言動の内容要求に理由がない、または商品・サービスと関係のない要求商品・サービスの内容と関係のない要求
言動の内容契約内容を著しく超えたサービスの提供の要求契約で定めた範囲を著しく超える要求
言動の内容契約金額の著しい減額の要求合理的な理由のない大幅な値引きの要求
言動の内容商品やサービスの内容と無関係な不当な損害賠償の要求根拠のない金銭の要求
手段・態様身体的な攻撃(暴行、傷害など)暴力、物を投げつけるなどの行為
手段・態様精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の強要など)脅迫、暴言、人格を否定する発言、土下座の要求
手段・態様威圧的な言動大声で威圧する行為
手段・態様継続的、執拗な言動同じ要求の執拗な繰り返し、長時間の拘束

厚生労働省のマニュアルは、顧客等の要求の内容に妥当性がある場合でも、その言動が暴力的・威圧的・継続的・拘束的であれば、社会通念上許容される範囲を超えると考えられるとしています。方針の文例で「商品に不具合があった場合でも、大声での威圧や長時間の拘束はお控えください」のように書くと、苦情の内容ではなく手段を問題にしていることが伝わります。

行為の例を書くときは、次の3点を意識すると、読む人に誤解されにくくなります。

  • 「これらに限りません」と書く。 例を限定列挙にすると、例に無い悪質な行為に対応しにくくなります。指針も、示した例は限定列挙ではないことに留意するよう求めています
  • 評価の言葉ではなく、行為で書く。 「理不尽なクレーム」「悪質な客」のような言葉は、読む人を不快にさせます。「同じ要求を執拗に繰り返す」のように、何をしたらカスハラに当たるかを書きます
  • 電話・メール・SNS を含める。 指針がインターネット上の言動も含むとしている以上、店頭だけを想定した書き方にしないようにします

ホームページへの載せ方

基本方針を作ったら、ホームページのどこに、どんな形で載せるかを決めます。掲載が義務ではない分、決まった形はありませんが、読む人が見つけやすく、従業員が案内しやすい形にしておくと、方針が実際に役立ちます。

ページ名とURL

ページ名は「カスタマーハラスメントに対する基本方針」が最も伝わりやすく、検索で探す人にも見つかりやすい名前です。「カスハラ」は略語なので、ページ名には正式な言い方を使い、本文で「カスタマーハラスメント(カスハラ)」と併記します。URL は /customer-harassment-policy や /policy/customer-harassment など、英語で内容が分かるものにしておくと、後から他の方針ページを足すときにも整理しやすくなります。

置き場所はフッターと、問い合わせの近く

方針ページは、次の場所からリンクしておくと見つけてもらいやすくなります。

  • フッター: プライバシーポリシーやサイトポリシーと並べて常設リンクを置く。どのページからでも1クリックで開ける
  • お問い合わせページ・予約ページ: 送信ボタンの近くに「カスタマーハラスメントに対する基本方針」へのリンクを置く。問い合わせの前に線引きを伝えられる
  • 会社概要ページ: 方針や宣言をまとめた欄があれば、そこに並べる

お問い合わせフォームの近くに置く文言は、「お客様からのご意見は真摯に受け止めます。なお、当社のカスタマーハラスメントに対する基本方針は〇〇をご覧ください」のように、お礼と案内を先に書くと、問い合わせをためらわせる印象を減らせます。フォームに置く個人情報の同意文は問い合わせフォームの個人情報の同意文例にまとめています。会社概要ページに並べる項目は会社概要ページに載せる項目一覧を参照してください。

PDF ではなくページの本文に書く

方針を PDF で載せる会社もありますが、スマートフォンで読みにくく、検索にも見つかりにくくなります。ホームページの本文として書き、印刷用に PDF を添えるのがおすすめです。店頭に貼るポスターや、電話の保留中の案内と内容を合わせておくと、どこで方針を目にしても同じことが伝わります。

他の公開ページとの役割分担

基本方針は、他の方針・規約のページと内容が重なりやすいページです。それぞれの役割を分けておくと、重複や矛盾を防げます。

ページ主な内容カスハラ方針との関係
カスタマーハラスメントに対する基本方針従業員を守る宣言、カスハラの定義、対象行為の例、対応本ページ
サイトポリシーホームページの利用条件(著作権、リンク、免責、推奨環境など)サイトの利用ルール。カスハラ方針はサイトポリシーに混ぜず、別ページにしてリンクする
利用規約会員登録やサービスの利用契約の条件規約の禁止事項・利用停止の条項と、方針の「お断り」の書き方をそろえる
プライバシーポリシー個人情報の利用目的、開示請求の手続など対応記録や通話録音で個人情報を扱う場合、利用目的に含まれているかを確認する
免責事項ホームページの情報の正確性などについての責任の範囲直接の関係は薄い

サイトポリシーに書く項目はサイトポリシーの書き方と例文、利用規約は利用規約のテンプレートと作り方、プライバシーポリシーはプライバシーポリシーの書き方とテンプレート、免責事項は免責事項の書き方と例文で解説しています。

通話の録音や防犯カメラの映像を記録に使う場合は、方針の中に「対応の品質向上と記録のため、通話を録音することがあります」と書き、プライバシーポリシーの利用目的と食い違わないようにしておきます。厚生労働省のマニュアルも、侮辱的発言や名誉毀損などへの対応例として、後で事実確認ができるよう録音することを挙げています。


掲載前のチェックリスト

ホームページに方針を公開する前に、次の項目を確認してください。

#確認すること確認の仕方
1冒頭に、お客様のご意見を大切にする姿勢が書かれているか最初の段落だけを読んで、お客様を遠ざける文章になっていないか確かめる
2カスハラの定義が、指針の3要素から外れていないか「内容または手段・態様が社会通念上許容される範囲を超える」「就業環境が害される」が入っているか
3正当な申入れと合理的配慮の求めは対象外と書いたか定義の直後に一文あるか
4対象となる行為の例に「これらに限りません」と書いたか例の前後を確認する
5電話・メール・SNS での行為を含めたか例の中にインターネット上の行為が入っているか
6「お断りする」と書いた対応を、社内で判断できる人がいるか判断する人・相談先(警察、弁護士)を決めてあるか
7業種の法律で断れない場合の書き方になっているか医療・介護・宿泊などは、法令に従って判断する旨を書いたか
8社内向けの方針・就業規則と矛盾していないか相談窓口や対応の流れが同じか
9制定日と代表者名が入っているか末尾を確認する
10フッターと問い合わせページからリンクしたかスマートフォンでも開けるか確認する

方針を公開した後にやること

ホームページに方針を載せることは、カスハラ対策のスタート地点です。法律が求める措置の中身は、社内の体制づくりにあります。公開後は、次の順で社内の整備を進めます。

  1. 相談窓口を決めて従業員に知らせる。 担当者と連絡方法を決め、相談者のプライバシーを守ること、相談したことで不利益な取扱いをしないことも、あわせて伝えます。
  2. 対応の流れを決める。 その場で対応する人、上長に報告するタイミング、対応を中止する判断をする人、警察や弁護士に相談する基準を、対応マニュアルにまとめます。
  3. 記録を残す仕組みをつくる。 いつ、誰が、どのような言動を受けたかを記録し、事実確認と再発防止に使います。
  4. 研修で周知する。 方針と対応の流れを、管理監督者を含むすべての従業員に説明します。指針も、方針と対処の内容をあわせて研修・講習で周知することを、措置を講じていると認められる例として挙げています。
  5. 運用を見直す。 実際に起きた事案をもとに、対象となる行為の例や対応の流れを見直し、方針を改定したらホームページの改定日も更新します。

厚生労働省のマニュアルは、2023年度(令和5年度)の「職場のハラスメントに関する実態調査」で、過去3年間に顧客等からの著しい迷惑行為について従業員から相談があった企業の割合が27.9%(全国の従業員30人以上の企業・団体が対象)、勤務先で顧客等からの著しい迷惑行為を一度以上経験したと回答した労働者の割合が10.8%(全国の企業・団体に勤務する20〜64歳の労働者が対象)だったと紹介しています。対応が十分でない場合は、都道府県労働局による助言・指導・勧告の対象となりうるとも説明しています。方針のページを公開したことで安心せず、社内の措置とセットで整えることが大切です。

方針を改定したときに、制作会社に依頼しないとホームページを直せない状態だと、改定日や連絡先が古いまま残りやすくなります。シタミで作るホームページは、どのプランにも画面を見ながら文章を直せる「かんたんページ編集」が含まれているため、方針の文言や改定日を自分たちで更新できます。

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よくある質問(FAQ)

カスタマーハラスメントの基本方針をホームページに載せるのは義務ですか?
義務ではありません。法律と指針が義務づけているのは、方針を明確にして従業員に周知・啓発することなどの雇用管理上の措置です。指針は、方針を顧客にも周知することを被害の防止に効果的としており、ホームページはその代表的な手段です。
カスハラ対策の義務はいつから始まりましたか?
改正労働施策総合推進法のカスタマーハラスメントの規定は、2026年10月1日に施行されました。事業主が講ずべき措置の具体的な内容は、カスハラ防止指針(令和8年厚生労働省告示第51号)に示されています。
従業員が数人の小さな店でも基本方針は必要ですか?
従業員を雇っている事業主は、規模や業種を問わず措置の対象です。基本方針は従業員に会社の姿勢を伝える手段なので、短い文章でも構いません。小規模な事業者では、経営者が相談窓口を兼ねる形も考えられます。
東京都の条例に違反すると罰則はありますか?
東京都カスタマー・ハラスメント防止条例には、カスハラの禁止規定に違反した場合の罰則規定はありません。ただし、行為の内容によっては刑法などの法律で処罰される可能性があると、都の指針は説明しています。
正当なクレームまでカスハラ扱いにならないか心配です。
指針は、社会通念上許容される範囲で行われた苦情は正当な申入れで、カスハラには当たらないとしています。方針の冒頭でご意見を大切にする姿勢を示し、定義の直後に正当な申入れは対象外と書くと誤解を防げます。
医療機関や介護施設でも「以後の対応をお断りします」と書いてよいですか?
医師法の応召義務など、業種の法律でサービスの提供を原則として拒めない場合があります。一律にお断りすると書かず、病状や緊急性、契約内容を踏まえて法令に従って判断する旨を書き、院内・事業所内で判断の手順を決めておきましょう。
社内向けの方針と社外向けの方針は分けるべきですか?
分けると読みやすくなります。社内向けには相談窓口、プライバシーの保護、不利益な取扱いをしない旨、対応の流れを書き、社外向けには正当な意見への姿勢、定義、対象行為の例、対応を書きます。従業員を守る宣言と代表者名は両方に入れます。
基本方針はどのページに載せればよいですか?
独立したページにして、フッターの常設リンクと、お問い合わせ・予約ページの近くからリンクするのが一般的です。サイトポリシーに混ぜると見つけにくくなるため、別ページにしてサイトポリシーからもリンクすると整理できます。

まとめ:方針は「従業員を守る約束」と「お客様への線引き」を1枚に

  • 2026年10月1日から、従業員を雇う事業主は、カスハラから従業員を守る雇用管理上の措置を講じることが義務になった。基本方針は、指針が求める1つ目の措置「方針の明確化と周知・啓発」の中心になる
  • ホームページへの掲載は義務ではないが、指針もマニュアルも顧客への周知を効果的としている。線引きを先に伝え、現場の従業員が説明しやすくなる
  • 社外向けの方針には、①目的と正当な意見への姿勢、②定義、③対象となる行為の例、④対応、⑤制定日と代表者名、を入れる
  • 医療・介護・宿泊など、法律で拒めない業種は「お断り」の書き方を業種の法律に合わせる
  • 掲載場所はフッターと問い合わせ・予約ページの近く。サイトポリシーや利用規約とは別ページにして相互にリンクする
  • 方針の公開はスタート地点。相談窓口・対応の流れ・記録・研修をあわせて整え、運用しながら見直す

基本方針は、お客様を遠ざけるための文書ではなく、従業員が安心して働き、その結果として多くのお客様に良いサービスを届けるための約束です。例文を下書きにして、自社で実際に起きている場面を思い浮かべながら言葉を選び、社内の仕組みと一緒に整えていきましょう。

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